第1話
4月、世間では入学式シーズンが始まりここIS学園も例外ではなかった
「はーいそれではみなさんこれからHRを始めますよー、それでは初めに出席番号1番の子から自己紹介をお願いしますね」
そして彼、織斑一夏の場合ISを使えるからと言う理由でIS学園に強制的に入学させられてしまった
今は入学式が終わり最初のHRの時間でやってきた教師がHRの開始を告げ、自己紹介が始まった
「(これは想像以上にキツイ…知り合いもほとんどいないし、土御門の奴はIS学園にも魔術師がいるから安心しろにゃー、とか言っていたけど俺はその魔術師の顔を知らないんだな…)」
そう自己紹介が始まっているにも関わらず、彼は物思いにふけっていてそれどころではなかったのだが…
「…くん、織斑一夏君!!」
「はっ、はいなんでしょうか?」
「えっと、今は織斑君の自己紹介の番なんですよね…なので自己紹介を知れたらいいなぁなんて…」
そう目の前の教師、山田真耶に言われたので、一夏は席から立ち上がり自己紹介をする
ちなみに一夏の山田先生の第一印象はどこか頼りないけどいざと言う時には頼りがいのある人間と言う印象だ
「織斑一夏です、特技は家事全般、得意な教科は英語、よろしくお願いします」
そう無難な自己紹介をする、そうすると
「成る程、お前にしてはなかなかだな」
「なっ、どうしてここに!?」
そう言いながら彼の目の前に現れたのは、突然いなくなっていた彼の姉織斑千冬である
そして千冬が担任であることを告げると、クラス中が盛り上がった、それもそのはず世界的な有名選手が担任であるのだから、盛り上がらないはずがない、その後は順調に自己紹介が終わり1時間目の授業は終わり休み時間になる
そして彼の前に、一人の金髪碧眼の女の子が現れる
「あなたが織斑一夏ね、少しいいかしら?」
「あぁ」
そうして彼はその女の子とともに教室を出ていく、ちなみにその時一人のポニーテールの女子生徒が一夏を睨んでいたが彼は気づかなかった
そうして人目のつかない場所まで来ると
「土御門から聞いているとは思うけど、私の名前はティナ・ハミルトンよ、あなたのサポートしろとの指示を受けているわ」
「成程、君が土御門が言っていた魔術師か、よろしく頼むよ、さっきの自己紹介の時にいなかったってことは一組じゃないよな?」
「えぇ、クラスは二組よ、後これを渡しておくわ」
そう言うと彼女は一夏に一つのストラップを渡す
「これは…通信用に加工された霊装か?」
「えぇ、簡単な物だけど、ないよりはマシでしょ、それじゃそろそろクラスに戻りましょうか?」
そうして彼らはクラスに戻って行ったのだがクラスに戻ると、いきなり
「おい、一夏、さっきの女は誰だ、説明しろ」
と一夏を睨みながら話しかけてきたのは、彼の幼馴染である篠ノ之 箒(しののの ほうき)、いきなり睨まれても一夏が動じなかったのは彼女は昔からこんな性格であり一夏もこれには慣れていたのだ
「まぁ、SNSでの知り合いだよさっき初めて顔を合わせたんだけどな」
ともっともらしい言い訳をする、間違っても、同じ組織に所属する魔術師、なんて口が裂けても言えない
「そうか、ならいい」
と彼女の機嫌も直ったのか、席に戻って行った
そしてすぐにチャイムが鳴り、二時間目の授業が始まった
この時間はISの基礎原理の授業ではあるが、一夏は事前に渡された電話帳サイズの本をある程度学習していたので、特に苦にはならなかった
「(こうしてみるとISも便利なものだよなイメージするだけで簡単に空を飛べ、武器も呼び出せる、まぁ絶対防御は胡散臭いけどな)」
そんな事を考えていると真耶は一夏に
「織斑君、何か分らないことはありますか?」
「いえ、大丈夫ですよ」
「そうですか、皆さんもわからなければ直ぐに質問してくださいね、聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥ですからね」
「(あぁ、なんていい先生なんだ)」
と一夏は思っていた、恐らく姉の授業で質問したら、そんな事もわからんのか馬鹿者め、と言われるんだろうなぁと思っていた
そして授業が終わると今度は別の女子生徒が一夏の前にやって来て
「ちょっとよろしいかしら?」
と声をかけてきた
「(イギリスの代表候補生セシリア・オルコットか、めんどくさそうなパターンな奴だなコレ)はい、なんでしょうか、Msオルコット?」
一夏はできるだけ、彼女の機嫌を損ねないように返答する。ちょっと臭いとは思ったがあえて気にしなかった。この手の女子は機嫌を損ねると後々めんどくさそうになると彼の直感が告げたからである
