IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第73話

一夏と楯無が脱出した翌日学園事後処理のため臨時休校となった

彼らに関しては表向きは、脱走を試みやむを得ず追撃したところ崖から海に飛び込み捜索したが生存は困難であると言う発表をした。そして楯無の妹の更識簪はと言うと自室にて手紙を読んでいた。その内容は

 

{簪ちゃん。

あなたがこの手紙を読んでいると言う事は私はこの学園には居ないのでしょう、理由は残念だけど教えられないわ。でも私はこの行動に後悔はしていないそれだけは言わせてもらうわ。それと一つあなたに謝らなければならないわね、貴方に対してどう向き合って良いかわからずに今まで放置してごめんなさい。いつか話そうと思っていたら結局話すことが出来なかったわ。

それでは短文ながらこれにて失礼 楯無}

 

そう記されておりそれを読んだ彼女は

 

 

「私こそ…ごめんなさい。見ててお姉ちゃん私はこの学園で貴方の妹に恥じない結果を残して見せる」

 

そう言いながら部屋で密かに燃えていたと言う。

一方生徒会室では生徒会役員の本音と虚が緊急の会議を開いていた

 

「お嬢様…なぜ私たちに相談してくれなかったのですか…こんな書置きをするのならせめて相談してくれれば…」

 

「私はよく分らないけどー、それは会長の優しさだと思うなー」

 

「ならば私たちはその思いに答えなければいけないわね。本音、このプリントを全校生徒に対して配って頂戴。」

 

「了解なのだー」

 

彼女たちが配っているのは生徒会長募集の要項である。IS学園の生徒会役員の決め方と言うのは少々特殊であり、会長は学園最強でなければならないと言う事から例年ならば3年生が卒業した直後にISによる生徒会長決定戦を行い優勝者が会長となり残りは会長の指名と言う方法だ。

 

この生徒会長決定戦、参加資格は特になく、専用機の有無に問わずに生徒ならば誰でも参加可能な大会だ。しかしこの時の大会では専用機持ちが少ないと言う事から専用機持ちの生徒は全員が訓練機で参加すると言う波乱が有った。これは別に教員からの圧力が有ったと言う訳ではなく、自主的に訓練機を選んだのだ。理由としては専用機の有無を勝敗の理由にされたくないと言う事だ

 

ちなみに去年の成績は優勝は楯無、準優勝が当時二年のダリル、ベスト4にフォルテとセシリアと同じイギリスの代表候補生であるサラ・ウェルキンだ、ここまでは候補生が占めているがベスト8になるとほとんどが二年生の一般生徒が占めていたのだ。

余談ではあるが今年の三年生は訓練機持ちの生徒の質が歴代最高と言われており、多くのスカウトがIS学園へと訪れていたりする。

逆に今年の一年生の質は歴代最低と言う不名誉な噂が立っている。理由としてはやはり専用機持ちの異常な多さと臨海学校での出来事により生徒のやる気が大幅に減っているのが原因だろう

その中でも優秀と言われているのが一組だと相川と夜竹、後は3組のクラス代表は優秀だと言われている

 

そして楯無は書類にもし自分が消えたのならばこの大会を開催するようにと言う指示を出していたのだ

楯無が居なくなった後、こうして学園の再生が開始された。その再生の行き先がどうなるのか誰にも分からない

 

 

 

 

一方、ロンドン、聖ジョージ大聖堂ここではイギリス清教の実質的なトップ最大主教=ローラスチュアートは説教壇に置かれた液晶モニタにて学園都市の統括理事長アレイスターと通信をしていた。やはり彼も彼女の歪な日本語には指摘はしたが当の本人は全くの自覚が無いのだから達が悪い

 

そうしてしばらく余談を続けていると彼女が本題を話す

 

「こちらも時間が無いゆえに手短に要点をまとめねばならぬ事情がありけるのだけれどね」

 

「学園都市内部の侵入者の話か」

 

「うむ。そちらが現在一般の来場者を招き足るのは分かりているわ。そのせいで警備を甘くせざるを得ないのも」

 

彼女はそう言うがこれは実際に彼女が経験しているからこそ言えるのだ。パレードと言ったある程度大規模な祭りの際、要人警護などで警備を厳重にしてしまうと一般の来場者の移動が滞ってしまい、スケジュール事態に影響が出てしまうのだ

そして彼女は言葉を続ける

 

「その隙をついて学園都市に魔術師が手を出した。イギリス清教の情報筋によれば今のところ確認せしは二名。ローマ正教の重役と彼女に雇われたる運び屋ね。あと侵入者ではないがうちの魔術師も一名、そしてその協力者そちらに逃げ込んだとの情報も得ておる」

 

「それで運び屋だが、これは戦闘や破壊を目的とした工作員ではないと言う事だな。それで亡命者と言うのは一人は三沢塾の時に来ていたあの少年であろう、協力者に関しては分からないがな」

