TALES OF THE ABYSS外伝ーセレニィー   作:(╹◡╹)

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93.方策

 九分九厘まとまっていた方針が土壇場でひっくり返され、振り出しに戻ってしまった。

 ……今現在の彼らの会議の状況を説明するならば、このような形になるのだろうか?

 

 一方で渦中の人となったセレニィは、慌てず騒がず頬に手を当て何やら考え込んでいた。

 

「(さぁて、どっから話したものかなー…)」

「何やら思案中のようですが、セレニィ… 私からひとつよろしいですか?」

 

「あ… はいはい、どうぞ。なんなりとおっしゃってくださいな」

「どうも。……貴女は先程あれだけ持ち上げておいて、その意見を否定するのですか」

 

「おや、そう聞こえてしまいましたか?」

「えぇ。まさか『賛成したと言ったつもりはない』とでも仰るつもりで?」

 

「なるほどなるほど… ジェイドさんはまずそこが引っ掛かってるのですねぇ」

 

 セレニィが考え込んでいると、意見を台無しにされたジェイドの方から口火を切った。

 彼からすればこの世界を救うための行動指針を、彼なりに噛み砕いて説明したのだ。

 

 それがセレニィの急な翻意による、よく分からない横槍によって揺らがされているのだ。

 一言ならず物申したくなるのは当然であるし、理由を問い質すのもまた必然であろう。

 

 そんなジェイドの言葉に対する、セレニィ本人の反応はといえば… 微笑んでいた。

 訝しげな表情を浮かべるジェイドだが、それこそが彼女の待ち望んだ質問であったのだ。

 

「(渡りに船ですねぇ… くふふ、そこをまずハッキリさせようじゃありませんか)」

「……どうしましたか、セレニィ?」

 

「おっと、失礼。そう… 確かに、ハッキリさせないといけない部分ですよねぇ」

「えぇ、ハッキリさせていただけると助かりますね」

 

「結論から申し上げれば、ジェイドさんの仰った内容… 私はまるっと大賛成です」

「ほう?」

 

「……我々は世界を救う崇高な使命を背負っており、決して失敗は許されない」

「先ほど私が語った内容ですね」

 

「えぇ、全く以て仰るとおり! コレについては、皆さんとしても異論はないのでは?」

 

 セレニィが胡散臭い笑顔を浮かべ一同に視線をやれば、皆それぞれ頷きを返してくる。

 まさに『暖簾(のれん)に腕押し』といったところ… 要領を掴ませないままヘラヘラと笑う。

 

 そんな彼女の態度で納得するわけもない。当然、ジェイドは無言のままにその先を促す。

 

「繰り返しますが、ジェイドさんの仰った大きな方針そのものには賛成なんですよ」

「となれば… ダアトを素通りする、という一点についてのみ異があると?」

 

「はいです。これについて、少しばかり話が長くなりますがよろしいですかね?」

「構わないぜ。是非聞かせてくれ」

 

「ま、そーだな。どうせ飯食った後で今も休憩中みたいなもんだし、聞かせてくれよ」

 

 確認を取ればガイやルークを始めとした仲間も頷いて、彼女の話の続きに耳を傾ける。

 ジェイドも機嫌は治ったようで同調している。元々怒りもなかったかもしれないが。

 

 そんな彼ら… 特にジェイドの様子に、セレニィは内心でホッと安堵の溜息を漏らした。

 

「(ふぅ… まずは第一段階突破、と)」

 

 元々セレニィにはジェイドの意見に真っ向反発し、議論を拗らせるつもりは毛頭ない。

 そもそも安全策を採りたいのは彼女の本心だ。それを否定しては今後に差し支える。

 

 それに幾らアニスのためとはいえ、セレニィの行為はただのお節介かつ我侭に過ぎない。

 そんなことで関係に溝を作ってしまっては、真実が露見した折には捨てられかねない。

 

 所詮はうっかり者の三文役者。これまでのようにこれからも凡ミスを重ねるだろう。

 ならばこそ、建設的かつ和やかな議論という体を取りつつ思考を誘導しようではないか。

 

