こたつでみかん   作:link

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提督:こたつさえあればいくらでも時間を潰せるこたつの妖怪。布団を肩まで被せ机に顎を乗せる体制が一番好き。

響:秘書艦。既にВерныйに改造済みだがみんなからは響の名で呼ばれてる。こたつにいないこともありその時はだいたい姉妹艦達と遊んでいる。

大井:クレイジーサイコ…あっはい。…はい。スミマセンデシタ。

大井:一途な愛を貫く純情で可憐な一輪の花。立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は菊の花という言葉がこれ以上ないほどよく似合う美少女。内心提督に様付けで呼ばれるのを気に入っている。

憲兵さん:提督がなんらかの理由でおかしくなった時、どこからともなく現れ提督を元に戻すのが主な仕事。彼女ができないと嘆く二十八歳。


レズっ娘艦の純情で一途すぎる愛に頭を抱える二話

「なあ」

 

「なんだい、司令官」

 

「こたつはいいなぁ」

 

「そうだね」

 

 

 

「ところで響に一つ相談がある」

 

「ふむ」

 

「そろそろ大井様がやばいんだけどどうすればいい?」

 

「司令官は昔から大井様って呼ぶけど何故なんだい」

 

「…………本能が囁くんだ。いや、それはどうでもいい。質問に答えてくれ」

 

「話が見えないよ、司令官。一から説明してくれないか」

 

「そうだな。些か気が急いていたようだ、すまん」

 

「いいよ」

 

「まあ、知っての通り大井様は北上が好きだ。何かとつけて北上の名前を出すほどに好きだ」

 

「そうだね」

 

「だが、この鎮守府には北上はいない」

 

「うん」

 

「それで、前から大井様に北上を連れてきてと脅さ……頼まれていたんだがな」

 

「みかんは美味しいね」

 

「分かるぞ。それにこたつでみかんは最高だ。いや、話を逸らすな」

 

「なんのことかな?」

 

「とにかく、頼まれていたんだがあいにくこの鎮守府は出撃が少ない。月に一回あるかないかだ」

 

「うん」

 

「必然的にドロップはしないと見ていい」

 

「うん」

 

「残るは建造なんだが……ぶっちゃけ大井様のためだけに艦むすを建造するのは気が引ける」

 

「うん」

 

「一発で北上が来てくれるとは限らないし、今でさえみんな時間を持て余し気味なのにこれ以上増えてもなぁ?」

 

「うん」

 

「…………返事が適当すぎやしないか?」

 

「そんなことはない」

 

「いや、でもさっきからみかんの白いスジを剥くのに夢中で顔を上げないじゃないか」

 

「私はこれが、少し苦手だ」

 

「だからって、こう…ちまちまと剥くのは面倒じゃあないか?」

 

「そうかな?」

 

「俺も白いスジは好きじゃないが一々剥くのが面倒でな、いつもそのまま食べてる」

 

「司令官は堪え性がないからね」

 

「いやいや、そんなことはないだろ?」

 

「そんなことはあるさ」

 

「根拠は?」

 

「飾ってある大和の模型とかかな」

 

「みかんが美味しそうだな。一つくれないか?」

 

「話を逸らそうとしてないかい?」

 

「なんのことかな?」

 

「そうか。司令官、口を開けてくれ」

 

「ん?ああ」

 

「あーん」

 

「ふむ、美味い。ところで俺たちは何をしているんだろうな?」

 

「改めて聞かないでくれ。流石にこれは、恥ずかしいな…」

 

「わかった。んんっ、それで流石に大井様もそういう事情はわかってくれてるのか、無理強いはしてこない」

 

「ふむ」

 

「最近とても切なそうな表情で北上の名前を呼ぶんだ」

 

「そうか」

 

「どうにかしてやれないかと思ってな。何か案はないか?響」

 

「後一ヶ月待てばクリスマスの時期になる。それまで代わりのもので我慢して貰えばいいんじゃないかな?」

 

「……そうか、イベントのある季節はどういう訳かあいつらの行動が活発的になる」

 

「うん」

 

「その時に雪風を旗艦にして進撃したら……北上さーーん」

 

「司令官、落ち着かないと憲兵さんを呼ぶよ」

 

「落ち着きました。それで代わりの物はどうしようか」

 

「軽巡北上の模型を作ればいいんじゃないかな?」

 

「それはいいな。けどなぁ…一人じゃなぁ…」

 

「大丈夫だ。司令官は堪え性がある」

 

「響さんや、分かって言っているだろう?」

 

「何をかな?」

 

「…………」

 

「…………」

 

「申し訳ございませんでした。何卒、何卒ご協力をお願い致します響様」

 

「仕方ないね。それにしても司令官は叩かなくても埃が出るね」

 

「仰る通りでございます」

 

「……その口調はやめてほしい。けど、珍しいね司令官がここまでするなんて」

 

「いや、大井様にはいつも助けられてきたからなぁ。ここらで一つ恩返しするのも吝かじゃあないと、な」

 

「本音はなんだい?」

 

「誰もいない場所で延々と北上の名前を呟く大井様を見て怖くなったから。その内言語機能すら失いそうだ」

 

「それは…いやだね」

 

「言語といえば、最近響もロシア語が出ないな」

 

「そう言われるとそうだね。きっとみんなが響と呼んでくれるからかな」

 

「じゃあ試しにヴェールヌイと呼んでみよう」

 

「司令官、発音が違う。それに私はそんな手には引っかからない」

 

「そうか、ご褒美に山形のみかんをあげよう」

 

「はらしょ……ほう、これはいいな」

 

「誤魔化せてないぞ響。はら、と聞こえたが」

 

「少し静かにしてほしい。時報だ」

 

「ん、頼む」

 

「полночь(ポルノーチ)……あっ」

 

「叩かなくても埃が出るな」

 

「…うるさい」




間違えて三話予定の話を投稿したのが十時くらい。
迷惑をかけた方々、申し訳ございません。

полночь(ポルノーチ)はロシア語で深夜0時のこと

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