Fate/Zero バーサーカーは強欲   作:残月

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アドバイスを頂きました。
今回から
グリードの普通会話『』内部会話《》
雁夜の普通会話「」内部会話〈〉
と表記します


馬鹿と馬鹿

 

 

グリードが戦いの場に乱入しようとした時、セイバーとランサーの戦いにも変化が起きていた。

 

セイバーが鎧を解いてランサーに突っ込んで行き、そこでランサーがカウンターで喉笛に一突きにしようとする。

セイバーが体捻って避け、致命傷は逃れるもお互いに手の健を切られた。

するとセイバーの動きが鈍くなった。

 

 

〈なんだ、セイバーの動きが鈍くなった?〉

 

『大方、あの槍に相手の動きを鈍らせる毒でも塗ってあるんじゃねーか?』

 

 

頭の中に響いた雁夜の言葉に応えるグリード。

実際は毒では無く呪いなのだが、そんな事はグリードにはどうでも良かった。

 

 

『おいおい、他にも乱入者が来るみたいだぜ』

 

〈え?〉

 

 

何かに気付いたグリードが空を見上げ、雁夜が間抜けな声を上げる。

そして見上げた夜空から眩い稲妻が走った。

その稲妻はセイバーとランサーの間に落ちながら、一体のチャリオットが降り立った。

 

 

「双方、剣を収めよ!王の御前であるぞ!」

 

 

降り立ったチャリオットから大声を張り上げる大男。

セイバーとランサーは呆気に取られながらも突如現れた乱入者に警戒を露わにした。

 

すると大男は両手を大きく広げて、盛大に自己紹介を始めた。

 

「我が名は征服王イスカンダル。此度の聖杯戦争においてはライダーのクラスを得て現界した!」

 

 

全員が全員呆気にとられていた。

警戒し、武器を構えていたサーヴァントも、戦いを見ていたマスター達も全員の思考が停止していた。

 

 

〈あんなのに世界は一度征服され掛けたのか……〉

 

《ガッハッハッハッ!面白い奴じゃねーか》

 

 

急ぐ必要が無くなったので歩いていくグリード。一応バレないように内部会話で雁夜と話をしていた。

 

 

クラス名はともかくとして、正体の露見が即敗北につながりかねない聖杯戦争で自分の名前をバラすというのは自殺行為以外の何ものでもない。

この事を雁夜は敵ながらにもライダーのマスターに同情し、グリードはその剛胆さを面白いと評価していた。

 

そして当然の事ながらライダーのマスターであるウェイバー・ベルベットは「何してやがりますか!」と叫ぶがライダーのデコピンによって沈黙させられている。

 

 

《世の中を動かすのは何時だって一握りの天才と馬鹿共だ。俺は馬鹿の方が好きだがな》

 

〈度が過ぎてると思うんだが……〉

 

 

馬鹿だからこそ、人が成し得ない事を達成しようと努力するし、この世の在り方に疑問を抱く。

嘗てグリードが居た世界の錬金術師達もその部類と言える。

特にエドは馬鹿と天才を上手く混ぜ合わせた様な奴だったとグリードは昔を思い出していた。

 

等とグリードが考え事をしている間にライダーは驚くべき提案をする。なんとライダーはセイバーとランサーを配下に加えようと勧誘したのだ。

 

 

「俺が聖杯を捧げると決めたマスターはただ一人。それは断じて貴様ではないぞライダー!」

 

「そもそも貴様はそんな事を言いに現れたのか。戯れ言が過ぎるぞ!」

 

 

ライダーの勧誘にセイバーとランサーは怒りと共にそれを断る。

 

 

「報酬は応相談だが?」

 

「「くどい!!」」

 

 

キリッとした表情で再度交渉をしようとしたライダーだが、にべもなく断られた。

 

その時だった。

 

 

『クックックッ……本当に面白い奴が召喚されたもんだ』

 

 

この場に居たサーヴァントはセイバーとランサーとライダー。

そしてマスターはセイバーのマスターのアイリスフィールとライダーのマスターのウェイバーのみだ。

 

 

これ以外の者の声が聞こえた方向に全員の意識が向けられる。

そこには倉庫に背を預け立っている男が一人。

黒い服を着てパーカーをスッポリと顔を隠すように着ている男は愉快そうに口を開いた。

 

 

『俺の名はグリード。クラスはバーサーカーだ、ヨロシクな』

 

「ほほぅ、余以外にも真名を名乗る度胸の有る奴がおったか!」

 

 

パーカーで顔を隠していたがパーカーの奥に見える赤い瞳に舌を出しながら相手を馬鹿にした様な自己紹介。

自分以外にも真名を名乗る奴が居てライダーは嬉しそうにしていた。

 

そして真名とクラスをバラす本日二人目の馬鹿にライダー以外の全員が固まっていた。




次回よりバトルシーン突入

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