IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第93話

一夏と少年は目的地に向かうために歩き続けて20分が経過したがいまだに目的地は見えてこない

すると一夏は少年に対し

 

「なぁ、本当にこの道で合ってるのか…?」

 

「はい合っています。方角も間違いありません」

 

少年は手に持った方位磁石を見つめながらそう告げる。

彼の持つ方位磁石にも魔術的な加工がされており、道に迷って目的地に到着しないと言う事態は回避されるようになっている。

すると少年が一夏に

 

「そう言えば織斑さん、元々はIS学園に通っていたそうで」

 

「あぁ。ちょっと向こうで色々やらかしてこっちに来たんだけどな。それがどうかしたか?」

 

「いや、IS学園ってどういう場所なのか気になりましてね。僕もISについては最低限の知識しか持ち合わせていないもんで、実際に通っていた人の話を聞きたいなーって思ってたんですよ。」

 

「そう言う事ね…そうだなぁISに関する授業が多いくらいで後は普通の高校生の勉強だぞ。施設が無駄に豪華なのも特徴だな」

 

一夏は自分がIS学園にいた際に感じた事をそのまま少年に伝える。

すると彼はその話に感心しつつ

 

「へぇー、あとはうちの国の候補生が二人ほど在学していますよね。どうでした織斑さんの印象は?」

 

「二人?おれは一人しか知らないな…ってか同じクラスだったし。印象は…余計なひと言が多い時も有るけど基本的には良いやつなんじゃないのか?クラスでも浮いてるって訳じゃなかったし」

 

一夏は自分のクラスメイトのセシリアに対しての評価を告げる。なぜ一夏がもう一人の代表候補生、サラ・ウェルキンを知らないかと言うと、理由は簡単会った事が無いのだ。彼の知っている上級生と言うのはクラス対抗戦で実況を行っていた天野瑞希や新聞部の黛薫子、クラスメイトの布仏本音の姉の虚、それに学園都市まではともに行動していた更識楯無しか知らないのだ。

するとそれを聞いた少年は

 

「そうですか。オルコット家の娘の方は僕もプライベートで一度だけ会った事が有りますが印象道理ですね。コミュ障と言う訳ではないので友人も多いですね。まぁ彼女にしたいかと聞かれると微妙ですが…ウェルキンの方は武術にたけていると言う感じですね魔術も何も知らない一部メディアでは英国の女騎士とも言われています。性格も良いですし同性異性共わず人気が有りますね」

 

彼女たちに印象をそう告げる。彼がここまで語れる理由としては二人の代表候補生就任式の際に必要悪の教会の魔術師を建物周辺に配置しており彼もそのメンバーだったのだ。彼の役目は有事の際に、彼女たちを建物から安全に避難させることであり、その一つの手順として身分を偽り彼女たちと会話をしたこともあるのだ。セシリアの場合さらに彼女の両親が死亡した事故についての調査の際に会った事が有りその時にも2,3言だが話した事が有るのだ

すると一夏は内心

 

「(となると入学初期のセシリアはちょっと調子に乗ってたと言う事か。まぁアレが素なら選ばれるわけないか…)」

 

そんな事を考えていると不意に彼は足を止める

すると少年は

 

「どうかしました…?」

 

「どうやらお出迎えが来たようだな」

 

彼はそう言いながら正面を見据える。するとそこには村の入り口が有り、さらにその前を塞ぐように数人の男が立っていた。

 

少年は小声で

 

「…なんか目が怪しくないですかね、嫌な予感がするんですが…」

 

そう言い終わるのと同時に目の前の男たちはいっせいに銃を取り出す。大きさや形はバラバラである。

さらに遠くから笛の音が聞こえてくると男たちはいっせいに銃口を一夏達に向ける。こうなると間違いなく発砲してくると言う事は容易に想像できる。

する一夏は少年の手を取ると

 

「とにかく隠れるぞ!!」

 

そう言い近くの木に身を隠すのと同時に男たちは発砲する。

男たちの銃は連射が出来るモデルらしく凄まじい弾幕が彼らを襲う。

流石に着に隠れるだけではまずいと判断した一夏は、腰に掛けてあるペンタクルに”天使の力”を込め巨大な岩の剣を目の前に落としその後ろに隠れる。

すると一緒に隠れた少年は

 

「よそ者の僕たちを見た瞬間にいきなり発砲って昔日本で発売されたゾンビゲーか何かですか!?」

 

「よく知ってるね!多分さっきの笛の音が攻撃の合図なんだろうよ、洗脳して笛の音が聞こえたら銃を討てみたいな感じでさ!!」

 

