二人のもとに着くともう既に今日の拠点を作り始めていた。正直ありがたいな…個人的には今日はもう動きたくない。あんな強い変態と戦った後で体はボロボロだしな…とりあえず声を掛けるか。
「よう、サスケ、サクラ。戻ったってばよ」
「ナルト!!帰って…ってあんた服ボロボロじゃない!!体は無事なの!?」
「お前がそんなになってるのは初めて見るな、本当に大丈夫か?」
「…正直言うとあんまり大丈夫じゃねぇかな。チャクラはさっきの飛雷神ですっからかんになっちまったし、右腕がめちゃくちゃ痛くてな。戦闘で無理しすぎたみたいだ、少し休ませて欲しいってばよ」
俺はそう言って近くの木に寄りかかって座った。しばらくはこうしていたい。
「わかった。今日の夜の見張りは俺とサクラでやろう。飯はどうする?」
「今はやめておいた方がいいかもな。匂いで場所を嗅ぎつけられてさっきみたいのが来たらたまらないからな」
「お腹減ってるけど二人がそう言うなら…我慢するわ。じゃあさっさとナルトは休んでなさい。いいわね」
「おう」
俺は返事をした後、気に寄りかかったまま目を閉じ眠りについた…
目を覚ますと辺りはまだ暗いままであった。俺が目を閉じたのが夕方ぐらいだったから…5~6時間くらい寝てたのかな。とりあえず体の方は大分回復したみたいだ。九喇嘛のおかげだな。
『儂のチャクラを纏ったせいで大きなダメージを負ったというのに…お人好しな奴だ』
『俺の方から頼んだんだからお前のせいじゃねえって。だから気にすんな』
『…フン』
全く素直じゃないねえ…九喇嘛は。まあいつものことだから気にしないけど。今は見張りを変わってやらないと。チャクラはまだ全快とはいかないけど体が回復したならあいつらだけに任せておくわけにも行かねえからな。近くにサスケが寝てるってことは今はサクラが見張りか。とりあえず、サクラの元に向かうか。俺は周囲を見渡し、あの特徴的なピンクの髪を見つけたので瞬身の術でそちらに向かった。
サクラの元に着くと俺に気づいたのか、警戒しながらこちらを向いた。
「誰!?ってナルトじゃない。吃驚させないでよ…もう…っていうかあんたもう動いて大丈夫なの?」
「悪ぃ悪ぃ。体はまあ大丈夫だってばよ。このぐらいの時間寝れば大抵は大丈夫だから」
最悪時間がなければ影分身を出して全員で寝ればチャクラは回復しないけど疲れと体調は万全になるし、チャクラの方は兵糧丸でも食べれば回復はするしね。九喇嘛と影分身と兵糧丸さえあれば無限に戦える気がするな。体が持てばの話だけどね。
「まあ、大丈夫なのは分かったけどなんでこっちに来たのよ?」
「見張りを変わってやろうと思ってな。動けるようになったから俺もやろうかなと思ってさ、サクラは寝てきてもいいってばよ」
「…サスケ君の言う通りになるなんてね。駄目よ、あんたは今夜一晩休んでなさい。いくら回復したって言っても一番ボロボロなのはあんたなんだから…少し長く休んでなさいよ。サスケ君がおそらく途中でナルトのやつが目を覚ましたら見張りを変わるって言うだろうから言われても変わるなってね。私もサスケ君の意見に異論なんてなかったし…この先も一様頼りにしてるんだからね。サスケ君程じゃないけど…」
なんか…こそばゆいな。サクラにこんなこと言われるなんてな…少しは認めてもらえてきたってことでいいのかな。でもな…この後面倒な奴らが来るはずだからな。サクラだけじゃ流石に厳しいだろうし。俺がとっとと倒して終わらせたいんだよな。
「うーん、気遣いは嬉しいけどお前達だって疲れてるだろ? だから全くやらないってのは申し訳ねえしな…少しでもいいからやるってばよ」
「駄目ったら駄目よ。いいから元の場所に戻って寝てなさいよ!!ほら、早く!!」
「お、おい…」
サクラに背中を押されて、寝ていた場所に押し戻されていく。こいつこんなに力ついてたのか…つうかチャクラコントロールかこれ。コントロールの才能ありすぎというかこれ無意識でやってるだろ。踏ん張ったら吹っ飛ばされそうだ。ってそんなこと考えてたらなんか気配が三つ近づいてくるぞ…
「サクラ、ストップ!!なんか来るぞ!!」
「え!?どこから!?」
「サスケの方に近づいてるみたいだ。急いで戻って迎え撃つ準備だってばよ!!」
