〜シャボンディ諸島・24G〜
〜シオリside〜
…とにかく腹が減っている…腹が減って死にそうだ本当に……この際どこでもいい…メシ屋はないんか……
…ふと感じた気配を探ると小洒落た雰囲気のレストランを見つけた……えぇーい!ここにしよう!
「シオリ?何を興奮している?」
エネルがジロジロと見る…焦るんじゃない…俺はメシが食いたいだけなんやから。
構わず店に入る……店内は…とんでもなく広かった。1階フロアだけで100以上は入れるな。次に内装…まず目につくのは天井のシャンデリア。それに壁の飾り付けも豪華な雰囲気が漂っている…が必要以上にゴテゴテしていない。
一方繁盛具合は…様々な職種の人間で溢れている。
…ほー…いいじゃないか。こういう雰囲気の店は嫌いじゃない。
「いらっしゃいませ〜」
店員の挨拶もしつこすぎず良い距離感だ。…隅っこの席が空いていたのでそこに座る事にする。
…少しの間の後店員がメニューを持ってきた。間の取り方も悪くない。
「皆は好きなの頼め。…俺は…おっ!和食…いや中華もか和洋折衷とは……よし、ひとまず…豚の生姜焼きにするか!ライスは…大盛りで!ん?…それにラーメンもあるのか!…生姜焼きだけじゃ物足りんし頼んどくか…味は…醤油だな。やはり…」
「飲み物は何にいたしますか?」
う〜ん…ここはビールだな。キンキンに冷えたのがたまらないんだ!
「ビール生中で。」
うん?おしんこもある…いいな…
「後、おしんこ…ハクサイのでね!」
こいつはうれしいなぁ。心があったまる。
「姉ちゃん!ライス持ち帰りで!」
常連らしきオッサンが店員に話しかけてる。
持ち帰り!そういうのんもあるのか!メニューを見ると……うん。これにするかぁ。
「焼売セット5人前持ち帰りで!」
「すみません…焼売セットは一人3セットまでなんですよ。」
!…がーんだな……仕方ない。
「じゃ3セットで。」
ま、気持ちを切り替えるか。少し料理が来るのを待つと…
「お待ちどうさま〜」
お!来た来た、来ましたよ〜
<豚の生姜焼き>シャボンディ産の特別な育ち方をした『シャボン豚』。ジンジャーソースはりんご、ニンニクなど自家製の味。
<ライス>大盛り。ツヤ具合を見ると少量のもち米を入れているようだ。
<ラーメン>醤油味。チャーシューが5枚も入ってる
<ハクサイのおしんこ>何の変哲もない普通のハクサイ製
<生ビール>中サイズ。
う〜ん…生姜焼きとチャーシューで肉がダブってしまった…まぁいいか…腹に入りゃ……
もぐ もぐ
うん、うまい。確かにうまい。しかし…これはどこまで行ってもブタだな…
「な、なんかドンの顔がおじさん臭いんですけど!?」
生姜焼きのタレをライスにかける。…うんやっぱりうまい!…次はと…おしんこだな。
バリッボリッ………!このおしんこは正解だったな。漬かり具合もちょうどいい…肉尽くしの中ですっごくサワヤカな存在だ…
ズルズル……ラーメンもチャーシューはともかく麺がうまい…これですよこれ!コシがあるのが好みだからたまらんね!
ズズ……スープは…油がキツクなく少々アッサリ気味だ。普段なら物足りないが今回は助かったな…
「さっきからお嬢様の雰囲気が妙な…」
「…いいか?モノを食べてる時は誰もが孤独なんだ。誰にも邪魔されず自由で…なんというか…心ってのかな?そいつが救われてないと…独りで静かで豊かで…」
「普段から皆で馬鹿騒ぎしながら食べてないか?」
「男にはそういう気分の時もあるという事さ。」
「いや、お嬢はおん…なんでもないっす…」
とにかく気にせず食を堪能する。ああ…ビールがうまい…熱くなった体を冷ましてくれる…
さてと…ちょっとふざけすぎたか…ゴローちゃんごっこはこれくらいにして…色々探るか。
店内の一角を丸々占拠しているアレは…カポネ・ギャングなんとかか。やっぱチビだなぁ…
で、別の所にいるあのムッツリがバジル・ホーキンスか。あいつのワラ人形の能力が訳ワカメなんだよな〜
「ちょっとゴメンよ〜」
緑色の帽子の白のタンクトップのピンク髪の女も入店してきた…ジュエリー・ボニーか。
こいつと赤犬の関係がよく分かんねぇんだよな…
「頭目(ファーザー)…あの者達は…1億8000万の傾国のシオリに、1億4000万の『大喰らい』ジュエリー・ボニーです。」
「分かっとる。…大喰らいはどうでもいいが…傾国。奴はキレ者だ。単身エニエス・ロビーに攻め入るクレイジーだが…それより部下のメンツがその異常さを表しとる。」
うれしい事言ってくれるやないか。
「…あれが傾国のシオリか……死相は全く見えないな……これは面白い。」
アンタの方が面白いんだが。でっかい藁人形になる技とかはアレだがダメージを余所にやる技が反則だな。
…でボニー。…なんつーか…スゴイ食欲だな…ルフィ並とは…
「次、コレ10人前!」
おいおい、もう食ったのか?あの量。
…つーか…行儀悪いにも程があるやろ。テーブルの上に乗る意味が分からん。
「下品な女め。こちらの食事がまずくなる。しかし傾国…何だ?あの渋い雰囲気は…邪魔すると腕絡みを決められそうな…」
ま、まさかお前も愛読者なのか!?ゴッドファーザー!
