今日は休暇の最終日である。にもかかわらずカカシに呼び出されたのだ。なんか問題でもあったのかな? 気になるところだ。
修行の方はサクラに関してはうまくいったと思う。簡易的な桜花掌を使えるようになったのだ。最大チャクラはまだ無理だけど七割位のチャクラを瞬時に拳に集めることができるようになった。影分身使ってないことを考えると俺よりも覚えが早かった。チャクラコントロールは本当に上手いんだなと素直に感心した。他の二人に関しては組手メインで殆ど行っていたので新しく覚えた術とかはない。アカデミー時代より強くなってはいたので修行かなりしてたんだなと思った。
そんなこんなでカカシに指定された場所で待っているのだが…カカシが言った集合時間になっても来ない。言った本人が来られなくてどうするんだ…ちなみに俺以外の二人はもう来ている。いつものことだけどさ…たまには早く来て欲しい。今日は休暇の最終日だしね。そんなことを考えていると…
「やあ、諸君。おはよう」
「「「おっそーい!!」」」
「いや、目の前を黒猫が横切ってな…」
「「「はい、それ嘘!!」」」
遅れてきて悪びれる様子もないカカシに対して俺達は思いっきり突っ込んだ。二回もハモるとは思ってなかったんだけど。まあそれだけ仲良くなってきたということなのかな。
「お前ら容赦ないね…」
「自分で呼び出した癖に遅れる方が悪いってばよ!!」
「そうよ!!自分でした約束も守れないなんて最低よ!!」
「言われたくなかったら二度と遅刻しないことだな」
「あ…そう…」
カカシがなんか諦めたような顔をしている。そこで諦めずに遅刻しないようにして欲しいんだけどな…言っても変わんないし俺達が我慢するしかないのか…
「ま、用件を言うぞ。明日から任務なんだがまた長期の任務になるそうだ。しっかり準備しておくように。寒い地域に行くからその対策もしておけ。以上だ」
「…なあ、カカシ先生。それを言うだけのために俺達を呼んだのか?」
「ま、そうなるな」
マジかよ…それだけのために二時間も待たされたのか…そんなことならもっと時間を有効的に使いたかったよ。
「遅刻した侘びと言っちゃなんだがお前らにこれやるよ」
「え!?先生が遅刻の侘びを持ってくるなんて…明日は嵐になるんじゃねえか!?」
「嵐で済むのかしら…」
「下手したら竜巻でも起きそうだな」
「あのね…そんな言われると先生泣いちゃうよ?」
今まで一回も侘びの品なんて持ってこないからこうなるんだよ…とりあえず渡されたものをよく見てみる。
「映画のチケット?」
「そうだ。今日のやつだから今日行っておけよ」
「これって、今大人気の女優の富士風雪絵が出てる風雲姫のチケットじゃない!!このチケット入手が困難って言われてるものよ!!」
風雲姫の映画チケット…長期任務…寒い地域…これってもしかしなくても雪の国の任務じゃねえか!!雪忍とかいう奴らが出てくるよな…あれ? こいつらって氷遁使ってきたような…それってラッキーじゃねえか。術の印を見て覚えておけば後で使えるはず。でもこうなると二回連続で実質Aランク任務じゃねえか…中忍試験前にこんなに大変な任務はたくさんやりたくはなかったな…
「じゃあ俺は準備があるんでな。ドロン」
そう言ってカカシは逃げるようにどっかに行ってしまった。はあ…とりあえず映画見に行かなきゃ始まらんし…
「とりあえず映画見に行く? それとも明日の準備してからにする?」
「私は今からがいいな。サスケ君は?」
「お前らに任せる」
「じゃあ今から行こっか。こんな機会滅多にねえだろうしな」
そう言って三人で映画館に向かった。
映画を見終わり映画館の外に出ている。こっちに来て初めて映画なんて見たけど結構よかったな。こんな世の中でも俳優や女優ってのは意外にいるんだな…登場人物が意外に多くて吃驚したよ。今度暇になったら一人で見に来ようかな。お金は暗部での任務金が大量に余ってるしね。
「さっきの映画良かったわね」
「そうだね」
