IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第53話

一夏は楯無に連れられる形で第3アリーナに入るとそこにはセシリアとシャルロット、ラウラの3人がいた。

すると一夏達を見つけたセシリアが

 

「一夏さん、今日は第4アリーナで特訓と聞いていましたが…ところでその方は誰ですの?」

 

不機嫌そうにそう言う。言い方しておそらくセシリアは楯無を知らない、恐らく集会の時に会長の話を詳しく聞いていなかったか、会長の顔など覚えている余裕など無かったのだろう

 

するとその様子を見ていたシャルロットが

 

「セシリア、生徒会長の更識さんだよ」

 

「あぁ、道理で見た事のある顔だと思いましたわ。それで要件は何でしょうか?」

 

彼女は明らかに不機嫌そうな表情をしながら楯無に向かい言葉を発する。

すると楯無は

 

「あら、随分と嫌われてるわね私…まぁいいわ。とりあえず一夏君の専属コーチをすることになったの。」

 

楯無は特に気にせずに簡単に言い放つ。するとその言葉を聞いた彼女たちは

 

「一夏、どういう事なのかなぁ」

 

「私達では不満なのでしょうか」

 

セシリアとシャルロットはそう言いながらISを展開しそれぞれ武装を展開する。するとその様子を見ていたラウラは密かに

 

「はぁ…だからあれ程、指導者は一人にしろと言っておいたのだ。全員に教わったところですべてを極めるなど出来るものか…」

 

そうつぶやいていたが彼女たちには聞こえていない。実はラウラに関しては箒の事情も知らないこともあり大体の時間を箒の特訓に費やしてくれているのだ。今この場にラウラがいたのは特訓の状況報告を彼女たちにしていたのだ。そして鈴は一夏に指導と言うよりも試合相手になって貰っている。

 

そして楯無は続けて

 

「ちなみに私が提案したら一夏君は快く了承してくれたわよ。それに貴方たちにも特訓を手伝って貰うんだからそんなに怒らないの」

 

「そう言うんだったら…」

 

「仕方が有りませんわね…」

 

彼女の言葉にセシリアたちは渋々納得する。ラウラに関しては今日は休養日と言う事でこの場に居る事を告げる。曰く”あまり体を酷使しすぎると機体も体も故障する可能性もあるからだ”だそうだ。

 

すると楯無は

 

「さて、まずは経験者の動きを見てまねる所から始めましょうか。シャルロットちゃん、セシリアちゃん”シューター・フロー”で円状制御飛翔をやってみせて」

 

「ん、確かそれって射撃の技術ですよね。俺の場合近距離戦闘主体なんですが…」

 

一夏は彼女に疑問をぶつける。一夏の場合アバウトにだがISの戦闘動作の知識がある。今聞いたのだって教科書に取り上げられるほどの有名な戦法だ。

するとラウラが

 

「第二形態で射撃能力が追加されたからであろう」

 

「でも俺の場合、連射は出来んぞ」

 

そんなやり取りをしていると楯無は

 

「そう、連射が効かない荷電粒子砲は一撃必殺向き。それに一夏君の射撃能力は低いから射撃戦には向かない」

 

彼女はそれとなく一夏にダメ出しをする。

すると彼女の言いたいことを理解したラウラは

 

「ならば至近距離で…以前、一夏が凰との試合で使った動作を常に使えるようにすると言う事か」

 

「そう言う事。それじゃ、お二人さんお願いね」

 

彼女はセシリアたちに合図を送ると、彼女たちは移動を開始する。正面から突撃するのではなく壁に背を向けたまま右方向へ滑らかに移動していく。

そしてしばらく動くとお互いに射撃を開始するが彼女たちは攻撃を回避し、そして反撃していく。するとその動作を見ていた一夏は

 

「射撃と機体制御を同時に行っていると言う事ですか。本来機体の制御はオート制御ですけど、それだと綺麗な動作は出来ない、だからマニュアルで機体を制御していると…そう言う事ですか」

 

「そう言う事。それにしても凄い観察力ね。初めて見た人でもここまで見破れる人なんていないんじゃないかしら…それとも教科書に書いてある分をそのまま言ったのかしら?」

 

「教科書に書いてある内容を俺なりにかみ砕いて理解したことを言っただけですよ」

 

流石に一夏も機体の動きを見ただけでマニュアルかオートなのかを判断することは出来ない。彼が言ったのは教科書に書いてあった内容を彼なりにかみ砕き理解した事実を告げたにすぎないのだ

 

とはいえこの動作は機体制御と回避や牽制を同時に行わなければならない。常に冷静になり二つの動作を同時に考えることが求められる技術だが、一夏にとってみれば、やるのは簡単な事であった。なぜならば彼は魔術においても召喚爆撃や複数属性の天使の力を同時に操ると言った事が出来るのだからこの位は朝飯前である。ISは失敗してもエネルギーが削られるだけ、魔術は失敗すれば場合によっては死。この二つは大きな違いである。