 

「えぇ、運び屋はオリアナ=トムソン、雇い主はリドヴィア=ロレンツェッティ、彼女たちの目的はとある物品の取引と言いたる所よ。亡命者の魔術師に関してはそなたの言うとおり、協力者に関しては科学側の人間でありけるな」

 

「では科学側の亡命者に関してはこちらで身柄は預からせてもらおう。魔術師は終了後にでも手筈を整えイギリスへと向かわせる」

 

そう言うアレイスターの考えは読めないがすべて計算通りと言った表情をしていた。そして彼女たちは運び屋についての具体的な情報を報告していく。

そして話が終わるとアレイスターはどこか面白そうな表情をしていた

 

 

 

 

 

 

そして無事に学園都市に侵入した一夏と楯無はと言うと、学園都市の光景にあっけにとられていた

彼らが学園都市に到着したのはほんの30分ほど前であり、服なども天草式の少年に貸してもらったものである。とはいえその格好は決して不自然な物ではなく、どこにでもいそうな男子高校生と女子高校生の格好である。

 

「しっかしすごいですね、学園都市って言うのは」

 

「私も始めてくるけどやっぱりすごいわね、ISなんかが小さく見えてくるわ」

 

彼らはそんな事を言いながら付近を見渡す、そこは大勢の人がいて、さらには飛行船や見たことも無いようなロボットが街の中で走り回っているのだ

そんな状況でも誰一人一夏を見て驚かないのは学園都市内部ではそれほど認識が無いためであろう。飛行船から流れるニュースでもそのような情報は一切流れてこない

すると一夏は

 

「さて、楯無さんパンフレットをずっと眺めているわけですが興味深いのありました?」

 

「私としてはこの常盤台中学の生徒が参加する競技に興味があるわ、紹介ではお嬢様学校でありながらかなりの実力者がいるって書いてあるじゃない」

 

「常盤台中学の時間は…もう少し先ですね。それまでどうしましょうか?」

 

「一夏君は見たいのとかある…?」

 

「棒倒しとかどうですか…開始時刻も結構速いですし」

 

「うん、じゃあそれにしましょうか、会場もここから近いしね」

 

そう言いながら彼らは並んで会場に向かっていく

そうしている間にも街には大勢の人とすれ違うが、誰一人として男性を見下すこともなく白騎士事件など最初からなかったかのような光景が繰り広げられていた。すると楯無が

 

「さて一夏君、私はすでに亡命者。更識の家からは破門されたしこの”楯無”の名前ともおさらばしなきゃダメなのよね」

 

「別に変えなくてもいいんじゃないですか?今更本名言われても俺困るんですけど」

 

「そう?でもせっかくだし本名教えてあげるわ」

 

すると彼女は小声で

 

「かたな…それが私の名前」

 

「(かたな…片菜…香多菜…華奼那、平仮名だと違和感あるけど漢字にすると意外と普通じゃね?)」

 

その言葉に一夏は漢字に変換して思い浮かべてみる、確かに平仮名だと違和感を感じてしまうが漢字に変換してみると意外にぴったりと当てはまってしまったため一夏は拍子抜けする。しかし彼はこの後に大きく驚かされることになる、なぜなら彼女は

 

「刀に奈って書いて刀奈よ。歴代当主が名乗る楯無の意味は”忍びらしく楯を持たずにその身一つであらゆる困難を超える者”って意味が有るらしいけど、私の本名に関してはそんな素晴らしい意味は無いと思うわ、って言うか聞いた事無いし」

 

「(箒って言う名前にも最初は驚いたけど、魔術的に見ても箒って言うのはちゃんとした意味があるからな、確か祭祀の時に使われる道具だったんだよな。刀奈に関しても魔術的な記号が意外と含まれて…ないかもな)今までみたいに楯無さんって呼ぶことにします」

 

箒と言うのは本来は掃除用具としてではなく神聖な道具としても認識が有り、中でも安産の象徴として利用されてきたのだと言う。西洋においても魔女が空を飛ぶ際に利用する霊装と認識されており、実際に箒の形を模した霊装を使う魔術師がいた所で何ら不自然ではない

ちなみになぜ一夏は箒の道具としての意味を知っているのかと言うと、船の中で天草式の東郷と雑談をしていた際にそんな話題が上がったのだ。

 

「そっ、さてこんな話はさっさと終わりにして会場に行きましょうか」

 

「そうですね」

 

 

 

 

波乱に満ちた大覇星祭はいよいよ幕を開ける。波乱に満ちた学園都市最大の祭りが

 

 




あーローラの口調がマジで悩む。古文とか苦手分野なので
次回からはしばらくとある側のターンです

ちなみに箒の話に関しては多少誤差が有りますが実際に信仰対象として利用されていたりします
そしてISの箒は巫女
そう言う意味では箒の名前は有りなのかもしれませんね

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