ねこだまし!   作:絡操武者

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 温かなお言葉を多数頂戴しモチベが少し回復したが2週間では書き上げる事は出来なかった!! 本当にごめんなさい!! でも凄く温かな気持ちにはなったんですよ? 本当にありがとうございます。
 お気に入りも1636件と、大変感激しております。

そんな中、

報告① 最近、マッサージに通うようになった。マジで肩が痛い。首が痛い。頭が痛い。頭痛薬ペロペロ……もう一箱くだちい!

報告② おいマジかよ。この作品1周年だってさ! 継続は力なり。あ、もう一箱下ちい。

これからも頑張って行きたいですね。
この作品を終わらせるまでお付き合いいただければ幸いです。



37 ネコ型ネイバー

 

 本部に来ていた。もちろんランク戦のためにオペレーターさんを探すためである。『まぁ慌てる事はない』というのが俺のスタンスなので、少し気分転換をと思い、作戦室で次の対戦相手のログを見ることにした。

 ……見れない。対戦相手のログだけが見れない! 玉狛支部のログや、対戦相手が関わっていないログを見ることは出来た。だが、次の対戦相手が参戦しているデータや俺が参加してるログを見る事が出来ない。何のためのシステムだよ! 対策も立てられないじゃないか!

 

 俺は文句を……文句は言えないので、どうにかしてほしいという嘆願をメールにて沢村さんに送った。『ネコ、ログ、見れない、何で?』

 さぁ、返信が来るまでココアタイムだ。ふー……。

 

 ランク戦とは勝ち上がりのシステムだ。B級の最下位からスタートして、試合毎に一番多くの得点を得れば部隊の順位は勝手に上がって行き、B級の1位と2位になればA級昇格への挑戦権が手に入る。A級に入れれば給料はネイバー討伐数という出来高制ではなく、固定給+討伐数となる。安定のために金だけの目的でA級を目指す俺みたいなのもいれば、遠征でネイバーの世界に行くためにA級を狙う人もいるし、やるからには1番目指すっしょ! って人もいる。

 今期のランク戦から参加した俺は0ポイントスタートして、1戦目は1ポイント、2戦目に9ポイント、合わせて10ポイントの状態だ。位置的には中位グループでの戦闘が次に控えているはずである。はずだったんだけどなー。

 

 短い電子音がメールの着信を知らせ、すぐさま沢村さんからの返信メールを確認する。

 

『また? おかしーなー? 送ってあるはずなんだけどなー?

 ちゃんと確認したかなー? したよねー?

してなかったならお姉さん怒るよ? ( ̄ヘ  ̄ ♯)

一応、もう一度添付しておくから確認してね?』

 

 ……oh、あった。ごめんなさい。また添付見落としてましたです。

 

『―――次のROUND3の夜の部は特殊な形式を用いるため事前説明を行います。また、公平性と今回の形式をよりよいものにする為にROUND3夜の部に参加する部隊の情報に制限を加えており、ROUND3夜の部に関しての説明をネコ隊とその他の隊を分けて行う事となりました。ネコ隊は2月6日16:30に本部、第二会議室までお越し下さい』

 

 対戦相手は<暫定1位の二宮隊><暫定3位の生駒隊><暫定7位の香取隊>となっている。嫌な予感しかしない。だってもう公平性が揺らいでるもん。何で『別々に説明』ではなく『ネコ隊とその他』で分けたのか。意味が分からないよ。

 情報の制限って事でログデータが見れない原因は分かったけど、何でそんなことしたん? 何でネコすぐはぶられてしまうん?

 

 しかし、ここで文句を思い浮かべても結局は行かなくてはならないので、渋々ながらも俺は時間通りに会議室に向かった。会議室には玉狛の支部長である林藤さんだけがいた。仕事をしているとは珍しい。

 さて、繰り返しにはなるが、現在のネコ隊のチームランク戦のポイントは10である。戦う相手にしても中位がいいとこである。にも拘らず上位チームの戦闘にぶち込むとは如何なものだろうか?

