IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第2話

一夏とセシリアのクラス代表決定戦が決まってから数日後、千冬授業前に一夏に対して

 

「織斑、お前には専用機が支給されることになった」

 

と告げるとクラスの周りからは羨ましがる声が上がるが一夏はあまり喜んではいなかった

 

「(4月のこのタイミングでの専用機の支給の決定、俺はデータ取りのためのモルモットって所か、それに特異ケースの男とはいえ俺はISに関しては素人だ、そんな簡単に専用機なんて渡すか普通)」

 

一夏が専用機の支給には何か裏があるんではないかと思っていた、彼がそう思っていると後ろからセシリアが

 

「専用機が支給されるのでしたら、これで心置きなく戦えますわね、訓練機相手に私が、専用機を使うのはフェアではありませんもの」

 

そう言うが一夏は軽く無視した、まぁここで言い争っても何にもとくにはならないからと言う彼の判断である、そしてその後、授業が進められた

 

そして昼休みに入り、前もって一夏は霊装を使いティナに連絡をしている

 

<確かにそれは裏があるわね、いくら特異ケースの男とは言え、専用機を作るには時間がかかる、それなのに来週の代表決定戦に合わせて専用機が届くとすると…>

 

<あぁ、最悪俺の専用機のために他の正規の候補生の機体がおろそかにされたかもしれないんだ>

 

<それで私にそれを調べて欲しい…と>

 

<そんな所だ、俺はしばらく特訓?に付き合わなきゃいけないから調べる時間がほとんどないんだ>

 

<その特訓、ちゃんとした特訓なの?>

 

<あまりちゃんとしてるとは言えないな、割と真面目に本番までISに乗らないってことがあり得るな>

 

<それは…ご愁傷さまね、代表決定戦が終わったら何か奢るわ>

 

<まぁ、ぶっつけ本番でも何とかしてみせるよ、それよりも頼むなさっきの話>

 

<えぇ、私は代表でもないし、暇つぶしがてらに調べてあげるわ>

 

<すまないな>

 

<いいわよ、別に>

 

そうして二人は通信を切る、ちなみにこの時周りからは一夏が携帯をいじっているようにしか見えないため特に怪しまれることもなかった

 

 

そしてこの日も放課後の剣道の特訓が終わった後、一夏は箒より一足先に部屋に戻り霊装のチェックをしているとティナから通信が入る

 

<どうだった?>

 

<あなたの予想が的中よ、あなたの専用機のために日本の代表候補生、更識 簪(さらしき かんざし)の専用機の開発がほぼ中止されたらしいわ>

 

<マジかよ…やっぱり謝りに行ったほうがいいよな俺>

 

<そうね、後もう一つあなたの耳には入れておいたほうが良い情報もあるの>

 

<なんだ?>

 

<その更識って言う子の家は暗部なのよ、どちらかと言えば忍びの家系に近いんだけどね>

 

<なっ、それじゃぁその子が暗部の当主なのか?>

 

<当主なのは彼女の姉で、二年の専用機持ちの一人でもある更識 楯無 (さらしき たてなし)よ17代目の当主にしてロシアの国家代表ね>

 

<隙を見せれば俺たちが魔術師ってことがばれるってことか>

 

<そう言う事、だから彼女たちに会いに行くときには一応の警戒はしておいた方がいいわよ>

 

<わかった、ありがとな教えてくれて>

 

<いえいえ、そっちこそ特訓(笑)頑張ってね、決定戦の時には応援に行くわ>

 

ティナがそう言い通信を切ったため二人の通信が終わる

そうして、その後も箒と一夏の一応の特訓が終わったのだが、一夏は一回もISに乗ることはなかった、確かにIS学園の訓練機の使用は予約が多く困難なのだが、それでも一回くらいは乗れるだろうと一夏は思っていたのだが、その思いすら裏切られる形となった

 

そして試合当日

 

「まぁ、よそうはしていたが、実際にISに乗らずに本番になるとはな」

 

「しっ、仕方がないだろう!!」

 

そう箒は目をそらしながら言う、そして一夏と箒が専用機が届くのを待っていると、麻耶が走りながら一夏達のところにやって来て

 

「おっ、織斑君届きましたよ、あなたの専用機が」

 

そう言い終わるのと同時に管制室にいる千冬から一夏達のいる部屋に放送がはいる

 

「時間がない、織斑、装着が終了次第すぐに発進してもらう、いいな」

それを聞いた一夏は表情にこそ出さなかったが、内心かなり焦っていた

 

「(おいおいマジかよ、それって要は霊装だけ渡されて術式の作成や魔力の生成は戦いながらやれって事だろ!?時間が無いから仕方がないとは言え、これは無茶苦茶だぞ)わかりました」

 

そう思いながらも一夏はそう千冬に返答し、ISを装着する

そして装着が終了後、箒とその場に残っていた麻耶は一夏に向かい

 

「一夏、勝ってこい」

 

「織斑君、相手は代表候補生です、気を付けてください」

 

その言葉を聞くと同時に一夏はアリーナへと飛び出した

そしてアリーナに出ると一夏はセンサーの調子を確かめるために軽く周りを見渡す、と観客席の後ろの方にティナがいるのを確認する

 

「(とりあえず、ティナや他のクラスメイト達からISに乗った時の感覚の話を聞いておいて助かったな、これが無かったら本気でヤバかったぞこの勝負)」

 

そう何も一夏は何も対策をしないでこの勝負に来たわけではない、一夏の現状を知ったティナや同じクラスの相川清香や布仏本音(のほとけ ほんね)、谷本癒子、鷹月静寐と言ったメンバーが秘密にISに乗った時の感覚などを細かく書いたメモを届けてくれたのだ

