機動戦士ガンダムSEED ザフトの名参謀? その名はキラ・ヤマト   作:幻龍

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戦記物が書きたいと思い投稿しました。

あくまで気分転換に書いた物なので続くかどうかは未定です。更新も不定期になりそうです。


プロローグ

 遺伝子操作により生まれたコーディネーターはその能力の結果、自然のまま生まれたナチュラルとの確執から排斥運動が起こった為、コーディネーターは差別の少ない宇宙の生産コロニープラントへ移住した。

 

 しかし、そこでのプラント理事国との不平等な貿易に憤ったコーディネーターは政治結社ザフトを組織して対抗した。

そこでC.E.70年地球側とプラント(ザフト)と会談が開催されることになったが、爆破テロが起きそれをプラント(ザフト)側の仕業であると断定しプラント理事国を中心とした地球連合は宣戦布告を行い戦争が始まった。

 

 

 C.E.71。開戦当初から11ヶ月が経っても戦争は終結しなかった。

 開戦直後は圧倒的な物量と兵力差を誇る地球連合の勝利は確実であると思われたが、連合の核を封じる為にばら撒かれたNジャマーと新兵器MSを投入した結果ザフトは圧倒的な戦力を誇る地球連合相手に善戦。

今では地球各地に進軍しており各地で小競り合いが行われている。

 

 これを打開する為に地球連合はザフトのMSに対抗する為のMS開発を行い、ザフトは独立を勝ち取るべく優勢な状況を維持して講和を結ぶための大戦果を得るべく奮闘していた。

 

 

 

「平和だね。ここにいると戦争が起こっているなんて思えない」

「ヤマト参謀、不謹慎ですよ。我々は独立せねば待っているのはよくて奴隷同然の扱いです」

「わかっているって。その為にも参謀本部を設置を進言したり、士官学校の教育改善を行ってるんだから。それにしてもいくら実績があるからといって、若造である僕を参謀にするなんて上は何を考えているんだか」

 

 いくらザフトが能力主義でも16歳の子供を後方のとは言え仮にも軍の重責である参謀に任命するなど正気の沙汰ではないが彼の能力がそれを可能とした。

 キラ・ヤマト自分の平穏な人生の為にもプラントに勝利してもらわなければならないので、キラに生まれ変わったという自覚を持った5歳頃から彼は死ぬ気で全分野の学習をして将来に備えた。

そして、10歳の時にプラントへ移住して間もなく兵器会社を設立し、原作知識を活かしつつ、民生品からMSを開発してザフトの設計局が開発する予定だった物を根こそぎ頂くことに成功し開発特許を習得した。更に戦争が始まり収益は一気に増加して大財閥に成長させることに成功していた。

 無論金儲けばかりしていると顰蹙を買う恐れがあるので、戦争前に士官学校へ入学して特進で卒業。そして原作知識を活かした自分の独立する為の計画書を提出し、評議会の目に止まり出世しやすくした。

 最後にこれまでの原作知識を活かした戦略と戦術で功績を積んでいき、拡大する戦線に対応する為参謀本部の設置の必要性を訴え了承された。そしてこの経緯から後方参謀の席を与えられた、最初は作戦参謀への就任要請もあったが国防委員長のパトリック・ザラが若すぎると判断し自らの権限を持って却下した。

 

「ヤマト参謀の意見書と今までの功績の結果かと。最もプラントの人材不足が一番の原因ですが」

「……上層部は僕の計画書と報告書を読んでくれたんだろう? 正直これ以上戦線の拡大は無理だから早期講和に持ち込むしかザフトが勝つ方法はない」

 

 地球連合とザフトの戦力差は絶望的なほど前者が勝っている。

 今はNジャマーとMSを組み合わせた戦術で優勢を保っているが、地球連合がMSを投入してきたらその優位性は崩れる。何よりプラントには長期戦を行える程の国力はないのだ。幸い大戦勃発前に提出した戦争計画書を読んで理解してくれる高官が動いてくれた結果史実より多めに予備兵力を確保することに成功していたが、それでも連合の物量作戦が機能し始めたら最終的には押し潰されてしまう。

 その為プラント独立を勝ち取る戦略として局地的勝利を得る度に講和の申し入れを行うしかない。前世の祖国である日露戦争の時の大日本帝国のように。

 

「連合から奪取したG兵器。ヤマト参謀の財団の傘下会社で技術解析を行っていると聞きますが?」

「ああ。それを元にした新型MSも開発しているよ。僕も試験運転を行った」

 

