第三次スーパーロボット大戦α外伝 危機なる地球から アースゲート戦記 地球連邦地上軍極東部隊 彼の地にて斯く戦えり   作:溶けない氷

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空が飛べないザク改はミノフスキークラフト積まないと



激突!ダンバインVS炎龍

連邦軍と第3偵察隊とダンバインに乗ったショウ・ザマ、チャム・ファウ・ロウリィ

が合流

「よっと、それにしてもこの陸の船っていいわねぇ。」

「ギャロップっていうんだ、俺の世界の空のずっと上の方の国、ジオンって国でつくられたんだ。」

と、ロウリィにギャロップを説明するショウ

ぴゅーんと飛んできてシュタッ!と着地して

「それよりもさ、この船パフェ積んでない?地球の船なら久しぶりに食べたいなぁプルのお気に入りのパフェ!。」

と黒川におやつをねだるチャム。

30cm程の体のどこにプル&プルツー仕様のパフェが入ったんだろうか?

流石はミ・フェラリオ。女子供の心をつかむ術は心得ているのか愛くるしい動作で妖精を珍しがる子供達や女性隊員のマスコットに収まっている。

そうこうしているうちに格納庫になんとかダンバインを搭載してギャロップのブリッジにショウが上がってくる。

村人達は甲冑に剣というどこからどうみても騎士のショウの格好からどこぞの

国の高位の騎士だろうと噂している。確かに聖戦士なのであってはいる。

この格好の方がこの世界では余程、軍人らしいのだ。

レレイとその師匠の魔法使い二人は格納庫でザクと並んだダンバインに興味津々だ。

ダンバインはザクほど大きくはないが、その風貌といいい剣を腰に差した姿といいザクが野武士ならこちらの方は騎士といったところか。

子供達の人気もこちらの世界では小さめのダンバインの方がなれ親しみやすいのか集中している。

 

・・・

「お初にお目にかかります。バイストンウェル連邦の聖戦士のショウ・ザマです。」

とショウがバイストンウェル流の敬礼でブリッジの伊丹中尉に敬礼する。

「地球連邦軍特地派遣部隊の伊丹中尉です。」

と敬礼を返す伊丹中尉。そして

「失礼ですが?バイストンウェル連邦とは?バイストンウェルにはそれぞれ地域ごとに独立した国があるとなっていますが・・・」

「確かに2年前のドレイクの地上侵攻まではそうでした、しかしその後のオーラマシンの地上侵攻とシラカワ博士による地上放逐によってオーラ力が乱れた結果、バイストンウェルは一時期大混乱に陥ったのです。

その事態を収拾しバイストンウェルでの平和を構築するため

地球連邦をモデルにシーラ女王とエレ女王が主導となって

各国のハト派の元バイストンウェルの秩序を保つための

バイストンウェル連邦が成立したのです。」

伊丹は苦笑する。

「何か?」

「いえ、地底世界の方々は平和のために地球連邦をモデルにした

新しい体制を構築しようとしているのに肝心の地球の方は戦乱続きだなと思って。」

「どこの世界でも完璧な方法なんて存在しないでしょう・・・」

「それもそうですね、では質問ですが 

なぜバイストンウェルにいたはずの貴方がここに?」

「ええ、不思議なことですがここへ来る前はダンバインで開拓者の村を襲う

強獣を追い払う任務についていたんですが、

その時に突然オーラロードが開いてしまったんです。」

「地上世界への道、オーラロード・・・しかしだったら地球に出るはずでは?」

「そのはずですが・・・今回のオーラロードは前の時とはまた少し違い

なにかこう・・斜めに引っ張られるような感覚がしたんです。

それで気づいたらこの世界・・・地球側の呼称では特地に召喚されてしまったというわけなんです。」

・・・・・それからの事をショウは話す。

 

アルヌスの丘へ攻め入った軍隊は一晩にして消えた。周辺諸国の貴族や軍隊さえも駆り出され、残された民衆に残されたのは抑えるものが消え堂々と行為に及ぶ盗賊の跳梁のみだった。ある村から逃げるこの一家もその標的だった。

この一家は炎龍が近隣の森に出現した一報を聞くと大慌てで荷物を纏めた。他の村の者達は一緒に逃げようと言っていたがいつ来るか解らない炎龍の恐怖に焦り、静止を聞かずに村を出た。

 

そんな彼らは盗賊達にとって群れからはぐれた羊同然。一家が家をでて二日しかならない夕方。

一家は盗賊の襲撃を受けた。王国の傭兵くずれの盗賊団。

必死になって馬に鞭を打つも荷物を積んだ馬車を引く馬と盗賊の馬では速度に決定的な差があり、あっというまに追いつかれた。このままでは一家皆殺しの目にあう。その時に風が吹いた。