 

そして彼女たちが実演してくれたところで一夏の番が回ってきた

すると楯無は最初に今の動きの感覚などを詳細に一夏に説明していく

 

「さて、それじゃ感覚は今言った通りよ。習うより慣れろ。あの子達と同じようにやってみて。最初は動いているだけで良いわ」

 

「分りました」

 

そう言うと彼は白式を呼び出し上昇、彼女たちの動きを真似していくが

 

「(これは思っていた以上にキツイな…でもこの感覚、今後の参考になるな…おっと)」

 

やはり実際にやってみると動きは若干ぎこちないが、それでもうまく体制を維持しながら円形に動いてく。

そしてその光景を下で見ていた彼女達は

 

「一夏さん、動きはぎこちないですが上手く飛べていますね」

 

「まぁ初めてやる人は最初はあんな感じだよ、僕も最初はあんな感じだったんだろうなぁ」

 

「これは…育てがいが有るわね」

 

一夏の動きを見た彼女たちは別々に感想を述べていく。

そしてこの日の特訓は終わるのだった。

 

その日の夜、一夏は自室に戻ると術式の調整などを始める所だったが今日は違っていた

 

「(はぁ、今日は疲れたなぁ、生身の訓練の後にISの訓練。なかなかにハードだったな…あとラウラのあの話…箒の奴とんでもない機体を手に入れたもんだな。)」

 

そう、今日の特訓終わり、ラウラは一夏達に箒の機体のワンオフ・アビリティー、絢爛舞踏が発動したことを告げたのだった。その能力はISのシールドエネルギーを回復させること。ISの競技ではシールドエネルギーが無くなれば敗北なのだから彼女の機体の能力がいかに反則なのかがよく分る。

そして彼女の推測では紅椿は白式の発展型、もしくは白式のサポートをしつつ単騎で敵を倒すことを目的とした機体なのではないかと言う事を話した

 

「(正直言って競技自体が崩壊するな。ラウラの話じゃ発動したのは一回だけでそれ以降は発動しない…でもこれが自由に発動することになったら…アイツは正真正銘の負け知らずになるって事だよな)」

 

彼はそんな事を考えながらも眠りにつくのだった

今日は異常に疲れたせいかティナと話さず、術式の調整すら行わないのであった

 

 

一方噂のティナはと言うと

 

 

「ねぇ、ティナ。メニューどうすればいいと思う」

 

「そうねぇ…」

 

彼女とルームメイトの鈴は二人で学園祭で出す料理の話をしている。彼女たちのクラスも飲食関係の出し物なのだ

 

「やっぱり王道の物が良いんじゃないかしら?」

 

「でもそれだとありきたり過ぎない?まぁ味はティナが居るから心配はないけれど」

 

鈴としては夏休みの一件もありティナの料理の腕はかなり高い方だと認知していることもあり、ティナが同じクラスなのはとても心強かった。それ以外にも二組には料理部の生徒が多い事などもあり飲食関係ならば二組が優勝候補とも言われていたりする

 

そんな事を話しながら彼女たちの時間は過ぎていく

 

 

そしてまた別の部屋。ここは本音と簪の部屋だ。

彼女たちは幼馴染と言う事や家の都合上ルームメイトになっているのだが、布仏は新しい衣装の作成、簪はゲームをしている

すると簪は

 

「そんな、こんな所で忍者が出てくるなんて…しかも場所は…そんなちょっと待ってその中には…」

 

彼女はそんな事をゲーム機に向かって呟いている。その表情はかなり真剣であり、本音ですら声をかけにくい状況である

そして本音は

 

「ふんふーん。カナミンの新しい衣装ー、皆大好きカナミンの衣装なのだー」

 

そんな事を言いながら器用に衣装を作成していく。ちなみに彼女は作った衣装を自分で着て顔を隠した状態でネットに写真を上げているのが趣味だったりする。色々な衣装があるが最近はカナミンの衣装を作るのにはまっている。ちなみにその時の感想欄にはよく

 

{私の部下にもこの衣装を着せたいのですがどうすればいいでしょうか?良かったら下記のアドレスにまでメールください。Annihilatus@×××,▲▲}

 

と言った内容のコメントがよく書かれ、彼女は作成方法を送ったりしている。

その影響でロシアのとあるシスターが今まで以上に迷惑を受けていることも知らずに…

 

すると

 

キャァァァァァァァ!

 

女の子の叫び声がゲーム機から聞こえた為さすがの本音も驚き様子を見ると、ゲームをしていた簪が

 

「忍者…それに馬鹿兄貴…絶対に許さない…こうなればお前たちには本物の暴力を叩き込んでやる」

 

「かんちゃん、怖いよ…」

 

そんな不思議な光景が繰り広げられていた


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