〜アラバスタ・港町ナノハナ〜
〜シオリside〜
「とりあえずこの町で食いもんとか衣類とか色々揃えとくぞ。で、クロは港のドッグでの改造作業見ててくれ。」
「かしこまりました。…そういえばどのような改造を?」
「このアラバスタの次の島…そこで分かる…まぁここアラバスタで色々実験するんだがその結果次第じゃ無駄足になる可能性もあるがな。不確定要素が多いから一つ一つ慎重に確認せんと…」
「分かりました。それでは終了しましたら連絡を入れますので。」
「うむ。任せる。」
ドラム近海から5日程で俺らはアラバスタ南東に位置する港町ナノハナに着いた。メリーだと確か5日進んで飯なくなって絶食4日目にボンちゃんと会ったから計9日ぐらいかかったはずだ。
ま、こっちもアラバスタに集結しようとしてたビリオンズとかいう奴らの船で路銀稼ぎしたから時間がかかったが。
本来なら昨日辺りに着いてたんだがな〜
…で、港に着くとすぐに現地の船大工に船の改造に取り掛かってもらいクロをその現場に置いてきた。
…アラバスタ。やる事はそこそこある。
アレの入手に、ナミの雷の実験台に、クロコとの決闘&実験だ。…それぞれの実験の結果次第じゃラピュタもどきやあの監獄に行くかどうかの決断をせにゃならん。
…しっかし、実験の結果次第であのオカマをどうするかどうかの予定も大きく変わっちまうからな〜つくづくあそこは厄介だわ。
…でもそんぐらい確認しねぇとあの毒野郎に勝てる気せんからな…つねに遠距離保っとかん限り…
「ドン?ドン!…買い出し終わりやしたぜ。」
今後の事で頭を悩まされてた俺に恐る恐る話しかけるクリーク。修業時以外じゃ殴らねぇってのに……いや、クリークだけぶっ飛ばしてるか。ま、とにかく要件片付けるかね。
「お、おう。分かった。…うし、この町の用はこんだけだ。後は…」
「暑すぎるぞ!なんとかせんか!者どぶああ!?」
わめくワポルだがアーロンに水ぶっかけられてるな。そりゃその格好じゃそうだろ。砂漠地帯で毛皮に鉄を着込んでるってどこの罰ゲームやねん。けどそのアーロンもキツそうだな。あんまり体内の水使うなよ。俺と違って限りがあるんやし。
「…これからもっとやばい事になるから気ぃ引き締めとけよぉ?」
「カシラ顔怖っ……七武海って奴か…確かジンベエが…」
「ああ、七武海は常人をはるかに超えた強さ、異能を持ってる。一瞬でも油断したら…ま、死ぬわな。」
砂のクロコとは相性良いけどな。
で、船が停めてあるドッグに帰ろうと思ったのだが……あ、あいつは!!
「予定変更!辻斬り勝負発動しました!」
「「「ぎゃーー!また怪物との戦いに巻き込まれんのかーー!!」」」
島食いの一件がトラウマになっとるな。
「……あいつだよ。」
指差した先にはオレンジ色のテンガロンハットを被った上半身裸の男…おお、生エースだ。
「ただの気の良さそうな兄ちゃんに見えるけど…」
「ま、見てなって。」
「ん?なんだ、あんたら。」
「ああ、ちょっとあんたにケンカ売りにきたんだ。白ひげ海賊団二番隊隊長の…火拳のエースさんよ…」
「「「えぇ〜〜〜!?」」」
そりゃ仰天するわな。天下に名高い最強の海賊団の隊長だし。
と、俺もエースのそばかすがどーなってるかなーと思い彼の顔を見た瞬間…
ドクンッ!ドクン!
…!?な…なんだ…?胸が…
はっ!?まさか…一目惚れ…は冗談だが…なんだったんだ?今の…
「知ってて挑むのかよ…て事はけっこう強ぇんだろうな…姉んがー!」
「寝たぁーー!?しゃべってたぞっ!今っ!」
度肝を抜かれる皆。甘い!こいつは食ってる最中でも寝るぞ。
「どうなってんだ!まさか病気とか…」
「はっ!?どうしたんだ!お前ら、うるせぇなぁ…」
いきなり起きたエースが戸惑いながらぼやく。
「「「そっちがどうしたんだよ!?」」」
おお、きれいなツッコミ。
「姉ちゃんあんた…名は?」
スルーかよ!というツッコミを聞いちゃいない。
「アマクサ・シオリっつうんだ。海賊にもなってないただの小物さ…」
「いくらなんでも猫被りすぎじゃないスか?」
呆れながら呟くギン。
「……小物にゃ見えねぇな…ま、ケンカってんなら大事にゃならんか…いいぜ。ただちょっと人通り多いから外れにいくか。」
「かまわねぇぜ。」
で、町外れの荒野に到着。
「じゃ、来な。」
エースは特に構えはせず自然体だ。
「こっちから行っていいのか?なら…行くぜ!」
「!?速ぇ!」
接近してからの右ハイキックをあわててかわすエース。
「その動き…驚いたぜ。ビスタくれぇ速いんじゃねぇか?」
?………あぁ、確かミホークと互角に戦ってたシルクハットひげか…ミホーク、本気出してなかったんだろーけど…
「よし、今度はこっちから行くぜ…火銃!」
両手のそれぞれ人差し指から火の弾丸が放たれた…が。
「100加圧・ウォータージェット二連射!」
ミホークに放ったのより威力を8分の1に落としたもので相殺した。
「!…その水…姉ちゃん、能力者かい?」
「まぁね。水を操れる、とある動物系の能力者さ。」
「水を操るって…ズリぃな…ま、やり甲斐があるさ!…陽炎!」
エースの手から炎の塊が飛んでくるのを俺は…
「!ありゃ月歩か?…て事は元海軍てとこか?」
月歩でかわしたらミホークと同じ事いあれた。
「違うよ!…ウォーター…マグナム!!」
高速回転を少し抑えた低威力のを放つ。それでも鉄板を貫通するけど。通常のだと島の形変えちまうからな〜
「うぉ!?」
水の塊がエースの体を貫く。
「!?うわぁー!?ケンカで人殺したーっ鬼すぎるぅっ!!」
頭抱えるクリーク。後で殴っとくか。
「!?いや!違うっ!なっ…なんだありゃ!体が燃えてる〜!?」
傷一つないエースの体。その体中からは火が揺らめいてる。
まぁ、覇気込めんかったからなぁ…つーか自然系は気ぃ抜きすぎだって。
「おれはメラメラの実を食った火人間。どんな攻撃も効かねぇよ。」
「火人間!?」
有り得ない現象に絶句しとるな。お前らももうすぐ味わうぞ。
「…蛍火。」
俺の周囲に無数の小さい光が集まってきた。
「…火達磨!!」
ボウゥッッ!
