IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第44話

作戦会議も終盤にかかり、いざ敵戦力を分析しようとしたところでつけていたテレビの声が色めきだす

どうやら火野神作は民家の中に立てこもっているようだ。さすがにこの状況には土御門も舌打ちをしてしまう。その理由がこれだけの騒ぎになった事なのか、民家の住人に対してなのかは分からない。

そしてテレビではヘリコプターを使った上空映像が映し出されるのだが…

 

「(あれ…?)」

 

上条は映し出された光景に違和感を覚える、彼としてはもっと詳しく映像を見たかったのだがすぐに映像が変わってしまう。すると土御門が

 

「さてさて、困ったことになったぜい。火野が警察の手に渡ると火野自身に”御使堕し”を解いてもらいたい我々としては困ったことになるぜよ、どうしたもんかにゃー」

 

「土御門、仮に人質がいた場合どういう事になるのか分っているのですか!」

 

神裂は珍しく激昂したが彼は簡単に受け流し、

 

「うにゃーん。とにかく現場に行かなきゃ話は始まらないぜよ。それで現場ってどこなんだか、神奈川県内って言っても結構広いぜよ」

 

彼がそう言った所で上条が恐る恐る手を挙げ発言しようとするが神裂は彼の言おうとする内容を察知したのか提案を却下するが、彼はそれを否定し気になった事を言う。それは

 

「なーんか、あの赤い屋根って見覚えがある気がするんだよなぁ。実家の上空写真で」

 

とは言っても彼は記憶喪失であり、詳しい場所までは分からない。そのため彼は一度トイレに行くと告げ部屋を出た後、GPSを使い家の大まかな場所を調べたのだ。

その後、彼らは家に向かおうとするがそのためにはタクシーを使った方が早いと言う事もあり、その場で解散になろうとしたのだが、その時に上条が

 

「そう言えば織斑、お前はそのISって奴で一足先に家の近くまで行くことはできないのか?家の場所ならすぐに教えられるぞ」

 

彼のその言葉に一夏は苦笑いしつつ

 

「それが出来ればいいんだけれど…ISの場合、めんどくさい条約の規定で勝手に使っちゃいけませーんって言われてるんだよ。勝手に展開したら最悪の場合逮捕されるんじゃないかな?」

 

「そっ、そうなのか。大変だなお前も」

 

そう言い彼は話題を早々に切り上げタクシーが来るまでの間。時間を潰す事になる。

土御門と神裂の場合、人目のつかないような場所に早々に移動し一夏とティナの二人は海の家の中に入る事にした。理由としては彼女は暑いのが苦手らしい

 

そして彼らは今海の家の中に居るのだが、不意に一夏が

 

「なぁ、ティナ。」

 

「何?」

 

「飴、食べるか?」

 

「ん、もらうわ」

 

そう言いながら彼はティナにイチゴ味の飴を渡す。そして一夏も飴を食べようとしたのだが、そこにミーシャが現れた

 

「あっ…そうだ、ミーシャも飴、食べるか?」

 

「問一。食べるか?の発言から察するにこれも食物なのか?」

 

「そうだぞ。」

 

そう言い彼は彼女にブドウ味の飴を渡す、すると彼女は袋から飴を取り出すと最初は飴の一部を下で軽くなめ、その後臭いを嗅いでいる。その光景を見ていた一夏は

 

「(飴ってそんなに珍しいものか?)」

 

そう思っていたが彼女は気にせず、しばらくしてようやく飴を口に含むと

 

「私見一。うん甘味は良いな、先の物と言い糖の類は長寿の元だ、それに神の恵みを思い出す」

 

「神の恵み…あぁ神の薬(ラファエル)の事か。ブドウなんてのは大地の恵みの一つだからな」

 

その言葉に彼女は小さく笑みを浮かべる。どうやら飴を気にいったらしい。その後彼女はしばらくした所で飴を飲み込む、口の中で小さくなったのか飲み込んだ時にのどに詰まらせると言う事は無い。

その後彼女は手を伸ばしてきたため、彼女に今度は別な味の飴を渡す。この時彼女は一夏の手をつかみ飴を受け取っている

 

