〜東の海・バラティエ近海〜
〜主人公side〜
船は青空の元、順調に目的地に進む。グランドラインや新世界とは大違いだ。いや、行った事無いけど。
「シオリお嬢様、もうすぐバラティエです。」
「ん…分かった。」
お嬢様か…俺がカヤちゃんと同じように見えるとか…たいしたやつだ。え?シオリって誰って?
そうだな…話は4日前までさかのぼる。
〜4日前〜
さて…とりあえずクロを倒したのはいいが…ぼやぼやしてると海軍がクロ達を拘束しに島に来るな。
さっさと船に乗せてずらかるか。
そういやこいつ…なんで無防備に倒れてたんだ?策略家らしくないザマだな…
………あっ!!ひょっとして覇王色の覇気か?結構力いれたもんな…世界最強レベルらしいのに…
ま、このままじゃらちがあかん。さっさと起こすか…で、無理矢理起こす。
〜百計のクロside〜
三度意識が覚醒し出す…確か俺は訳の分からん女に為す術なく敗北して……!!目の前にその女がいた。
「よう、起きたか。」
…今の状況は…どうしようもないな。
奴の気分次第ではすぐにあの世に行っても不思議じゃないだろう。
「おれをどうする気だ。何者か知らんがおれの手配書は破棄されているから金は入らんはずだ。」
とりあえず牽制してみるが…
「ああ、そんなんはどうでもいいんだよ。お前に会いに来た理由は…お前に仲間になってほしい。」
「!?どういうつもりだ?力の差は歴然だった…捨て駒にでも使うか?」
あざ笑うように言い放つ。まあ虚勢なのはバレているだろうが。
「敗北したままで終わって満足か?海賊の高見を見たくないか?
…望めば…お前を再び輝かせてやるよ。」
「!本気で…言っているのか?貴様にそれほどの力があるとでも?」
確かにおれを軽く倒して見せたのは事実だが高見となると…それこそ四皇とか言われている白ひげやあの海賊王のような伝説じみた存在に他ならない。
「俺を利用するだけしてもいいし、裏切っても構わねぇ。ただちょっと俺に騙されてみねぇか?」
こいつ……いや……この人は……そもそもおれは平穏を望んでいたはずなのに…なんだ?この高ぶる感情は…再び海賊に戻るのを待っていたとでも………
「分かりました。あなたの部下になりましょう。…そういえばあなたの名は?」
〜主人公side〜
「〜あなたの名は?」
と不意に名前を聞かれた。
え、え〜と…天草四郎。いや…女だったな……詩織でいいか。この世界じゃ日本人っぽい奴もカタカナだっけか。で、名字つうかファミリーネームが先だったな多分。
「アマクサ・シオリだ。」
「シオリ…お嬢様…」
おいおい、いきなり執事モードにチェンジかよ。ま…いいか。
「んじゃ、これからよろしく頼むぜ。」
「はっお任せくださいっ」
「よ〜し、言ったな。じゃあ今からガンガン鍛えるぞ。今のままじゃ生き残るのは厳しいからな〜」
「は…はあ…」
何をされるか分かってない顔だな。
「俺を殴った時硬かっただろ。それは格闘技術のおかげだ…六式というな。
海軍なら確か少将ぐらいから体得してるはずだ。まずはそれで基本的な身体能力を上げる。
お前の場合、スピードは良いが攻撃力と防御力がなってねぇ。
…ので、まずはそこから鍛える。準備は良いか?」
「ええ、覚悟はできてますよ。」
〜二日前〜
〜シオリside〜
目の前には全身汗だくでぶっ倒れているクロ。
おお、レアな光景だな。
「生きてるかー?」
「ぜえ…は…ぜえ…い…」
「怠けてた年月が長すぎたな。ま、安心しろ。すぐに平然と出来るようにしてやるよ。」
そうだな…ウォーターセブンに着くまでに基本は体得させとかねーと…二年後の世界の事は後で考えるとして。
「ところで…どこに…向かっているのですか?」
お、息が落ち着いてきたな。さすが原作キャラ。
「海上レストランのバラティエだ。そこにある奴らが来るって情報得てな。その中の1人をスカウトしに行く。」
「ある奴ら…?」
「まだ内緒だ……よし、今日はここまでにするか。」
「あ、ありがとうございました…」
まだフラフラしてたクロは疲れを癒すため真っ先に自分の部屋に帰った。
…筋肉痛とかハンパねぇだろうな…俺にガープ並の指導力がありゃ強くなるスピードは早くなるだろうけど如何せん素人だからな〜難しいもんだ…
…さて…俺も今後の予定考えっか…
〜回想終了〜
船をバラティエに停め着替えを始める。俺はタンクトップの上にアロハシャツ、クロは帽子とサングラスを着させた。
「なぜ、変装を?」
「確か麦わらの一味ってのが数日前にここに来たらしい。」
「!!麦わら…が。」
「俺が見たとこ、まだお前じゃあいつらに勝てん。バレるなよ?」
「はっ…」
さ〜て今回は忙しいぞ〜……全部達成できるかねぇ?
