目指せ自営業!社畜局員のミッド暮らし   作:この世全てのゴミ

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調子に乗って書き上げたので一日の内に二本目投稿!

ところで最近、FGOをやり始めたのですが全く☆5が出ません…課金するしかないのか


第二話 休日出勤

 エース・オブ・エース、高町なのはの書類補佐官になって早一週間。高町なのはも大分書類仕事に慣れたのか、捌くスピードが段々と上がってきた。御蔭で現在では七時上りが出来るようになっている。…因みに管理局が定めている定時退社の時間は五時半だ。つまりまだ残業。

 

 そんな一週間だが、遂に待望の休日が来たのだ。しかも二日。

 一体この休日にどれだけ俺は救われているのだろう?もしなかったら俺は生きてけないって無かったら本当に生きていけないよな。

 まあ、そんなこんなで自宅で黙々と模型を作っている。今日でアースラが完成しそうだ。

 しかし、俺はここで痛恨の失態に気付く

 

「…アレ?ペン何処に行った?」

 

 そう、スミ入れ用のペン、筆とも言うがそれが無いのだ。探せど探せど見つからない。これではスミ入れが出来ない。

 スミ入れは模型の深みを出すために絶対不可欠なものだ。これがあるのと無いのではこう、本物感と言うか実物感なんというか大切な物が出ないのだ。

 そんな大切な物を無くしてしまったのだからさあ大変。もう家じゅうを調べ回った…そして出てきたのは―――

 

「なん…だと…っ!?」

 

 持ち手がポッキリと折れてしまった筆だった。これでは繊細なスミ入れ作業が出来ない!

 

「クソ、何か代用品、代用品…」

 

 今から筆を買いに出てしまったら確実に一日出かけるコースになる。

 なんて言ったってここは都市から大分離れた場所…車もバイクも持っていない(模型ならある)俺には交通手段がなく、二時間に一本あるかないかの公共バスに乗らなければデパートなどに行くことは出来ないのだ。

 必死に何か代わりになるものはないか探すが一向に見つからない。元々、模型と仕事の道具以外は全くない家だ。そんな代わり成るような物があるわけない。

 やはり買いに行くしかない…そう諦めかけた時だった。デバイスから、悪魔の通知音が響いた。

 

ビーッ!ビーッ!

 

「嘘だろ…」

 

 デバイスを手に取るとこちらに通話を掛けてきている者の名前が表示される…そこには―――

 

 

―――上司

 

 

 この瞬間、俺の休日は完全に消滅をすることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 平日、いつも着ているスーツ(管理局指定の制服)に着替え、俺は最近職場になった場所に居た。

 理由?そんなもの一つに決まっている。

 

「……」

「あのー…ゴメンね?だからそんな死んだ目をしてないで…」

「本当にごめんなさい…」

 

高町なのは関連だ。

 いや、今日に限っては高町なのはだけではない。その親友…フェイト・T・ハラオウンも関わっていた。

 

 

 

 

 

 事の顛末はこうだ。

 まず、高町なのはも今日は休日であり偶然にもフェイト・T。ハラオウンもそうだった。結果、彼女らは高町なのはの養子を連れ、ショッピングをしていたそうだ。

 途中までは平和に、普通にショッピングを楽しんでいたそうなのだが…なんと、その道中で強盗に出くわしてしまったらしい。

 その強盗達は『世紀末崩壊事件』の時に粛清された荒くれ者どもが集まった物らしく、最近は管理局も手を焼いているお尋ね者たちだった。

 そこで彼女らはデバイスを起動し戦闘態勢へ移行、休日にも関わらずお仕事を始めたそうなのだ。そこは素直に陸の到着を待とうよ…と思うのだが行動してしまった者はしょうがない。現に陸が来るのを待ってこの強盗には何回も逃げられているらしい。

 強盗達の捕縛に移った彼女たちは次々と強盗達を捕縛していく、だが強盗の方にもそこそこな手練れが数人居たらしく…まあ、何というかやってしまったのだ。周囲の建物を。

 御蔭で捕まえはしたが始末書を今日中に提出しなければならなくなり泣く泣くやっていたところをウチの上司が発見、俺が招集されたと言う訳だ。今度上司にあったら思いっきり殴ってやろうと思う。因みに養子は友人に預けたらしい。

 

「…強盗達を捕まえたのはいいです、ですけど責めて周囲への配慮は十分にしてください」

「「スイマセンでした、本当に」」

「謝る暇があるのなら手を動かしてください」

「「はい」」

 

 二人は黙々と作業をする。それを見てこっちも作業に戻る。

 書類の内容は被害を出してしまった商店の名前が並んでいた。中には世俗に疎い俺でも知ってるような有名ブランドの名前もあった。

 内容を確認していく中で一つ、見覚えのある店名を見つける。

 その店名は俺がいつも模型を作る時の道具を買う店であった。

 