 それこそがセレニィの真の狙い。折衝役と表現すれば聞こえは良いが要は太鼓持ちだ。

 

「私たちの今現在の状況は… うん、『任務』と捉えるのが手っ取り早いですかね」

 

「任務? ……それは私の『ヴァンを殺す』任務のようなものかしら、セレニィ」

「……ティアさんの任務は『第七譜石探索』だった気がするんですが気のせいですかね」

 

「フフッ、そんなこともあったわね。私の事になると詳しいのね、セレニィ」

「ひょっとして… 愛ですの?」

 

「ちーがーいーまーすー! えっと、ティアさんは人類の例外なので置いておきます」

 

 言われるまでもないとばかりにティアとナタリアを除いた全員が頷く。話が進まない。

 出鼻をくじかれる形になって、ややゲンナリとした表情でセレニィは言葉を続ける。

 

「さて… 軍隊において大切なものについてご教示いただけますか? トニーさん」

「ふむ、自分で良ければ… そうですね。なにはなくともまずは物資ですね」

 

「ふむふむ」

「当然、物資の補給を支える兵站も… 優れた指揮官に勇敢な兵士も大切です」

 

「ですねー。全く以て仰るとおりだと思います」

「それから何よりも大切だと自分が考えるのは… やはり『情報』でしょうか?」

 

「はい、そのとおり! たった今トニーさんが大変重要なことを仰ってくれました!」

 

 人類の例外を相手にしちゃうから悪いのだ。話題におけるターゲットは常識人に絞ろう。

 そんな考えのもとにトニーに話題を振れば、彼は期待通りの回答を導き出してくれた。

 

 嬉しくなったセレニィが若干過剰に褒めれば赤くなり頭を掻く。仕草まで常識人だ。

 我が意を得たりとばかりに、セレニィは自慢の口車をフルスロットルで回転させ始める。

 

「イオン様は先程こうおっしゃいましたよね? 『ダアトの現状が気になる』と」

「えぇ、そうですね。僕は先程、確かにそう言いました」

 

「これは極めて重要なこと。敵を知り己を知ればなんとやら、とも申します」

「あ、いえ。そこまで深い意味はなかったのですが…」

 

「直感で何が重要か理解するのも、上に立つ者として必要になる資質ですとも」

「そ、そういうものなのでしょうか… 少し、照れますね」

 

「(はわー…。ほんのり頬を赤く染めて俯いているイオン様、萌え… ふへへ…)」

 

 照れるイオンに萌えて笑顔を浮かべつつも、口の端からほんのり涎を垂らすセレニィ。

 そんな彼女のトリップを中断させるのは、言うまでもなくジェイドその人であった。

 

「情報の重要性は理解しています。ですが、リスクと釣り合っているようには…」

「えへへへ…」

 

「……セレニィ?」

「おっと、失礼。えぇ、『私たちだけ』で見ればその判断に落ち着くでしょう」

 

「なるほどなぁ… そういうことか」

「ふむ、どういうことでしょうか? ガイ」

 

「今、この世界のために動いているのは俺たちだけじゃない。そう言えば伝わるか?」

 

 ガイの指摘したとおり、一行は同じ志を持って活動する面々のうちの一つに過ぎない。

 使命を任務で例えた出来事に沿うならば、いわば『独立行動中の一部隊』だろうか。

 

 もしも自分たちが情報を活かせなかったとしても、それを全体で考えればどうだろうか?

 なるほど、その優位性は数が増えるほどに比例級数的に跳ね上がっていくに違いない。

 

「(ふむ… セレニィの話の骨子はコレですか。確かにダアトに立ち寄る意味はある)」

 

 ダアトの現状について知りたいことは幾らでもある。軍事行動や世論は無論のこと。

 モースがどうしているか、現在の教団の責任者、その方針など喉から手が出るほど欲しい。

 

 ダアトに立ち寄るというリスクをさえ容認できれば、全てとは言わぬまでも手に入る。

 ジェイドは納得した面持ちで顎を撫でると、一つ頷いた。確かに理解できる内容だ。

 

 理解できる内容ではあるが、しかしながら全面的に賛同できるかといえばどうだろうか? 

