IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第61話

一夏はティナやステイルとは別のエリアでシスターとの戦闘を繰り広げているため他のメンバーの状況がよくつかめていない。先ほど交戦した30名のシスターを彼は撃退はしたものの無傷とはいかず腕の所々が擦り切れている。

 

「(いくら倒してもきりがないな…)当たるかよっと…」

 

彼はそう言いながら石のナイフを大量に作り出すとシスターめがけて放つ。彼としても一応急所は避けているため当たったからとはいえ直ぐに死亡すると言うことは無い

その間別の方向で大きな爆発が起きていたが一夏はそれをステイル、もしくは天草式の攻撃と判断し特に気には留めなかった

 

彼はそんな戦闘をしばらく続けていると、彼の前にはまたシスターが現れるが、様子がおかしい

 

「(なんだ…こいつら耳から血…?ステイル達どんな戦闘をしてるんだ!?)」

 

彼女たちはすぐさま一夏めがけて突撃してくる。勿論一夏もただでやられるわけがない。すぐさま杯を取り出すと、水球を作り出しシスターめがけて放つ。速さも威力も天草式の戦闘で放った時と比べて格段に上昇していたため喰らったシスターはすぐに気絶する。

 

そうして一夏は建物の陰に身を隠すと通信用の霊装を使いティナに連絡を取る。戦闘中に出る確率は限りなく低いのだが、彼としてはどうしても確認しなければならない事があった

 

<一夏!?よかった無事だったのね…!!>

 

<そっちも無事か…今どうしているんだ?>

 

<私とステイル、天草式の教皇代理に禁書目録、上条当麻オルソラ=アクィナスの5人で教会に隠れているわ。とはいえ後どれだけ持つかと言った所ね。>

 

彼らは無事だが戦況は向こうも思わしくないらしい。

 

<なぁ、ちょっといいか?>

 

<どうしたの?>

 

<この戦闘の勝利条件って何だ?まさかシスター殲滅なんて言わないだろうな、さすがにそれは無謀だぞ>

 

彼としてはそこが一番気になっていた。本来ここに乗り込んで来た理由は各々の事情があるとしても大前提はオルソラ=アクィナスの救出。これが本来の目的であった。そして戦闘専門の一夏からしてもこの状況でのシスターの殲滅などはっきり言って無謀としか言えなかった。一夏としては戦闘をしているすきに上条がオルソラを連れてこっそりと脱出してほしいと思っていたがあの人数差、恐らくは脱出など出来るはずもなかったのであろう。ちなみにティナはほかの人物と話している。向こうも向こうで作戦会議を行っているのだろう。

 

<この状況をひっくり返す作戦が有るわ。それはね…>

 

そしてティナは作戦を告げていく。それを聞いた一夏は徐々に笑みを浮かべると

 

<成る程ね。そりゃ名案だ、それじゃぁ俺は予定に沿う形で暴れさせてもらうよ>

 

<ちなみに…今まで何人倒したの?>

 

<40人くらいかな?、っと見つかった!!悪いまた後でな>

 

一夏はそう言い通信を切ると近くに接近してきていたシスターを水の波でまとめて薙ぎ払う。

そうしてしばらくしていると、彼の前には背の小さな金髪のシスターが立っていた、人数的にさっきのシスターは彼女たちのグループなのだろうと彼は判断する。すると彼は一呼吸置きながら

 

「これは困った。まさかこんな小さな子が出てくるなんて俺も予想外だったよ。まぁ部隊長も小さいって言えば小さいから仕方が無いのか」

 

彼はそう言うと小さなシスターは

 

「そ、そんな普通じゃありません。たった一撃であの人数を戦闘不能にするなんて…」

 

「あー…、一応加減はしたから死ぬことは無いと思うぞ?それで君はどうするんだい?逃げるなら逃げてもいいし…向かってくるなら、相手になるぞ」

 