 と言う事はつまりだ……帰り道に買っていこうと思ったスミ入れ用の筆が買えない。しかもミッドで模型を作ってる奴なんて滅多に居ないのでこの手の店はとても少ない……なんだかもう、本当にやっていられない。

 

「…どうしたの?そんな書類見て俯いて…」

「いや…何でもないです…」

 

 高町なのはが俺の様子に気付いたのか、どうしたのかと聞いてくる…正直、あなた達が今憎くて仕方ありませんよ畜生…。

 するとそんな俺を慰めようとしてくれたのかフェイト・T・ハラオウンが何やらカバンから取り、俺に差し出してきた。

 

「あの…なのはから模型作りが趣味って聞いたから…これいりますか?」

「え…?」

 

 差し出されたのはミッドでは使われることが少なく珍しい筆…つまりスミ入れ用の筆だ。

 唐突な衝撃になんと言っていいか分からず唖然としてしまう。

 

「この筆、商店を壊しちゃった時にその店主に謝ったんだけど…その時に逆に助けて下さりありがとうございましたって言われてお礼として押し付けられちゃったんだ。私は使う事が無いけど…必要かなって…」

 

 次の瞬間、俺はフェイト・T・ハラオウンの両手を筆ごと握っていた。

 

「貴女が神か……っっ!!」

「ひゃっ!」

 

 急に握られてビックリしたのだろう。小さな悲鳴を上げるが俺は気にせず握り続けていた。

 ああ、まさかこんなところで手に入るとは…本当に思ってもみなかった。

 

「あ、あの…」

「…あ、ほらピースくん!フェイトちゃん困ってるよ!」

「はっ、スイマセン。取り乱してしまいました」

「う、うん別にいいよ…」

「取り乱すってレベルじゃなかったと思うんだけど…」

 

 高町なのはに言われ、正気に戻りフェイト・T・ハラオウンの手を放す。

 これは礼儀知らずにも程がある。本来貰う時点で駄目だと言うのにあまつさえ手を握ってしまうとは…これはセクハラで訴えられても仕方ないレベルだ。

 

「本当に申し訳ございませんでした…」

「そ、そんな深々と頭を下げなくていいから!ちょっと驚いただけだよ?」

 

 現在、俺の中でフェイト・T・ハラオウン株が急上昇。スミ入れ筆もくれるしこちらがセクハラまがいの事をしてしまっても怒らない…天使かこの人

 

 その後、仕事を完遂させ帰宅。帰れたのは夜の九時だった。

 今日は高町なのはだけではなくフェイト・T・ハラオウンも居たおかげで作業自体は早めに終わったのだ。が、その後、上司に見つかり書類を無理矢理渡された。殴りかかろうとする間もなく自然に「ハイ、これ追加ね」と言った感じでだ。俺は今度上司に向かってナイフを投げようが魔法を放とうが許される気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ピース・ルナセルか…」

 

 一人の青年が、ある書類を見ていた。書類の内容は凡庸な一人の青年について書かれたものだった。

 

「なのはの近くに居るには…ふさわしくないな」

 

 そう言って、書類を投げ捨てる。

 青年が居るのはミッドの高層マンション、景色も良く一部屋ごとが広いため人気なマンションだ。

 

「さて…どうやって離してやろうか」

 

 冷蔵庫から取り出した飲料水を飲み。一息ついた少年はそう呟く。その目は暗く濁っている…いや、濁っているという言葉には語弊がある。青年の目は暗く、しかしまっすぐにまるで一つの事に妄執している狂人の目だった。

 

「…」

 

 どこから取り出したのか実物のナイフをその手に持ち、それを後ろに向かって放り投げた。放り投げられたナイフは綺麗な放物線を描き、ナイフは先ほど青年が投げ捨てた書類…その顔写真が映ってる所へ綺麗に刺さった。

 それはまるで、書類の人物へ抱く感情を表しているようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兎に角、まずはどうやって休暇を取るかだな」

 

 青年は、ややげっそりとした顔でデバイスの予定表を開いて見つめた。その予定表は全てびっしりと埋まっている。空白は向こう二ヶ月ほどは見つからなかった。

 

 …どうやら彼も大変な生活を送っていそうだ。




どうせみんな社畜になる(絶望)

あ、感想大募集中です。

小ネタ

管理局にタイムカード制が導入されたら


ピース「…」カキカキ

同僚「……」カタカタ

ピピピピッピピピピッ

ピース「あ、時間だな」

同僚「そうだな。定時退社するか」

カシャン、ジー、ジジー

ピース・同僚「定時退社ッと…」


ピース・同僚「さあて、仕事するか(白目)」


ピース「ハハ、お前顔煤けてるぜ?」

同僚「お前もだろ?ハハハ」


ピース・同僚「アハハハハハハハ(絶望)」


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