「でしょうね、まぁこの手の輩ってのは弱いから他人の力を借りますからね。さてどうやって村に突入します?」

 

少年は一夏にそう尋ねる。確かにこの場に居るのは意味が無い。

一夏も分かっている。しかし目の前にいる人たちは洗脳された村人。さすがに彼らに対し攻撃を当てることには罪悪感を感じてしまう。とはいえこうして隠れていては何の意味もない。

すると一夏は少年に対し

 

「足は速い?」

 

「へっ、足ですか?結構速い方ですね。とは言っても銃弾をかいくぐれるほど速くは無いですが」

 

少年の言葉を一夏は聞くと腰から短剣を取り出しそれを右手で持つ。

しかし少年は一夏に対し

 

「織斑さん、貴方がここで魔術を使うのはマズイです。本命の魔術師にあなたの戦法が露呈してしまう。…ここは僕に任せてください。」

 

そう言うと少年は鞄から小さな紙を取り出す。そしてそこには小さく文字が書かれていた。

そして少年がそれを小さく丸めそれを投げる。

すると付近一帯に甲高い音が走る。すると男たちの動きが止まり

 

「織斑さん、今です!!」

 

「分かった!」

 

先ず一夏が戦闘になり、その後を少年が追いかける形になる。

一夏達は素早く村の中に侵入する。侵入と男たちが動き出すのはほぼ同時だった。

そして彼らは目の前にあった民家に侵入する。鍵はかかっておらず不用心だと二人は思った。

そして侵入するとそこには人がいないがテレビやソファのような生活用具がある事から少し前までは人が生活していた事が伺える。

 

すると少年はテーブルの上にあったノートのようなものを読んでいる。

それを見た一夏は

 

「なんか書いてあったか?」

 

「えぇ。村の地図なんですが所々に赤いバツ印が。後この先にある倉庫に二重丸が書いてあります」

 

「この先って…あの赤い屋根の建物か?」

 

一夏はカーテンをわずかに開き先にある赤い屋根の建物を指さす。

付近には誰もおらず突入するには最適である。

 

すると少年は

 

「あそこですね…どうします?突入しますか?」

 

その問いに一夏は

 

「もちろん。何か手がかりが有るかもしれないしな」

 

「そうですね。では行きましょうか」

 

二人はそう意気込むと民家を出た後、注意を払い倉庫まで向かう。

途中で交戦する可能性もあったがどういう訳か誰とも遭遇しなかった。

誰も居ないのか待ち伏せされているのか分からないが、彼らにとっては好都合である。

 

そして倉庫の前に到着する。すると少年は

 

「鍵がかかっていますね…鍵を探しに行きますか?」

 

「必要ない。これで焼き切ればいいだけだ」

 

一夏はそう言い、短剣に炎を纏わせると丁寧に鍵を破壊し、ドアを開ける

すると目の前には

 

「なっ…!?」

 

「どうしました…ってえっ!?」

 

十字架に縛られた少女がいた。衰弱しているようだがまだ生きていることを彼らは確認すると素早く走り、

 

「大丈夫か!?」

 

一夏の問に少女は

 

「…何とか…とりあえずこの鎖外してもらえるかしら?貴方たちなら触れても何の問題もないから」

 

彼女の言葉に後ろにいた少年が

 

「分りました。少し待ってて下さい。織斑さん少しの間この子をお願いします」

 

少年が一夏に言い話すと十字架の後ろに回り込み作業を始める。

そして一夏は少女に

 

「えっと…君、名前は?」

 

「…ジュノン」

 

「そう。でジュノンさんどうして君はこんな所に…?」

 

「それは…」

 

「外れましたよ!!」

 

彼女の声と少年の声は同時であった。

だからこそこのような事が起きたのだろう。

 

目の前にある十字架は高めに設定されており彼女は一夏より高い位置にいたのだ。

そして少年は鎖が下で纏められていることからそこを外そうとした。そして十字架は人を括り付けるほどの大きさである事から一夏達の体制が見えない。

そのような状態で全ての鎖が外れた場合どうなるか。

 

一気に拘束が解け、彼女は倒れるように落下する。そして一夏はそれを慌てて受け止めようとする。

普段の一夏なら冷静に受け止められたかもしれないが今回はそうはいかない。

もたついたため、上手く受け止めることは出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果

 

「…ッ!!」

 

「ン…!!」

 

「あらら…」

 

一夏とジュノンは出会いがしらにキスをしてしまい、ジュノンを抱きかかえる状態で地面に衝突

それを少年は顔を赤くして見つめるのであった。


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