「おかわりまだか!?なくなりそうだ!!ピザお〜か〜わ〜り〜!!」
…こいつは相変わらずだな〜食費大変やろな…
「…とんでもない食欲っすね。…胸やけしそうだ。先出てます。」
と、クリークにギン。さらに…
「会計頼むぞ。シオリ。」
ちょWWWWWおまえらWWWWW船長に雑用やらす!?
…エネルも出る。
「まぁ私一人いれば十分ですし」
おすし。……うぅ直前に孤独云々言ったからツッコミ入れにくい…さておみやも持ったしこのぐらいにするか。
「ところで…アレが…」
「!?あ、あぁ…『大喰らい』ジュエリー・ボニー1億4000万。
あのチビおっさんが、カポネ『ギャング』…べッジ?、1億3000万……台だ。
で、奥にいる怪し〜いのが『魔術師』バジル・ホーキンス。2億なんぼの奴だな。」
金額はさすがにうろ覚え。
「そろそろ会計するか。腹八分目というしな。」
「おっ!もう食えねぇのか?どいつもこいつもたいした事ねーな!」
とボニー。大食いコンテストやらなんやらに行ってろよ。
「いや〜これ以上食うと太りそうだしな。そりゃそーと…燃費悪いんだな。その体。」
「フ、フーン…ま、負け惜しみかい!?」
「好きにとりゃ良いさ。」
「話術でも雲泥の差だな。…さすがに賢しい女だ。」
さかしいって…ZガンダムだかZZガンダムでしか聴いた事ねーぞ!
「……………」
なんか言えよホーキンス。
ま、顔見れたのでもう用はねぇな。
で、外に出ると…
ユースタス・キッドの部下の………覆面とギンが戦ってた。
「強ぇな…アンタ。」
おいおいこいつとやり合ってたのか…よく無事だったな…けっこう強くなってんだなぁ。
「……………頑丈だな。」
と覆面が返す。……あ!キラーって名だったような。殺戮武人って異名で顔隠しててギンと何となく異名が似てるからギンが正体じゃね?とか言われとったんだよな。じゃあクリークはどこ行ったんやって話になるが。
で、他は…いた。あの怪傑ゾロっぽいコスプレケツアゴがドレークで…でっかい坊主がネタ番長のウルージさんか。
「ほぅ…空島出身か。」
エネルとウルージが顔を合わせる。
「!その顔は…まさか…神エネルか!?」
かなりギョッとするウルージさん。いつもの大物感を出してくれ。
「ん?知っておるのか?」
「当然だ…まさかお主も青海に………この者らが配下か?」
「いや…シオ…傾国のシオリの部下…だ。一応な。」
「!!??ま、まさか…」
「会って、戦ってみれば分かる。」
なんか話しとるな。キッドとアプーとローはどこだっけ?近くのはずだが…ま、どうでもいいか。それよりももうすぐだな…
「おめぇら、ケンカはほどほどにしとけよ。…後々生き死に懸けた戦いしてもらうからな。」
一応釘を刺す。アレを沈めれられるかどうかであそこに関わらすか決めるか。もちろんエネル抜きでな。ペローナのも効かないやろし。
「…なんだというのだ?この女…」
地味に俺を警戒するドレーク。
しっかし、よくティラノザウルスの実なんか見つけれたな。すげえわ。当たりかどうか微妙ではあるが…
と、ドレーク、ウルージなどを生暖かい目で眺めてる所に…
天竜人の…………チャルなんとかが来た。
そのバカボンは看護婦を見初め手に入れようとした所に邪魔した看護婦の恋人を銃で撃つ。
「おーおー好き勝手やりなさる。」
おお、ネタ名セリフゲット!