一夏としてはなるべくならばここで引いてほしいとさえ思っていた。犠牲もそうだがこの年齢のシスターにまともに攻撃を当てるのは彼としては罪悪感があった。

彼がそうしていると後ろから空気の切り裂くような音が聞こえてきたため、彼はすぐさま振り返り水の障壁を呼び出し防御するとその車輪は勢いを失い地上に落下する。そうして後ろから現れたのは

 

「何をしているのですか、シスター・アンジェレネ!!我々の目的を忘れたのですか!?」

 

「しかし…シスター・ルチア彼はあれだけの人数を一人で撃退しているんですよ。わ、私なんかがかなう訳が…」

 

「あれだけの人数を倒しているからこそここで倒しておかねばならないのですよ!!」

 

そう言うとルチアと呼ばれたシスターとアンジェレネと呼ばれたシスターは武器を構える、前者は車輪、後者は腰から金貨袋を取り出す

 

「(戦闘…か、さてここが正念場だな。)」

 

彼はここまでで40人程のシスターを一人で撃退している。彼もいよいよ疲労に襲われてきたがここで負けるわけには行かない。彼が戦う理由はそれだけであった。

彼がそうしているとアンジェレネと呼ばれた少女が呪文を開始していく

 

「Viene Una persona apostli Lo achiavo basso che rovina un mago mentre e quelli che raccolgono」

 

彼女がそう言い終わるのと同時に4つの金貨袋が一夏めがけて飛んでくる。速度はおおよそ銃弾と同じほどの速度である。が一夏はどうにか反応し直撃を回避する。理由は簡単である

 

「(これがカーブしたりすると大変だけど、動きは直線的、かつ必ず俺めがけて発射してくる。なら避けるのは簡単だ)」

 

彼はそう思いながら反撃の準備をするがここで彼は足に何か引っかかっているのに気づく。

そこには先ほど地面に衝突した金貨袋の口紐が解け一夏の足に絡みついていた、そして隙を逃さないように彼の前方には金貨袋、後方からはシスター・ルチアが車輪を投げつける体制を整えている。すると彼女は

 

「さて、貴方ならばこの車輪の意味が分かっていますね?」

 

彼女は言葉にこそ出さなかったが”私たちの勝ちだ。終わりだ異教の人間”と言う意味も込めての先ほどの言葉で有ろう。すると一夏はわずかにほほ笑むと

 

「あぁ…確かにこれで終わりだ」

 

そして彼女たちは同時に攻撃を放つ。これが当たればおそらく一夏は確実に死ぬだろう。それでも彼は笑みを崩さない。ましてや自身さえ伺えた。なぜならば

 

「ただし、終わるのはそっちだ!!」

 

彼はそう告げるとまずは二つの攻撃を防ぐために前後両方に石の大剣を呼び出し、地面に突き刺し攻撃を弾く

そしてその時に一夏の足にまとわりついていた紐は切断されたため彼はすぐさま横に移動すると、右の懐から短剣を取り出す。

彼は最初からこの戦闘を長引かせる気など全くなかった。ゆえに彼が最も必要としていたのは彼女たちに隙を作らせること。そして彼の目論見通り彼女たちは攻撃をするその一瞬、隙が出来てしまった

そうなれば後は彼のもっとも得意な召喚爆撃を無防備な彼女たちに直撃させることが出来る。無防備な状態で直撃などすれば手加減をしていたとしても確実に気絶させることなど簡単な事だ

 

「これで、終わりだ!!」

 

彼がそう言い短剣を振ると、前後で大きな爆発が発生する。下手をすればそこら辺の小さな家など丸ごと吹き飛ばすような威力かもしれなかった。彼としても召喚爆撃を使うつもりはなかったのだが、やはり戦闘の締めくくりは自分の得意な攻撃を使いたいと言う誘惑に勝てなかったのだ。

そしてその攻撃を受けた彼女たちは案の定地面に倒れ気絶していた、あれだけの爆発にも拘わらず彼女たちが気絶で済んだのは一夏が熱量や衝撃などを加減したからであった

 

「ふぅ…それにそっちも終わったみたいだね」

 