と、あれこれ考えながら入ると…
「いらっしゃいませ!イカ野郎!!」
おおう…入店した瞬間これだよ。
そのセリフを吐いたのはまさにごつくなったガリ○リくん。確かサンジの同僚の…なんだっけ?
姿はインパクトありすぎなんだが逆に名前を忘れちまった。
「………」
クロに殺気が生じた。まあ落ち着けよと声をかけるより先に…
「てめぇっっ!パティっ!レディに何ぬかしてくれてんだぁっ!!」
リアル大人ガリ○リくん改めパティを金髪ショートの美男子が蹴っ飛ばした。
おお、アレがサンジか。うん、眉毛もちゃんとクルクルしとる。
「この度はクソ同僚が大変失礼いたしました。奴は後でシメときますんでお許しください。美しきレディ。」
完璧なマナーを見せ付ける…美女限定だが。
多分俺って良い事言ったぁやっほーとか思ってんだろうな。
「ああ、かまわねぇよ。それより注文したいんだが。」
ズキューーーン!!
「おおうっっクールビューティーなお姿にピッタリな、凛々しくもハスキーな魅惑のボイスっっ!何でもお申しつけくださいませっっ」
あれ?こんなに女に弱かったかな?……しっかし、ナミやロビンはよくスルーできるな。俺だったら二秒で殴り飛ばしてるぞ。
「ああ、この店のおススメを頼む。こいつにも同じのを。」
「んりょうかいしましたあ〜〜」
デレデレしすぎだろ。あとクロを完全無視だな…クロもピキピキしとる。
サンジが行った後、辺りを見渡す。
……おっゾロ達発見〜…ん?ルフィがいないって事は厨房でタダ働き中か…ん?なんとかのフルボディってのいなかったっか?もうサンジに凹られた後だっけ?
「…お嬢様…」
クロが小声で耳打ちしてきた。
「奴が麦わらの一味の1人、海賊狩りのゾロです。あの女や長鼻の方は取るに足りませんが。」
「ん…OK把握…気は静めとけよ?」
「は……しかしバラティエの評判は聞いていましたが…コックの接客マナーが悪すぎませんか?
なぜかウェイターもいませんし。名店というのはガセなのでしょうか。」
「コック達の態度が気にならない程の味なんだろうさ。
ちなみにここのオーナー兼料理長は元クック海賊団の赫足のゼフだぜ。」
「!?あの…赫足…?」
絶句しとるな。当時は超有名人だったんかね?
この後俺らは料理に舌鼓を打ちつつ店に来たギンとサンジのやり取りを見ていた。
「面目ねぇっ面目ねぇっ…」
泣きながら飯を腹に入れるギン。
うう、やっぱええシーンやなぁ。サンジええ男すぎるやろ。
…おっと興奮しすぎて関西弁出ちまった。
さ〜〜てと…この後どうすっかなぁ…ルフィVSクリークはすげぇ見たいんだが、同時にミホークも来るんだよなぁ…
…戦ってみてぇな…今の俺は能力はあっても経験がなさすぎる。
今のうちに経験積んどかねぇと後々辛くなるのは目に見えてる。
…やってやるかぁ…負けたらミホークの気まぐれに身を任す事になるけどよ。