朝になり外に出てみるともう目の前に雪の国が見えてきていた。もうすぐか。それにしても本当に雪だらけだな…一年中この気候で人が暮らしてるって凄いよな。何食ってるんだろう…トドとか鮭とかかな? 野菜とかは育たなそうだけど交易してんのかな? 気になるな…全部終わってから聞いてみるか。そんなこと考えていると…
「体調はいい感じ?」
「サクラか。万全の状態だってばよ。昨日は飲んでないしウコンドリンクも飲んだからな」
「そう、ならよかった」
「お前ら、もう上陸するから準備しろとカカシが言ってるぞ」
「教えてくれてサンキューなサスケ」
「ありがとう、サスケ君」
そうして上陸の準備のためにそれぞれの部屋に戻っていった。
上陸するとすぐに車に乗ることになった。撮影器具やらなんやらを積んで移動するそうだ。まさかこっちの世界で車に乗ることになるなんてな…想像してなかったよ。今じゃ自分で走ったほうが早いしね。外の景色を見ているとトンネルに入った。景色もクソもなくなったので中に目を戻すとサスケとサクラがこちらを見ていた。
「ん? なんだ?」
「いや、お前が景色を見てるなんて珍しいと思ってな」
「私もそう思った。いつも修行してるか料理してるかボーッとしてるかのイメージしかないから」
俺のイメージって意外と酷いな…ボーッとしてるってなんだよ!!考え事してるだけなんだけど…周りからしたらそう見えるのか。
「なんかイラついたから帰ったら二人共修行の量倍にしておくってばよ」
「「げっ!?」」
二人共青い顔になってるけど知ったこっちゃない。そんな風に思っていても口に出さなきゃいいんだ。
「今のうちから覚悟しておくんだな」
「じょ、冗談だよね? ナルト」
「俺が冗談言ってるように見える?」
にっこりと笑って言ってやった。
「わ、私帰りたくなくなってきた…」
サクラががっくり肩を落としたようになった。残念ながら任務には終わりがある。中忍試験までにしごかなきゃいけないんだから任務は早く終わらせたいんだよな。俺が頑張ればいいだろう。そんな会話をしているとトンネルがを抜け撮影地についたみたいだ。上陸の準備をしていると…
「木の葉の皆さん!!雪絵が逃げ出しました!!」
「はあ…またですか…お前ら探しに行くぞ」
「いや、俺だけでいい。すぐ戻るってばよ」
マーキングは付けてあるからな。
「わかった。任せる」
「じゃあ、行ってくる」
そして小雪のマーキングに飛雷神で飛んだ。
飛んでみると小雪が雪の上で倒れていた。よく見てみるが別に怪我してる様子はない。転んだだけだろう。
「そんなところで寝るなよ。風邪どころか低体温症になって下手すりゃ死んじまうぞ」
「…案外早く見つかったわね」
「さ、帰るぞ。みんな待ってる」
俺は小雪をおんぶして歩き出した。とりあえず聞きたいこともあるからまだ飛雷神を使わない。
「小雪さん、なんで逃げたりしたんだ?」
「…本当に助けてくれるのか確かめたかったのよ。私が諦めようとしたら手を伸ばして引き戻してくれるかどうかね」
「…そうか。で、どうだった? 確かめられたのか?」
「まあ、あんたはちゃんと来てくれたしね。一応は確かめられたと思うわ」
この感じならもう逃げ出すことはないか。これなら後は戦闘に集中できそうだ。そうしてしばらく無言の時間が続き歩いていると突然足元の氷が溶け線路が剥き出しになり見えるようになった。線路を見てみるとチャクラが流し込まれている。もう来たのか…そう思っていると大きい音が聞こえた。
「き、汽車…?」
「ん? 汽車は今でも通ってるのか?」
「いや…そんなはずは…」
話しているとなんだか大きい装甲が見えてきた。
「なんか…ものすごく大きい気がするってばよ」
「そんな悠長なこと言って…このままだと汽車にひかれて私達死ぬわよ!!」
