〜アッパーヤード〜
〜シャンディアの戦士カマキリside〜
ゼェ…ハア…ダ…ダメだ…いくら斬っても…通じない…なんて非常識な…
「ふあああ〜〜…おっと、居眠りをしていたか…?あぁ、まだやってたのか。ヤハハハ…」
目の前にいる男…おれ達の宿敵…エネル。こいつにとっては…安らかな午後のひと時とでもいうのか!?
…体中が雷によって痺れて思うように動けなくなってきた…だがせめて一太刀…しかし…どうすりゃいい…
「ありゃ?ここは…どこだぁ!?」
いかつい顔の大男が空から降ってきた!?
「ん?誰だお前ら?」
「フム…お前は確か青海の集団の片割れか…頭は確か女だったか…」
「なんで知ってんだ?…そういうテメェらは誰だ?神官ってのか?」
「ヤハハハハ!我をその様な輩と一緒にするな…我は…神なるぞ!」
「?………げっ!ドンが言ってた空島の神かよ!やべえっ!!」
「ヤハハハ…どうやら実力差というのを理解している様ではないか。さぁ我に平伏すが良い。」
「くそっ…逃げるにしても雷の速さらしいし…どうすりゃ…」
「どうした?まごまごしている暇はないぞ……500万V放電(ヴァーリー)!」
「うわああっ!」
遅いヤツだな…あの雷をまともに食らいやがった……え!?
「あ、あり?ちょっと痺れただけ?ビビった〜」
「…ヤハハハ…そこそこ打たれ強い様だ…ご褒美に…」
「ぬぅええいっ!!…ってありゃ!?掴めねぇ…この前の砂みたいなヤツかよ!?」
無理だ。エネルには触れない…
「止めんか…粗暴なヤツだな。みせしめとしてさっさと片付けてやろう…」
?エネルが背中につけている左側の太鼓を叩いた?
「3000万V…雷獣(キテン)!!!」
なっ…ヤツの太鼓から雷に包まれた獣が現れたっ!?
「!?ぐあああっ!?」
凄まじい雷が疾り大男を貫いた!
「あああ…あれ?生きてるぅ!?…心臓に悪ぃなもう!」
「!?……なかなかタフだな……驚いたぞ…む!?」
「お〜〜!エネルぅ〜!見つけたぜ〜…よ!クリーク生きてるかぁ?」
「…正体不明が来おったか…」
「おおっドン!助かったぜ〜!」
「貴様は!?あの時の…」
そういえばこの大男もあの船にいた…侵入者だと思ったら観光客だった…その奴らがなぜ戦場に…
「おぉ〜確かあん時のグラサンモヒカンか。頑張ってんな。けど、とりあえず休んどけや。ちょっとこの自称神様(笑)に用があるんでな。」
「私も貴様に用があった。青海人の女…この私が心を読めなかったのは貴様が初めてだ。貴様を倒せばその謎も解るのであろうな。」
なんだ…この女…あのエネルの威圧に全く怯んでいない…!
「倒せるんならな〜…やってみろや。井の中の蛙。」
なんでニヤニヤしていられるんだ!?
「クリークは下がってろ。巻き込まれたら死にかねん。」
「ウッス!さっき3000万Vなんとかってのくらったすけどけっこうキツかったし…」
「アレくらってけっこう痛いレベル!?…いつの間に…」
さすがに女も驚いてるな。
「?どうしたんで?」
「なんでもない…こりゃ良いトコ見せんとな…」
「いつまで世間話をするつもりだ?青海人共…いい加減始めようではないか…まずは小手調べといこうか…200万V放電(ヴァーリー)!」
凄まじい雷が女を直撃した。あんなのを食らったら…下手したら死ぬ!…?あの男は3000万Vを耐えてた様な…
「……う〜ん…イマイチピリッと来ねぇな…もちっと力出してくれや。100分の1の力なんてなめすぎだろ。」
!?やはり、無傷!?い、いやそれより…あの雷が100…
「ほう…手加減しすぎだか…ならば少し強く行くぞ?簡単に死んでくれるなよ?」
「へっ何戸愚呂弟みたいな事言ってんだよ。」
ヘラッと笑う女…にしても獣みたいな笑みだな……あっ!エネルが手に持つこん棒で今度は右肩辺りの太鼓を叩いた…!?なんだあれは!?雷の鳥!?
「3000万V…雷鳥(ヒノ)!!!」
「おぉ!カイザーフェニックスみてぇだ!…んじゃ俺も…カイザーダルフィン!!!」
「うおおおっ〜!?イルカァァ!?」
女の手から現れたのは…!?水で出来た…生物…だと?それにイルカといえば確か青海にいる……というかカイザーフェニックスってなんだ!?
バリバリバリ!!
雷鳥はイルカを素通りし女に直撃した。イルカは霧散した様だ。
「いちちちっ…やっぱ水じゃ相性最悪だな〜感電しちまったよ。」
「!!?…まさかヒノをまともに受けてその程度のダメージとはな…青海人とは恐ろしいほどタフなようだ…」
「いや、クリークの耐久力が異常だから。俺は別として。」
「ドンの攻撃力は人間レベルじゃねぇんすけど…」
「あーあー聞こえないー……さて、どうする?神様さんよぉ…」
「…癪だが電撃ではラチがあかんという訳か…久々に肉弾戦をするか…」
こん棒を取り出した…?
