IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第75話

一夏は変装道具を身に着けると常盤台の女子生徒と共に一気にゴール地点まで走り抜ける

場所は先ほどの棒倒しの会場とは違いオレンジのアスファルトに白線が引かれていると言う公式の陸上競技場顔負けの場所であり、客席も多くカメラなども大量に配置されている

ちなみに一夏達のペアは5位であった。そして運営委員の生徒と思われる人物が女子生徒にドリンクを手渡す、そして彼女はその後一夏の場所までやってくる

なので彼はまず女子生徒に

 

「ゴメン…俺が手間取らなきゃ3位以内には入ってたよなぁ」

 

「いえいえ気にしないでください、恐らくあなたが居なければもっと順位は低かったでしょうから、でもやっぱ一位は御坂さんかぁ…」

 

「その御坂って言う人は有名人なの?」

 

「えぇ、学園都市に7人しかいないレベル5の第3位、常盤台のエースこと御坂美琴さんです」

 

「へぇ、第三位のレベル5か…すごいね」

 

「そうなんですよ…っと話がそれましたね。後ありがとうございました」

 

彼女はそう言うと一夏を出口まで案内しそこで彼女と別れる

そしてしばらく歩いているとバス停が有り、そこにはツンツン頭の見慣れた少年がいた為声をかける

 

「上条君、久しぶり」

 

「ん…誰だ…」

 

彼はそう反応すると一夏はすぐに今自分は変装している事に気づかされ、眼鏡を外すと

 

「俺だよ俺、この顏忘れた?」

 

「織斑じゃないか。第一試合の時会場で見たぞ!!、って言うか、お前眼鏡かけてたっけ」

 

上条はそう言いながら一夏を見つめる、上条が見たのは競技終了後に水色の髪の少女の横に一夏がいた為彼は柄にもなくガッツポーズを向けていたりしたが、あの時は眼鏡をかけていなかったと言う事も思い出すし、なおかつ彼は一夏が眼鏡をかけていたと言う記憶が無いために最初に声を掛けられた時に誰だか分からなかったのだ

すると一夏は

 

「ちょっとした変装道具だよ、今日はこの格好で過ごそうと思ってね。ちなみに今日は名前も織斑じゃなくて谷本って呼んでくれるとうれしいな」

 

「変装に偽名かよ…すぐにばれそうな気もするけどな」

 

「侵入の時は正面から入ってきたし、この眼鏡と帽子もここで入手したものだから大丈夫だよ」

 

「ふぅん…まぁ俺は今から置いてきたインデックスと合流しなきゃいけないからバスに乗るけどお前はどうするんだ?」

 

「俺は…楯無さんは見つけようと思って見つけられる人じゃないから上条君に付いてくよ」

 

「そっか」

 

一夏と言うとおり楯無と言うのは忍びの当主と言う事もあり見つけようとして見つけられる人間では無いのだ、それに彼女もちゃんとパスを貰って入場しているため、拘束されるようなこともないであろうと彼は思っているのだ

 

なので二人はバス停からバスに乗り込む。ちなみにこのバスに限らず、学園都市を走行している7割のバスは無人の自律走行バスである。この時点でも一夏はとても驚きながら景色を見ているとしばらくしたところで上条はバスから降りた為一夏も一緒に降りる

そうしてしばらくの間二人で歩いていると、二人同時に人ごみの中から見知った人物を見つける

赤く染めた髪に耳のピアス、右目の下にはバーコードその人物の名はステイル=マグヌス。

一夏と同じ必要悪の教会の魔術師

 

その人物を見た彼らは

 

「(なんだ、ステイルの奴、インデックスに会いに来たのか…)」

 

「(逃亡の俺はともかくステイルがここにいるってなんかすごい嫌な予感しかしないんだが…)」

 

 

魔術サイドのステイルがこの場に居るのはとても珍しいため一夏は嫌な予感が、上条はインデックスを彼に預けるつもりで彼に近寄っていくと、当のステイルは誰かと話している。

そこに立っていたのは多角スパイの土御門元春

 

「だから…そう言う事だろう」

 

「あぁ、そりゃそうだ…連中にとっては今程チャンスは無い」

 

彼らはそのような話をしていることで上条は嫌な予感を感じ、、一夏はそれが当たってしまったため内心でため息を吐くと同時に魔術師としての一夏に切り替える

彼らが有る程度進んで言った所でステイルはこう告げた

 

「だから、この街に潜り込んだ魔術師を僕たちの手でどうにかしないといけない訳だ」

 

その一言によって一気に世界は変わる

科学によって作られた世界が魔術によって作られた世界へと

 

