こたつでみかん   作:link

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提督:こたつの温度は少し強いくらいが丁度いい。こたつにかかっている布団の一部を捲り上げて涼みながら温まるのは邪道だと思っている。

響:秘書艦。既にВерныйに改造済みだがみんなからは響の名で呼ばれてる。本人にあまり自覚はないがこたつの魔力に囚われているものの一人。こたつの中で提督と体の一部が当たるとなんだか嬉しくなるこの頃。可愛い。

阿武隈:この鎮守府での扱いはマリオでいうところのキラー。なお、本人には自覚がないが駆逐艦たちからは好かれている。阿武隈の髪型は鎮守府の七不思議に含まれている。

大井:自他共に認める北上LOVE。夜中に九三式酸素魚雷にうっとりしているところを暁に目撃され、それ以来一部の駆逐艦から怖がられている。阿武隈にぶつかられかけたりと少し不幸な人。

曙:言わずと知れたクソ提督製造機。普段は気を張っているが結構スキだらけ。こたつに入っているとそれが顕著に表れる。こたつに潜り込んでいた多摩を猫と間違えて撫でたところを目撃されて以来、何かと球磨に可愛がられている。


特徴的な髪型の軽巡にぶつかられてお腹が痛む十一話

「なあ」

 

「なんだい、司令官」

 

「こたつはいいなぁ」

 

「そうだね」

 

 

 

「あー、それにしても腹が痛い」

 

「どうしたんだい、司令官。変なものでも拾って食べたのかい?」

 

「流石にそこまでだらしなくはないぞ?」

 

「冗談さ。それで?」

 

「いや、さっきそこで大井と並んで歩いていたんだが」

 

「成る程、阿武隈さんだね?」

 

「ああ、その通りだ。しかし、たったこれだけの説明でよくわかったな」

 

「この鎮守府で大井さんの隣を歩くと阿武隈さんにぶつかるのは、司令官がこたつに入っているのと同じくらい当然のことさ」

 

「嫌な認識のされ方だな」

 

「そう思うならもう少し外に出ている時間を増やした方がいい」

 

「響よ。世評に振り回され本当の自分を見失うのはなんとも愚かなことだと思わないか?」

 

「直す気がないのはわかったよ」

 

「けど、みんなにも好評だろ?食堂にあるこたつ」

 

「そうだね。あれのおかげでこの鎮守府にいる艦娘たちの仲が深まったからね」

 

「初めは誰にでもツンケンした態度だった曙も、今では誰とでも気軽に話すような間柄になったからな」

 

「相変わらず言葉はきついけどね」

 

「まあ、それがあいつの個性だろ」

 

「そうだね」

 

「ここだけの話だが、曙は一回だけクソ提督じゃなくてこたつ提督と言いかけたことがあるんだ」

 

「本当かい?」

 

「ああ、本当だ。こた…まで言いかけて何でもないかのように言い直したけどな」

 

「司令官は世評を気にしなさすぎじゃないかい?」

 

「響達の前でだけだぞ?周りの目があるときは流石にきちんとするさ」

 

「司令官は初めて会ったときもこたつに入っていたよね」

 

「懐かしいな。もう一年も前になるのか」

 

「正確にはあと五日たったら一年だよ」

 

「そうか、それはちょうどいいな」

 

「何か言ったかい?司令官」

 

「いや、阿武隈の髪型はどうやって整えているんだろうな、と」

 

「急に話が飛んだね」

 

「まあ、いつものことだろう?」

 

「そうだったね」

 

「いつも阿武隈は髪を気にしているじゃないか」

 

「みんなでお風呂に入ったときも髪を洗うのに時間をかけていたよ」

 

「この鎮守府では基本的に響が秘書艦だけど、たまに響が非番の時があるだろ?」

 

「確かそのときは他の人がやってくれているんだよね?」

 

「ああ、それでこの前はたまたま阿武隈が変わってくれたんだ」

 

「そうか、今度お礼を言っておくよ」

 

「そうしてくれ。まあ、その時によく髪を気にしていたから気になって触ってみたんだ」

 

「司令官。女性の髪を気軽に触るものじゃないよ」

 

「そうみたいだな。阿武隈にも怒られた」

 

「そう」

 

「今日のはそれの仕返しなんじゃないかと少し思ってしまうな」

 

「阿武隈さんに限ってそれはないと思うよ」

 

「まっ、そうだろうな。阿武隈はそんな性格ではないし、どっちかというと内気な性格だからな」

 

「水雷戦隊の旗艦を務めているときの阿武隈さんは経験に裏打ちされた確かな指揮をしてくれるけどね」

 

「みんながそう言っているのだから普段からもう少し自信を持ってもいいと思うんだが」

 

「けど阿武隈さんは負けず嫌いなところもあるよ?」

 

「そうか。設計図が手に入って改二になってからが楽しみだ」

 

「そうだね」

 

「待てよ…?改二になったらぶつかられたときの衝撃も強くなるんじゃないのか?」

 

「装甲も厚くなるからね」

 

「これからは大井の隣を歩けないな」

 

「本人も気をつけているみたいだけどね」

 

「ああ、時々そーっと曲がり角を覗く阿武隈を見かけるな」

 

「けど、阿武隈さんが言うにはどうしても急がないといけない時に限って大井さんとばったり会うんだって」

 

「それは阿武隈が呪われているのか、大井が呪われているのか、若しくはまだ見ぬ北上が呪われているのか」

 

「どうだろうね?」

 

「くわばらくわばら」

 

「司令官。明後日の方に祈っていないで顔をあげてほしい。時報だ」

 

「そうか。響、頼む」

 

「了解。マルキュウマルマル。艦隊に遠征の指示を」

 

「お腹が痛い。動けない」

 

「それは司令官がこたつから出たくないだけだよ」

 

「その通り」

 

「やれやれだ」




今までで一番難しかったかもしれない。
何故私は阿武隈を出したんだろうか

書いている途中にふとランキングを見てみたら日間で16位になっていてびっくりしました。

どうもありがとうございます。

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