逃げ場ゼロの攻撃により火に包まれてしまう俺。
「うわ〜!?」
火に包まれた俺を心配するあいつら…だが。
「おぉ!?無傷ぅっ!?どうやったんだ!?」
さすがに驚くエース。
「水で全身を包んだ。ま、俺だけにしか出来ねぇだろうな…(ドラクエの水の羽衣の様なもんだな。)」
水のロギア(あるか分からねーが…)ならそんな面倒もいらんだろうけど…
「カナヅチじゃねぇってのかよ…反則だな…なら…本気出すか!……!!」
エエースが気張る…と手から極大の火の玉が生まれる。あれは確か黒ひげにぶつけた大技かぁ!?すげぇな!…まるで太陽だ…ならこっちは……
「炎帝!!!」
エースの手から極大の太陽が放たれる。
「メイルシュトローム!!」
ロマサガの水中系ボスの必殺技である津波を大気中から水分をかき集めて作りだし放った…のだが…あっさり飲み込まれた。う〜ん規模が違いすぎたな…そして俺もそのまま太陽に飲み込まれる。やれやれ…
「「「うわあ〜!?」」」
焦るなって。ダメージはねぇよ…武装色の覇気で防いだからな。
「!?炎帝も耐え切るのかよ!?」
さすがに仰天する。う〜ん…やっぱ知らないっぽいなぁ…
「んな事より本気で行くぜ…」
ちょっと警告しとかんとな…
覇気を込めてエースに一撃を入れる。
「ぐおっ!!??なっ…なんだぁ!?拳を当てやがった…」
あの環境で覇気を知らねぇ訳ないんだがな…どうなってんやら…
「ロギアだからって触られん訳ないだろ。身近にいなかったのか?」
白ひげやマルコ辺り何やってんだ…
「そういや…オヤジやジンベエはおれに攻撃当てれたな…」
黒ひげにもヤミヤミの能力で捕まれてたからな…けど武装色の覇気によるものとは推理出来てなかったって事はやっぱ知らないのか…覇王色だけ知ってるってのも変な話だしなぁ…
「続けるかい?」
「いや、止めとく。これ以上やるとただ事じゃすまなくなるし、おれには任務があるからな。それと家族と会うつもりなんだ。あ、あと一寝入りしとかんと…」
「そうか…………エース。」
「ん?なんだ姉ちゃ…シオリ。」
「!……いや、なんでもねぇ。旅気ぃつけてな。」
「おぉ、サンキュー…じゃあな!」
なんで黒ひげの事言おうとしたんだ俺は?
…原作改変なんてしたいと思ってねぇのに…分からねぇ。
「とんでもねぇヤツだったな…あれが最強の海賊団…しかしそれに負けてないカシラはやっぱすげえ…」
「ああ全くだぜ。あ、ところでこれからどうするんで?」
「川を越えて北西にあるレインベースって町に行く…が町自体は俺だけで潜入してくる。とあるものをパクリに行くんでな。お前らは川で待機だ。」
「とあるもの?」
「この世界の不思議アイテムだよ。チートすぎて扱いずらいけどな。」
「んで、電伝虫での連絡が来たらここの場所に集合。留守はワポル以外なら誰でも良い。あ、アーロンは来てくれ。暑い所悪いがな。」
と言って集合場所のメモを渡す。
「いや、それは全く問題ないっスけど。」
「なんでおれ様は留守番できんのだぁ!?」
「「「…………」」」
…で、港に戻り船の改造作業の確認をする。
「…これは…なんというか…」
改造されたのを見て絶句してるな。これなら…飛びそうだ……多分。ま、墜落しない様に俺自身も体張るかな。
再び出港しそのまま川を進み、アラバスタ北西の町レインベースから東に位置する海岸に船を停めた。
さて…鰐と対決と行くか。とにかく死なない様にフォローしないとな…こいつらも、あとルフィも…