大剣が噛み合い火花を散らす。
風を断ち、高速で交わされる斬撃の数々に衝撃波が巻き起こる。
「…ふっ!」
鋭い呼気を発し、大剣を振るうローズマリー。
唸る大剣は大岩を楽々両断するレベル、そんな剣撃があっという間に数十と放たれる。並みの戦士なら……いや、一人を除き一桁上位ナンバーでさえこれを凌げはしないだろう。
だが、テレサはその連撃を一撃残らず捌ききった。
「(これは、参ったな)」
ローズマリーは思わず感嘆の息を漏らした。
避けれる斬撃は全て避け、不可能なモノは最適の角度と力加減で受け流す。ローズマリーはそんなテレサの動きに完成された美を見た。
それほどテレサの動きは素晴らしかった。
だが、その動き以上に驚いた事がある。
それはテレサの読みの正確さだ。
信じがたい事にテレサは先の連撃が放たれる “前に” 最適な対応に入っていた。
おそらく、体を流れる妖気を見て、次の動きを判断したのだ。以前、ローズマリーがルヴルに語った妖気探知による先読みだ。
……しかし。
「(本当に出来るものなの? 妖力解放していないこちらの妖気を読んで次の行動を予測するなんて)」
ローズマリーがルヴルに語ったのは妖力解放した相手を前提とした理論、対妖魔、対覚醒者用の技である。
だが、テレサがしたのは戦士用、ましてや妖力解放していない相手に先読みを決めるなど、心を読めという方が簡単かもしれない。
そんなレベルの神技だった。
「(ふふ、ちょっと嫉妬しちゃうな)」
ローズマリーは内心で苦笑した。
最強になりたいとは思わない、ナンバーを上げたいとも思わない、だが、天稟と称され、その才を弛まず鍛え続けて来たにも関わらず、まだ訓練生のテレサに本気の攻撃をあっさり凌がれてはさすがにヘコむ。
「(……でも、だからこそ安心出来る)」
ローズマリーは嫉妬と同時に強い安堵を覚える。
クレイモアの生涯は短い。
不老かつ強靭な肉体を持つ彼女達だが、強大な覚醒者や過酷な任務、そして “限界” という実質的な寿命により、30歳を迎えられる者は殆どいない。
いや、それどころか半妖の多くが戦士になる事も出来ず訓練生の内に生涯を閉じる。ローズマリーと同期の訓練生も百人いたにも関わらず戦士になれたのはローズマリーを除いてたったの一人、そして、その一人も戦士となり数週間で任務中に殉職した。
それほど半妖が組織で長生きするのは難しいのだ。
しかし、そんな環境もテレサにとっては関係ない、今はまだローズマリーと同等 “程度” の力しかないが、近い未来、テレサは並ぶ者なき最強になる。
あらゆる敵を無人の野を行くかのこどく蹴散らし、どんな過酷な任務も鼻歌交じりにこなすようになるだろう。
だから安心出来るのだ。
この子は誰にも負けない、殺されない、と。
真剣な表情でテレサが床を睨む。
迷うようにフラフラと床に手を伸ばしてはやっぱり引っ込める。思い切りが良いテレサらしからぬ行動だ。
「…………」
そして、テレサは記憶を探るように目を瞑ると、カッと見開き、記憶が正しいことを信じて裏返しのトランプをめくった。
テレサがめくったのはダイヤの12、先ほどテレサがめくったのはスペードの12、つまり二枚のカードはペアである。
「おお! すごい、初回から当てた」
「確か、ここの擦り傷が着いたのが12だった気がしたから」
テレサはローズマリーの拍手にはにかむと僅かに頬を赤くした。
「何をしているんだ」
床に置かれたトランプをひたすらめくる二人にお目付役の前テレサの指導員が呆れたように話しかけた。
「あれ? 前に名前を言いませんでしたっけ、これは神経衰弱ってゲームです」
そんな男にしれっとローズマリーは答えると視線を再びトランプに戻した。