 

「―――よぅ、まずは昨日の第二戦の勝利おめでとさん」

「ありがとうございます。……えっと、林藤さんだけですか?」

 

「あぁ、お前には俺が説明することになってる。他の隊には城戸さんと忍田本部長が説明する」

 

 

 

 一言で言うなら今回の特殊な形式らしきランク戦は『特別演習』という感じだろうか?今回俺の参加するチームランク戦。すなわちROUND3の夜の部はネイバー対策としての形式にするらしい。内容は『遠征中に現地の人型ネイバーが襲ってきた』という設定で、今回俺の対戦相手となるのはB級でも上位に位置するチームになっている。いつものランク戦と違う点は、

 

『ネコ隊以外の勝利条件はMAPの端から端までの規定ルートを通り抜けること。GOAL地点に辿り着けば勝利。戦闘になった際は逃げても構わないが、他の隊員を見捨てる事は禁止』

『ネコ隊はトリオン体が継続不能状態になっても1度だけ再生可能』

『ポイントに関しては、ネコ隊以外のチームにはネコを仕留めると3点加算される。生存点は無し。ネコ隊は通常ランク戦と同様。生存点は有りだが、1度継続不能状態になって勝利した場合、生存点は無しとする』

『ネコ隊以外での争いは禁止(※やったらランクを2つ落とされる)』

『ネコ隊以外の転送位置は(スタート地点)一箇所に集中させ固定とする。ネコ隊は転送のタイミングを自分で決めていい。他の隊がスタートしてから状況を見て好きな場所からスタートしてもOK』

『ネコ隊にMAP選択権があり、弄る事も許可されている』

『制限をある程度設けるが、ネコ隊にはトリオン兵の使用が認められている』

 

「……あのー、人型ネイバー役って、俺がやるように思えるんですけど」

「そうだな」

 

 マジかー。ついに仮想とは言え、人型ネイバーにまでなったか俺。

 

「まだ内緒にしておいてくれるとありがたいんだが、今回の遠征は通常よりも早く動き出すかもしれない。修たちも大変かもな」

「通常を知らないんでそこは気にしてませんけど、何で三雲くんたちが大変なんです?」

 

「早く動くってことは、今期のランク戦を早めに切り上げて、遠征の人員を決めて、その訓練をしなきゃならないからだな。言うだけは簡単だが、実際に城戸さんや忍田本部長は大忙しだな」

 

 林藤さんも仕事すればいいのに。してるのか知らんけど。

 

「ランク戦を早めに切り上げるってことはA級に入り込めるか難しくなってくるし、B級の1位と2位は少し前までA級だった奴らだ。苦労するだろう」

「ふーん」

 

 二宮さんってA級だったのか。根付さん殴って降格とか言ってた……あ、違うか。あれは影浦隊とか言ってた気がする。

 

「まぁそんな中でだ。俺や上層部もそうだが、ネコのサイドエフェクトも迅からある程度聞いてる。隊員達の間でも知れ渡り始めてるとは言え、中々に未知の相手を想定しての訓練と考えると良い人選だろ?」

「え? 俺のサイドエフェクト知れ渡り始めてるんですか?」

 

 いや、冷静に考えるとそうか。1戦目で位置情報を誤魔化したりしてるし、チームランク戦では曲がるライトニングとかは使ってないけど、怪しんでる人は何人か心当たりあるし(那須先輩とか)、ログデータもあるし、大体の想定はされているだろう。

 

「トリオン兵に関しては宇佐美に聞いてくれ。質問はあるか?」

「質問は大体なくなりましたけど、逃げたい気持ちが膨れ上がってきてます」

 

「よし、その意気だ」

「逃げたいんですよ!」

 

 

 

 

 ―――ところ変わって玉狛支部。

 

「―――というわけで、うさみもーん!」

「どうしたんだいネコ型ネイバー君?」

 

 酷い! ここでもいじめるとか酷い!

 

「支部長から話は聞いてるしデータも色々と貰ってるよー。さて、ネコ君に貸し出せるトリオン兵は10ポイント分ってことなんだけど」

「何のポイントですか?」

 

「今期のランク戦の取得ポイントで決めたらしいよ。それで、例えばだけど―――」

 

―――空飛ぶ小型偵察トリオン兵『バド』攻撃力0だけど、生きてる限り広域なMAP情報を提供し続けることが出来る。1体で1ポイント。3体セットで2ポイント。

―――陸戦型斬撃マシーン『モールモッド』壁も登れる出来るヤツ。攻撃力は高い方。1体で3ポイント。4体で10ポイントのお買い得セットもあります。

―――あ、そっれ! 焼っけ野原! 焼っけ野原! 自爆も任せな!『イルガー』……でもお高いんでしょー? はい、高いままです! 1体で8ポイント。

 

