IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第57話

その後もアニエーゼは上条たちに作戦を説明していく。どうやらアニエーゼたちは包囲網を敷いているようだが一向に見つかる気配は無いと言う事。

その後も天草式について説明を加えていく一夏としては上条が伊能忠敬を知らなかった時には冷や汗をかかされた。そして天草式は伊能忠敬の作った日本地図を応用した特殊移動術式を使い日本中を自由に移動できると言う事などいろいろな情報をインデックスが告げると不意にアニエーゼが慌てたように

 

「じゃぁどうすんですか!?てかそんな情報をどうして今まで黙っていたんですか!アジトに先回りすることが出来ないんじゃぁ、飛ばれちまったらもう終わりだ。どうしてそんなにのんびりしてんですか!?」

 

「急ぐ必要なんてないからだよ。大日本沿海興地全図は夜空の星を利用して実測された地図なの、だから特殊移動法を使うには地図に染みついた特製…星の動きが大きく影響して来るの。だから決まった時間じゃないと特殊移動法は使えないの」

 

インデックスが彼女の疑問にあっさりと答える、そして彼女は上空を見上げながら

 

「今は…星を見る限りじゃぁざっと午後七時半って所だね。特殊移動法の制限解除は日付が変わった直後だからまだ4時間半くらいは猶予があるよ。加えて飛ぶためのポイントはすでに固定されているんだもん。そしてこの包囲網で使える渦は判明している23か所では一つしかないの」

 

彼女は自信満々に言い切る。その光景を見ていた上条もまたインデックスは違う世界の住人であると言う事を思い知らされる。そして上条は彼女に

 

「それでそのポイントってのは何処に有るんだ?」

 

「とうま、地図が出るピコピコ持ってなかった貸して貸して」

 

「(ピコピコ…あぁGPSの事か)」

 

彼は彼女の言うものを理解すると携帯電話を取り出し手渡すがどうも操作がぎこちないようなので彼が操作をする。そして画面を表示すると、彼女は指をさし

 

「ここだよ、ここにポイントがあるよ」

 

その後はアニエーゼがすぐさま命令を飛ばし15分足らずで結果が返ってくる

そしてさらに彼女は

 

「包囲網の維持やらエリアの捜索やら色々有りますので使える人員は私含めて74名です。今必要な霊装や武装を再調整していますが仮に天草式本隊と遭遇した場合必勝は確約できません。すいませんがそちらの身はそちらで守って貰う事になります」

 

天草式は50人足らずで250人の部隊と渡り合ってきたのだ彼女がそう言うのも無理はない。すると今まで一言も発しなかったティナがアニエーゼに声をかける

 

「私たちの最優先は天草式の撃退ではなくオルソラ=アクィナスの確保で良いかしら?この辺をはっきりしていないと、戦闘に巻き込まれてオルソラ=アクィナスが大怪我、最悪の場合死亡って事もあり得ると思うんだけど…」

 

そうすっかりアニエーゼの部隊の規模に隠れてしまっているが、ステイルや一夏と言うのは、はっきり言わせてしまえば術の威力が強すぎて周りを巻き込む可能性すらあるのだ。そしてもしも天草式本隊と全力で戦ってうっかり流れ弾があたり”オルソラに大けがを負わせてしまいました”、と言う状況になることもあるのだ。そしてアニエーゼは

 

「えっ…えぇ、そうですね。なるべく無傷で引き渡してくれるとありがたいんですが…。」

 

「そっ。そういう訳だから。くれぐれも本気出して建物ごと破壊なんてしちゃだめよ」

 

彼女はそう言いながら一夏に視線を送る。すると一夏はすぐさま視線を逸らす

ちなみに上条もこの時ステイルに視線を送っていたが彼は特に気に留めていなかった

そしてステイルも

 

「君の提案なら僕も構わないよ。援軍を送ると約束したこちらの”騎士”の連中とも連絡が取れない。その上で僕たちがお荷物になっては仕方が無いから。で、出発前の再準備にはどの位かかる?」

 

「武具防具の選定などを含めると…三時間前後。最悪でも十一時までには終わらせちまいます」

 

アニエーゼのその言葉に一夏が

 

「移動時間を考えると30分以内の決着が望ましいって訳か…超電撃作戦だな。余り早く俺たちが到着して待ちぼうけ喰らうだけだからな」

 

