IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第49話

ティナは刀夜を視界に入れると

 

「さて、攻撃はお先にどうぞ」

 

「事情は分からないが、私に用があるのならば相手になろう。私も男だ手加減は出来んぞ」

 

「手加減なんてしなくていいわよ」

 

彼女が刀夜に告げると彼は一目散に彼女に迫る

その行動にはためらいなどはなかった。そして彼の全力の拳を彼女に放とうとするが

 

「単純ね…」

 

彼女はまるで狙ってきたところを理解していたように拳を避けると間髪入れずに鳩尾に蹴りを叩き込む

 

「ぐっ…!」

 

そしてそれをもろに喰らった彼は勢いよく床に叩きつけられる。

そしてその様子を見ていた上条は

 

「父さん!!」

 

「よそ見をしている暇があるのか?」

 

そう言いながら土御門は上条に対し反則技を叩き込んでいく。するとその様子を見ていたティナは刀夜に対し

 

「どう、私のカウンターの味は?」

 

まるで料理の味を聞くような言いぐさで尋ねるが聞かれた本人は余りにもダメージが大きすぎたのかうまく口に出すことが出来ない

するとティナは

 

「母さん曰くハミルトン流制圧術らしいわ。相手の動きを見切り的確にカウンターを叩き込む。たったそれだけ。土御門みたいな相手の急所を確実につくなんて高度な反則技でもなんでもないわよ」

 

彼女は簡単に告げるが、実際はそんな簡単な技術ではない。カウンターを使うと言う事は相手の得意な攻撃を受けなければならず、もしもタイミングを誤ろうものなら大ダメージを受けかねないのだ。それを簡単に言うあたり、体術に関しては彼女の技量は高いのだ。

 

彼女は言葉を続けるように

 

「まぁ、それでも私の場合付け焼刃なのは否めないわね…そう言う意味ではあなたたちは幸運ね。もし相手が母さんなら、さらに追撃を浴びせ一気に制圧するだろうから…」

 

するとその言葉を聞いていた土御門は

 

「俺にとっちゃ厄介極まりないがな。何処を狙おうが確実にいなされカウンターを撃ち込まれるんだ」

 

彼らは床に倒れている上条親子を見下ろしているが、上条はそれでも立ち上がると、狙いを土御門ではなくティナに定める。自分の父親が倒された事に怒っていることは明白だった

 

「これ以上、父さんに近づくんじゃねぇ、支援要員が!!」

 

「言ってくれるわね、素人…」

 

上条はティナへと狙いを定めるが、彼はこう考えていた。土御門と違い彼女の攻撃はすべてこちらの攻撃をいなしカウンターを入れる、ならば自分がフェイントを入れれば彼女のタイミングを外しダメージを与えることが出来るのではないかと、そして彼女が隙を補うために結界を張ったとしても、右腕ならばそれを破壊できる。そんな風に思っていた

 

そして彼は右腕で彼女を殴ろうとするが、彼女はまず重心を崩すため彼の右足を払おうとする

 

「(来た…だけどコイツは土御門と違って足を潰すのではなく足を払う。ならっ)」

 

が上条は足を何とか上げ払いを回避すると再び床に足を着け、右腕ではなく左腕で彼女を殴ろうとする、が

 

「まぁ、素人にしちゃ考えた方ね。だけど…所詮その程度よ」

 

すると彼女はそれすら見越していたかのように左腕を掴み取ると足で彼の鳩尾に蹴りを叩きこみ、開いた手を使い彼の顔面を思い切り殴りつける。女子とは言え全力で殴りつけたのだから上条は大ダメージを受ける。

 

「まぁ…こんな感じかしらね。言ったでしょ?殺さないし後遺症が残るような怪我はさせない。ただ痛いだけよ…って。ごめんなさい土御門。あなたの出番なしに終わってしまって」

 

「いやいや、久しぶりに見せてもらったけど相変わらず凄いな。さてそれじゃぁここからは予定道理に行きますか」

 

そしてその様子を上条は睨みつけるように見ていると、土御門は彼に

 

「なぁ、カミやんもう時間切れだ今から家に向かっても絶対に間に合わない。もうこの大魔術を止めるには犠牲を出す以外に方法が無い。分っているだろ?それでも認められないかこの方法が」

 

その問いに上条は答える。

 

「当たり前だ…そんなの。なんでそんなものを認めなくちゃならないんだ!!」

 

