花粉滅べ
受粉したいなら頼むから静かにやってくれと呪詛を並べております。まぁ遅れた理由は全く関係ないんですけどね。
水着回です
「「「水着の撮影会?」」」
武内さんから告げられた新しい仕事のお話、その話を聞いて私は一人体を強張らせております。
「梅雨もそろそろ開ける頃合いだろう?シンデレラプロジェクトの皆に新しい水着の試着と共一緒にグラビアの撮影の仕事を回してくれた知人がいたんだよ」
そう告げる今西さんの言葉、普段であれば、と言うかこういった仕事でなければ諸手を挙げて喜んで受け入れるのですがこればっかりは受け入れる事が出来ません。
ダラダラと冷や汗を滝のように流す私の両隣では、凛と蘭子ちゃんが心配そうにこちらを見てきています。武内さんも首に手を当てながらどうしたものかと悩むように天井を見上げております。どうしたものかと考えるのは私なんですけどね!
と、そんな事を考えていても詮無きこと。
「水着だなんて、私のせくしーな格好を見たいんだー!P君のエッチー☆」
「み、水着・・・。私最近お菓子ばっかり食べてたから・・・うぅ・・・」
「美味しいから大丈夫だよぉ・・・多分・・・」
「あっはっは皆気にし過ぎだってー。水着来て写真撮ってお終いなんだしーそんな気にしなくても大丈夫だってー!」
「未央ちゃんは良いよね、スタイル良くて・・・。私なんて最近サークル活動もしてないし運動量減ったから不安で不安で・・・」
あ、皆さん別に仕事に否定的なわけでは無いのですね。それよりもスタイルとか気にする必要無いと思うのですが・・・。毎日のように結構ハードなレッスンをこなしている訳ですし、太っているようには見えませんが・・・。
「あんまりジロジロ見ないのっ」
「ごめんなさい」
横に立つ凛と蘭子ちゃんのスタイルを眺めていたら凛に足を踏まれてしまいました。確かにジロジロと見るのは不躾でしたね。
「一先ず、この仕事は来週の話になります。ですので、不安な方はそれまでに施設を使うなり何なりで各自準備をお願いします」
そう告げて武内さんと今西さん、千川さんは仕事に戻っていきました。皆さんは各自それぞれの目的でレッスンを行いに動きました。
皆さんが行動を開始するのと同時に、私もソファに座り一人頭を抱えます。
「どうしてこうなった・・・」
水着・・・水着・・・。女性向けの水着ですよね、当然。
今までと勝手が違うのはボーイッシュな服やゆったりとした服では隠せないボディラインがばれてしまうでしょう。即ち何が言いたいかと言うとかなりやばいということです。
「パレオ、でしたっけ・・・?あの腰布があればギリギリ行ける・・・?」
皆さんが仕事に参加する中、私だけ不参加となるとファンの皆様に不信感を抱かせてしまうかもしれません。そうなると後々に響く可能性もあるので参加しない訳にはいかないのです。ですが・・・
「水着かぁ・・・!」
中々理性は強い方だと思っていますが、控えめに言ってもシンデレラプロジェクトの皆さんは美麗秀麗です。特に新田さんや諸星さんなんてこの中でも圧倒的と言っても良い程スタイル良いですしね。特に新田さんは危険です。割とあの人無自覚な色気を振りまいて来ますし、今の私は女の子。女性同士で近づく事もあるでしょうし、そうなると私が気絶するのが先か撮影が終わるのが先か・・・。
「何はともあれ、覚悟を決めないと・・・」
そう心に決めて、私もレッスンに向かうことにしました。
-----
あっという間に一週間が経過してしまいました。燦燦とした太陽から降り注ぐ日光とは打って変わり、私の心は曇り模様です。
今回の撮影場所はプールを貸し切って行われるとのことで、仕事終わりはそちらで遊んでも良いと許可を頂いております。だからでしょうか、皆さん撮影と同じかそれ以上にその後の事を楽しみにしている様子です。赤城さんや城ヶ崎さんなんて浮き輪やビーチボールもって来てますしね。
その様子を見て微笑ましく思い、少しだけ気持ちが晴れます。
迎えの車が到着して、小一時間程車に乗って現場に辿り着きました。現場の人たちに挨拶をして、各自渡された水着を手に持ち更衣室に向かいます。流石にレッスンの時に着替えるのとは違い、皆さん一糸纏わぬ姿になる可能性がある場所に向かう訳にも行かないので私は一人お手洗いに向かうことにしました。
洗面所にて軽く顔を濡らして改めて気持ちを落ち着かせます。
「大丈夫大丈夫やれば出来る出来る私なら大丈夫鉄の理性でこの仕事を乗り切れば大丈夫・・・」
軽く自己暗示をかけて覚悟完了です。
お手洗いから出て時計を確認すると10分程時間が経過していました。今までの経験上着替えは終わっている筈ですし私も更衣室に向かい着替えるとしましょう。
手荷物水着は淡い紺色の水着でパレオ付き。武内さんに提案しておいたのですが無事に私はパレオを用意してもらう事が出来ました。念には念を入れよと思い下の水着を着ても違和感が無いようにしましたが、パレオがあればほぼ大丈夫でしょう。
更衣室に向かうにつれて心臓がどんどん早く動いていくのが実感できます。
(ばれたら社会的に死んでしまう・・・!)