彼がひとりでにそうつぶやいたとたん教会全体が巨大な炎に包まれる。とは言ってもこれは敵の攻撃ではない。ステイルのルーンカードを教会全体に張り付けた結果なのだ。一夏の役割は貼り付けるまでの間なるべく外敵を自分に引き付けておくことだったのだ。その途中で彼女たちを撃退したのだ。そうしてそれだけでは無く、先ほどの彼の戦闘を見ていたほかのシスターたちも全員が呆然として武器を手放したのだ。

 

戦いは終わる

一人の莫大な力を振りかざす少年によって敵勢力の戦意を根こそぎ奪い、別の少年は拳ひとつで心をねじ伏せることによって

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後一夏達は教会を後にした。上条自身も大きな傷を負ったため救急車で病院へと運ぶのだと言う。一夏は傷は有るもの大したことは無いと言いティナと共にIS学園へと帰っていく。

とはいえ時間も時間で有るため彼らは近くにあるビジネスホテルに泊まる事にする。もちろん部屋は別々だ。と言うより高校生の男女が同室での宿泊はさすがにまずいと判断したのだ。そして一夏は濃きに来てようやくある事を思い出す。それは…

 

「(あっ…上条君とアドレスの交換してないや。まぁいろいろあったから仕方が無いのか…となると学園祭には弾を呼ぶか。)」

 

そう彼らは仲がいいが、出会うのが事件中と言う事もあり彼らはアドレスの交換をしていないのだ。

 

こうしてこの日は彼らも眠りにつき、次の日にIS学園へと帰るのであった

 

ちなみに帰ってから一部の人間に詰め寄られたのは言うまでもないがそれはまた別の話

 

 

 

 

 

そして某所では

 

「それじゃぁ侵入はこの日で良いんだな、エム」

 

「あぁ、後は教えた通りだ。くれぐれも余計な事はするなよ、オータム」

 

「うるせぇんだよガキ」

 

エムと呼ばれた少女はオータムに対してそう告げるが彼女は全く聞く耳を持っていない。と言うより彼女は最初からエムの事など信用していないのだ。オータムはそう言い残すと部屋から出ていく

 

すると一人の男性が

 

「お前の体が自由ならばお前を投入したんだがな」

 

「仕方ない。スコールとはそう言う契約だからな。お前としては不満か?」

 

「まぁな。枷付きのメンバーだと使用に困るからな。全くスコールも余計な事をしたものだ」

 

そう男性はため息を吐きながら告げる。エムの体内にはナノマシンが多量に投入されておりさらに厄介なのはその制御装置をスコールが握っているため迂闊に行動すればスコールの操作一つでエムの命を奪う事が出来るのだ。そして男性としてもこれは気に食わないが彼は組織の中ではスコールよりも立場が下のため文句を言えないのが事実だ。文句は言えない。実力だけなら彼の方が上だが彼自身、組織の輪を乱すような行動をしないのをポリシーにしているため目だった衝突は無い。

 

「それで、この日…IS学園の学園祭当日。本当にアイツ一人に任せるのか?”オカルト”のお前たちに任せた方がまだ成功確率は高くないか?現に私の機体もお前たちのおかげで手に入れたようなものだ」

 

エムはそう尋ねると男性は

 

「スコールには私から説明しておくがエム、お前は前にも言ったがオータムの回収のために待機、私と部下のアトラク、クスグ、オトゥーの4名も裏技を使い侵入する。3名とスコールは今日にも到着するからな」

 

「了解したぞ…イオ」

 

「そんなに期待されても困るのだがな…我々の神話はケルト、北欧に比べると規模が小さく術式も曖昧。とはいえお前たちを失望はさせんぞ。あの”ランプ”のテストも兼ねているのでな」

 

そんな会話が繰り広げられていた。波乱に満ちた学園祭の開催は近い




次からはIS学園の学園祭に戻ります
あと後半の元ネタはあの神話です。そのため現在知識を取得中です。そのため間違った解釈もするかもしれません。その時はご指摘よろしくお願いします

…神話の神の実名使うのがダメな場合を想定して多少いじったのはそれが原因です

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