一夏は土御門を探すため簡単な索敵術式を使用する。
彼が最近になり開発した索敵術式、それは4大天使の一つである神の力(ガブリエル)を利用した方法だ。この天使は伝令の天使としても知られておりこれを応用した術式を開発したのだ。
方法として神の力は水の象徴であることから水の象徴武器の杯を置きその杯を中心にし簡単な魔方陣を描く。精度を上げたければさらに複雑な魔法陣が必要であるが彼はまだそこまでの技量が無いため簡単な魔法陣を描く。後はそこに魔力を込め、杯から水が出現し土御門のいる場所が一夏に送られて来れば成功だ。水が流れれば本来なら不審に思われるが今は大覇星祭期間中、多少の水の流れなど気にはしないだろう
「(本来なら神の力は直感操作とかも出来るけど…生憎それはまだ出来ないからな…こうして地道に探すしかないか…)」
そうして彼は杯を観察していると杯から水の雫が出現するとそれは一つの方向を示しその方向へと飛ん行く…はずなのだが水はその場で浮いたきりだ。そしてこの状況を見た一夏は一つの考えに至る。それは
「(まさか…結界!?オリアナの奴、魔力の流れを断ち切るような類の奴の結界かしかもこの様子だと”中から外”は勿論”外から中”に干渉することも出来ないか…こりゃ本格的に手詰まりだな…)」
一夏はそう思っているとしばらくした後土御門から連絡が来る
彼は一夏に対しオリアナとの戦闘の結果、理派四陣が破壊されそれに必要なオリアナのページすら破壊されてしまった事を告げる。すると一夏は
<すまん…俺の術式の制度が有ったら結界なんて無視できたのに…>
<気にするな。…お前の術式は動いている人物を追えるのかにゃー?>
<複雑なやつもあるがそれは準備もそうだし、何より禁書目録に感づかれる可能性が有る。そうなると不味いんだろ。>
<あぁ。今上やん達にも連絡して同じことを伝えた。俺もセキュリティの方に潜ってみる、もしかしたらオリアナが映ってるかもしれないからにゃー>
<わかった>
一夏はそう言い電話を切る。土御門が居るのは第5学区の地下道。そしてその近くには隣の第7学区へと延びる地下鉄が有る。一夏は時刻表で地下鉄の時刻を確認すると、地下鉄の駅に向かう。今はそれしか手がかりが無いのだ。上条たちとは後で合流することにする
するとその途中ステイルからメールが来る。彼からのメールと言うより転送されたメールであり、文面には{Vi riporto qua le informazioni…}画面にはそのような文字が表示される。
「(なんだこれ…英語じゃ…無いよな。オルソラからの報告…って事はイタリア語か)」
そう彼は英語は自分がイギリス清教の魔術師と言う事もあり得意分野だが、そのほかの外国語については全くと言って良い程分からない。しかし彼のメールにはオルソラからの報告と書かれていた。彼女は元ローマ正教の人間、つまり書かれている分もイタリア語と言う事はすぐさま理解する。
そうして彼は文面を見ながら街中を移動するとその途中今度はティナから通信用霊装を使っての通信が来る
すると彼女は
<一夏、そっちはどう?進展有った?>
<特にないよ。今はオリアナを追うために街中を移動中だ、それでどうしたんだこんな時間に?さっきの話だと今は訓練中じゃないのか?>
<今は席を外してるわ。>
<そっか、そう言えばティナ、イタリア語って読める?>
<えっ、イタリア語?まぁ読めないこともないけど…どうかしたの?>
<ちょっと報告書が来たんだけど、俺イタリア語読めなくてさ悪いけど翻訳してくれないか?>
<いいわよ、言うのも面倒だと思うから携帯のアドレス教えてちょうだい>
彼女がそう言ったので一夏は自分のメールアドレスを彼女に教える。そして教え終わったのちメールを彼女に送る。本来なら一夏がメールを送ればいいだけなのだが彼女の携帯はどうやら登録したアドレス以外からのメールは受け付けないように設定しているようだ。迷惑メール対策と言う奴であろう。ちなみに一夏も前の携帯の時はこれを行わず一日に30件以上の迷惑メールが送られてきたこともあったりする。
そうして暫くすると彼女は
<英国図書館にあった雑記帳の記録を纏めた物ね。使徒十字の保管庫では年に二回大掃除を行っているらしいわ>
その後も彼女は一夏に内容を伝えていく。その大掃除にはいくつかのルールがある事や保管員の態度にも問題が有ったと言う事、具体的には勤務時間中に星占いを行う人間が多かったと言う事を読み上げていくと彼は
<話を聞く限りだとそんな重要に聞こえないんだけどな…>
<でもオルソラは法の書は失敗したけど彼女の情報収集能力はトップクラスよ。そんな彼女が選んだ情報が無駄な訳がないわ…でも曖昧な情報だけって事は彼女クラスの人間であっても詳しい発動条件は知らされていないって事ね、立場は下だったのかしら?まぁいいわ、一夏的には何か気になる事は有る?>
<気になると言うより保管員がやってたって言う星占いだ、多分これがヒントになってるんじゃないかって思うんだ。そいつらは多分星座を差がしていたんだ、星座を利用した霊装なんて珍しくないしな>
<多分それが正解ね。…とはいえそうなると矛盾点も出てくるのよね…その矛盾点を連中はどうやって解決したのかさえ分かればいいんだけれど…>
<矛盾点?>
<そう。ペテロが死んだのは6月29日よ、今とは季節が全く違うんだから星座だって違うに決まってるでしょ、さらにここは日本、バチカンとじゃ経度や緯度の関係で見える星座もずれるのよ。その他にも色々有るのだけれどもう時間が無いわね…>
彼女はそう告げていく。
時刻は間もなく午後四時となる。九月下旬では日没は午後七時前程ではあるが、一番星などは日没前には輝き始める、そうなってしまうと午後六時でも危なくなってしまう。
つまりあと二、三時間以内にオリアナを捕まえ場合によってはリドヴィアの居場所を吐かせなくてはならないのだ。
<とりあえず俺はステイル達と合流するよ。>
<わかったわ。…はぁこんな事になるなら私も一夏と一緒に学園抜け出せばよかったわ>
<確かに、ティナが傍にいてくれたら心強かったなぁ>
<本当に!?>
<あぁ、治療も優れて結界も張れるし分野によっては俺以上の知識もあるんだ、心強いだろ>
一夏は思った事をそう告げていくと彼女は
<まぁそうなんだけれどね…点数としては30点かな>
<えっ、何で100点じゃないの!?おーいティナ!?通信切れたか…>
何故か彼女は苦笑いでそう告げ通信が切れてしまう。
一夏はなぜ彼女が苦笑いしたのかその理由が分からない。とはいえ貴重な情報はもらったのだ、後はこれを利用しオリアナたちを捕まえ、パレードに間に合えばすべての仕事が終わる
そうして彼は移動する。
時刻は午後四時半前、一夏は近くのバス停にて上条と合流する
「悪い上条君遅くなった」
「織斑、無事だったか!!」
彼らはそう言うと付近の捜索を開始する。上条が言うにはこの付近でオリアナを見失ったと言うのだ
そして一夏は彼にステイルの居場所を尋ねると彼は姫神がオリアナに襲われステイルはその治療にあたっていることを告げる。姫神に関しては一夏も三沢塾の件に関わっており他人事とは言えない、それを聞いた一夏も表情を険しくし改めてオリアナたちを捕まえることを決心する。