「最低限の礼儀はわきまえているんですのね、もしISの事でわからないことがあれば教えて差し上げてもよろしくてよ、なんせ私はエリートですから」
そう言い残し彼女は席に戻って行った、この時一夏は何も起こらなくて安堵したがそれも次の授業の時間にあっさりと崩れ去ってしまう
次の授業は千冬の授業であるのだが授業の初めに千冬が来月に行われるクラス代表戦の代表者を決めると言いだしたのだ
そして大半の女子は一夏を推薦したのだが、その途中にセシリアが席から立ち上がり
「納得ができませんわ!!」
と声を上げる、そして彼女はさらに
「男が代表なんて納得がいきませんわ!!、大体文化としても劣っているこの国に来ているだけでも私にとっては屈辱ですのに・・」
「(確かに日本は魔術的に見ればイギリスに劣ってるけど、魔術師じゃない奴にここまで言われるのは心外だな・・しかもさらっと学園都市も批判してないかコイツ?)」
一夏はすぐにでもイギリスを批判してやりたいところだが、あいにく一夏はイギリス清教に所属する魔術師であるため、イギリス自体を批判する訳にはいかないので、彼はセシリアにこう言い返した
「俺はクラス代表なんてやりたくないから、そんなにやりたいなら勝手にやればいいだろ!!」
彼がそう言いかえすと、ここまでの出来事を見ていただけの千冬が
「それはダメだ、推薦されたのだからお前に拒否権はない、二人には来週に代表をかけて戦ってもらう、いいな?」
「分かりましたわ」
「…はい」
一夏は納得してなかったが、反論しても無駄だと悟ったので、特に反論はしなかった
そしてその後も箒が姉である束の事を話題に出された事でクラスで怒鳴ってしまったり、一夏にISを教えようとしてくれた先輩に対して束の名前を出して帰らせるなど何かしらとトラブルの多かった一日が過ぎて行った。
そして放課後になり
箒は一夏を剣道場に呼び出した、なんでも一度一夏の剣の実力を見ておきたいという理由で勝負をしたのだが、結果は一夏の圧勝だったのだが
「おい、一夏、なんだ今の動きは!?」
「そう言われても、剣道なんて中学の時一切やってなかったから動きなんて曖昧だよ」
そう、ある程度の魔術戦を経験している一夏にとって箒は楽勝であったのだが、あいにく霊装が短剣であったのも関係して一夏の動きは剣道の動きではなかった
「ならば、その動きを直す!」
「はぁ、わかったよ…」
一夏にとっては剣道の動きなど、大して重要ではないのだが、反抗しても余計話がややこしくなるのであえて反抗しなかった
その後は箒とともに剣道の練習を終え、帰りに山田先生から本来なら自宅通学だったのだが、政府の命令で寮がよいになったことが告げられた後、千冬にまとめられた荷物を渡され
そして麻耶から寮の部屋の鍵を渡されたのでその鍵の番号の部屋に向かい入ろうとしたのだが
一夏は気づかれないように、部屋の前で簡単な索敵魔術を使い、部屋に人がいるのかを確認する
「(部屋の中に人は居るな)すいません、今日からこの部屋で同室になる織斑一夏ですが、ドアを開けてもらえませんか?」
そう一夏が言うと部屋の中から
「なっ、一夏!?少し待て、今鍵を開ける」
しばらくすると、部屋の鍵が開き部屋から、寝間着に着替えてはいるが髪はずぶ濡れの箒が出てきた
「箒…だったのか」
「あっ、あぁ中に入れ」
そう箒が言うので部屋の中に入ると箒が
「髪を乾かすから少し待ってろ」
そう言い残すと洗面台に向かっていったので。その隙に一夏はさっきティナにもらった、通信用霊装を使い連絡を入れる
<もしもし、ティナ、聞こえてる?>
<聞こえているわよ、どうこれの使い心地は?>
<これはスゴイな、話さなくても声が聞こえてくるんだ、それに形が形だから誰も怪しまないし>
<そう、それよりもあなた大変ね、入ってすぐイギリスの代表候補と戦うなんて>
<まぁ、何とかなるだろ、それよりもこのあたりに張ってある簡単な結界ってティナが一人で張ったのか?>
<えぇ、この学園の周辺に素人なら気づかないように巧妙な細工して結界を張ったのよ、女性に過剰な恨みを持つ魔術師がいつ攻めてくるかわからないからね、さらに戦闘専門のあなたが来たんだもの、万が一魔術師が来ても、ある程度の魔術師なら倒せるじゃない>
<まぁな、そろそろ切るな>
<分かったわ、とりあえず頑張りなさい>
二人はそう言い通信を切る、そして箒が髪を乾かし終わり戻ってきた、箒はこの時、一夏が暇つぶしに携帯で遊んでいると見えている
その後二人は部屋の線引きやシャワーの時間の打ち合わせをし、その後箒が眠りについたのを確認すると、一夏は鞄の中に自らの霊装である短剣をしまってある箱があるのをを確認すると、一夏は短剣を手に取り、気づかれないように手入れをし、眠りについた