IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第3話

試合終了後一夏はピットに戻ってきたのだが、戻ってきた彼を待っていたのは千冬からの辛辣な言葉だった

 

「よくもまぁ、あれだけ言っておいて負けるとはな馬鹿者」

 

「辛辣なお言葉ですこと」

 

彼らがそんなやり取りをしているとなぜ一夏が負けたのか理解できなかった箒が

 

「織斑先生、どうして一夏は負けたのでしょうか?」

 

「織斑の機体の能力を使用するにはかなりのエネルギーが必要なんだ、それで攻撃が当たる瞬間にエネルギーを使い尽くしたんだ。あの機体はよく言えば攻撃特化の機体、悪く言えば欠陥機と言う訳だ」

 

そんなやり取りが彼女たちの間であったのだが、千冬の横にいた麻耶がすかさずフォローを入れる

 

「でも、代表候補生相手に織斑君はよく頑張りました、自信を持っていいと思いますよ。それとコレが専用機を持つにあたっての必読事項がまとめられた本ですので、目を通しておいてくださいね」

 

そうして麻耶は一夏に、電話帳ほど分厚くはないが、そこら辺の教科書よりは厚い本を一夏に手渡す

 

一夏達はその後解散し、部屋に戻って行った

 

その頃セシリアは自室で一人考え事をしていた

 

「(最後の一撃、もしあれが当たっていれば私は負けていましたね、それにあのような練習であそこまでやれたのですから、もし彼がまともな練習をしていた場合、この勝負の結果は変わっていましたよね・・)」

 

彼女の場合一夏がまともにISに乗っていない事を知っていたのだ。それは別に一夏の事を陰ながらに偵察していたのではなく、彼女の耳にも自然と一夏の現状が入っていたのだ。

なので彼女はこの勝負の結果で自分が代表になる事には納得して居なかったのか、彼女はあることを思い、職員室へと足を運んで行くのだった

 

そして次の日、朝のSHRで麻耶がクラス全員に

 

「クラス代表は織斑一夏君に決定しました」

 

そう言うと一夏は

 

「先生、俺は昨日の勝負に負けたんですが」

 

「あぁ、それはですね…」

 

麻耶が言葉を発する前に後ろから

 

「それは私が辞退したからですわ!!」

 

そう言い、さらには

 

「私もあの時に男の事やこの国の事を悪く言ったのを反省しましたの。それにあなたはあのような状況の中でも私とやり合えたのですから、このクラスの代表にふさわしいと判断したのですわ」

 

彼女がそう言うと一夏の特訓の惨状を知っている女子たちも彼女の言葉に静かにうなずく。

それを聞いていた一夏も

 

「(成る程な、あの時も思ったがセシリア場合、余計なひと言が多いだけで根は良いやつなんだな。)」

 

彼女がそう言い終わると千冬が

 

「クラス代表は織斑、これで文句はないな」

 

そしてその言葉に全員が納得したため、クラス代表は一夏になった、そして授業の休み時間に今晩、学食の使用の許可を取り一夏のクラス代表就任記念パーティ兼一組の親睦会が開かれることも決まった。

 

そしてその日の夜

 

「織斑君、クラス代表就任おめでとう!!」

 

その一声とともにクラッカーを鳴らし、パーティが始まった。

そうすると一夏の横にいた箒が

 

「人気者だな、一夏」

 

「まぁせっかくのパーティなんだしそんなにカリカリするなよせっかくのパーティなんだからお前も楽しめばいいだろ」

 

箒が不機嫌そう言うが一夏は気にせず箒にもパーティを楽しむように進める、そして一夏はメモを届けてくれたメンバーである鷹月、谷本、布仏、相川と言ったメンツがいるのを確認すると一夏はいったん席を外し彼女たちの方に向かい

 

「みんな、メモ、ありがとなすごく助かったよ」

 

一夏がそう言うと、

 