「…いや、なんで訓練もせずに遊んでいるかって意味で聞いたんだが?」
「え、訓練ならさっきしてたじゃないですか」
「………二時間だけな」
ローズマリーがテレサの指導員になって三ヶ月、ローズマリーは一日の訓練時間を四時間以内と決めた。
その訓練時間はローズマリーが指導員になる前の三分の一である。
半妖ゆえどこまで適用されるか分からないが身体が出来上がる前に過度な運動をするのは良くない、そう思ったローズマリーの独断である。
で、空いた時間をローズマリーはテレサと遊んでいるのだ。
「二時間も模擬戦をしたら充分訓練になったと思うんですが?」
「いや、訓練生の修練時間は十二時間なんだが、残り十時間はどこに消えた」
「休憩時間と遊びに消えました」
「いや、それじゃダメだろ、お前は指導員の自覚があるのか?」
「もちろんありますよ、逆に聞きますがあなたは指導員の自覚があったんですか? ただ訓練を押し付けるだけで適切な訓練をしましたか? テレサちゃんが手を抜いていないか、無理をしていないか、ちゃんと強くなっているか、それを判断できてましたか?」
「ぬぅ」
遊んでいる相手からのまさかの反撃に男は呻く。
言ってことは正しい。研究員でもないただの人間が半妖の事を正しく認識出来るはずないのだから。
「フッ」
だが、ローズマリーの反撃に小さく笑うと男は迷いなく口を開いた。
「もちろん、出来ていた」
ローズマリーの言葉にしっかりと自信を持って男は答える。男には長年指導員を務めたプライドがあったのだ。
……しかし。
「本当ですか? ではなぜ私が指導員になったのです? あなたがちゃんと出来ていれば私なんかが指導員に選ばれることはなかったのでは?」
「…………」
ローズマリーの追撃に男は押し黙る。
それを言われちゃお終いだ、何を言おうが男がテレサの指導員から外されたのは事実なのだから。
「い、いや、それはテレサが訓練中に脱走するから」
「つまり、指導員でありながら訓練生の脱走を許してしまったと?」
「…………」
「もう、お分かりですね? 大丈夫です安心して下さい、テレサちゃんはちゃんと強くなってますよ、だからあなたも気にせず一緒にゲームでもしませんか? ちょっと二人だけでするゲームに限界を感じてきたんです」
そう言って優しく微笑むとローズマリーは男をトランプに誘う。
だが、そんなローズマリーの背後から彼女に気づかれぬようテレサがしっしと手で男にあっち行けと促す。
そんなテレサの態度に男は自信喪失した。
どうやら、男はそこそこテレサを気に入っていたらしい。
「………遠慮する」
そして、男はローズマリーの誘いを断ると哀愁漂う背を二人に向けトボトボと壁際まで移動し膝を抱えて座り込むのだった。
「お、やってるな」
刃を交えるローズマリーとテレサを見てルヴルがそう呟いた。
壁際で「さっきまでやってなかったんだぁ」と元指導員が小さくボヤくがルヴルには聞こえなかったようだ。
「あ、ルヴルさんお久しぶりです」
ルヴルの呟きを聞き、彼の来訪に気付いたローズマリーは一旦模擬戦を、止めるとルヴルの方へ視線を向けた。
ローズマリーを取られたと思ったのか、テレサが威嚇するようにルヴルを睨む。
そんなテレサを無視してルヴルはローズマリーに問いかけた。
「指導の方はどうだ?」
「ふふ、上々です」
ローズマリーはルヴルの問いに満面の笑みで答える。
そんなローズマリーにルヴルは小さく吹き出した。
「ぷ、くっくっく、随分な自信じゃないか、自分には指導なんて無理、と言っていたのが嘘のようだな、なんだ、何か画期的な指導方法でも思いついたか?」
「いえ、何も、というか私がしているのは模擬戦だけですしね」
