MÄR - メルヘヴン - 竜殺しの騎士   作:魔女っ子アルト姫

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015話

「誰に向かって口をきいてやがる!!」

 

ウォーゲーム第4試合(フォースバトル)火山群フィールドでの対決。先鋒として出たのは漸く出てきた男、クロスガード アラン。今まで満足動けなかった鬱憤を晴らすが如くやる気満々で先鋒として登場、対戦相手はルークのアリババという男。魔人のランプというガーディアンARM使いだったが、まともに魔力を通さずに使用したためかアランの一撃で粉砕されてしまった。

 

そしてアリババはマフラーを掴まれたまま引きずられ連行ながら3つの間違いを指摘されながらそのまま火口へと落とされた。

 

「第一戦、アランの勝利!!!」

「すげぇじゃねぇかおっさん!!」

「あんな魔力も通してねぇ奴に負けるかよ、風船と同じだ」

 

流石の余裕と貫録を見せつけたアラン、初戦を奪ったメル。このまま流れへと乗りたいが次の相手はファーストバトルにてジャックを下したパノという少女が出ることとなった。

 

「おいらが行くっすよ。リベンジ、させて貰うっす!!」

「……いい眼するじゃない、いいよ相手してあげる。今度は殺す気でね!!」

「第二戦、ジャックVSパノ、開始!!」

 

互いの獲物を構えながらにらみ合う二人だがパノが動く、ウェポンARM ボールハンマーの鉄球を分離させ飛ばしジャックへと攻撃する。かなりのスピードで変幻自在にコースを変えながら迫ってくる鉄球を見つめるジャック。

 

「(ガイラさんパンチは見切れてないっすけど、この動きは、みえる!)でやぁっ!!」

 

スコップを腕に這わせるように回転させながら迫りくる鉄球を力一杯殴りつけて弾き飛ばす、以前はこのような事は出来なかったが修練の門での新たに積んだ修行がそれを可能にしていた。

 

「う、腕……痺れた………」

 

(汗)……まあジャックらしいともいえる。

 

「今度はこっちから行くっすよ!!アースウェイブ!!」

 

地面に突き刺したネイチャーARM 大地のスコップを通じて魔力が送り込まれ地響きとともに強力な衝撃波を巻き起こしパノへと向かっていくが直線的な攻撃であるためかパノは笑いながら回避する。

 

「予想通りっす!!」

「っ!!?ま、またあれ!!?」

 

衝撃波に気を取られているうちに背後を取ったジャックは蒔いた種を急成長させて巨大な蔓の上に乗りながらパノへと迫っていく。

 

「つ、蔓が歩いてくる!!?」

「おいらはもう負けないっすよ!!」

 

通常植物は事など出来ないがジャックの地豆(アースビーンズ)は凄まじい成長速度で次々と根を下ろす事でまるで歩いているかのような錯覚を齎した。精神に揺さぶりをかけながら迫るジャック、それを阻もうと鉄球を分裂させ襲わせるがそれをするすると回避しながら笑う。

 

 

「終わったな」

「そうだね、この勝負ジャックの勝ちだね」

 

 

「っ!!」

「漸く、潜り込めたっすね」

 

首元へと差し出されたスコップ、滴り落ちる汗。パノは動けなかった、目の前の少年は以前のような少年とは全く違う。

 

「さてと、終わらせるっす!!」

 

下げられたスコップの動きは剣と全く同じ、斬られると身を固めるパノだったが何時までもそのようなものは襲ってこなかった。その代わりと言わんばかりに体の各部に棘が刺さるような痛みが襲ってくる。

 

「こ、これって木の棘………?」

「育て、魔法の茸!!」

 

ネイチャーARMが光る、それと同時にパノの体に刺さった棘が発芽しそこから無数の茸が顔を出す。

 

魔法の茸(マジカルマッシュルーム)タイプ1、周りにご注意っすよ」

「き、気持ちわr………か、火山がぁぁああああ!!?!?今度は地割れだぁああああ!!!ああお花畑だ~♪」

 

忙しく顔を七転八倒させながら喜んだり苦しんだり怖がったりするのを繰り返すパノ、魔法の茸の正体は毒キノコであるマラライダケを応用したもので相手に酷い幻覚を見せるというものである。

 

「これっておいらの勝ちで良いんすか?」

「………続行は不可能なようですな、宜しい。勝負あり、勝者ジャック!」

 

リベンジを果たしたジャックはパノの茸を引き抜いてやるがその際、パノからみたジャックは異常なほどダンディなイケメンに見えていたのか思わず抱きついた。

 

「な、なんでこうなってるんすか!?わ、悪い気はしないっすけど」

 

 