「我がのの様棒を侮るなかれ…雷冶金(グローム・パトリング)!」
エネルがこん棒に雷を流すと…三つ又の槍に変形しやがった…
「スピード勝負と行こうじゃないか。」
バリッ
エネルが消えた…!?
「………」
女もどうしようもない様だ……ん?動いた?虚空に向けパンチを放った?
ドゴォ!!
「ガハァ!?…」
な…エネルに攻撃を…当てた!?というかなぜ雷の速さに追いつけるんだ!?
「ぐぅ…ぬ…貴様もまさか心網を…い、いやそれよりも…なぜ私に…触れられるのだぁ!?何をしたぁ!?」
「へっ…自分で考えて見ろよ。しかし…もったいねぇな〜その強さなら下の海でもっと大暴れ出来るだろうに…」
「下…青海…か…あの地がなんだと言うのだ…?」
「あそこにゃ自分らをこの世で1番偉いと勘違いしてる救いようのないカス連中や、自分が1番強いと思ってる戦士が山ほどいる。アンタもそこで揉まれてりゃ今みたいな訳分からん事にならんで済んだのにな。」
「くぅ…よ、よく分からぬ言葉で謀ろうとしても無駄だ!おれは雷人間!最強の力を持っている事に変わりはないんだ!」
「なら俺を倒してみないとな。」
「くっ…舐めるな!…1億V放電(ヴァーリー)!!!」
エネルが雷の如きスピードで女の懐に潜り込み雷を放った…!
…!?あ、辺りが光に包まれるっ。とてもじゃないが耐えられん!
…気がつけば辺りの景色がメチャクチャだった…木々や地面が消し飛んでいる…これ程の力を持っていたのか…こんなヤツに一体誰が勝てるんだ…
「うわああ?ドン〜!?」
大男がパニックになってる…さすがにあの女は消し炭になったのか…
「さっすが1億V!えげつねぇな!」
なんと女が生きていた…もう何が何やら…
「き…貴様…なぜ生きている…おれは見たぞ。雷は確かに貴様に直撃した…」
「ああ、素の肉体だけじゃヤバかったんで武装色の覇気を使わせてもらった。」
「武装色の…覇気だと?どういう力だ!?」
「あぁ、訓練に訓練を重ねた者が発現させる偉大なるパワーだ。見聞色の覇気はお前らの心網と同じく相手の気配を感じ、読む事が出来る。武装色の覇気は体に覇気を纏っていかなる相手をも捕らえたり、いかなる攻撃も防ぐ事が出来るのさ。」
なっ…なんだそのでたらめな力は…
「…それを貴様が使いこなしていると…」
「あぁ、まぁ見聞色はアンタの方がちょっと上だがな。だが残念かな武装色が未熟すぎる。武装色を纏えれば…覇気使いにも触れられなくなるだろうに…」
よく分からん話が続いているが…青海にはエネルのような…いや、エネルより強い者がいるってのか!?
「そういやおれ殴られてる時武装色がどうのこうのって…」
大男がゲンナリしている。
「…私は…神だ。こんな所で朽ちる訳にはいかん…例え修行不足だったとしても…貴様に勝ってみせるぞ!」
エネルの全身が雷を放ち徐々に…巨大化していく…!?
「ええええぇぇ〜!?」
大男が叫ぶ。おれも叫びたい。
「MAX2億V!…雷神(アマル)!!!」
「……紙絵・ゴム。」
あまりに巨大な雷が女を…飲み込んだ。
「!やったか!?」
「残念…体をゴムと同じ存在にして耐えたのさ。」
「ゴ、ゴム!?何を言っている!?」
ゴムってなんだ!?妙に心惹かれる言葉だが…
「後で嫌と言うほど味わうさ…さて終わらせっか……武装色・拳銃…虎砲!!!」
零距離からの正拳突きの様だが…
「ガハァ!…」
動揺していて避けられずまともにくらったエネル。倒れたまま動かない!?……倒したってのか!?
「ぐぅ…くそ…私は…まだ終われん…」
「ああ…別にあんたを倒しに来た訳じゃない。」
「!?…ここは引かせてもらうっ…」
苦悶の表情で逃亡したエネル…信じられなかった…終始あのエネルを圧倒するなど…
「やったぜ!さすがドン!」
「俺としてはお前こそ褒めたいとこだが…ま、いいか…まだ貝は見つけてねぇか?」
「ギクッ…すっすんません〜!?」
「いやいいよ…ロギアとの貴重な戦い出来たんだからな。良い経験だったと思うぞ?…もう船に戻ってていいぞ。」
「へいっ……あ、まだ余裕あるんで一応まだうろついてます。」
「…タフだな〜…分かった。無茶すんなよ?」
「いや〜いつもの修業の方…ゲフン!なんでもないっス。当然さっきのヤツ見かけたら死ぬ気で逃げますし。」
…大男はどこかに行った…女に及ばんが信じられんタフネスだ……だがおれもエネルの雷をわずかに食らってしまった…動けん……?女がおれに近づいてくる…そういえば何者か分からん!敵なのか!?や、やられる…
「ああ、別に取って食やしねぇよ。それに、神様は麦わらのルフィが倒すだろうさ。安心して寝てろ。」
その言葉を最後に耳にしておれは意識を失った。
…戦いが全て終わる時まで…