時刻は午後2時20分。お昼休みが終わり喫茶店で昼食を取っていた上条夫妻、御坂母たちとはその場で別れる。と言うのも上条の高校の競技の開始時間まで時間は有ると言っても応援席の場所取りは始まっているからだ
そして一夏は上条にアイコンタクトを取りいったん別行動をとる事にする。と言うのも上条の周りにはインデックスと御坂がおり、一緒に行動すると不審に思われると判断したからだ。
そして一夏は楯無と共に歩いている。すると彼は楯無に
「楯無さん、連絡先教えてください」
そう言い放つ。彼の携帯は土御門から渡された携帯でデータも無事ではあるが、彼女の連絡先は知らないのだ。と言うより彼の場合IS学園関係者の連絡先はほとんど知らない
すると彼女は
「いいわよ、ほら携帯出して」
そう言いながら彼女も自分の携帯を取り出す、その後彼も携帯を取り出し連絡先を交換する
それが終わると彼女は
「ようやく一夏君のアドレス聞けたわ。IS学園じゃ聞く機会が全然なかったから」
「そうですね。と言うか俺もIS学園の生徒じゃ楯無さんが最初かもしれません」
そう言いながら彼らは笑いながら話していると一夏の携帯が鳴る。
相手は土御門からだった。一夏はそれを確認すると彼女に一声かける
「すいません楯無さん、午後からは個人行動って事にしませんか?」
「えっ、まぁ私は構わないけど…そうねぇ…今日のナイトパレードまでに戻って来るならいいわよ」
彼女はそう言い放つ。大覇星祭期間中は日没の後にイルミネーションやライトアップが行われる他にも競技終了後には様々なパレードが行われるのだ。そのパレードは学園都市の生徒だけではなく外部の来場者からも多大な人気を得ているのだ。
彼女がそう言うと一夏は
「分りました。パレードまでには必ず戻ってきます」
「約束よ。忘れたら…怒るわよ」
「大丈夫です、俺約束は守る人間なんで」
「そうだ一夏君、これを持っていくといいわ。学園都市を回るならこれは必需品らしいわよ」
そう言いながら彼女は数枚の紙を一夏に渡す。そこにあったのはこの近くを運行するバスや地下鉄の時刻表であった。
「ありがたく受け取っておきます」
そう言うと彼は時刻表を受け取り彼女に手を振るとすぐさま走りだし土御門に連絡を取る
<悪い、土御門!!それで要件は!?>
<三分前に第五学区…隣の学区にある地下鉄の駅からオリアナが出てくるのを発見した。だけどそれっきりだ。今上やんにもそれを伝えた所だ>
<三分前か…かなり厳しいと思うがやってみるか。クソッ…上条君と別れなきゃよかったな!!>
<頼むぜい、一刻も早く現場に向かってくれ!!>
土御門がそう言い終わると一夏は携帯を切る。
そして彼はアプリで地図を開くと近くにある地下鉄の駅までの道のりを確認する。
そうして彼は街を走る。
上条やステイルとは別行動のため合流するのは現場と言う事になり、そこまでは自力で行かなければならない。そうして彼は携帯以外にも先ほど彼女からもらった時刻表を確認する。
「(バスは…途中で止まるから却下…となると地下鉄か時間は…やばっもう直ぐ発車かよ!!)」
一夏は慌てながら地下鉄につながる階段の入口を駆け降りる、と言うより飛び降りる。一歩間違えば大怪我につながるがそんな事を気にしてられない。それに一夏は中学時代に同級生と段飛ばしをしてよく遊んでいたのだ。まさかこの経験がこんな所で生きるとは一夏も想像できなかった。
そして彼はコンクリートで挟まれた狭い通路を移動すると反対側の通路から上条とステイルが走ってくるのを確認する。
上条と一夏は携帯のIDを使い改札を突破するが、ステイルの場合携帯は学園都市産でないため彼らと同じ方法が使えなく切符を購入する
そして彼らはホームに突入し先にやって来ていた上条と一夏はギリギリ、ステイルはドアが閉まる寸前で腕を意図的に挟み込みドアを再び開けさせると言う迷惑極まりない行為を行うが事情が事情のため一夏達は特に何も言わなかった。