「は? いや、お前はいつも訳が分からない訓練をしているだろ、そんな感じの訓練をテレサにもやらせているではないのか?」
大岩を担いでのスクワットや反復横跳びをするローズマリー思い出しながらルヴルが言う。
そんなルヴルの言葉をローズマリーは否定した。
「あれはある程度身体が出来上がってからするべき訓練です。成長途中のテレサちゃんには必要ありません」
大剣を背にしまい、ルヴルを睨むテレサの頭を撫でながらローズマリーは断言する。
「ほう、そういうものなのか?」
「そういうものです、まあ、半妖にどこまで適用されるかは分かりませんけど……さて、それで今日ルヴルさんは何をしにここへ?」
笑顔から一転、ローズマリーは顔を引き締め、警戒したように言う。
「なんだ、用がなければ様子を見に来るのもいけないのか?」
「いえ、そんなことはありませんが、絶対なにかありますよね」
白々しい態度のルヴルにジト目で返すローズマリー。
そんな彼女を見てルヴルはいつも通りの胡散臭い笑みを浮かべるのだった。
やっぱり任務だった。
ローズマリーはテレサに見送られ組織本部を飛び出すと一気に加速、疾風のような速度で走り出した。
「…ルヴルさんめ」
走りながらローズマリーは毒づく、今回の任務は覚醒者討伐だ。
対象は鋭剣のシルヴィ、元ナンバー5の強敵である。
そして、討伐メンバーはローズマリー
…………以上。
「(覚醒者の討伐って基本チームでやるんじゃなかったっけ? もしかして、あいつなら適当に任務振っても生き残るだろ、とか思われてる?)」
自分と一つしかナンバーが離れていない覚醒者を単独で倒せという無茶振り、ルヴルと組織が自分に抱く認識に危機感を持ちながらローズマリーは任務地へと急ぐ。
そんな時、ローズマリーは猛烈な勢いで自分に接近する妖気を感知した。
「あれ? この妖気」
ローズマリーは速度を緩めると、背後を振り返る。
そこには長い髪を靡かせ、こちらに向かうヒステリアの姿があった。
「あ、ヒステリアさんお久しぶりです」
「はぁ、はぁ、久しぶりね、ローズマリー」
ローズマリーに追いつく為にかなり本気で走ったのだろう、ローズマリーの挨拶に若干息を切らせてヒステリアが応えた。
「どうしたんですか?」
「ローズマリーの妖気を感じたからお話しようと思ってね」
そう、嬉しそうに言うヒステリア。以前行った模擬戦の後、拗ねたヒステリアを宥めている内に二人はかなり仲良くなったのだ。
ローズマリーが友人になるまでヒステリアに友達は居なかった。
ヒステリアに聞けばムキになって居たと答えるだろうが事実である。
歴代ナンバー1の中でも五指に入る力を持ったヒステリアはその高過ぎる能力から尊敬はされても……いや、尊敬されるからこそ友は居なかった。
戦士たちはみな、圧倒的な力を持ったヒステリアを畏れ敬い、距離を置いた。
友などと恐れ多い、戦士はみなそう思っている。
ヒステリアと他の戦士の関係は良くて言えば尊敬する上司と部下といったところだろう。
そして友達がいなかったのはローズマリーも同様だ。
たったの半年でナンバー4まで上り詰めたローズマリー。
彼女の実力が分からない戦士は彼女を嫉妬し、彼女の実力が分かった上位陣は恐れ慄いた。おそらく、後一年もすればローズマリーの実力は戦士全員に知れ渡り、ヒステリアと同じく敬われるようになるだろう。
そんな似ている二人だからこそ、シンパシーを感じ、すぐに仲良くなれたのだ。
「どこへ行くの、また故郷?」
「いえ、今日は任務です、でも酷いんですよ、元ナンバー5の覚醒者相手なのにメンバーは私一人だけなんです」