突風が吹いた。そう思って気がつくと矢を放とうとしていた盗賊の何かがおかしい。ああ、そうだ。風景がずれているのだ・・・次の瞬間盗賊は魚の開きのように頭頂部から尻までまっぽたつになって馬の背から落ちていった。

一家の上に気がつくと精霊か天使かと見紛う美しい羽の巨大な騎士がいた。

「ここは俺が食い止めるから早く行け!」

男は心底驚いたが、その精霊の騎士の言うとおりにした。

そして安全な街に着いて暫くした後で男は話した。

自分を助けたその精霊の騎士の話を。

・・・・

理不尽だ。そう盗賊は思った。アルヌスの丘でまず雷が降ってきた、空飛ぶ巨大な鋸に襲われた、巨大な車輪に乗った巨人たちと対峙した。

それらを全て生き延びた、積み重なった死体に紛れて。

騎士たちの死体から金品をもぎ取って金にしたが所詮あぶく銭。

傭兵稼業と盗賊稼業は表裏一体、当然盗賊を始めた。

そして相対してしまった、聖戦士に。

巨人達はまだわかる。

理不尽なまでに強い。

圧倒的に強い。

あいつらは俺たちなんかどうでもよかったんだ

ただうっとおしい蟻の群れが向かってきたから踏んで潰す

腕に蚊がとまったから叩き潰す。

だから生き残れた。

逃げる虫けらなんぞ巨人達は気にもとめやしない。

向かっていった誇り高い騎士達はみんな虫けらみたいに殺された。

傭兵は虫けらみたいに逃げちった、だから虫けらみたいに生き延びた。

だが目の前の小さな巨人は?

こいつは違う、圧倒的に強く・・俺たちを殺そうとしている・・・

目の前の蒼の精霊騎士が剣を振るう、盗賊の一人がぼろ切れみたいに引き裂かれる。

手から鎖のついた鉤爪を放つ、馬ごと串刺しにされて絶命する。

目の前の蒼の騎士から冷たい殺意が飛ばされて盗賊の頭は確信する。

ここで死ぬんだなと、だがまだいいほうだ。

あのお高い騎士連中みたいに踏みつぶされて殺されるはまだましだ。

そう思って目の前に振りかざされた巨大な剣を見つめて、振り下ろされた。

荒野を照らす月の元、ダンバインは佇む。

盗賊の埋葬をすますとチャムはショウに話す

「ねぇ、皆殺しにする必要はあったの?」

「やむを得なかった。こいつらは悪しきオーラに完全に染まっていた。

放っておけば同じように他の罪なき人々を襲っていたろう。」

そう、戦乱のバイストンウェルのように。

どこの世界でも荒んだ人は容易に獣になる。

聖戦士として殺さずに済ませればいいが、その情けが更なる戦乱を呼ぶこともあるとバイストンウェルで、そして地球でもショウは学んでいた。

だが感情のまま自分が悪しきオーラ力に流されてはいけない。

今のショウは何をなすべきかを判断して力を振るう、強い心をロンドベルの仲間達から学んでいた。

「それで、そこのお方。出て来なさってはいかがですか?」

ショウは強いオーラに向かって話しかける。

すると木の影からフリルのついたここには似つかわしくない服装に更に似つかわしくないハルバードを持った少女が出てくる。

「あらぁ、こんばんは。まさか気づかれてるとは思わなかったわぁ」

「そんなに強いオーラを出していてはね。チャムも俺もとっくに気付いてましたよ。では改めましてこんばんは、俺はバイストンウェルの聖戦士 ショウ・ザマ。こちらは相棒のチャムとダンバイン。」

