オルタンシア学園   作:宮橋 由宇

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3話「試練~身体測定と言うか身体能力測定~ 後編」

 

「さて.....と.....これでだいたい終わったかな?」

 

校舎と第一アリーナでの検査はあらかた終わり、一人小さく息をつく。因みに、アリア、マリーの二人とは既に別れており、マリユス、デフロットと三人で行動していた。

 

「みたいだな。後は第二アリーナと運動場だけど.....」

 

マリユスが支給された地図を見ながら冷や汗を垂らす。

......まあ言いたいことは判る。「反復横跳び」とか「走り幅跳び」とかはまだわかるとしても、「砲丸投げ」とか「32.195㎞走」とか「500mシャトルラン(30回以下で脱落した者はベルトラン先生の特別授業)」とかがあれば誰だって固まる。で、その後二度見する。

「SM測定」に至ってはもはや意味が分からない。

 

これらが先生の言っていた「少し特殊」な部分なのだろうか。そうだとするならば一つ訂正したい。「少し」ではなく「ものすごく」あるいは「恐ろしく」特殊だ。

身体測定と言うより身体能力測定と言った方が良いだろう。

 

「....まあとりあえず行ってみようか。」

「どっちを先に回るんだ?」

「アリーナから行こう。いちいち履き替えるのも面倒だろう。」

「わかった。おいデフロット!行くぞ。お前が変態なのは分かったから裸で逆立ちなんかしてるな気色悪い。」

「いや、してねぇよ!?」

 

デフロットの声が聞き届けられることはなかった。

 

 

アリーナの前まで皆無言で歩く。しかし、わいわいがやがやとした騒がしい声が途絶えることはない。

 

そして、アリーナの扉を開けた。

 

 

そう

 

 

 

開けてしまった。

 

俺たちは扉を開ける前に気づくべきだったんだ。

 

無言でも声が聞こえてくるという違和感に

 

あたりには誰もいないという事実に

 

そして、

 

 

聞こえてくるのは全て、アリーナの中から聞こえてくる悲鳴や嬌声だと言うことに。

 

 

 

ガララッ

 

「もっと!もっとだ!もっと腰を振れ!そう!もっとだ!」

「さぁ!もっと啼きなさぁい?クスクス..アハアハハハハハ!!」

 

 

...ボキッ...

 

「あ、今シリアスの砕ける音がした。」

「奇遇だなアルフレッド。僕にも聞こえた。」

「何言ってんだお前ら。シリアスなんてそもそも無かっただろ。」

『それもそうか』

 

 

...........うん、もう深く考えないようにしよう

 

「さて、それじゃあどれからやっていく?」

「無難に反復横跳びからで良いんじゃねぇか?」

「それもそうだな。よし、じゃあ反復横跳びからやっていこう。」

「あぁ。」

 

①『反復横跳び』

 

「次はお前らか。俺はベルトラン。体育の教師だ。アルフレッドにマリユス、それに首から下は変態仮面....じゃないデフロットか。早速だが、反復横跳びの測定を始めるぞ。

腰を落とせ!いいか!大事なのは腰だ!腰の振り方だ!とにかく腰を振れ!いいな!?

いくぞ...スタート!そうだ!もっと!もっと腰を振れ!もっと、もっとだ!限界まで振れ!端まで届いてなかろうがかまわん!とにかく腰を振るんだ!そうだ!それで良い!もっと振るんだ!違うそうじゃない!腰を振るんだ!もっと!もっと!そうだもっと振れ!とにかく振れ!そうだ!振れぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

『うるせぇぇぇぇ!!!!!』

 

 

 

「何で首から下は変態仮面なんだよぅ.....(´・ω・`)」

 

 

 

②500mシャトルラン(30回以下で脱落した者はベルトラン先生の特別授業)

 

「よし!次はシャトルランだ!注意することは同じ!とにかく腰を振れ!いいな!?もはや首から上も変態仮面も分かったな!?

ではスタート!そうだ!最初は余裕を持って腰を振れ!最後にバテたくなかったらな!そうだ!それで良い!そろそろ少し強めに腰を振れ!もっと振るんだ!遅れてきてるぞ!もっと腰を振れ!そうだ!絶対に遅れるな!そろそろきつくなってきただろう!もっと振りを加速させろ!限界を超えろ!振れ!振れ!限界を超えてまだ先へ行け!振れ!そうだ!もっと腰を振れ!いいぞ!振れ!振れ!振れぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」

 

『だからうるせぇぇぇぇ!!!!!』

 

 

 

「何でもはや首から上も変態仮面にランクアップしてるんだよぅ.....何もしてねーじゃねぇかよぅ...(´・ω・`)」

 

 

③砲丸投げ

 

「よっしゃあ!最後は砲丸投げだぁ!因みに砲丸は一つで3トンあるから気をつけろよ!特にそこのもはや存在が変態仮面!ちゃんと確認してから投げろよ!それじゃあ行くぞ!スタート!いいねぇ!そうだ!その腰の振りを覚えとけよ!違う違う!そうじゃない!もっと大きく腰を振るんだ!そうだ!それで良いんだよ!もっと大きく振ったらさらに良くなるぞ!おい!そうじゃない!腰の振り方はこうだ!ちゃんと振らないと力は出ないし飛距離も伸びないぞ!いいぞ!そのフォームだ!その力加減だ!その腰振りだ!今だ!投げろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

『いいかげんにしろぉぉぉぉぉ!!!!!!』

 

 

 

「なんかもうどうでもいいや.......変態で良いよもう.......(´・ω・`)」

 

 

 

 

 

●SM測定

 

「それじゃあはじめるわよぉ。私はデュケーヌ。生徒だけど手伝わさせて貰ってるわぁ..まずはSかMかを見るわねぇ。そんなおびえないで、簡単な質問からよ..クスクス.....それじゃあ最初にして最後の質問。縛られるのと縛るのはどっちが良い?......そう..じゃあほんとかどうか実践してみましょうかねぇ....それじゃあ、存分に楽しみましょう♪クスクスクス♪」

 

『イ”、ア”ァ”ァァァァァァァァァ!!!』

 

 

「はいはーい!俺はMです!なので踏んでくださいおねーさーん!!!!....はっ!?い、いや違う!俺は変態じゃない!へんたいじゃないんだぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

......とまあ色々あった物の、身体測定はおおむね無事に終わった。ただ第二アリーナに入ってからの記憶が無い。思い出そうとするとなぜだか体が震えて思い出せない。何があったのだろうか。

記憶は無い、だが分かる。分かるからこそ思う。

俺は、いや俺たちはもう二度と、あの地獄への扉を開けるべきではないのかもしれない....

(まあ、来年の身体測定で嫌でも行くことになる訳ですが)




やっべ超短ぇ........もっと長く書かねば。

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