「助悪郎役のミッチー様格好よかったな…」
「サクラ、そんなこと言ってるとサスケを別の女に取られるってばよ」
「嘘!?」
なんかガーンってなってるけど…俺は発破かけただけなんだよな…サスケが闇に行くぐらいだったら目の前でイチャイチャされた方がマシだ。とっととくっついちまえ。
「まあ、頑張れってばよ。それにしても本当に映画のようにお姫様の護衛任務だとAランク任務になるよな」
「…実際あればの話だけどな。そんなことあったら俺らのような下忍に任されるはずがない」
「そうだな。この間の波の国の任務が例外ってこと。あれはCランク任務だけど実質Aランク任務だったからな。普通の下忍はまず経験しないね。幸か不幸かはわかんないけどね」
「そ、そうよねー」
でも残念ながら次の任務はAランク。予想外のことが起きなきゃいいけど…起きないとも限らないしな。疲れる任務ばっかりってのも嫌なもんだね。
“ヒヒーン”
突然白馬が塀を飛び越す光景が目に入ってきた。よく見ると上にはさっき映画で見た主演女優が乗っている。さて、ほんの少し気合入れますか。
「嘘…風雲姫!?」
“バン”
「うわっ…と」
今度は急に目の前の大きな扉が開いたので後ろに飛び退いた。そうすると開いた扉からたくさんの馬が出てきて上には武装した人が乗っている。サクッと捕まえますか。
「今、風雲姫は追いかけられてたな」
「俺が馬に乗ってた奴らをなんとかするから二人は風雲姫の護衛を頼むってばよ」
「「了解!!」」
そうして二手に分かれていった。
俺は馬を追いかけながら影分身を先回りさせた。一本道に入ったしそろそろ捕まえますか。一気に速度を上げ馬の上空にいって…
「影分身の術!!」
馬と同じ数だけ影分身を出して取り押さえた。とりあえず首に手刀を喰らわせ気絶させた。とりあえず縄で縛って一箇所にまとめておいた。サスケ達の方はどうなってるかな? 馬に追いつくぐらいどうってことないはずだけど。っていうか早くカカシ来ないかな。
「ありゃりゃ…なにやってんのナルト」
噂をすればなんとやらってか。遅いよカカシ。
「ん? カカシ先生か。なにって言われてもなあ…女性を武装した男達が追いかけてたからとりあえず捕まえておいただけだったばよ。女性は風雲姫に出てた富士風雪絵さんだったし。ストーカーかなにかと思ってね」
「いやー…どうもすいません」
そう言いながらカカシが男達の縄をほどいた。
「ん? カカシ先生の知り合いか?」
「んー…まあ、そうだな。この方は明日からの任務の依頼人だ」
知ってたけどね。三太夫だっけ?
「へー…ってことは雪絵さんの関係者か誰か?」
「雪絵様のマネージャーの三太夫というものです」
「なるほどね…ねえ先生。侘びとか言いつつ任務の下見のために支給されたチケットだったんじゃねえのか?」
「ハハハ…なんのことかなあ」
確信犯だよこいつ…それで隠せるとでも思ってるのか。
「とりあえずそれは置いておいて。お前がこの人達捕まえちゃって雪絵さん見失っちゃったんだけど」
「ああ、それならサスケとサクラが追いかけてると思うから大丈夫だと思うってばよ」
しっかりやっててくれてればいいけど。
「あ、そうなの。でも雪絵さんは以外と曲者っぽいからお前も向かってくれない? サスケあたりにマーキング付けてあるだろう?」
「まあ、あいつにマーキングつけたリストバンドあげてあるからな。今日もつけてたの確認したから行けるってばよ」
「じゃあ頼んだ」
「わかったってばよ。あ、後でこのチケットの代わりの侘びの品よろしくね。二人にも話しておくからさ」
「な、何!?ちょっとま…」
俺はカカシの言葉を最後まで聞かずにサスケ達のもとに向かった…
中忍試験編に入ると思った方、その前に雪の国編に行きます。私は第一作目の劇場版大好きなのでどうしても入れたかったんです。
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