IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第8章 英国到着 トップは…女狐?
第90話


 

「ようやく着いた…」

 

一夏が飛行機から降り最初に口にした言葉だ。

一夏は”使徒十字”の事件解決後、学園都市で治療しているステイル達より一足先に飛行機でロンドンに向かったのだ。

飛行機の中で一夏は通信用霊装を使いティナに対し事件の解決とこれからイギリスに向かう事を伝えると彼女は一夏達の無事を安堵していた。そして彼女は一夏に対しイギリスについても味方から命を狙われることは無いと言う事を告げられた。

そして現在彼はロンドンにある空港にいるのだが…

 

「ふぁーだるい…時差ボケか?」

 

何せ日本からイギリスに向かうのにかかる時間はおよそ13時間だ。

普段日本で生活している一夏に取ってみれば飛行機での長距離移動と言うのは慣れないもので疲労もたまっている。

とはいえこのまま空港で何もせずに立っているわけには行かず、ひとまず足を動かそうと考える。

そして歩こうとしたその時

 

「ようやく来ましたか。」

 

そう言いながら彼の前に現れたのは彼と同じく必要悪の教会に所属している神裂火織であった。

彼女は服装はそのままだがいつも持ち歩いている武器の日本刀は持っていない。さすがに空港近くで武器を目立つ武器を持ち歩くと言うのはマズイと考えたのであろう。

そして彼女は一夏に

 

「全く、貴方は何時も厄介事を起こしてくれる」

 

「まぁそれに関しては完全に俺のミスです。今更言い訳するつもりはありませんよ」

 

彼はそう言う。彼女もその事件に関してはあまり深くは聞こうとはしなかった。

事件の真相を知っている物も居るためあまり強く言えなかったの言うのが真相だ。

すると彼女は彼に

 

「それでは行きましょう。最大主教があなたに会いたがっています」

 

「そうですね…やっぱり怒ってますかね?」

 

「さぁ…私から見た限りではそうは見えませんでしたね。むしろ楽しんでいるように見えましたが」

 

彼女はそう告げる。イギリス清教のトップであるローラ=スチュアートと言う人物は評価の難しい人物であるために彼女たちは客観的にローラを判断することが出来ないのだ。

そして彼らは地下鉄等を使い彼らの本拠地である聖ジョージ大聖堂に向かう。

地下鉄を降り街並みを歩いて移動し続けていたが、歩き続けていると目の前に非常に大きな建物が有るのに気づく。すると彼女は

 

「着きました。ここか聖ジョージ大聖堂です。中に入れば後は道なりに移動してください。その奥に最大主教が居るはずです。」

 

「一人で歩き回って大丈夫ですかね?」

 

「大丈夫です。それでは私は所用が有るのでここで失礼します」

 

そう言い彼女は彼の目の前から消えてしまう。彼女は聖人でありいろいろ忙しいのであろうと彼は思う。

そうして彼は門をくぐり中に入るのだが

 

「(うおっ…大量のセキュリティ魔術と拘束具でいっぱいだ。なるほどこりや一人で歩いても良いっていうのも納得だな。下手をすりゃ自分もまきこまれてお陀仏だな)」

 

大聖堂の中には一夏が気づいただけでも30弱の魔術的なセキュリティや拘束具が配置されておりこの中で下手な行動を起こせば自分がまきこまれると言うのは容易に想像できた。

中は魔術的な製品が大半を占めてはいるが途中途中に科学の製品が配置されている。科学の製品としては蛍光灯や人を察知し自動で電気がつくと言った物だ。

彼が歩みを進めていると

 

「そこを左に進むのよん♪」

 

「!?」

 

何処からともなく女性の声が聞こえる。左と言ってもそこには壁しかないため彼は不振に思いつつ手を触れると手が壁をすり抜ける。

 

「カモフラージュって事か…しかも相当行動な術式だな。全然気が付かなかつた」

 

そう言いつつ彼は壁を通り抜けるとそこには新たな道が存在していた。

罠と言う事も考えられるため彼は索敵術式を展開しいつでも霊装を取り出せるように準備しながら歩みを進める。

その後もどこからともなく”右”や”左””そのまま真っ直ぐ”など彼を案内するような声が響く

流石に一夏も

 

「(誘い込まれてる!?この先には何が有るんだ…出口…トラップ…何が出るんだ…?)」

 

そうすると出口が見えてくる。目の前にあるのは大きな扉。

声も響いて来ないと言う事はここを開けろと言っているようなものだ。

 

「(さて、鬼が出るか、蛇が出るか…!!)」

 

覚悟を決め、ドアを開けるとそこは非常に広い空間でありその中に一人の女性がいた。

髪は金髪であり、容姿だけで言うのならば20代前半の女性がその場にいたのだ。雰囲気もどこか神秘的なオーラを纏っている。

一夏もこの女性の正体は分からないが纏っているオーラからただものでないと言う事は簡単に判断できたため気を引き締める。すると彼女は

 

「よく来たな。織斑一夏。私はお前を歓迎するぞよ」

 

どこか個性的な口調で有ると彼は思う。それと同時に彼女が英語を話さなかったことに驚く。

ここはイギリス清教の本拠地でありステイルと言った例外を除いてはほぼ全員が英語を話すと彼は考えていたため気が抜けてしまう。

しかし彼女は彼の態度を気にせずに言葉を続ける

 

「神裂やステイルからすでに聞きたりしものとは思うが我が名はローラ=スチュアート。イギリス清教の最大主教であろうぞ。」

 

彼女は簡単にその名を告げた為、一夏も一瞬唖然とするがすぐに

 

「織斑一夏です…えっと…お初にお目にかかります最大主教…」

 

自己紹介をするがあまりにも予想外の出来事なため何を話していいか分からずあたふたしてしまう。

すると彼女はそれを見ると笑いつつ

 

「今はそんな堅苦しい事は言う必要はないと思うて。ほれ一緒に茶でもしとろうではないか」

 

随分と個性的な日本語を話す人物だなと彼は素直に思ってしまう。

しかし彼の印象と言うのはまだまともであり彼女の日本語を聞いたメンバーは馬鹿口調等々言いたい放題批判している。

一夏がそう言わないのは初対面である事や以前アニエーゼの日本語も聞いており、日本語は難しいと彼は思っているからだ。

 

 

一夏とローラの出会いは何ともいえない微妙な空気であった。

 

 




90話でようやくイギリス篇…更新ペースは上げたいんですが…ネタがうまくまとまりません
マジで高校の時の古文の教科書を見直そうかと考えています…

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