「そう、でもナンバー5でしょ、あなたなら油断しなければ大丈夫じゃない? 私もちょっと前に元ナンバー3の単独討伐したけど、無傷で勝てたわよ」
「それはヒステリアさんだからだと思うんですが?」
「いや、あなた私とそこまで差はないでしょ、少なくとも私がナンバー1になる前のナンバー1とその前の二人より既に強いわ」
呆れたように言うヒステリアにローズマリーは首を傾げた。
「う〜ん、そうなんですか? 私が知ってるナンバー1はヒステリアさんだけなんでイマイチ実感が湧かないんですよね」
「ふふ、私を並のナンバー1と一緒にしないで欲しいわね、時代によってナンバー1の実力はバラバラよ」
「そんなものですか?」
「そんなものよ、特に、私が戦士になってすぐの頃にナンバー1だった鋭剣のシルヴィなんてアガサよりちょっと強い程度のレベルだったし」
「……え?」
聞いてはならない単語が出て、ローズマリーが固まった。
「ん、どうしたの?」
ヒステリアはフリーズしたローズマリーを不審そうに見る。
「…………ごめんなさい、もう一度言ってもらえますか?」
「え、私を並のナンバー1と一緒にしないで欲しいわね」
「そ、そこじゃなくて、その昔のナンバー1の人の名前です」
「ああ、そこね、鋭剣のシルヴィよ……それがどうしたの?」
鋭剣のシルヴィ。
彼女は突きを主体とした優秀な戦士だった。
華麗なステップを踏み、高速かつ連続で放たれる刺突は異名の通り鋭く、多くの妖魔、覚醒者が彼女の前に散っていった。
そんな彼女の最高ナンバーは1、覚醒者討伐の際、利き腕を失い、ナンバーを大きく落としたが、それでも一桁ナンバー残留を許された実力者だ。
しかし、彼女はナンバー1から落ちたショックにより覚醒、当時、新たにナンバー1になった荒剣のイキシアを惨殺し姿をくらませた。
ちなみに失った利き腕は覚醒により完全に再生されている、それゆえ、覚醒者として力量は全覚醒者の中で間違いなく、10指に入る。
つまり今回の討伐対象は元ナンバー5の覚醒者ではなく、実質、ナンバー1の覚醒者という事。
それは深淵の者の単独討伐に等しいあり得ない難易度の過酷な任務だった。
深淵の者とは組織が定めた、ある覚醒者の名称である。
ある覚醒者、それ即ち元ナンバー1のソレを指す。組織の歴史の中で過去三度、ナンバー1が覚醒した事例がある。
その三体は他の覚醒者と隔絶した力を持ち、滅多に表だった行動を取らない事から深淵の者と呼ばれているのだ。
彼等、深淵を討伐する為に組織は何度か動いた事がある。
だが、その全ては失敗となった。
そして、幾度か目の作戦で、当時歴代最強と呼ばれた重剣のクロエ及び一桁ナンバー八人による討伐が失敗した時、組織は深淵討伐を諦めたのだ。
そんな深淵級覚醒者の単独討伐を命じられたローズマリーは顔面蒼白だった。
「え、その話って本当ですか?」
間違いを期待してもう一度ヒステリアに問うローズマリー、だがそんな彼女にヒステリアは首を振った。
「こんな笑えない冗談は言わないわ」
「そうですよねー……本当の本当に本当ですか?」
「本当だって言ってるでしょ……それにしても、鋭剣のシルヴィの単独討伐? ……あなた、一体何したの?」
引き攣った顔で問うヒステリアにローズマリーは顔の前で手をブンブンと振った。
「いやいやいや、何もしてません! 何もしてませんよ!? 普通に任務をこなしてましたよ!」
必死に否定するローズマリー。
「本当に? 組織の秘密を知ってしまったとか」
「記憶にありません」
「じゃあ、任務外で妖魔、覚醒者を狩りすぎたんじゃない? 確か、あなたの担当区域が47区の中でも一番収入が低いって私の担当が言ってたわ」
「え、そんなに低いんですか?」
「そんなによ、ちなみに私の所の十分の一以下よ」