そんな事で行動開始は午後11時に決定する。アニエーゼはすぐさま支持を飛ばすと黒い修道服を着たシスターたちは行動を開始する

彼女たちはそれぞれ準備が必要だが上条や一夏達と言うのは準備など全く必要ない

ちなみにこの場で野営をするため彼らは特に場所を移動する必要もない。そうしていると上条は一夏に

 

「なぁ、織斑。俺たちも何か手伝った方が良いと思うんだが…」

 

「必要ないと思うよ。それにその右手で霊装を破壊…なんて事になったら…かなりの騒ぎになると思うし…」

 

「それは…いやだな。ところでお前。学校は良いのかよ。明日は平日だろう?」

 

「外出届と外泊許可書はもらってきてるから。明日遅刻しようがサボろうが。校則上は何も問題は無いよ…校則上は…ね」

 

「ん?なんか気になるな…夏休みの時に聞いたけど、確かお前の居る学校って女子校だろ?色々と大変じゃないか」

 

「ぶっちゃけ言って命の危機だね。下手に女子とかかわったり授業に遅刻なんてしたら、ビーム兵器やら実弾をぶっ放してくるような人間やそれを指示する教員が居る学校だぞ。これならまだ大天使や聖人と戦った方がましだね」

 

「げっ…俺もよく街中でビリビリ中学生やその後輩に絡まれたりして命の危機が迫ってるけど…お前も大変なんだな…でも俺の場合、先生はそんな無茶苦茶な指示は出さないから…まだマシなのか(あれ、もしかして織斑って俺より不幸な人間なのか?)」

 

「先生…と言うか俺の担任以外そんな滅茶苦茶な指示出さないよ…担任の授業だけは高校の授業と言うより軍隊の訓練みたいな雰囲気だからな」

 

「そうか…俺もそうだがお前も大変なんだな…」

 

そう言うと二人は左腕で熱い握手をする。男同士の変な友情が誕生した瞬間であった

 

その後二人は分かれると上条はステイルの居るテントに、一夏は外れの方まで移動する。一夏は仮眠をとると言うよりも人気のないところに移動して腰を下ろし黙っている方が落ち着けるのだ。

 

そうしていると一夏の横にティナがやってくる。すると彼女は一夏の隣に腰を下ろすと不意に

 

「仮眠をとらなくてもいいの?時間があるとはいえ寝ないで戦闘するのは厳しいと思うのだけれど…」

 

「大丈夫だ。逆に起きてすぐに移動の方が大変だろ」

 

「そっ。それよりも一夏。さっきも言ったと思うけど今回は全力出すのはダメよ。場所もそうだけど何よりあなたの魔術で確保対象が負傷…なんて笑えないわよ」

 

「威力は抑えるから安心しろ。それに今回はあえて得意な風と炎を使わないで水と土を主体に戦おうと考えているんだ」

 

「天使の力を込めた攻撃で事は使うのは”神の力”と”神の薬”ね。それにしても不便な事になったわね。天使の力を使わない普通の魔術の大半が使えなくなるなんて。使えるのは人払いと索敵位なんだっけ?」

 

「そうだね。まぁ結界はティナが居るしその辺は特に心配してないよ」

 

「全く…調子いいんだから。まぁ不幸中の幸いなのか、あなたの場合だと普通の霊装が使えているからいくらでも策は有るのね…」

 

「そう言う事。まっせっかく手に入れた力だ。有効に使っていきたいね。まぁその初実戦相手が天草式って言うのは気に入らないけど。」

 

「戦わないためにもさっさとオルソラ見つけて保護しちゃいましょ。そうすれば天草式とは戦わずに済むわ。…と言うか誘拐経験者の一夏としてはそんなに不満なの」

 

「不満って言うかオルソラの行動がよく分らないんだよ。本当に天草式にさらわれたのならば一回目の戦闘の時にオルソラはアニエーゼたちと合流してなきゃいけないし、彼女たちもあれだけの人数が居るなら力ずくにでも仲間を助け出すはずだ。所が現実は違う。彼女は両方から逃げ出し、学園都市に行こうとしていた。これが引っかかるんだよ…なんでオルソラはローマ正教、天草式の両方から逃げ出したんだと思ってさ。俺なら確実に助けに来た方に逃げ込むし、俺を助けてくれたあの人達を信じていたからこそ、その後に俺は魔術師になったんだしな」

 

「まぁ真相はオルソラ本人に聞くとしましょうか」

 

こうして彼らもまた戦闘準備を整えていくのだった


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