そんな気持ちを改めて抱きながら、更衣室に辿り着き、入ろうとした瞬間
「とりちゃーん!見て見てー!」
「本田さん、どうしま・・・」
本田さんに声を掛けられ振りまきます。そしてそこまで声に出して、私は石造の様に固まってしまいます。
「どうどうこの水着?パッションな未央ちゃんにぴったしだと思わない?」
バインバインでした。いやもう、何がとは言いませんがバインバインです。本田さんらしく元気よく飛び回って水着を見せてくれるのは良いんですがその度に揺れるのは私の心臓に悪いです。助けて・・・。
「凄い、似合ってますよ本田さん・・・。それよりも、皆さんと一緒にいなくても大丈夫なんですか・・・?」
意識を逸らしながら何とか声を出します。
「女の子同士なんだし、何で目を逸らすかなぁ?まぁいいや!」
うづきーん!と元気よく声を出しながら本田さんは去っていきましたが。
「死ぬかと思った・・・」
本田さんの水着姿破壊力高すぎです!何ですかあれ・・・。オレンジ色の水着が元気な彼女に似合ってますし、元気に動き回りますから揺れますし!いえ、これ以上は考えるのはやめておきましょう、私も早く着替えないと、これ以上皆さんを待たせるわけにも行きませんし・・・。
そう思いつつ更衣室の扉を開けます
「え」
「あ、神楽ちゃん。神楽ちゃんも今から着替えるの?」
可笑しい皆さん既に着替え終わっていると思っていたのになぜまだいるのですか、折角着替えの時間が重ならないようにしていたのにこうして顔を合わせてしまうなんて思ってもいませんでしたし、そもそも新田さん何でまだ下着姿のままなんですが待って待って待ってブラのホック外さないで待って見えちゃう見えちゃちゃちゃちゃちゃちゃ!
「失礼しましたぁ!!!」
「神楽ちゃん!?」
見えちゃった見えちゃった!どうしましょう見えちゃった!?何が!?あれ何!?私何見たんですか!?桜色の何がしですか!?
「助けて凛ちゃん!」
現実を受け入れられずに変な言葉まで喋ってしまいましたが仕方が無いと思いませんか?そりゃそうでしょう?あんなもの見ちゃったんですから!あんなものって言うのも失礼かもしれませんが私他人のなんて初めて見ましたよ!?
・・・・・・いい加減落ち着きました、あれは気のせいなんでしょうきっと。そう思いましょう、そう思います!
再び更衣室に戻り、ゆっくりと扉を開けて中を確認します。
大丈夫な様です、誰もいませんし素早く着替えてしまいましょう。
-----
無事に水着も着替え終わり、皆さんが集まっている場所に向かいます。指定された時間は過ぎていないため何も言われることがありませんでしたが新田さんが先程から「大丈夫?」「私、神楽ちゃんに何かしちゃったかな?」と声を掛けてきてくれます。ごめんなさい新田さん・・・、新田さんは悪くないんです、悪いのは何も打ち明けていない私が悪いんです、なので出来ればそれ以上大胆に胸元が開いているビキニで私の顔を見ようと屈まないでください。割と切実に
「凛ちゃんガード・・・」
「ちょっと神楽、お願いだから私の背中に隠れないで・・・」
凛も恥ずかしいのか腕で体を隠すようにしています、その姿が妙に色っぽく私の理性が崩壊寸前でかなりやばいです。と言うか何処に視線を向けてもやばいです。
諸星さんなんてビックバンですし、アナスタシアさん肌白くて綺麗ですし、蘭子ちゃん本当に中学生なのか疑いたくなっていますし、新田さんは言わずもがな。本田さんは先程見てしまいましたが中々に凶悪ですし、島村さんも意外と・・・。
「目でも潰した方が私良いんじゃないですかね」
「それやって大丈夫なのは漫画とか小説の世界だけだからね・・・」
なんて現実逃避していた所、監督さんと武内さんが一緒に来ました。お?何故かその後ろにも何人かぞろぞろと・・・。
どちら様でしょうかと考えていた所、武内さんが口を開きました
「突然ですが、今回の撮影で追加の人員という事で、346事務所から数名新たに参加する事になりました」
成程、同じ事務所の方々でしたか。どんな人たちなのかと凛の背後から顔を覗かせてみた所、知った顔が何人か。
これかなり私やばいですね、はい。
続きはいつになるかはわかりまてん^p^