「…………それってマズイですかね」
「マズイわよ、そうじゃなきゃ、なんでシルヴィの単独討伐なんて命じられてるの? シルヴィは深淵と扱われてもおかしくない覚醒者よ……それを単独でなんて、私でも多分無理」
常に自信に溢れるヒステリアらしからぬ言葉にそれほどの覚醒者なのか? とローズマリーはゾッとした。
「そ、そんなに強いんですか、戦士時代はアガサさんよりちょっと上レベルだったんですよね?」
「……覚醒がどういうものか、分かってるでしょ? 常に妖力解放100パーセントで戦えて、覚醒体は人型時の数倍の身体能力をもたらす、戦闘力は戦士時代の最低二倍、平均五倍、下手したら十倍くらいになるのよ? あなたにアガサの五倍の戦闘力がある?」
ローズマリーは以前会ったアガサと今の自分を比べてみる。
「さ、三倍くらいなら、ありますかね?」
「……そうね、きっと三倍くらいならあるわ」
ローズマリーの言葉をヒステリアも肯定する。
だが、それはあくまで三倍程度だったらの話だ。
「でも残念、組織の評価ではシルヴィは最低でも戦士時代の五倍は強いらしいわ、一応、他の深淵三体よりは弱いという評価よ、他の三体はナンバー1の中でもそれなりに強い方だったらしいし」
「…………」
希望を打ち砕かれた様な顔で黙るローズマリー、それを痛まし気に見ながら、ヒステリアは小さくローズマリーに問う。
「……どうするの?」
「……どうするって、戦うしかなくないじゃないですか」
酷く落ち込んだ声でローズマリーが答える。
組織の命に背き、戦いもせず逃げれば追っ手がかかる、そして、ローズマリーの追っ手となればヒステリア以下、一桁ナンバー半数なんて事にもなりかねない。
ならば少し戦ってから、任務達成不可能と判断し逃げるのはどうだろう? 組織は戦ってどうしても討伐不可能な場合は一応撤退も認めている。だが、一度格上と戦い始めてから逃げるのは困難だ。
どちらを選ぼうとローズマリーの死は濃厚。
ならば見知った仲間と戦うよりはかつての戦士とはいえ面識のないシルヴィと戦う方が幾分かマシだった。
「死ぬわよ」
真剣な表情でヒステリアは言う。
ローズマリー自身も話を聞く限り八割がた殺されると思っていた。
だが、それでもローズマリーが選んだのはシルヴィ討伐だった。
「……組織のシルヴィさんの戦闘力予測が間違ってる事を願いますよ……まあ、最悪、少しだけ戦って無理だったら撤退します。それなら組織もそこまでキツイ罰を与えてはこないでしょう……こないですよね?」
最後、自信なさ気になるローズマリー、そんな彼女を見て仕方ないか、とヒステリアは溜息を吐いた。
「本当に戦うのね」
「……出来れば戦いたくないですが」
「……はぁ、分かったわ」
ヒステリアは大きく溜息を吐くと、一つの決意をした。
「じゃあ、私も手伝ってあげる」
「……え、今なんて?」
ローズマリーはその言葉に目を見開いた。
「聞こえなかったの? あなただけじゃ手に余るでしょ、だから手伝ってあげるって言ったの」
「いや、危険ですよ、やめた方がいい!」
自分の命の危機なのに遠慮をするローズマリーにヒステリアはむっとした。
「五月蝿いわね、危険なのはいつもの事でしょ……それにね、友達を見捨てるのは気が引けるわ」
そう、目をそらしてヒステリアは言った。
「…………」
そんなヒステリアの仕草に一瞬、呆けるた後、ローズマリーはくすりと笑った。
彼女の態度が何処と無くテレサと似ていたのだ。
「ヒステリアちゃんて、呼んでもいいですか?」
「それは、恥ずかしいから止めて」
そう言ってヒステリアは赤面した。
深淵討伐の話や、覚醒による戦闘力の上昇値は完全な独自設定です。