「そんなの見りゃわかるって!!じゃあ逃げるってばよ!!」
そうして飛雷神を使いカカシ達のところに飛んだ。
カカシのところに着くと少し慌ただしい様子だった。
「ナルト。ようやく来たか…さっき三太夫さんが奴らが来るから全員避難しろと言いどっこかに行ってしまった。この線路が現れたのが関係あると思うんだがお前はなにか見なかったか?」
「さっきまでトンネルにいたんだけどすっげえでかい汽車がきてたってばよ」
「そうか。その情報がわかっただけでも少しは楽になる。みなさん!!急いで線路から離れて!!さもなければ汽車に轢かれますよ!!」
カカシがそう叫ぶと映画スタッフは目の色を変えて退避していった。具体的に何が来るかがわかった方が危険度がわかり易かったってことか。
「カカシ先生。俺達も準備をしないと…おそらく戦闘になるはずだってばよ」
「わかってる。お前は雪絵さんを…」
“ゴゴゴ…”
カカシが何か言おうとした時大きな音と共に汽車が目の前を通った。汽車は数十メートル先で止まった。すると汽車の先頭車両の上に人影が現れた。
「久しぶりだな小雪」
「風花…ドトウ…」
「十年ぶりか…さあ、もっとよく顔を見せてくれ」
何を親しげに言ってやがる…誘拐しようとした上にその目的は六角水晶じゃねえか。あいつを倒せば終わる…とりあえず小雪を少し離れたところに避難させよう。
”ズドーンッ”
なにか大きなものが衝突したような音がした。音のした方を見ようしたが途中で視線が止まった…崖の上に鎧を着た人達が刀を持ち立っていた。その中に三太夫がいる。確か原作だと…あのままじゃまずい!!小雪を離れたとこにやってる暇はねえな…
「小雪さん、ここにしゃがんでじっとしててくれ!!カカシ先生、俺達はあの汽車を壊そう!!なんか嫌な予感がするってばよ!!」
「そうだな…どう見てもただの汽車じゃないしね。加えてあの崖の上の人達はおそらく突っ込んでくるはず…それをドトウ達がただ見てるだけなんてことはないだろう。そっちにも気を向けておくぞ」
「了解!!影分身の術!!」
数で一気に終わらせる!!あっちに気がそれているうちにやれば被害が出る前に終わらせられるはず。
「あら、あなた達。何をする気かしら?」
「!?誰だってばよ!!」
声のした方を見ると赤い髪をした女がドトウの隣に立っていた。あれは誰だ…原作でも見たことがないぞ。
「ミズモ、そっちは任せるぞ」
「はい、ドトウ様」
時間がないってのに…こんなところでイレギュラー発生かよ。戦闘力は未知数…ドトウの隣に普通にいることを考えればおそらく雪忍の中ではトップクラスの実力だろう。まあ襲撃したやつらと同じくらいの実力ならなんともないんだが…なんせイレギュラーの存在だ。飛び抜けて強いかもしれない…しかもチャクラの鎧のことまで考えると遠距離忍術もあんまり当てにならないか…どうする。
“バタンッ”
なにかが開いたような音がした。まずいもう時間がない!!とりあえず汽車の反対側に飛ばないと。俺はマーキング付きクナイを汽車の反対側目掛けて投げて…
「手裏剣影分身の術!!」
数を増やした。多少撃ち落とされても一つ届けばいい。とりあえず急がないと。クナイの音に気づきドトウがこちらを見た。時間がほんの少し伸びたか?
「氷遁 ツバメ吹雪!!」
赤い髪の女が術を放った。俺のクナイを次々に撃ち落としていく。こいつは…襲撃してきた雪忍とは比べ物にならないほど強いな。面倒なこった。その間にもクナイが撃ち落とされるがなんとか数本反対側まで届いた。早く飛ぼう。
「飛雷神の術!!」
そうして俺は反対側に飛んだ…
イレギュラーな存在が出てきましたね。
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