これを見た一夏は感涙ものだったと言う。そして一夏は一呼吸置くと、上空にいるセシリアに向かい

 

「さて、悪いね、待たせちまって」

 

「その位、いいですわよ別にさすがに出てきたのと同時に奇襲なんて卑怯な真似はしませんわ」

 

それを聞いた一夏はセシリアに対し、女尊男卑の影響を濃く受けてしまっただけで根は良いやつなんだろうと思っていた、何しろ、この試合は一夏が出てきてから試合開始なのだから別にセシリアは一夏が周りを見ている間に攻撃だってできたのだから

 

「そうかい、それじゃ始めますか、英国の代表候補生!!」

 

「踊って貰いますわよ、私の奏でるワルツを!!」

 

そうして試合が始まるのと同時に彼女はてに持っている大型の狙撃銃を使い一夏を正確に攻撃しているのだが一夏はそれを器用に回避していく

 

「(流石代表候補生、狙いが正確だ、だがこのくらいの攻撃に当たるかってんだ!!)」

 

そういくら狙いが正確とはいえセシリアの攻撃は魔術師の放つ攻撃に比べると悪い意味で狙いが正確過ぎて、一夏には大体だが次はどこを狙ってくるのかがわかっていた

 

「(狙っているのは、腕や足と言ったところ。ISはどこに当たってもシールドエネルギーが減るが、それでも心臓や頭と言った場所を撃たないのはやっぱり急所を撃つことにためらいがあるのかそれとも単純にまだそこまでの技量が無いかって所か、さてこっちも武器を出して反撃を…っておいマジかよ!)」

 

そう一夏はここから反撃だと思い武器を探すが中に入っている武器は刀一本だけだった。

だが一夏は文句を言っていられるわけもなく、仕方がなく刀を出すがそれを見たセシリアは

 

「射撃型相手に近接ブレードで挑んでくるなんて、正気ですのあなた!?」

 

「正気も何も武器はこれしかないんだ!!」

 

そして一夏は刀だけしかないと言え器用にセシリアの攻撃を刀で切り払っていく、彼の普段使う霊装が短剣なのがよかったのだろう

そしてしばらくの間勝負はこう着状態になってしまった

 

そして観客席では

 

「織斑君、何とかうまくやってるけど大丈夫かなぁ?」

 

「さすがにメモだけじゃきついわよね」

 

「でも、おりむーの刀の使い方がうまいのは特訓のおかげなのかなー?」

 

「それ以外あの特訓で何を得られたのかって話になるけど…」

 

そう順に相川、鷹月、布仏、谷本が言う、彼女たちは一夏の特訓では明らかに不安だと思ったメンバーであり、夜、密かに彼の部屋の前に自分たちがISの訓練機を使った際に感じた感覚などをメモにし届けていたのだ

 

そして彼女たちの話を聞いていたティナは

 

「(成る程彼女たちも私と同じようにあの特訓だと不安だと思っていたって事ね、刀に関しては特訓と言うより彼の霊装が短剣って事の方が大きいんじゃないかしら?それにしても武器が刀だけとはね)」

 

とティナは冷静に状況を分析する。そうしてしばらくすると一夏は彼女の射出したビット兵器を破壊し一気に接近して勝負を決めようとするが、彼女は一夏が接近していたことを予測していたのか彼が接近してくると、腰にあるミサイル使った事で一夏も不意を突かれてしまいミサイルが当たる

 

「「「「ああっ」」」」

 

「(いや、まだ終わってないわね)」

 

そう一夏がミサイルに当たった瞬間、誰もが一夏の負けを確信したが、まだ勝負はついていなかった

 

煙が貼れるとそこには白と青を基調としたISをまとった一夏がいた

 

「なっ…あなたまさか今まで初期設定の状態で戦っていましたの!?」

 

「(あっ危なかったミサイルが当たる瞬間に一次以降[ファーストシフト]しなかったら直撃だったぞ)」

 

そうするとさらにモニターから新しい情報が表示され、そこには

 

「(単一仕様能力、零落白夜[れいらくびゃくや]使用可能かこれって千冬姉が使ってた能力だよなそれにこの刀の名前も雪片弐型、千冬姉がつかってた武器と同じ名前を冠する武器…か…どうやらコイツは俺と同じらしいな)」

 

「どうしました、かかってこないんですの?」

 

そう一夏がつぶやくとセシリアにはよく聞こえなかったのか彼女は一夏に問う

が一夏はそんなセシリアの声を気にも留めず一呼吸置く

 

「(だが俺の魔法名はiaceo231、俺は俺、そしてこの機体も千冬姉の後継機と言う扱いじゃなくて一つの機体として見させてやるさ)何度も待たせて悪いな、これで決めさせてもらうぞ、セシリア!!」

 

一夏はセシリアにそう言い放つと今までとは別人のような動きで空を舞い、セシリアに接近する、動きが違うのは一次以降をしたことで機体がその使用者にとっての最適なスペックになったのだ

そしてセシリアに接近し一気にケリを付けようとしたのだがその瞬間、シールドエネルギーが尽きてしまう

そして

 

「勝者、セシリア・オルコット」

 

との声がアリーナに響きわたった

 

そして一夏は

 

「(すさまじい燃費の悪さだなコイツ…まぁちょっと消化不良かもしれないがこれからよろしくな相棒)」

 

そう心の中で自らの機体である白式に語りかけた


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