MÄR - メルヘヴン - 竜殺しの騎士   作:魔女っ子アルト姫

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ARMの回収 その1

広大な自然と神秘に満ちたメルヘヴンのとある大陸で大きな大会が行われていた。世界中から戦士が集い雌雄を決している。大会の参加人数は500名という大人数。予選のトーナメントを勝ちあがった者が本選の決勝トーナメントに進む事ができるこの大会にとある男が参加していた。その男とは………

 

「しょ、勝負あり!!勝者ジーク!!!」

「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」

「「「「「ジーク様ァアアアア!!!!」」

 

競技台の上で対戦相手の男の攻撃を全て受けて尚無傷の身体を見せながら、たった一発のパンチで対戦相手を沈めた男。チェスの兵隊が開いたウォーゲーム大戦における英雄の一人"ジーク"、圧倒的な力を見せつけながら完勝した彼は歓声を受けながら台から降り席へと向かう。

 

「お疲れ様♪やっぱり楽勝だったね♪」

「当然だ。お茶をくれるか?」

「はぁ~い」

 

席に着きながら妻であるドロシーに労いの言葉を受けながら身体を休めるジーク。全くと言って良いほど疲労はしていないがずっと相手の攻撃を受け続け最後に一撃を入れるという行動を3回ほど繰り返しているためある意味退屈なのである。嘗て共に戦ったメルのメンバーは参加しておらず手応えがない相手とばかり戦っている。チェスの兵隊で言えば良い所ルーククラスの人間しか居ない。

 

「これなら楽に優勝商品を手に入りそうね」

「だな。しかしこんな大会にそんな希少ARMが商品になってるなんてな」

「うん私も驚いちゃったよ。ネイチャーARM ウェザーロッド、天候を自由自在に操る事が出来る超レアなARMなの」

 

彼らがこの大会に臨んでいるのはこの大会の優勝商品のARMが原因であった。ディアナが持ち出したARMの中でもレア中のレアARM、それを回収する為である。本当は当の本人にやらせるのが一番なのだが、世間的にディアナは既に死亡している事になっているうえにチェスの兵隊の黒幕という事実が広まっている為面倒な事になる可能性があるためこうしてこの夫妻が出張ってきていると言うわけである。

 

因みにディアナはというと

 

「………こ、この山みたいな仕事を一人で片付けるの………?マジで?」

 

ジークの仕事を全て押し付けられて呆然としていた。

 

 

「まあ偶には闘争に身を置くのも悪くないと思ったが……アルレベルとまではいわないが、せめてビショップレベルの奴は居ないのか………?」

「それはキツいんじゃない?ジーくんとまともに戦えるなんて、私を除けばディーナにアルヴィス、アランにナナシにジャックくらいよ。」

「それもそうか………退屈だ」

 

ジークの強さはメルヘヴンでも異常なレベルにまで高まっている為にそれと互角に戦うとなるとサーヴァントでも召喚しない限り無理という事になるだろう。そして遂にジークが迎える決勝戦の時間がやって来た。

 

「頑張ってきてね旦那様♪」

「ああ行って来るよ奥様♪」

 

キスをし競技台へと上がっていくジーク。

 

「さぁ~やってまいりました決勝戦!!!500人という人数の中から選りすぐりの16名が戦う決勝トーナメント!!その頂点に立つのはこの二人のうちの一人!!一体誰なのか!?赤コーナー ウォーゲーム大戦の英雄の一人、ジィィイイイクゥウウウ!!!!

 

そしてもう一人はここまで様々なARMを使いこなし安定した強さを見せてきたジョオオオオオルルゥウウ!!」

 

ジークの相手となるのはラフな服装に間接部にプロテクターなどの防具をつけている男、ジークはその男が魔力だけで言えばビショップクラスだと見抜いているが自分が勝てない相手ではないと理解している。だが油断はしない、油断して負けたらドロシーに申し訳ないからである。

 

「試合開始!!」

 

試合開始というコール、ウォーゲームを戦っていた時は耳に蛸が出来るほどに聞いた言葉が今では懐かしく過去の思い出が蘇る鍵にもなっている。

 

「おいジークよぉ、俺はお前に勝つぜ。そしてあのARMを手に入れる!!」

「そうはいかない。あのARMはカルデアの物なのでな、回収させてもらう」

「へっへっへ。だがお前は勝てんぜ?なんせこう言うARMがあるんでな!!!ガーディアンARM!!」

 

自信満々と懐から取り出したのは人の形のような造形をされているARM。それは発動させると一気に凄まじい魔力を放出していく、思わずドロシーさえも戦闘態勢を取ってしまうほどの魔力。魔力が溢れ出て爆風を巻き起こしながらそれは現れた。

 

「シャドージョーカー!!」

「ッ!!これは―――」

 

目の前に現れたのは黒く染まっている自分その物、昔に修練の門の中にてネイチャーARM シャドーマンと戦闘をした事があったがそのとき以上にクォリティが高くもう一つの自分と言い張れるほどの精度。

 

「驚いたか!このARMは相手の姿、力、魔力などの全てを完璧にコピーした上で成長していく。つまりだ、時間が経つほどのアンタを超えて行く訳だ!!」

「ほう……面白そうだ。なら、試させてもらおう。竜閃!!」

「―――!!!」

 

一気にバルムンクを抜刀し斬撃を飛ばすがシャドーも同時に影のバルムンクを抜刀し斬撃を飛ばして来る。反応速度が速く動きも良い、更に地面の抉れ具合は向こう側のほうが強いのを見る限り確かに成長していると解る。

 

「少しは楽しめそうだな―――!!」

 

一気に加速し斬りかかるがそれを防御しカウンターに突きを出してくる。それを回避し剣を薙ぎ払う、地面ごとを大きく抉る一撃を術者を護る為に渾身の一撃で相殺するシャドーを見ると身体中に傷が出来ている。それを見たジークは笑った。

 

「どうやら完璧に再現できているっと言う訳ではないらしいな」

「な、なんだと!?それはこいつを倒してから!!」

「ああ―――もう終わっている」

 

そう言いながら剣を戻すジーク。何故剣を戻す?もう終わっている?その言葉の意味は次の瞬間に理解出来た。シャドーの胸に大きな風穴が開きシャドーは動きを完全に止めていた。今自分が出来る中で一番早い一撃を魔力で強化して放った一撃が決まっていた。

 

「ど、どうして!?」

「完全に再現できていない、それだけだ」

 

次の瞬間にジョルは殴り飛ばされ競技台から落下し失格となりジークの優勝となった。

 

 

「流石にジーくんの無敵性は無理だったみたいね♪」

「そうやすやすとコピーされては敵わないさ」

 

そうシャドージョーカーは確かにジークの魔力や身体能力などは完璧にコピー出来ていたが宝具まではコピー出来ていなかったのである。それをジークは態々防御したのを見て気づいたのである。あの邸との攻撃ならば無効化出来るはずだからだ。

 

「さてドロシー、帰ろう」

「うん♪」




次回はジークとドロシーのラヴラヴな様子でも書くかな

思い切ってR18でも執筆するか……?

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