 何か次第に説明文がテキトーになってる気がするけど。何となく分かった。あのでかさであの爆発力のイルガーはお買い得な気がするけど、デカイ的だし3チームが連携すればすぐに落ちちゃうだろうなー。

 

「MAPは決めた? MAPも任せてね。その辺は私が担当するから」

「あ、はい。MAPはまだ決めてないです。どこまで弄ったらいいのかもあるんで……あ、オペレーター忘れてた!」

 

「私はROUND3の夜の部に関しては技術班役だからオペレーターは出来ないんだーごめんねー。でも今回のネコ隊のオペレーターは決まってたはずだよ?」

「え? 知らなかったです。探さなくて済んでラッキーですけど、誰だろ?」

 

「ちょっと待ってねー……あー、うん。やっぱり蓮さんだよ」

「蓮さん? 月見蓮さんっすか? ぅー……」

 

「どうしたの?」

「正直、少し苦手なんです……」

 

「凄くいい人だよ?」

「分かってるんです。あれもきっと違うと思うんです……」

 

「アレ?」

 

 そう、アレは遡る事……どんぐらい前だ? 大規模侵攻前に太刀川さん達と合同でやってた模擬戦の終わりの方だった気がする。蓮さんと休憩がてら自販機に向かいながら、蓮さんに戦い方に関して色々と教えてもらってた時に『G(黒くて硬くててらてら光ってて暗くて狭くて湿ったところが好きなわりに速いせーぶつ)』が目の前の通路からやって来たんだ。

 「うわ」って思ったけど、蓮さんが速攻で俺を盾にして小さく縮こまり始めたので、冷静にたまたま少し先に掃除のおばちゃんが居たのを確認して、殺虫剤代わりになりそうなものを借りて『G』を倒す事に成功したのだ。

 「もう大丈夫ですよ」と振り返って蓮さんに言うと、蓮さんは俺をアイアンクローで殺そうと……あれ、やっぱ変だ。何で俺をアイアンクローで殺しにかかるのだよ? 『助かった、中々やるじゃないかボウズ』とアメリカンなダンディ俳優さんかのように撫でてくれようとしたのかもしれない。あの時は、何故か蓮さんの顔が怖かった気がするのだけど、今思えば『G』の恐怖で表情が崩れていたのかもしれない。

 まぁ、それをアイアンクローで殺されると認識して逃げ出した俺も悪いのだけど。あの時は悲鳴を上げて逃げた気がする。あ、完全に俺が悪い。菓子折り持って謝罪と今回のオペレーターの件のお礼を言いにいこう。だって、アレ以来会ってないもん。入院の時の御返しは人伝に渡しただけだもんな。あ、ヤバイ。思い返すほど超失礼だ俺。

 

 

 

 

 

 うさみん先輩に『こんな感じで』って言うMAP構想とトリオン兵は後で決めると伝え、俺は再び本部にやって来た。もう夜である。

 

「あー和菓子で大丈夫かなー。洋菓子の方が好きだったりするのかなー。今度こそアイアンクローかなー」

「うるさいぞ、ここで何をしている」

 

 oh……三輪先輩なんだな。睨まれたネコ状態である。フシャー!

 

「お? ネコじゃん。悪いけど個人戦は明日な。これから防衛任務なんだわ」

「別に個人戦の誘いに来てないですよー」

「ネコか。スナイパーの訓練にも顔出すようにしろよ」

「あ、お疲れ」

 

 きのこたけのこ先輩、じゃねーや。奈良坂先輩と章平も出てきて、本当に今出るとこみたいである。

 

「あら、ネコ君」

「ど、どうもー……」

 

 謝りに来ておいて、何が「どうもー」だこの馬鹿野郎! と、自分で自分を叩きたい挨拶である。蓮さんはオペレーター席に付いて防衛任務開始時刻までまだ少し時間はあるが準備完了といった面持ちである。

 

「えっと……その、まずはごめんなさい!」

「ど、どうしたの?」

 

 大規模侵攻前の模擬戦での一件を伝えると、確かに少しショックだったと笑いながら言われて更に謝罪を重ねた。

 