「あら、ご丁寧な挨拶ありがとぉ。私はロゥリィ・マーキュリー。暗黒の神エムロイの使徒。」

「ねぇショウ、この人ただの人間じゃないよ。こんなに濃いオーラ力を持った人なんて地上人でも滅多にいないよ。」

「確かに、ファッションセンスといい武器といい十傑集みたいなお嬢さんだな。」

そう言ってショウは2年前のバルマー戦役で剣を交えた

衝撃のアルベルトを思い出す。

あの時学んだのだ、人間に戦艦もぶった切れるハイパーオーラ斬りを振るっても全く卑怯ではないということを。

むしろやらないとやられる・・・・いや、人間とあの怪物集団を比べるのもどうかと思うぞ。

「それで、どのようなご用件でしょうか?」

「あらぁ、まずはお礼を言わせて頂戴。生命の御喜捨本当にありがとぉ。主神に代わってお礼を申し上げますわぁ。」

喜捨?というのは今埋葬した連中のことだろうか?確か暗黒神といったな・・・

魔装機神サイバスターのパイロット、マサキからラ・ギアスにおける邪神ヴォルクルスの事は聞いている。

その手の連中ならば生贄を求めるのは当然だが・・・・ショウは知らずダンバインの操縦桿を固く握る・・・

お互いに緊張が走る中・・・「フッ」

とロウリィが微笑む

「やめとくわぁ、貴方自慢のそのお人形さん相手じゃ勝てそうにないし

かといって貴方本人と戦っても面白くなさそうだしぃ。」

「俺もそう思いますよ、生身の俺じゃ貴方には勝てそうにない

それに俺は案外臆病だから戦うとなったら飛んで逃げちゃいますよ。」

「それじゃぁ臆病な騎士様、このか弱いロウリィを近くのコダ村まで送ってくださるぅ?」

「騎士の名にかけて、お送りしましょう。それと・・・」

「あらぁ、まだなにか?」

「コダ村ってどっちですかね?」

ロウリィは盛大にずっこけた。

方向を指し示すとダンバインはロウリィを腕に抱えてお姫様抱っこで飛んだ

速度は抑えめ時速200km程だがその途中の道でギャロップを見つけたのだ。モニターをズームさせると特徴的な丸っこいボディが見える

「あれは・・・・ギャロップ陸戦艇?それにあのマークは連邦軍の物だ。

この世界にもロンドベルみたいに召喚された地球人がいるのか?」

「異世界の連中の事?最近アルヌスの門を通って異世界の軍隊が攻め込んできてぼろ負けしたみたいよぉ。まぁ門を開いたのは帝国の連中だから自業自得ってものねぇ。私は命のご喜捨がどっさりで嬉しいけどぉ。」

「チャム、彼らとコンタクトをとるぞ。状況がはっきりするかもしれない」

「ええ!でもティターンズみたいな連中だったらどうするのよ!」

「彼らからは負のオーラは感じない、それに見たところ避難民を満載してるみたいだ。ティターンズの連中ならそんな真似はしないよ。

連邦軍所属時代の名を出してみれば悪い反応は返ってこないかもしれない。」

そう言って盗賊どもの所持品から奪い取った中の白地の布と棒で白旗を作って今に至る・・・・

「とまぁこういうわけです。しかし驚きましたよ。そのアースゲートなんてものが開きっぱなしなんて。」

「ショウさんもやはり何者かの意思が働いていると?」

「ええ、通常オーラロードにしても次元通路にしても誰かの意思で作動するものですから。ところでこれからこの船はどこに向かう予定なのですか?」

「とりあえず、村長さんの望む場所まで避難民を護送し、後は基地に帰還しようと思っています。」

「そうですか・・・・よろしければ、俺もご一緒させてもらって構いませんか?

一度、地球圏の状況を知っておきたいし、それに・・・いえ、なんでもありません。」

「わかりました、それにしても元ロンドベルが一緒だと心強い限りですよ。」

・・・・・

「ちっちゃいけど地球の船なんて久しぶりだなぁ。ラーカイラムやマクロスのみんな元気にしてるかなぁ」

格納庫で感慨に耽るチャム。

自分がこの中で一番ファンタジーだという自覚はないらしい。

栗林や黒川といった偵察隊の隊員には

「あたしはね、チャム。バイストンウェルのミ・フェラリオでこう見えてもあたしも元ロンドベル隊の隊員なんだから!」

そういってチャムはバイストンウェルのこと、地上に召喚されたことラーカイラムやマクロスに乗艦した時のこと、宇宙でゼントラーディのような巨人をはじめ宇宙人やジオンのような様々な敵と戦ったこと。

その中でもラーカイラムのブリッジで戦闘指揮をサポートしたことなどを話した。「マクロスが変形した時なんか、重力制御がきかないところがあってもうてんやわんやで・・・」