すると上条はドアに背中を預けると
「土御門が言ってた西部山駅までは二駅って所か」
彼がそう言うとステイルは懐から新しい煙草の箱を取り出す。
するとそれを見ていた一夏は
「確かに炎を使う魔術師だから仕方が無いけど…もう少しまともなアイテムは無いもんかね。部外者から見れば未成年者が喫煙している風にしか見えないぞ」
「安心しろ織斑、ステイルはさっきその誤解を受けた所だ」
彼の言葉に上条はそう反応するがステイルは気にせずに煙草を吸おうとするが一夏はあわてて
「待て待て、地下鉄で煙草はマズイって!!煙感知されたら緊急停車だってあり得るぞ」
彼がそう言うとステイルは憎しみを込めた視線を一夏に送るが彼は華麗に無視。
すると今度は懐から別な箱を取り出す。するとその箱からガムのようなものを取り出すと口に含む
「噛み煙草だ」
するとその様子を見ていた上条は心底呆れながら
「そこまでして煙草が恋しいのかお前は」
「ニコチンとタールが無い世界を地獄と言う。そして僕のような善良で敬虔な子羊は地獄に落ちてはならいんだ。一夏、君にもわかるだろう?」
「まぁ確かにそうだわな」
「そのセリフを言う前に一度自分の人生について考えてみるといいぞ」
一夏と上条は同じタイミングで言葉を発する。
そう言っている内に列車は一駅目に到着する。途中乗り込んできた乗客たちがステイルの格好に注目していたが彼らは気に留めない
しばらくした後二駅目に付く。ドアが開くと同時に彼らはホームへと駆け出す
するとステイルは
「土御門はどこに行った!?あいつが居ないと理派四陣を用意できないんだけどね!!」
彼はそう言いながら携帯電話を取り出す
そして彼は今土御門と連絡を取っているが話の内容から察するにどうやら土御門はここに来るまでにまだ時間がかかるようだ。
そしてそれを聞いていた一夏は
「(マズイ流れだな…)」
そう思っていると不意に携帯のスピーカーから土御門が
<一夏、お前サーチ系統の術式はまだ使えるのか?>
<あぁなんとかな。でもお前の術式ほど巧妙化するなら少なくとも10分はかかるな。簡単なやつならすぐにでも使えるが…>
<そうか、なら仕方が無い。理派四陣はこっちで発動してやるよ>
彼の言葉に上条は驚く。やはり彼としては土御門の体が心配なのだろう。しかし土御門は簡単に笑い流し、彼らにオリアナを捕まえるように伝える。
しかし一夏は別の意味で心配になる。それは
「(しかしこうも連続して使えばいい加減向こうも気づく可能性がある…しかも”追跡封じ”の異名を取っているのなら尚更だ…連中の最終的な勝利条件は”使徒十字”の発動。となるとやっぱりオリアナはこのまま逃走か…?)」
そう考える。ただの追撃ならばここまで悩む必要など無いのだが、オリアナたちの最終勝利条件を考慮するとこのまま追うべきなのか、ある程度泳がせ発動場所で攻撃を仕掛けるのかと言う事を彼は考えてしまう。
するとしばらくして土御門から連絡が来る。話の内容から察するに彼女を捕えたようだ
しかし彼は途中で
<おい、嘘だろっ…このルートは!?>
その声と同時に電話が切れる
すると上条は
「おい、どうしたんだよ!?」
「マズイね、オリアナの奴。術式から逃れるために術者の土御門を直接潰しに行くつもりだ!!」
彼の言葉に一夏はそう答える。するとステイルも
「土御門がどこにいるか分からない。だからこれから探すんだよ。」
「簡単な術式でよければすぐにでも使えるぞ。ステイル達は先に行っててくれ」
一夏はそう言うと上条たちを送り出す
上条は途中一夏の方を振り返ったがステイルに急かされ走り出す。そしてそれを見ていた一夏は
「全く…俺は戦闘専門だからこういう事は得意じゃないんだけど…仕方が無いか」
そう言いながら索敵術式を発動するための準備を始める
時刻は午後。いよいよ戦いが幕を開ける