 そんな彼の心理をまるで読み取ったかのように、セレニィが新たな言葉を紡ぎ始めた。

 

「私たちは重要な使命を背負っています。それは確かに心細いことかも知れません」

「ま、そーだな… それに、なんつーか世界がどうこうなんてピンと来ねぇしな」

 

「えぇ、ですが同時に心強い味方も大勢いらっしゃいますよね? ルークさん」

「おう! セシル将軍にフリングス将軍、それになんたってヴァン師匠(せんせい)もいるしな!」

 

「はいです! みなさん優秀な方々ですからね!」

「しかし、セレニィも肝が据わってるよなー…」

 

「……え? 私がですか」

「おう。だって消滅預言(ラストジャッジメントスコア)のこと知ったのも実はついさっきだろ?」

 

「まぁ、それはそうですけど…」

「なのに大して取り乱したりもしねーで、落ち着いて方策を考えてさ…」

 

「………」

 

 押し黙ったセレニィに対し、「俺なんて結構動揺したもんだぜ」とルークは微笑んだ。

 

「(一体、こいつは何を言っているんだ…)」

 

 セレニィは訝しんだ。

 

 動揺は目一杯している。世界が崩壊するのだ。崩壊したら死んでしまう。百も承知だ。

 しかし、しかしである。泣き喚いて悲嘆に暮れたところで何か解決するのだろうか?

 

 ウザいと殴られたり最悪捨てられて終わりだ。世界崩壊を待たず野垂れ死に確定である。

 そもそもセレニィは雑魚である。熊に襲われてもミュウがいなければ軽く死ねるのだ。

 

 大地が崩壊しようが空が落ちてこようが、どちらにせよ死ぬのは変わりがないのだ。

 この世界がデッドリーなのは今に始まったことではない。諦めの境地にも至ろうものだ。

 

 考えても仕方ないことは放置して、保身のため今に全力を尽くすのがセレニィなのだ。

 

「いやいや、怖いですって。でも今更ビビッちゃってもしょうがないですよね」

「フフッ、勇敢なのね。セレニィは」

 

「とーぜん! セレニィ、ママに認められるくらい勇敢で優しいもん!」

「(ホラ、ゴリラが余計なこと言うから大天使が勘違いしちゃったじゃないですか…)」

 

「ははっ、そういえばそうだよな。……今更だよな」

 

 なんだかおかしな方向に話が進み始めている。違う、今重要なのはそこじゃない。

 そんな焦る内心を押し隠しつつ笑顔を浮かべて、話の軌道修正にとりかかった。

 

「ま、まぁ話を戻しますよ。私たちには志を同じくする心強い仲間たちがいますよね」

「はいですのー!」

 

「その中でも、最も危険な任務についているのはどなたでしょうか? ルークさん」

「俺たちも含めて全員それなりに危険だけど… 一番はやっぱり師匠(せんせい)じゃねーかな?」

 

「ほほう、それは何故でしょう?」

「そりゃモースってのがいるトコに突撃するわけだから… あ、そういうことか」

 

「えぇ、先程ガイさんが仰ったとおりダアトは敵地同然。そのリスクは計り知れません」

 

 だからこそ、ここで情報を集めることはヴァンたちのリスク軽減にも繋がるのである。

 その事実にルークも気付き、納得顔で頷いた。セレニィはジェイドに言葉を向ける。

 

「情報の共有・学習こそが群体の強み。リスクを許容するだけの価値はあるかと…」

「なるほど… ですが、それで我々が危険に晒されては意味が無いのでは?」

 

「確かにそうですが、逆に考えれば『今しか好機がない』とも言い換えられます」

「ふむ、どういうことでしょうか?」

 

「アクゼリュスが崩落し、モースさんは一時的にですが我々を見失っているはずです」

「確かにそうでしょう。我々は、ティアとヴァンがいなければ助からなかった」

 