「いやいや気にしなくていいわよ」

 

「さすがにあの特訓を見たら放ってはおけなかったし」

 

「そうそう、困ったときはお互い様だよ、おりむー」

 

「私達、クラスメイトじゃない」

 

と彼女たちが言ってきたところで、一夏は疑問に思ったことを言う

 

「でも、どうして俺の特訓の事を知っていたんだ?アリーナに入ってないってだけじゃないよな?」

 

と一夏が問うと、相川が

 

「えっとね…織斑君に前声をかけてくれた先輩がいるじゃない?あの人私の中学の先輩でね、織斑君に誘った時に断られたんだけど、実は陰からこっそりとついていって、どんな特訓をするのか見ていたらしいのよそれで、、そしたらISも使わずに剣道しかしてなくて、それで私にその事を教えてくれたのよ、そしてそれを聞いた私がこっそりと癒子や静寐、本音に相談してメモを渡すことにしたのよ。それに、織斑君が剣道している間、私達2回訓練機使えたから、それでメモを書いたの」

 

さらに続けるように谷本が

 

「それに私達、織斑君がアリーナに来たら譲るつもりだったのよ。」

 

「そうか、本当にありがとな皆」

 

そう一夏は改めて彼女たちにお礼を言う、その後相川にその先輩の名前を聞き、後日お礼に行くことにした。

 

その後一夏は彼女達と別れ、箒達の居る所に戻ると、一人の女子生徒が一夏のもとにやってくる、リボンの色からして2年生だと判断した。

そして女子生徒は一夏に対し

 

「私の名前は黛 薫子(まゆずみ かおるこ)新聞部の副部長よ。それじゃぁ早速インタビューさせてもらうわね」

 

「はっ、はいよろしくお願いします」

 

一夏は彼女のペースの速さについていけずに、一夏もつい早口になってしまう

 

「それじゃぁ早速なんだけど、クラス対抗戦に向けての意気込みをどうぞ」

 

「えっと、優勝目指して頑張ります!…で良いですか?」

 

「うーんまぁ普通すぎるけど、いいわよ、それじゃぁ次の質問なんだけど自分のクラスをどう表現する?」

 

彼女のその質問に、場の雰囲気が固まる、それもそうだこの質問の返答によって一夏がこのクラスをどう思っているのかが分かるのだから

そしてそれを聞かれた一夏もこの質問には驚いていたが一呼吸おいて

 

「えっと、みんな思いやりがあってすごくいいクラスです、俺一組でよかったって思ってます」

 

そう、さっきのクラスメイトの事や、パーティの事などを踏まえての正直な感想だった。このパーティの最中も箸の使い方がいまいちよくないセシリアに対し、クラスメイトの一人が教えていたことなどもある

 

「おぉー言い回答ね」

 

その一言が示すように、それを聞いたクラスメイト達も笑顔になっていた、そしてその日は自室に戻る時間ぎりぎりまでパーティが開かれた

 

 

そして一夏と箒も部屋に戻ると最初あれだけ乗り気ではなった箒もなんだかんだでパーティを楽しんで疲れたのかすぐに寝てしまう

 

「(箒の奴なんだかんだで楽しんだんじゃないか。)」

 

そして一夏は寝ようとすると今日は珍しく、ティナから通信がはいる

 

<どうした、ティナ?>

 

<一夏、悪い知らせよ。今さっきここの結界に魔力の込められた何かがあたったわ。大した威力じゃないから破られずに済んだけど、これでこちらにも魔術師がいると言う事が知られたわ。>

 

<なっ!どこの魔術師だよこんな時間に!?>

 

<わからないわ、とにかくいったん寮から出るわよ私も一足先に出て準備するからあなたもすぐに来て!!>

 

<わかった>

 

そうして一夏は短剣を取り出すと、箒に気づかれないようにゆっくりと部屋を出て、その後も気配を消しつつ寮から出て行った。


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