第三次スーパーロボット大戦α外伝 危機なる地球から アースゲート戦記 地球連邦地上軍極東部隊 彼の地にて斯く戦えり   作:溶けない氷

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作業用MS一機のマンパワーは男性1000人分に相当する。(らしい



アルヌス連邦軍基地 ただいま工事中の巻 

連邦首都ダカール その一室で地球連邦議長グローバル議長はかつての戦友を待っていた。

「グローバル議長 お二方をお連れしました。」

「久しぶりだね、バルマー戦役以来か。ウッソ君 シーブック君 いや、今はキンケドゥか君か。」

「もう、シーブックでいいですよ艦長。いえ、今は連邦議長でしたか。

しばらくはセシリーとパン屋をやってたんですがね。

この戦争のせいでそうのんびりもしてられなくなっちゃいましたから。」

「僕たちも故郷のヨーロッパに再び戻ったんですけど、そこもザフト・星間連合の侵攻を受けて疎開してたんです。」

「そこまでは聞いている、聞けば二人ともサナリィで新型MSのテストパイロットとして協力していたとか。」

ウッソが同意する

「はい、僕が飛ばされた未来世界でのターンエーのデータを基にした

縮退炉、Iフィールド駆動の次世代型MS・・・対異星文明・STMC戦を考慮に入れたモビルスーツです。」

「それで議長、俺たちを今度呼んだ理由は?」

「うむ・・・君達も知っている通り日本がまた異星人の攻撃を受けた。

その異星人の拠点で君達もよく知っているショウ・ザマなる人物と現地の部隊が接触を持ったというのだ。」

「ショウさんがですか!バルマー戦役の・・・」

ウッソもシーブックも感慨深い、実に2年ぶりの仲間の消息である。

「それで頼みというのはだ、君達にその異星・・・日本語では『トクチ』

というのだがそこに赴いて現地の調査をお願いしたいのだ。」

「俺たちがですか・・・しかし、今俺たちはサナリィに協力の身ですし

V2とクロスボーンガンダムは地球圏防衛に必要な戦力では・・・」

「いや、今地球圏はアポカリュプシスを目前にしてかつてないほど平穏だ。

嵐の前の静けさといってもいい。

君達にはその異星が地球人類にとってエクソダス計画の候補地となるかどうかを調べ、その更には他の地球人を蹴落としてでも脱出しようとする連中に対する抑止力となってもらいたいのだ。」

「それでしたら、艦長が連邦軍を動かしては・・・」

するとグローバル議長は頭を横に振って

「いや、αナンバーズを不本意ながら地球圏追放にせざるを得なかったように

私の権力は遺憾ながら非常に弱い。

議会に蔓延するアースノイド至上主義者の中にはエクソダス計画を自分たちとその財産に優先させようという動きがあるし

BF団、ヌビアコネクションも異星権益を狙って動き出しているらしい。

アースノイド、スペースノイドの対立もいまだ深刻だ。

こんな中では個人のつてを頼るしかないのが私の今の立場だ。」

「艦長・・・わかりました。僕はいきますよ。人類の生存の可能性を1%でもあげられるなら。」

「俺も行きますよ。どうせカルネアデス計画は動き出したんだから今はできることをしましょう。コロニー防衛軍の指導に当たっているセシリー達には伝えておいてください。」

「あ、それなら僕はシャクティとカルルを連れて行きますよ。二人ともチャムに会いたいでしょうから。」

「頼むぞ、二人とも。私のできる限りの権限で現地部隊に君達のサポートをさせる。今はBF団・ヌビアコネクションを追っている大作君とJ9チームもしばらくすればそちらに合流できるやもしれん。」