「注意を払うにしても、まずはタルタロスなど軍艦に目が向けられると思います」

「えぇ、我々がこの少人数で動いていることは我々自身にとっても想定外ですしね」

 

「そう、今しかないんです。後手後手に回ってきた私たちが、先手を打って動けるのは」

 

 セレニィはそこで言葉を区切り、ジェイドのみならず仲間の面々一人一人を見詰めた。

 そしてダメ押しの言葉を力強く解き放つ。

 

「私たちは確かに、世界を救うという他に替えられない重要な使命を背負っています」

「………」

 

「しかし、だからこそ仲間と助け合う『絆』が重要になるのではないでしょうか?」

「………」

 

「世界のための犠牲? ちゃんちゃらおかしいです。全員無事に笑顔で再会しましょうよ」

 

 セレニィはちょっぴり良いこと言ってやったという気分で、ドヤ顔で言ってのけた。

 それは如何なる偶然か、会議の席でヴァンが全員に向けて言った言葉と酷似していた。

 

 やはり互いに近親憎悪をする間柄なだけあって、どこか波長が合うのかもしれない。

 あれこれ策を巡らすのに、肝心な局面でうっかりが発動して足元を掬われる辺りとか。

 

 そして、しばしの沈黙。

 

「へへっ… だよな。難しいかもだけど、それをやってこその『俺たち』だよな」

「あぁ、ヴァン謡将も言っていたよな。全員無事にまた会おうって」

 

「えぇ、それで肝心のヴァン謡将をフォロー出来なかったら本末転倒ですもの」

「セレニィの言うことだもの。言うまでもなく、私は全面的に賛成するわ」

 

「はい。世界を救うなら、自分も全員救うくらいの気概は持つべきでしょう」

「うーんとね… アリエッタも、みんなと笑顔でまた会いたいな!」

 

「ダアトとも話し合いで解決できるかもしれません。僕は、そう信じたい」

「う、うん! きっと、きっとできますよぅ! だってイオン様はイオン様だもん!」

 

「ですのー!」

 

 そしてジェイドがやれやれとばかりに肩をすくめ、「降参ですよ」と淡く微笑んだ。

 かくして『方針』はブレぬままに、しかして『方策』は総意を以て変更が決定された。

 

「(よっしゃー! セレニィさん、大勝利ー!)」

 

 セレニィは小さくガッツポーズをする。

 そしてそんな内心などおくびにも出さず穏やかな笑顔を浮かべつつ、言葉を続ける。

 

「みなさんのおかげで実りある建設的な議論ができました。ありがとうございます」

「そんな… アタシは別に何も。全部セレニィのおかげじゃん!」

 

「それは違いますよ、アニスさん。ガイさんの指摘やアニスさんの意見…」

「い、いや俺はただ思ったことを言っただけで…」

 

「それにトニーさんの解説やルークさんの分析に、イオン様の閃き…」

「じ、自分もですか?」

 

「その他諸々ひっくるめ、ジェイドさんの提案という土台があったからこそです」

「ふむ… そうまで言われては、否定する方がかえって器を小さく見せますね」

 

「全部みなさんのおかげです。私は『その場』をなんとなーく作り出したに過ぎません」

 

 アニスの言葉に対して、やんわりと自分は議論の場を作っただけと否定するセレニィ。

 その本音は以下のとおりである。

 

「(いやいや、ないから。『責任者』とか『中心人物』とかノーサンキューですから)」

 

 単に、自分が今後の方策決定における責任者になってしまうのを避けたいだけである。

 そもそも自分のようなうっかり者が考えたこと。どこに抜け穴があるか分からない。

 

 万事適当に行き当たりばったりで生きている人間に、重要なプランを任せられるのか?