そして彼らもやってきた上条と一夏を見つけるとステイルは一夏に

 

「死亡したと報道されていたけどやはりあれは嘘だったか、それにしても随分と大騒ぎになったじゃないか」

 

「本当ならこの事件の事も隠してほしかったけどね、学園の上層部は肝心な所で無能なんだよ」

 

「まぁでも死亡したと報道されているならそれはそれでいいのかもしれないな、死んだ人間は誰も探さない。この騒ぎも近いうちに収まるだろうさ。」

 

彼らの話に上条は着いて行けない、一夏が死亡したと言う事になっていることが彼には信じられなかった。そうすると土御門が上条に

 

「そうか、上やんは知らないのか」

 

「どういう事だよ織斑が死亡扱いって!?あいつが変装しているのに関係しているのか?」

 

「あぁ、アイツは危うく殺されるところだったんだよ、科学の人間によってな」

 

その言葉に彼は固まる、確かに学園都市にもイギリス清教の人間が戦争を起こすのを目的として襲撃してきた魔術師がおり、彼はそれをどうにか撃退している。つまり一夏も彼の知らないところで似たような事件を起こしたのだろうかと思ってしまうが、土御門は

 

「言っておくがアイツは事件なんて起こしちゃいない。科学に干渉したと言う訳でもなく、むしろ自分の高校を襲撃してきた魔術師を撃退したんだぜい。それも人払いを使って人間を徹底的に避けてな」

 

「じゃぁどうして殺されかけたんだよ」

 

「撃退する前にな、どうやらクラスメイトを人質に取られたらしく、アイツは解放条件として貴重な兵器を渡したんだ、それが一夏の高校の上層部の恨みを買ったんだ。分かりやすく言えば学園は生徒の命よりも兵器を優先したんだ、それもアイツの姉であり担任の教師が率先してな」

 

その言葉に上条は絶句する。高校と言う教育機関が人の命を疎かにするだけでなく、担任の教員がそれを率先したと言う事意にも驚かされた、彼や土御門のクラスの担任は何よりも生徒を大切にする教員、一夏の担任は全くの逆に位置することになるのだから

 

「ふざけてやがるな…そんなにまでして兵器が大事なのかよ」

 

「まぁ連中にしてみればな、それで最近になりあいつを逃がそうとするために生徒会長や一部生徒が援護して高校から逃走させ、ここまで天草式の人間に送って来てもらったって事だ」

 

土御門がなぜこのような事を知っているのかと言うと理由は簡単、ニュースのほかにティナから直接報告を受けていたからだ、そして彼は上層部に報告、一夏と楯無を顔パスで学園都市に入ってこれるようにしたのだ

 

ちなみに彼が話している間ステイルは一夏に簡単に今回侵入した魔術師たちの報告をしていく

するとそれを聞いた一夏は

 

「成る程、確かに聞く限りじゃ俺の得意分野になりそうだな。逃げてるやつを見つけて奇襲すればいいって訳だ」

 

「まぁ大雑把にいえばそうなるだろうね。それとこれが終わったら君はイギリスに来るんだろう?」

 

「あぁ…やっぱまずいかな?一応お尋ね者だし、組織の魔術師も俺を狙ってくるかね?」

 

「なに襲ってきたところである程度の連中なら君の実力で返り討ちも可能だろうさ。実際に法の書の事を報告した時には数名の魔術師は青ざめていたよ」

 

「ハハッ、そりゃ大げさな、俺なんてまだまだだろ」

 

彼は笑いながらそう言うがステイルに関しては呆れている、自分の実力が底辺だと思っている一夏に対して呆れているのだ。彼や土御門の独断だが一夏の実力は彼が思っているほど低くない、組織でも中の上位ではないかと感じているが、彼はまだまだ成長段階、さらに実力が伸びてくる可能性もあると判断しているのだ。

ちなみに某ゴーレム使いの魔術師も当初は一夏がイギリスに来た段階で襲撃しようと考えていたが法の書の報告を聞いた際に

 

「相性は最悪…下手に襲えば返り討ち確定だな…」

 

と小声で呟いていたんだとか

 

 

その後彼らは具体的な案件を話そうとしていたが上条はこの後の競技に参加するため、いったんお開きとなった




流石のシェリーさんでも高速召喚爆撃は回避できず、ゴーレムを正面で呼ぼうものならゴーレム無視して直接攻撃を受けると判断したため相性は最悪と言いました。戦うのならばゴーレムを遠隔操作して襲撃を掛けるしか手が有りませんね

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