「イレギュラーゲートも最近はないし、防衛任務もそこまで大変じゃないから、入って。お茶でも淹れるわ……ココアが無くてごめんなさい」

「き、気にしないで下さい! もう飲んできましたから! あ、これ、つまらないものですが」

 

 とりあえずソファーに座らせてもらい、和菓子を渡す。

 

「あぁ『鹿のや』で買ったのね。高かったでしょう」

「気にしないで下さい。ご迷惑をお掛けしてる上に、次のランク戦のオペレーターまでやって頂けるなんて、申し訳なくて。……っていうか、A級のオペレーターさんでもOKだったんですかね?」

 

「そういえば、他のA級のオペレーターの子たちが、ネコ君から声が掛からないって言ってたわね。問題ないはずよ。私も予定が空いてれば呼んでくれて構わないから」

「はい」

 

「それで、今回のMAPとかトリオン兵も決めたの?」

「MAPはもう日本じゃないようなSFな感じにしたいなって思いまして、宇佐美先輩にお願いしてます」

 

「そうね、『遠征中』という設定があるから地球上で言うところの砂漠地帯とかを参考にしてみてもいいかもしれないわね。でも、大前提としては自分が勝つことを考えてね」

「はい。それで、トリオン兵はまだ考え中なんですけど、開けた感じでMAPを弄っちゃうと偵察型は必要ない気もしますし、足止め程度で……ビーム出すやつなんでしたっけ?」

 

「バンダーね。確かに開けた場面ならいいかもしれないけど、私の考えを言ってもいいかしら?」

「お願いします」

 

「まだ推測でしか言えないけど、ネコ君のサイドエフェクトは自分の居場所を誤魔化す事が出来るし、攻撃に関しても少し特殊よね?」

「は、はい……」

 

「多分だけど、相手の不意を衝いたり、誤魔化す系統の超技能か、超感覚に該当すると私は考えているの。別に答えがほしいわけじゃないから、合ってたら参考にしてほしいんだけど、田舎の村の様な場所をMAPとして構築して―――と、こんな感じかしら」

「そ、それで行きます!」

 

「ネコ君、正直なのはいいんだけど、私の考えでサイドエフェクト合ってるって言ってるようなものよ。まだ隠して行きたいなら気をつけるようにしないとね」

「あぅ……はい、気をつけます」

 

「まぁ手遅れでしょうけどね。ネコ君目立つから」

「マジかー……手遅れかー……」

 

 何はともあれ、俺は蓮さんと色々と決めながらMAPをほぼほぼ決めて、トリオン兵も決めるのだった。10人も相手しないといけないからね。不意打ちに撹乱するしかないわけだ。俺はそのまま玉狛支部に戻って、うさみん先輩にMAP変更の件と、トリオン兵の設定を決めた事を伝えるのだった。

 

 

 

 




 というわけで、ちょっと短めだったかもしれませんが、
オリジナル展開という事で、何で10点のくせに、10位よりも上の人たちと戦う事になったかという理由説明会でした。


◆ネコ型ネイバー
『ネコネイバー』『00(ダブルオー)Neko2は2度死ぬ』等々、無駄な事を考えてしまいます。まぁいずれにしても仮想敵としては最悪の存在な気がする。

◇知れ渡り始めているネコのサイドエフェクト
 そりゃ注目隊員だし、おかしな戦闘内容だったりすれば想定されているでしょうし、そもそも隊員スレッドで議論は白熱してるので、それを見てる隊員からすれば、影響を与えるサイドエフェクトとか、誤魔化す系統というのは広まってるかもしれません。

◆次のランク戦夜の部。
 端から端まで行けば良いだけや、余裕やろ。
 うん、そうかもしれないな。お前の中だけではな。

◇トリオン兵使用許可出ました。
 今のところ何を使うかは頭の中で決めてありますが、今回の『例えばだけど―――』には出て来てないトリオン兵を使いたいです。頭痛くなって変更するかもしれません。

◆次のオペレーター月見蓮さん
 綺麗で可愛い。和菓子が好き。ネコ、戦術指南受けます。
虫が苦手。ネコにGから助けてもらった経歴がある。ゴルゴ13ではない。
また、当然ながらアイアンクローなどしない。ネコの被害妄想です。

◇『鹿のや』
 16巻でお披露目となった和菓子屋さん。いいとこのどら焼きもココで買えるそうです。和菓子好きとしては、そそられる内容でした。

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