…なんかあの面、不愉快だなぁ…
どんっ
バタッ…
「…!?」「天竜人が…」「ま、まさか傾国か!?」
覇気で気絶したチャルなんとかとそのボディーガードら。そのスキに看護婦の恋人をポーションで助ける。
「早よ逃げろ。」
「「あ、ありがとうございますっ!」」
「な、なにをしたのだ…?」
「あの力…どこかで。」
「エネル。あれが『天竜人』だ。権力を傘に着るしか能がないゴミの様な奴らだ。」
「あんなナマモノが世界の頂点とは…歪んでおるな…」
さすがにゴミを見る様な目だな。
「天竜人を堂々とゴミ呼ばわりするとは…イカレとるな。」
レストランから出てきたカポネがつぶやく。
「あの女!ここを戦場にしたいのかよ!?」
「何が起きたのか気づいてないから大丈夫だよ。ジュエリー・ボニー。」
「!?なっ…聞こえてたのかよ!?」
「いやいや…今のはお前の声のボリュームがでけぇよ。本来なら天竜人見つけたらブッ殺すトコだが…今は止めとく。」
「ふざけんな!大将が飛んでくんだぞ!死にてぇのか!?」
「今回ばかりは大喰らいの意見が正しいな。大将はまずい。」
「大将一人じゃせいぜい足止めにしかならねぇよ。残念だけど。」
「「!!??」」
「正気か…?しかし…この風格…とんでもねぇな…そんじょそこらの奴じゃ出せん…」
なんかカポネに感心されてるが、とりあえず1番Gのオークション会場に行く事にするか。
「オークション?何か買われるものでも?」
「いや、買う物はない。ただの見物だ。」
で、会場に向かう。
〜1番グローブのオークション会場〜
入口になんかでけぇのいるな…確かこいつローにつくんだっけ、この怖い顔。
入り口を入ってすぐの廊下に着くと…いた。キッドとロー。
…ローって確か『あの噂』があったよなぁ…はてさて…
「ほー…テメェ、傾国のシオリかぁ?」
キッドに声掛けられた。カタギだったら絶対無視するぞこんなおっかないやつ。
つーか…部下のメンツといいなんか聖飢魔○チックだな。
「おぉ、あんたはなんとか『キャプテン』キッドか。ワルモン顔してんな〜」
ざわ…ざわ…
キラーはじめ部下達が色めき立つ。更に…
「口が悪い女だな…生まれてきた事を後悔する様な事をしてやろうか?」
「蝋人形にしてやろうか!って言ってくれよ!そこは!」
閣下に扮するにゃメイクが足りてないが…
「あぁ?…何ワケ分かんねぇ事を……チッ…毒気抜かれちまったぜ。」
残忍だがツンデレだよなキッドって。
「傾国屋…」
目にクマが出来てる、帽子の兄ちゃんが話しかけてくる。というか…なんか薬屋の名前みたいで泣けるな。アマクサ屋じゃねぇのかよ。
「死の外科医のトラちゃんか?」
「!?………何を気の抜ける様な事を…」
呆れとるロー
「しかし…3億オーバーや2億の奴が俺知ってるのは光栄だ。」
「3億…」
クロが警戒している。
「フン…手配書見てヤバイ奴ってのはすぐ分かったぜ。それにエニエス・ロビーに攻め込むなんざイカレすぎんだろ。」
キッドにまで言われるとは…
「フム…両者共に良い顔をしている。なかなかの強者だな。」
呑気に二人を観察してたエネルが呟く。
「「テメェ(アンタ)は誰だ?」」
二人の声が重なる。
「エネルだ。それ以上でもそれ以下でもない。懸賞金も0だしな。」
磁力的にエネルとは相性悪いやろなキッド。大半が金属の武器になるわけだし。
ローも遠距離から雷落としたら完封できるしやっぱエネルは反則やな。ニヤニヤ。
「フン…引き連れてる連中もなかなかふてぶてしいなぁ。」
とキッドが俺らを見て吐き捨てる。
「覆面殺人鬼や口から火吹くのを従えてる奴や訳分からんクマ吉連れてる奴よりはマシと思う。」
「訳分からなくてごめんなさい…」
なんか落ち込んでる白熊…ベポ。そーいや名探偵うさみちゃんはいないよな?
「カシラ〜」
お、アーロンらが来たか。買い物とメシは済んだようだな。
「おいおい…なんだこの世界人間ビックリショーは…大半が有名人じゃねぇか…」
アーロン達を睨むキッドさん。殺気漏れてるってば。さすがに情報収集は怠ってないか。
とまぁ、ギスギスした空気の中、オークション会場に入る…そこで待ち受けていたのは…