・・・・・・・

一方その頃

避難民が避難するはずだった町・・・・・だったものを前にして伊丹小隊は・・・

「これは・・・ひどいな・・」

町は炎龍の襲撃に遭い完全に焼け落ちていた

住民はほとんどが死亡するか難民として他の町に避難するかで

今も残っているわずかな住民もこれから疎開しようというのだ。

結局、ほとんどの避難民はそれぞれ別々の町にばらばらに疎開することになったのだが

この焼かれた町だけが頼りだったという少数の住民は行くあてがなくなってしまった。

村長に話しても今はとても余裕がないという・・・

村に戻ろうにも既にそこは炎龍のテリトリーの中

はっきり言って24時間MSが張り付くのが不可能な以上戻るのは自殺行為以外の何物でもない。

ところが伊丹中尉、ここでも持ち前の人の良さを発揮して

少数の住人ならば、とアルヌスの連邦軍基地に一時的に住人を疎開させることにしてしまった。

ショウもこれには呆れてしまったが、反面そのお人好しさを気に入っていた。

「それにしても、人がいいんですね中尉は。まぁ、俺たちも人のことは言えませんが」

そう現αナンバーズ、元ロンドベル隊は地球圏追放を言い渡されてなお宇宙の為に戦うというとんでも超絶お人好し集団なのだから。

なにしろつい先日まで銀河中で戦っていたバッフクランをSTMCから救援するというくらいのお人好しさなのだから。

かくしてギャロップに少数の村人や子供、老人、病人を乗せ基地へと帰還する。

・・・・

現地の住人とロンドベル隊のショウとチャムを連れ帰ったことで、

第3偵察隊にはしばしの休暇が与えられたが

その間にも村人の為に連邦軍の工兵隊がザクタンクや工兵用旧ザク、プチモビ、果ては民間のワークスジンなどを使って基地から少し離れた森に仮説住居を建設していく。

連邦軍基地にはこの前のザフトとの戦争で旧式ながらもアフリカの砂漠でレセップスと砲撃戦を行っていたヘビィ・フォークとビッグトレーとなぜかダブデが基地司令部として鎮座している。

機関部に被弾した上に10年前の一年戦争でも連戦したこの陸上戦艦達はもはやスクラップ予定だったが基地の防衛拠点件司令部としてアルヌスの丘にダカールのマクロスよろしくでかでかと鎮座している。

その気になれば動くこともできるらしいが機動兵器最盛のこのご時世では飛行できない陸上戦艦は金と人手の割に戦闘力の低い陸上戦艦は不要とされてしまっている。

パーツの生産も終わっているし宇宙でも使えないしね。

とはいえ陸上戦艦には輸送を考えて簡単に分解して組み立られるという特性がある、そのため時間はかかったがアースゲートも通って来られたのだ。

わざわざサイド3からダブデを分解して輸送して地上に降下させてまた組み立てて地上で使ってというジオンのエンジニアの苦労には頭が下がる。

わざわざレセップスを新造したザフトの立場やいかに

・・・・

避難民の大半は老人や怪我人や子供で仕事も何もないし合っても出来ないという状態だった。なのでここ数日間は連邦軍の様子を見学したりなどして過ごしている。

働けそうな人間は他の街に行ってしまったし、自然働けない人間が基地に来ることになってしまった。

ショウは子供でもプチモビくらいならすぐ使えるだろうし、教育して作業者として作業につかせてはと伊丹に行っているが・・・

ちなみにショウやカミーユといった機動兵器パイロットもプチモビのジュニア選手権出場者が多いのは常識だ。

一方

彼女、若干15歳ながらリンドン派の正魔導師である天才少女。

レレイ・ラ・レレーナもやることのない一人である。

 

彼女はアルヌスの連邦基地に来てからは驚きの連続だった。走る砦に車輪のない馬車、ベージュ色の女性のごつい鋼鉄の巨人、炎龍の腕を切り飛ばした蒼の精霊騎士、巨大な鋼鉄の動く城、木こりが数人がかりで数時間かけて切り倒す森を一瞬で伐採し尽くす巨人、大人1000人分の働きはする巨人の上半身が乗った車、小さめでも大人10人がかりでやっと運べそうな資材を片手で運ぶ丸っこい人形……知識のない子供や老人達は素直に受け入れてはいるがなまじ多くの知識を持っているレレイや師匠のカトーはその非現実的な出来事に思考は混乱するばかりだった。

 

 

「・・・・こんな凄い光景を見過ごしたなんて知ったらお父さんきっとガッカリするわね。あとで教えたげなきゃ・・・」

 

レレイの隣では体調が快復したエルフの少女がレレイと同じ様に驚いている。しかしレレイは挫けそうな心を奮い立たせた。

賢者として生きると決めたからには理解できない事を放置する訳にはいかないのだ。世の不思議を知性を持って征服し、知識として納めるにが賢者としての誇りであり野心なのだ。

もっとも地球の常識を知ったら混乱では済まないかもしれないが・・・


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