 火器実験運用試作型ゲイツ。

 マイウス・ミリタリー・インダストリー社と自分がMS設計局を全て吸収して作った財閥マティウス・ミーミル社が開発した武装を装備したZGMF-Xシリーズの超ハイエンドMS、ZGMF-X09A ジャスティスやX10A-フリーダムに搭載する兵装を試す為の機体。しかし、動力がバッテリー式なので全力戦闘できる時間が3~5分しかないとは思わなかったけど。

 最も新型のフリーダムとジャスティス等はPS装甲を展開しつつ強力なビーム兵器を使用する。それを解決する為Nジャマーキャンセラーを使った核動力で動かす予定になっている。

 

「新型兵器の奪取作戦を行う為に参謀が作戦に参加するなんて人手が無さ過ぎる。戦線の拡大をしすぎだよ」

「それは仕方がないのでは? 何せ作戦を実行する予定だった英雄クルーゼ隊長が銃殺刑で処刑されてしまった以上立案した参謀にお鉢が回ってくるのは当たり前では?」

「それはそうだけど、もうちょっとオブラートに包んでほしいな。セシリア」

「すみません。軍務でお疲れであるということを忘れていました」

 

 顔を少し引き攣らせているキラを見てアイスブルーの瞳に黒髪を腰まで伸ばしたモデル体型の美少女で同僚であるセシリア・マルカルは慌てて謝罪を口にする。

 ちなみに英雄ラウ・ル・クルーゼが銃殺刑になる証拠を提出したのはキラなのでセシリアの言う通りある意味自業自得ともいえた。

 

「アスラン隊は足付きの追跡任務だっけ?」

「いえ。プラント最高評議会議長の娘ラクス・クライン嬢が行方不明になったため婚約者であるアスラン・ザラは捜索部隊に一時編入され目下捜索活動中です」

 

 自分がアークエンジェルにいない以上連合がラクスの救命ポットを拾うことはないので、人質に取られる可能性はほぼない。

 しかし、万が一回収されたときの奪還プランを考える必要がある。彼女はプラントで絶大な人気がある歌姫であり、プラント内でも彼女のファンはかなりいる。何せあの堅物と周囲から思われているイザーク・ジュールですら彼女のファンなのだ。

 

 ザフトに彼女を見捨てるという選択肢は存在しない。

 キラとしては彼女に関わると原作ルートに突入しかねないので、このままアスランの婚約者としてプラントでアイドル活動を続けて、余計な行動はしてほしくないと思っていた。

 

「もしもの時の為の作戦を練っておくべきかな。ところで上層部は足付きの追跡続行を許可したの?」

「はい。最もたかが一隻を落とす追跡任務の為に今の所増援は出さないとのことです」

「やっぱりそうなるか」

 

 寧ろいくら最新鋭の万能戦艦といえどたかが一隻の為に増援を出すと言ってきたらキラとしても「そんな余裕はありません」と返答するつもりだったので上が断ってくれたことに安堵していた。

 現在ザフトはパトリック・ザラ国防委員長が考案した戦争の早期終結を目指した大作戦の準備に関係部署はどこも作業に追われているのだ。

 特に物資補給等を担当する後方参謀はどの戦線から兵力を引き抜くか作戦本部で作戦参謀達と協議しつつ、各戦線に送る補給物資のやり繰りに頭を悩ませていた。

 

「バルトフェルド隊長からはMS、特にバクゥをもっと廻してくれと言ってきてますが……」

「……」

 

 ザフトの生産力は地球連合に遥かに及ばないと上層部はわかっているにも関わらず、前線を担当する隊長達にその意味があまり伝わっていないことに思わず腹が立った。

 

(開戦当初から物資のやり繰りは慎重に行うように指揮官クラスには徹底したはずなのに……)

 

 懐具合があまりいいとはいえないザフトで物資補給担当の苦労は他の部署よりも軽く数倍は苦労する。

しかし、連合の要所でもあるスエズ運河とその基地を抑える役割を担っているバルトフェルド隊の要請を無視することもできない。

 

「バクゥは参謀本部から例の作戦の為に数をもっと寄こせと言ってきている。現状の生産力では送る余裕はほとんどない」

「しかし、日に日に催促が激しくなってきています。無視するのは不可能では?」

「……その代りザウートを送る。バクゥも何とかできるだけ数を送る。彼ならば事情を説明すれば無理強いはしないだろう」

 

 バルトフェルドはナチュラルを差別しないザフトには珍しい良識派だ。

 なるべく便宜を図ってやりたいというのが俺の本音でもあったので、経営者権限を使って何とか捻り出してみるかと結論を出し、兵器工場に掛け合うことにした。

 

 

 

 

 ザフト軍に入隊して1年。キラ・ヤマトは出世街道を突き進み現在ザフト軍で参謀をしていた。


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