「そっか」

 

彼の言葉に土御門はただ一言、たったそれだけを言い放った

そしてその様子を見ていたティナは

 

「仕事はこなしたわ。私も退散させてもらうわ。」

 

「あぁ」

 

そう言い残すと彼女は海の家から出ていく

そしてその時一室からは光が輝いていた。そしてその様子を見ながら彼女は

 

「(まぁ生身の人間相手に技を叩き込んだってのはあまりいい気持ちはしなかったけど、このくらいは良いわよね。一夏や神裂さんなんて大天使を相手にするはめになったのだからこの位の報いは受けて貰わないと…まぁ土御門の場合は事情が違っていたみたいだけど…)」

 

彼女がそんな事を考えているうちに巨大な満月の浮かぶ月が無くなり夕焼けに戻っていく

それでようやくこの事件は終わったのだと。そう理解できた

 

そして海岸で死闘を繰り広げていた一夏と神裂も大天使が消えたことでようやく終わりを実感することが出来たが、二人ともボロボロであった。しかし神裂はどうしても一夏に確認しなければならない事が有った

 

「ところで一夏、貴方に聞きたいことがあります。あなた…聖人だったのですか?」

 

彼女がそう思うのも無理はない。何せあの戦いの速度は常人には着いて行けないほどの速さで繰り広げられていたのだ。そして彼はその速度に反応していた。だからこそ彼女はそう聞いたのだが一夏は

 

「まさか、俺が聖人な訳ありませんよ。俺には数百メートル先は見えませんし超人的な動きなんてで出来ません。ただの人間です」

 

彼は彼女の疑問を受け流すすると彼女は

 

「…まぁいいでしょう。そう言う事にしておきます」

 

「それじゃぁ俺もそろそろ帰ります。」

 

彼は彼女にそう言い残すとその場を去っていく。

 

その後彼はティナと合流し、自分たちが住んでいる街へと帰っていくのだが、その途中で人々を見ても全員が違和感なく過ごしていたことからこの事件は終わったのだと理解することが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、とある場所にて数人の人間が一つの部屋に集まっていた

 

「で、これを使ってこのガキの機体を奪えば良いんだな。エム」

 

「そうだ」

 

エムと呼ばれた少女は無愛想にそう言い放つ。するとその女性は

 

「ははっ。それで余裕が有るならこの写真の女共も殺せか。いい案じゃないか!!」

 

「言葉を選べ。オータム」

 

そう言いながら部屋にいた一人の男性が発言する

するとオータムと呼ばれた女は

 

「はっ、流石・・・・・・様は言う事が違うな!!」

 

「あくまでも目標はこの少年の機体の強奪だ。3名の女子生徒の殺害はやらなくてもいい。お前は機体の強奪だけを考えろ」

 

「はいはい、分かりました。ケッ男のくせに命令しやがって」

 

そう言いながら彼女は部屋から出ていく。すると部屋に残った男性はエムに

 

「やはりスコールもこの場に呼んでおくべきだったな。あいつの事だ。余計な犠牲を出しかねんな」

 

「…お前が侵入した方が良いんじゃないのか?少なくともオータムよりは有能だろうお前」

 

エムはオータムよりもこの男性を信用しているような口調で話す。この二人はそこそこ信頼し合っているのだ。すると男性は

 

「余り私たちが表立つとあの組織が本格的に動くんでな。ゼフィルス強奪の時にイギリス国内で強奪するのではなくはなくユーロトンネルで移動させている最中に強奪したのもそれが原因だしな。今回も念には念を入れたんだ。それにお前こそ、あの機械の性能をアイツに教えてないじゃないか」

 

「気づいていたか。それで当日私は何をすればいい?」

 

「オータムが失敗した場合はあいつの回収を第一に、私と数名も侵入するが、私達の回収はしなくていい。自力で脱出する。最悪の場合は命を絶たせてもらうしな」

 

「…そうか。まぁお前が失敗など考えられないが、まぁ手は打つことに越したことは無いしな。それでスコールはいつ来る?」

 

「さぁ?少なくとも作戦当日には日本にいると思うぞ。スコールやあいつらは私たち以上に多忙だからな」

 

こうして不穏な会議は幕を閉じる。

そして波乱に満ちた二学期が始まるのだった

 

 

 




ようやく次回からIS本編に合流です

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