「分かったわ!!」
二人揃ってサスケが寝ている付近に向かった。
とりあえず急いで戻ってきたはいいけどサスケ起こさずに戦闘を終わらせたいな…
「ねえ、ナルト。さっき言ってた気配はどうなってるの?」
「今も近づいてるけど…警戒してるのかスピードを緩めてるな。それでもかなり近いのは確かだ。とりあえずは警戒を怠らず待機だってばよ。俺が危険だと判断した範囲に気配が来たらクナイを投げて牽制する。その後は戦闘になると思うからいつでも迎え打てるようにしておいてくれってばよ」
「了解よ」
そうして作戦会議してる間にもかなり近くまできているな。俺もしっかり戦えるようにしておこう。まあ…気配のレベルからして今の状態でも余裕だろう。とりあえず範囲に入ったようだからクナイを投げるか。そう考えて俺はクナイを時間差で五本投げた。クナイ同士がぶつかり三本が茂みの方へ残り二本は近くの木に刺さった。茂みの方から微かに足音が聞こえたが出てくる気配がない。さらに牽制するか。俺は風魔手裏剣を構えて叫んだ。
「そこにいるのは分かってる!!隠れてても無駄だ!!出てこねえならこっちから行くぞ!!」
俺がそう叫ぶとわらわらと音符のマークの額当てをした三人が出てきた。音忍…原作と同じ奴らだな。
「へえ、僕達の気配に気づくなんてね。思ったよりはやりそうだね」
「けっ、俺にかかれば一瞬で終わらせられるぜ」
「なんか色気づいてる女もいるしね、そいつは私にやらせてもらおうかな」
なんか全員俺達を舐めきってるな。ウザったいったらありゃしねえ。
「さて、僕達は君達の後ろにいるサスケ君に用があるんだけど…サスケ君を起こしてくれないかな?」
「敵のお前らの言う事を聞く必要はねえな。それにお前ら程度俺一人で充分。よってサスケを起こす必要はねえってばよ」
「あんただけに任せるわけ無いでしょ!!私はあの黒髪の女とやるからナルトは男二人頼んだわよ」
「わかった、無茶はするなってばよ」
「そっちこそ」
なんだかんだ言ってサクラも大分頼もしくなってきたな…医療忍術を覚えたら周りとの差がかなり縮まるかもしんねえな。幻術なんかは紅に頼んで教えてもらえばもしかしたら手がつけられなくなるかも。それはそれでいいか。とりあえず今は目の前のこいつらをぶっ倒すか。
「こっちこそお前ら程度俺一人で充分なんだよ!!斬空波!!」
風圧のみか…なら余裕で相殺できる。それに隙だらけだ。
「風遁 大突破!!」
俺が術を放つと相殺どころか相手の術を飲み込み相手に向かっていく。力加減をミスったな…まあいいか。今のうちに影分身しておけば終わりだ。
「なんだと!?このぉ!!」
「隙だらけだってばよ」
「何!?ぐあっ!!」
俺の影分身が瞬身の術で近づき術を放ってた奴の鳩尾を殴った。するとそいつはうめき声を上げながらその場に倒れこみ気絶した。やっぱり弱いな…さて、あとは包帯の…
「しゃーんなろー!!」
「かはっ!!」
サクラの叫び声が聞こえたと思ったら音忍の女が吹っ飛び、木に激突してその場に崩れ落ちた。イヤーサクラモツヨクナッテルンダナー。そのうちうちの班は誰もサクラに逆らえなくなりそうで怖いわ…。とりあえず今はそれは置いておいて…
「あとはお前一人だな。悪いけどそのまま逃がすつもりはねえよ。無事でここを離れたければ巻物を置いていけ。そうじゃなければ俺がお前をぶっ飛ばして巻物を奪うだけだ。さあ、どうする?」
「…仕方ありませんね。このまま戦っても我々の敗北は明白。サスケ君と戦うのは次の機会を待つしかなさそうですね。巻物はここに置いていきます。では、逃げさせてもらいます」
そう言うと巻物を置き他の二人を担いで包帯男は去っていった。巻物は地の書だった。これで天地両方揃ったな。
「偶然だけど天地の巻物が揃ったし、明日の朝飯食ったら塔を目指す。そんな感じでいいか?」
「ええ、私はこんな森から一刻も早く抜け出したいもの。異論はないわ。後あんたはとっとと休む!!いいわね!!」
「わかったってばよ…」
俺はサクラに言われた通りに再び眠りについた。
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