「そんでボドルザー艦隊にブライトさんが核ミサイルありったけを発射した時にはね・・・」

なにか物騒な単語が飛び交っているが・・・

確かに2年前のバルマー戦役ではミ・フェラリオ達はその超人的な第六感をいかして

戦艦のブリッジクルーとしても活躍しロンドベル隊の勝利に貢献したということはドキュメンタリー映像や文献でも多く残されている。

ロンドベル隊、αナンバーズの活躍映像は多くが録画され民間にも公開されている。

視聴率も高く取れること間違い無しなのでジャーナリストにとっては命の危険を冒してでも取材したい対象銀河1なのだ。

それでもファンタジーな存在だということは間違いないが。

魔法使いの師弟もこの妖精には興味津々らしく、いくつか質問している

ロウリィは格納庫のザク改のいかにも戦向きな無骨さを気に入ったようらしく

パイロットの栗林にあれこれ質問している。

和やかな時が流れていた・・・

・・・・

そんな時だったレーダーに接近する物体が映ったのは

「中尉!2時の方向から接近する物体あり!速度200、距離20000。大型です!」

監視塔から一人が双眼鏡で確認すると・・

「あ、あの火を噴くドラゴンです!まっすぐこっちに向かってきます!」

伊丹は操舵手の栗田に

「回避運動用意!機銃手!弾幕を貼って近づけるな!ザクを後部ブリッジの上にあげて迎撃させろ!」

「中尉!俺もダンバインで出ます!ああいう奴なら慣れてます。」

「お願いします。」

炎竜は完全に相手を舐めきっていた。

前に腹ごなしに近くのエルフの村はおろか人間の町を平らげたこともあり

ギャロップを少々でかい図体をしているがその速度はせいぜい馬の駆け足程度。

中に人間がいるらしいが自分にとっては一箇所にまとまったせいでランチボックス同然とでも思っていたのだ。。

そんな油断だろうか?その弁当箱から青い甲虫のような人形が出てきた時

その小ささにこいつも一口で噛み砕いてやろうとしたのは。

炎竜が火を噴く、だがその射程も速度も宇宙戦闘とすらこなしたショウにとっては止まっているも同然のノロさだ。

「キャァァ!ショウ!あたっちゃう!」

「あたりはしないから、耳元で怒鳴るな!」

貸した無線機から流れるショウとチャムのやりとりにはらはらさせられる偵察隊。

機体をバレルロールさせて亜音速で一気に近づく。

相手の意外な早さに炎竜は驚いて前足の鉤爪で攻撃しようとするが

させることなくフックショットでからめ取り相手の空中でのバランスを崩す。

「さっすが!ショウ!いまだ!ロケットパンチよ!パンチ!」

「そんな技ないだろ!マジンガーじゃないんだから!」

バランスを崩された炎竜は一瞬落下するが、そこは長い飛行経験からすぐさま立て直す。が、その時間はあまりにもショウにとっては長すぎた。

ダンバインの足の鉤爪から繰り出されるキックで背中を打ち付けられ悶える炎竜。

「すーぱーいなずまキーック!どうだ!まいったか!」

ロンド・ベル隊とながくいすぎたせいかチャムの必殺技レパートリーは充実している。

だがショウも驚いていた。

「こいつ!装甲がこんなに硬いのか!」

炎竜の装甲は伊達ではない、その鱗は硬さと柔軟性を併せ持ちバイストンウェルの強獣の中でも最も堅固な種類並みだ。

思いもがけない反撃によろめくが同時に怒り心頭に達した炎竜はがむしゃらに向かってくる。

空の王がこんな屈辱に遭わされるなど生まれてこのかた無かったのだ。

絶対に引き裂いて、噛み砕いてやる。

「だが、こっちとしてもやらせるわけにはいかないんでな。」

ショウはダンバインの剣にオーラ力を込める

「いっけぇぇ!必殺!ハイパーオーラ斬りだぁぁぁ!」

向かってきた炎竜の最大出力の炎のブレスを残像がブレるほどのスピードで回避し全力の剣の一撃を叩き込む。

だが炎竜もさるもの、尋常でない攻撃だということを悟ると体をひねって剣の軌跡から逃れようとする。

結果、そのままであったならば間違いなく炎竜の頭蓋を真っ二つにしたであろうハイパーオーラ斬りの一撃は炎竜の腕を付け根から切り落とすだけで終わる。

「くそ!思ったよりも早い!だが!」「ショウ!とどめだぁ!」

その時、ダンバインのオーラコンバーターの出力が突然低下し始める。

「何!パワーが!くっ、オーラ力が薄いっていうのか!」

「ショウ!オーラエネルギー切れだよ!ボスボロット呼ばなきゃ!ボスボロット!」

「ここにいるわけないだろ!」

炎竜も腕を失って怒り心頭だが、これ以上戦うのは危険だと判断したのか血を流しながら遠ざかっていく・・・

こうして炎龍は撃退された。

ダンバインもエネルギー切れでこれ以上の行動は不可能と判断しギャロップへと帰還する。

この話は他の街へ逃げたコダ村の住人によって語られ、青い騎士人形と聖戦士、そのお供の妖精の話はベージュ色の走る砦と巨人戦士と共に広く帝国中に伝わることになる。




炎龍「楽勝やで」
結果
チャム「いっけぇぇ!必殺!ハイパーオーラ斬りだぁぁぁ!」
腕スパーン!
伊丹「ザク、いらなかったね」

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