 答えはNOである。……悲しい哉、この世で自分ほど無力で信じられぬものはない。

 

 それが、雑魚がこのデッドリーな世界… オールドラントで学んだ教訓の一つである。

 

「だから今後もみなさんで意見を出し合って、みなさんで決めましょうよ。ね?」

「全く… すぐ謙遜するのね、セレニィは。まぁそこも可愛いんだけど!」

 

「(またゴリラがなんか勘違いしてる… まぁ、今は多分無害だから放っておこう)」

 

 笑顔でそう締め括るセレニィに一同は何も返せず、いい雰囲気のまま議論は終了した。

 ……全員騙されている。

 

 

 

 ――

 

 

 

 ふとそこでジェイドが口を開いた。

 

「そういえば、ダアトに立ち寄ることにもはや異論はないのですが…」

「ですが?」

 

「この人数だと些か目立ちませんかね? イオン様はマントで顔をお隠しするにしても」

「あぁ、それでしたら私に良いアイディアがあります」

 

「ほう?」

 

 セレニィの提案は、ダアトに土地勘のある三名を中心に3つのグループに分けること。

 即ち… イオン&アニス、アリエッタ、ティアらの3グループへの振り分けである。

 

 確かにそれなら無駄に目立つことはないし、手分けしての情報収集も可能。妙案だろう。

 ただ一つ難点をあげるとすれば…

 

「ただどうしても、宿で約十名の人間が顔を寄せ合うのは避けられませんねー…」

「ふむ、ですが望めばキリがないのも事実でしょう。ここはよく注意するしか」

 

「あ、あのさ!」

「おや、どうしたんですか? アニスさん」

 

「だったらさ、ウチに来ない? ちょっと狭いけど人数分ならなんとか…」

「……良いんですか?(ひゃっほい! 美少女のお家にお呼ばれキター!)」

 

「へーきへーき! みんなならもちろん大歓迎だよっ!」

 

 唐突に降って湧いた嬉しいイベントである。これは否が応でも盛り上がるというもの。

 あとはグループ分けについての場で、得意の口車でティア組を回避するだけである。

 

 セレニィがかように考えていると、そんな内心を知ってか知らずかジェイドが口を開く。

 

「イオン様の護衛には私とトニーも加わりましょう。アニス、案内を頼みますよ」

「えへへっ! 任せて下さいよぅ、大佐」

 

「微力ではありますが、自分なりに力を尽くさせていただきます」

 

 考え込んでいる隙にドンドン外堀が埋められていっている。気のせいだろうか?

 

 ……無論、気のせいではない。

 素早い決断力が求められるこのような状況で遅きに失するのが、セレニィの欠点だ。

 

「(あ、あれ…? いや、まだだ。大本命である大天使アリエッタさんが!)」

 

 そしてナタリアが友人としてティアと同行することを望み、ティアもそれを快諾する。

 ボケッとしている隙にデンジャラスゾーンが形成されている気がする。近付きたくない。

 

「な、なぁルーク… 俺と一緒にアリエッタに案内を頼んでくれないか?」

 

「へ? 別に構わねーけど、なんでだよ」

「流石にティアとナタリアの組は怖くて… アリエッタくらい小さいなら視覚的にまだ」

 

「はぁ、はぁ…(愛を囁き合う麗しき友情… 感動ですわ!)」

 

 小声でルークに囁きかけるガイ。そんな二人を見詰めるナタリアは息を荒げている。

 その視線に寒気を感じて、ルークはナタリアから一歩間合いを離しながら答えた。

 

「お、おう… いいぜ。俺もちょっとナタリアの視線が最近こえーしな…」

「ありがとう! やっぱりおまえは俺の一番の親友だよな、ルーク!」

 

「だぁー! もー、いちいち抱きつくなっての! ウゼーんだよ! 離れろって!」

 

 ナタリアは優雅な笑顔のまま、喜びが鼻血として溢れ出てきそうな勢いである。

 腐女子に餌を与えてはいけません。

 

 そして気が付けば… 残るはセレニィとミュウだけになっていた。

 

「……あれ?」

 

「さ、セレニィ… 私たちと一緒に行きましょう」

「フフッ、準備はよろしくって? セレニィ」

 

 そのままセレニィは透き通る青空を見上げて、つぶやいた。

 

「チェンジで」

 

 ……当然、その要求は通らずダアトに引き摺られていく一人の少女の姿があったという。

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