「やるなジャックの奴、植物使い。嵌ってしまえば中々恐ろしいものだな」

「そうねあのキノコも使いようによっては更に恐ろしい事だってできるし植物は再生も出来る、状況に寄り切りだけどかなり強いよね」

 

城からジャックの戦いぶりを見ていたジークは植物使いという戦士の種類の強さを再実感しながらジャックの勝利を讃えていた。そしてその勝利に体が反応しているのか右腕がぴくぴくと動いていた。

 

「身体は正直だな……あれだけボロボロになったというのに動きたがってやがる………。次の戦いが、待ち遠しいなぁ」

「意外にバトルジャンキーなんだねジーくんって、そんな所も素敵♪」

 

そんな会話をしながらも戦いは続いていく、続く第三戦はスノウ VS Mr.フックというビショップ。スノウはそれなりに善戦をするが火山という氷使いである彼女にとって地獄のようなフィールドである為か徐々に押され、取って置きであるガーディアンのユキちゃんも倒されギブアップ。

 

続く第四戦、ギンタVSカノッチ。初っ端からダークネスARMの呪を受けるが新たに創造していたバッボの力に救われ何とか勝利をおさめるギンタ。

 

そしてラストとなる第五戦、遂にチェスの駒の主力であるナイトクラスの人物が出てきた。それと対戦するのはアルヴィス。序盤から13トーテムポールで猛攻を仕掛けるが完全に攻撃を見切られ回避されてしまいその後のネイチャーARM ストーンキューブのカウンターを食らってしまい劣勢に立たされる。

 

「ハイスピード、13トーテムポール!!!」

「っ!!!」

 

魔力も集中力も尽きかけていたアルヴィス、だが最後の意地で魔力を振り絞り超高速のトーテムポールで攻撃を仕掛けた。それはナイトのロランの頬を確かに捉えた。そして、アルヴィスはギブアップを宣言した。

 

「おれは必ずおまえを倒す、ナイトに通用出来る。それが解っただけでも十分な収穫だ、これから鍛える、ジークが俺に見せてくれた全力に報いる事が出来るように」

 

そこで試合は終了した、結果は3勝2敗。スノウは今までの逃亡生活の疲労などで一時的に戦線離脱が決定したがそれでも十分戦い抜いたといえる戦績であった。そして城へと戻ってきたギンタ達、だがそこでは一人もギンタ達の帰りを迎えてくる人はいなかった。何故ならば………

 

「生き還ってたんだぁぁああああ!!!!!」

 

城に一人の男が立っていたからである。人々は恐怖し声を張り上げた、魔力をもつものはその力に直ぐに武器へ手を伸ばそうとしていた。そこに居たのは一見温和そうな顔つきをした少年、だが左腕に巻きつけられている包帯が異形さを引き立てていた。―――あれこそ、チェスの司令塔、ファントム!!!

 

「ねぇギンタ、僕のこの世界が大っ嫌いだ!!臭くて臭くて堪らない」

 

一瞬見せた笑みを崩壊させあらわにした狂気の素顔。表情、言葉、魔力、全てが物語っている。あれに満ちているのは狂気そのものだ。

 

「世界の中心に置くのは常に自分、他者を傷つけ妬み嫌い、それでも自分が正しいと思い込む。それは人間の本質、だから全て殺す事に決めたんだよ」

「ふざけるな!!!そんなの自分勝手の自己満足だ!!俺はてめぇをぶっ倒す!!」

「ダンナと同じ事を言うんだね、それ故に哀れだ」

 

そう言い何かをギンタの足元へと落とした、それは赤い石、マジックストーンであった。

 

「強くなって会いに御出でよ、それと………ジークフリード君」

 

今までギンタにしか目に入っていなかったファントムがはじめて違う人物を目に入れた、それはジークであった。初めて目にする真の意味で狂気に染まった男を前にしたジークはバルムンクに手を伸ばしながら鋭い目つきでファントムを睨んでいた。

 

「君に酷く会いたがっている人物が居てね、いやむしろ君を欲しがっている」

「俺を………?なら、その欲しがっている奴に伝えろ。俺は俺の物だ。手に入れたいのなら力づくで手に入れてみろ!とな」

「ははははっ!そういうと思っていたよ、それじゃあそう伝えておくよ、あの女性(ひと)にね」

 

そう言って消えていくファントム、ジークは身の毛がよだつ様な感覚を味わいながらも次の戦いへの闘志を燃やす。ここから、戦いは本格化していくのだ。そう直感で感じ取っていた。




なんか、すっごいひどい文章になってしまった気がする……

とりあえず今度からは他のメンバーの戦いはきっちり書いていきたいと思います。

次回は再び修練の門、がジークに異常発生!!

竜殺し VS 竜殺し&魔女?!

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