IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第54話

彼が楯無と特訓を始めて数日が経過した。

彼女の特訓は誰よりもわかりやすかったが、その分とても厳しかった。そして今日も特訓を終え、一夏が部屋に入るとそこには

 

「おかえりなさい。ご飯にします?お風呂にします?それとも、わ・た・し?」

 

「えっと…失礼しました」

 

目の前に本来ならば居ないはずの生徒がいた為一夏はいったん部屋をドアを閉め部屋の表札を確認するがそこには”織斑”の文字があったため自分の部屋である事を確認する。そして一息ついて部屋の中に入ると

 

「あら、一夏君。もしかしておねーさんの格好に驚いちゃった?」

 

「えっ、えぇ…」

 

彼は目をそらしながら彼女の言葉を肯定する。それもそのはず彼女の格好は俗に言う裸エプロンと言う奴で正面からはほとんど裸に見えてしまっているのだ。彼女のスタイルの良さも加わり一夏はまともに正面を向くことが出来ない。

それでも彼は言葉を出す

 

「それで、楯無さん。何の用ですか?」

 

「いや、私今日からここに住もうと思ってね」

 

「えっ!?」

 

流石の一夏にはこれに驚く。何しろ彼の部屋には霊装がしまってあり彼女が見つけてしまえば自分の正体が知られてしまう可能性だってあるのだ。特に短剣なんて見つかった時には最悪の場合没収もあり得るのだから。

すると彼女は彼の考えなど気にしないように言葉をだす

 

「まぁそんな事だからよろしくね一夏君」

 

「よっ、よろしくお願いします…それよりもその格好どうにかなりませんか?…目のやり場に困るんですけど」

 

「あら、安心して、中に水着着てるから見ても問題ないわよ。それとも一夏君は裸の方が良かったかしら?」

 

「そんな訳ないでしょう…」

 

彼は呆れながらもそう言うが彼女の方は一向に着替えようとしない。どうやら今日はこのままの格好で過ごすつもりのようだ。

すると一夏はベッドの上に上がると久しぶりにティナに通信を送る

これも霊装を解して行うため同室の楯無にも声を聞かれると言う事はない

 

<あら、一夏。どうしたの?>

 

<いや、ちょっといろいろあってな>

 

<そう、それで特訓はどうかしら?>

 

<なかなかにハードだよ。まぁそれ以外にもいろいろあって身体よりも精神的な疲れの割合の方が大きいかな>

 

<それはご愁傷様ね。それで一夏は今一人?>

 

<いや、楯無さんが居るよ。なんでも今日からしばらく俺の部屋で過ごすんだって>

 

<そっ、あの会長も何を考えているんだか分からないわ。一夏気を付けなさいよ。>

 

<そう言えばさ、ティナ一つ聞きたいんだが>

 

<どうしたの?>

 

<いや、ティナは学園祭に誰を誘うのかなと思ってさ。>

 

<私?私は母さんからチケット欲しいって連絡が来たから母さんに送ったわ。そう言う一夏は誰を呼ぶの>

 

<それがなぁ、誰に渡そうか考えている所なんだよ。中学時代の友達も何人もIS学園に来たいって言ってるから>

 

<そんなに難しく考える必要もないんじゃないの?まぁいいわ。私も打ち合わせが有るからこの辺で切らせてもらうわ>

 

彼女はそう告げると通信を切ってしまう

そして一夏も一息ついて休んでいると、楯無が一夏に

 

「そう言えばさ一夏君」

 

「なんですか?」

 

「テスト勉強はしなくてもいいの?」

 

そうIS学園は学園祭終了後に中間テストを行うと言う生徒殺しな日程が有るため生徒たちは準備と勉強の両立をしなくてはならないのだ。テストは大きく一般科目とIS関連科目に分かれ一般科目の点数が低い生徒には一応の救済措置として一般科目の点数が悪くてもIS関連科目の点数が高ければいいと言うルールもある。

 

「全体をバランスよくやるかISに特化すればいいですからねぇ…どうすればいいんでしょうか?」

 

「専用機持ちの場合極端な話一般科目全部0点でもIS関連科目や実技が良ければ卒業できちゃうからねぇ。」

 

