言峰は腕を掴まれたまま振り返り、自分の腕を掴んだ人物を睨む。
「バーサーカー!」
『ほぅ……俺がバーサーカーと知ってるって事は聖杯戦争関係者か』
叫ぶ言峰にグリードはニヤリと笑みを浮かべた。
「バーサーカー!?アナタ、なんで此処に!?」
『強い力のぶつかり合いを感じたんで見に来たんだがな……俺の勘も当たるらしいや』
アイリスフィールは自身を救った存在を見て驚きながらもグリードに疑問を投げ掛けた。
「で……お前はなんでセイバーのマスターを狙ってやがるんだ?」
「……………」
グリードの言葉に言峰は無言で掴まれていた腕を振り払う。
『だんまりってか……んじゃ、痛め付けて話を聞かせてもらおうか』
「…………ふん」
グリードは笑いながら両手に最強の楯を発動させる。対する言峰も腰を落として拳法の構えを取った。
『シャアッ!』
「ムンッ!」
先に動いたのはグリードだった。
グリードは右腕を振り下ろす形で拳を放ち、言峰はそれに合わせて下方からアッパーを放つように拳を放つ。
互いの腕が交差し、その場に衝撃が生まれる。
言峰は怯まずに左脚でグリード目掛けてハイキックを放つがグリードは左手で事なげも無く受け止めると体を反らして言峰に頭突きを噛ました。
グリードの頭突きに数歩後ろに下がった言峰。それを見逃さずグリードは追撃を仕掛けようとするが言峰は黒鍵を素早く引き抜くとグリードに向けて放つ。
放たれた黒鍵をグリードは最強の楯で受け止め、握り折る。
グリードの手の中で粉々に折られた黒鍵がパラパラと地面に落ちていった。
「な、なんて……戦いなの……」
戦いを見ていたアイリスフィールはグリードと言峰の戦いに見入っていた。
圧倒的な戦いをするグリードにサーヴァント並の強さを誇る言峰。
先日、セイバーとランサーの戦いも見入ってしまう物があったが、この戦いも充分に見惚れる物があった。
『遊んでる場合かよ?テメェは本気できな』
「…………」
ここでグリードはアイリスフィールや舞弥は驚愕する。今までの攻防も凄まじい物なのに言峰はまだ本気じゃ無いのだと言ったのだ。
「後悔……するなよ」
『ハッ、後悔なんざしねぇよ。強欲なんでな』
言峰は黒鍵を両手に構えながら呟く。その直後にグリードの発した言葉に言峰は目を見開くと黒鍵を4本グリードに向けて投擲した。
グリードは先程と同様に黒鍵を破壊しようとしたが黒鍵を投げたと同時に間合いを詰めた言峰がそれを阻んだ。
素早くグリードの懐に潜り込んだ言峰は重い一撃をグリードの腹に叩き込んだ。
しかしグリードは腹部に最強の楯を展開し、言峰の拳を防ぐと左手の最強の楯で言峰の身体を引き裂かんと手刀を垂直に振るった。
言峰はそれを体を右に逸らして避けた。しかしそれを予測していたのかグリードは右手の最強の楯を言峰の顔面に向けて鋭い爪を打ち放った。
しかし言峰はグリードの右手を寸での処で回避するとグリードの右手を掴み、背負い投げの要領で逆関節を決めながら投げ飛ばした。
『うおっ!?……っと危ねぇな』
投げ飛ばされたグリードは投げ飛ばされたと同時に地面に自身の腕を突き刺して跳ばされるのを無理矢理止めた。
地面に突き刺した腕を引き抜いて立ち上がるグリードを睨み付けた言峰は口を開く。
「強欲……貴様は赦されざる存在だ」
その言葉を聞いたグリードは目を細めて言峰をつまらない物を見る目で見た。
『黙れクソ野郎が。ケツの穴に奥歯突っ込んで右手、ガタガタ言わせてやろうか!』
「いったい何処を経由するつもりだ」
グリードの言葉に言峰はツッコミを入れるとスゥと息を吸い、体中に気を張り巡らせた。