その後彼らはやってきたタクシーに乗り込み包囲網へと向かう事になる。

そして野次馬から少し離れた場所でタクシーから降りようとしたのだが、タクシーの運転手が

 

「あんた、一一一だろ?娘があんたのファンでさー、よかったらここにサインお願いしてもいいかな?」

 

そう言いながら運転手は土御門に手帳を差し出すと、彼は清々しい笑顔で堂々とサインを書き運転手に渡す。そしてそれを見ていたティナは

 

「(堂々と全国のファンに喧嘩を売ったわね)」

 

そんな事を思っていた。

 

そして一夏は現場を見つつ

 

「さてさて、テレビの情報が本当なら半径600メートルの大包囲網が張られているんだったな。随分と派手に張ったもんだ」

 

そして上条とティナは

 

「発砲許可が下りてんだろ、民間人に流れ弾が当たらないように気を配ってんだろ」

 

「まっそんな所でしょうね、それにさっきまで飛んでたヘリも居なくなってるし…」

 

そして彼らの言葉に続くように土御門が

 

「地上のマスコミ共も皆道路封鎖で足止めを食らってるみたいだぜい。どっかから圧力でもかかってるかもしれないにゃー」

 

彼はサングラスを掛け直しながらそう言う。すると今までの会話を聞いていた神裂が

 

「日本の警察機構に火野神作の”御使堕し”に気づいている者がいるとでも?上半期の報告では霊能専門の捜査課の存在は流言と断じられたはずでは?」

 

その問いに一夏が答える

 

「いやいやそうじゃないんですよ。単に警察が犯人を銃で仕留める所を映されたくないって事だと思いますよ。そう言うのを映されると上も色々と大変ですからね…イメージダウンとか世間からのバッシングとか有るじゃないですか?女尊男卑の影響でただでさえ男性のイメージ何て最悪です、さらに犯人を仕留めたのが男性職員なんて事がばれたらますます大変ですよ。(なら女性職員にやらせろって話なんだけど、どうせ女性職員はそう言う厄介事を押し付けるだろうしな)」

 

「そう言う事にゃー、政治家さんはアイドル以上にイメージを大切にする職業ですたい」

 

その言葉に神裂は嫌な顔をしつつ、遠くの立ち入り禁止区域を眺める。ティナは付近をじっと観察し、ミーシャはさっきまでは飴をなめていたが、今はガムを噛んでいる

上条はそんなプロ5人の顔を順番に眺めて

 

「で、結局どうするんだ?警察官の包囲網は元より野次馬だっていっぱいいるんだぜ。どうやって俺ん家まで向かうんだよ?」

 

「下水ルートを使った逃走経路ぐらいは警察も考慮してそうな気がするけどまぁいいか。とにもかくにもまずはカミやんの家まで向かうとしますか」

 

彼はあっさりと言い放ったので上条としては逆に面を食らう

 

「どうやって?」

 

「どうやってってもちろん。そこを通っていくに決まってるぜい」

 

そう言いながら彼は近くにある民家の家の塀を指さす

 

その後彼らは警察官が封鎖している道路を順当に進んでいく。彼らは何も魔術を使ってはいない。警察官が視線を逸らす一瞬のすきをついて移動しているのだ。そしてこれらに関しては土御門がずば抜けて適していた。何せ彼は素人の上条もひきつれたまま警察官の目をかいくぐり行動しているのだ。

そしてその光景を見ていた上条は土御門が少し遠くにさえ感じられてしまった。

そうして彼らは警察官の包囲網を超えると、人の姿は見えなくなっていた。がしばらく走り続けると装甲服と盾に身を包んだ機動隊が現れる。そして土御門は立ち止まり路上駐車の車の陰に隠れ後ろの全員もそれに続く。

彼らの潜入作戦はまだまだ始まったばかりである




久しぶりの更新となりました。
出来れば4月中には御使い堕し篇を終わらせIS学園の学校祭へと突入したいなぁと考えています
それが終わると禁書側のイベントラッシュになりますね。

それと一区切り代わりにIS学園の一部の人間に対してのネタばらしも考えています(ヒロイン、千冬はこれよりも後に説明します。今ばらすと厄介事になるので…)がこれはあくまでも予定なのでもしかしたらやらないかもしれませんのでそこのところはご了承ください。

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