「いや、さすがにそれは他の勉強している生徒を見下してる感じで気が乗りません。ここのテストの難しさもわかりませんのでそれは危険ですよ」

 

「難しさは、一般科目は全国の高校のテストと同じレベルよ。勉強すればだれでも点数が取れるって言う感じ。さすがに有名進学校ほどテストは難しくないからそこは安心していいわ」

 

と彼女は先輩らしく彼にアドバイスする。格好が格好でなければすごくいいことを言っているのだ。

先ほど彼女が上げた極端な例と言うのは主に代表候補生に通じる話だ。彼女たちはそれぞれの国の代表であり機体のデータ取りを目的にしているのだから勉強など二の次、最低限の一般常識とマナーが有ればいいと考える上層部も多いのだ

 

そして彼女はさらに

 

「まぁどうしても分からないなら教えてあげるわ。ココの先生結構、問題の出題傾向が偏ってるからある程度出てくる所は予想付くわ」

 

「成る程、ちなみに先輩って頭良いんですか?」

 

「当然。生徒会長が馬鹿だと話にならないじゃない。生徒会長たるもの常に最強であれ。それは勉強も同じよ」

 

「格好が格好じゃなければすごく輝いているんですけどね…」

 

彼らはそんな話をしながらもこの日は眠りにつくのだった

そして次の日の四時間目が終了し昼休みに入る

 

この授業は語学に依存する授業のため教室には日本人しかいない。ちなみにこの授業は日本人でも2つのグループに分けられ箒、簪、相川などは別の教室で授業を受けている

 

すると授業終了と同時にクラスメイトの鷹月や谷本たちが一夏の席に集まってくると

 

「織斑君、たまには一緒にお昼食べよう」

 

「そうそう、専用機持ちたちとばっかり過ごしてるんだからたまには良いよね?」

 

「もちろん。それでどうする?」

 

一夏がそんな事を彼女たちに尋ねると

教室のドアが開き

 

「お邪魔します。一夏君たまには教室で食べましょうきっと楽しいわよ」

 

そんな事を言いながら重箱を持った楯無が教室に入ってくる

この際にも手際よく机を並べ椅子を用意する。そして周りには鷹月、谷本、夜竹、鏡が集まってきた

 

すると鏡が

 

「超豪華ですね。」

 

その言葉に楯無以外の全員が納得する

ここまで作るのだからいったいどれだけ時間をかけたのだろうと全員が思っている

 

すると楯無は料理の一つを箸でつかむと

 

「一夏君、はい、あーん」

 

「ちょっ…いただきます」

 

一夏は彼女の料理を口に入れるするとその光景を見ていた彼女たちは

 

「織斑君と生徒会長ってそんな関係だったの!?」

 

「本妻だけじゃなくて愛人も作るなんて…なかなかね」

 

「えっ、本妻!?そっちの方が気になるんだけど、誰なの?」

 

「二組のハミルトンさんよ。よく放課後に一緒に居る所みるじゃない」

 

そう夜竹、鷹月、鏡、谷本の順で言う。するとその言葉を聞いていた一夏は

 

「いやいや、いつティナが本妻になったんだよ…」

 

「えっ?違うの?ティナちゃん織斑君といる時すごくうれしそうな顔してるからてっきりもう付き合ってるのかと思ってたんだけど…まだなの?」

 

ティナの親友の一人である谷本が一夏に意外そうに告げる。

 

「まだって言うか…うーん」

 

「よく一緒にいるからもう慣れたとかそう言う感じ?これは入籍も近いわよ。」

 

「世界で唯一ISを動かせる男子とイギリスの一般生徒との恋…これは同人誌にできるわね」

 

「おいこら(それに、おそらく身分的にはティナの方が高いと思うぞ?)」

 

彼の返答に夜竹と鏡が妄想を走らせたため一夏はすぐにツッコミを入れる

するとその光景を見ていた楯無は小さく笑うと

 

「それじゃぁそこら辺の話も含めて、みんなで食べましょうか」

 

そんな事もありながらこの日の昼食はいつも以上に楽しく食べ、昼休みの時間も楽しく過ごしたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平凡な日常の後に待っているのは波乱の幕開け




次からは法の書篇に突入します
法の書終了後にIS学園の学園祭になります

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