IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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プロローグ4

一夏がエイダから魔術を教わってから一か月がたち、その間に彼は自らの術式の制度を上げ、夏休みが終わるころには、一応の完成を見ることとなった

 

「まっ、一応の完成はしたわね、今後の努力次第でさらに精度が上がる余地もあるし、合格ね」

 

エイダはそう一夏に言う

 

「ありがとうございます」

 

一夏はエイダにお礼を言う、この時初めて一夏は友人以外の人間から認められたこともあり、表情も明るかった。

 

「それじゃ私はイギリスに帰るわ、次にいつ会えるのは分からないけど、その時までにもっと術式の制度を上げておくこと、いいわね?」

 

「はい、次に会った時に、見違えるほどの成長をして見せますよ」

 

「そうそう、後これを上げるわ、術式の完成の記念してのプレゼントみたいなものよ」

 

そう言うとエイダは鞄から短剣を取り出し一夏に渡す

 

「これは・・前に言ってた象徴武器・・ですよねいいんですか俺が貰っても?」

 

「えぇ、まぁこの武器自体あまりいいものじゃないけど、無いよりはマシでしょ?さすがにあなた専用の武器は私には渡す権限がないから」

 

そうエイダは一夏に返答する、実際、彼女が一夏に渡したのは流派によってはごく一般に使われている短剣であり、そう高価なものではないのだ。

もちろん彼女は自分専用の武装があるため短剣を一夏に渡してもとくに支障はないのだ

 

「それじゃ私はイギリスに帰るわ、一夏君、また会いましょ」

 

そう言うと彼女は、一夏の家から出て行った

こうして一夏とエイダの夏休みの間に行われた魔術教室は幕を閉じた

 

学校が始まってからは、親友である弾や数馬、そして一夏が学校を休む前日には珍しく学校を休んでいた鳳 鈴音(ファン・リンイン)と言った友人たちと再会し、遊ぶ日常に戻って行ったがその間にも一夏は魔術の鍛錬を怠らずにいた

全くの余談ではあるが、夏休み明けから一夏は英語の成績が見違えるように上がっていき、いつも高得点を取っていたため、友人たちはかなり驚いていた・・ちなみに英語以外の教科は点数が上がらなかったとか・・

 

そして中二の春休み、一夏のもとに二人の人間がやってきた

もちろん千冬はドイツに行っているためまだ帰って来ていない、そこには

 

「お久しぶりね一夏君」

 

「エイダから聞いてはいたが会うのは初めてだな、俺はアレックス・エイブラムだ、本当ならレイブもここに連れてきたかったんだが、アイツは今準備中でな・・」

 

夏休みの時に自分に魔術を教えてくれた師匠ともいえる女性、エイダとどこか落ち着いた雰囲気のある男性アレックスがやってきた。

 

「お久しぶりです、それで今日はどうしたんですか?」

 

そう一夏は尋ねるとアレックスから

 

「今日は、少し真面目な話をしに来たんだ」

 

そう言ったため一夏は彼女たちを家に入れた

そして一夏は

 

「それで何ですか?真面目な話って?」

 

「君の実力を上層部が知っていてね、これから行う任務の成績次第では、君をイギリス清教の内部機関である必要悪の教会に引き入れろとの指示が来たんだ・・」

 

「任務・・って俺魔術を初めてまだ一年もたっていないのに・ですか?」

 

一夏はごく当たり前に芽生えた疑問をぶつける、魔術を初めて一年にも満たない彼を以前聞いた実働戦闘組織に引き入れるなんて言われても納得が出来なかった、それ以前にどうやって実力を知ったのだ?とさえ思っている

 

そうするとアレックスに代わってエイダが

 

「君の事を魔術師が監視していたのよ、そして君の努力の結果を見た上層部がこれを決めたの、もちろん私たちや必要悪の教会の一部の連中は反対していたけどね、いくらなんでも早すぎるってね、私たちもたとえ誘いが来たとしても後3、4年はかかると踏んでいたし・・」

 

たしかにエイダ達の目的は一夏を魔術師として成長させ、いずれは必要悪の教会に引き入れることを目的としていたが、まさかこんなに早く引き入れろと言われるとは思ってもいなかった

監視していた魔術師に一夏が気が付かなかったのも、彼らは魔術を使いうまく気配を消していたのだ

流石に一夏もこれには気が付かなかったのだ。

 

さらにエイダは口を開き

 

「しかもその任務が、私たちと協力して、この周辺に潜んでいると判明した犯罪魔術集団の壊滅させろなのよ・・レイブはその準備のためにここにはいないのよ・・」

 

その事を聞いた一夏は表情を重くしながらも

 

「分りました、その任務受けます」

そう言った

 

するとエイダとは

 

「分ったわ、もちろん私たちもできるだけのサポートはするから、頑張りましょ」

 

そうしてエイダは一夏のそばに行き肩を2、3回叩き緊張をほぐした

その後一夏は準備をし、魔術集団のアジトのそばまで行った所で、青年、レイブ・ヴォーゲンは一夏を見たときにすべてを把握し、そして一夏に声をかける

 

「久しぶりだな、織斑一夏。それじゃ全員そろったことだし状況を説明するか」

 

そうしてレイブは状況を説明する、アジトの出入り口はここしかなく、今はほとんどのメンバーが油断しているため、奇襲するなら今がチャンスだと言う事、そして戦法は一夏とエイダが正面から突入し、魔術師の大半をひきつけレイブとアレックスが隙をうかがい、あらかじめ用意しておいた別ルートから突入し一気に壊滅されるという作戦だ

そしてこの作戦にはある条件があった、それは

 

「作戦を30分以内に終わらせろか・・」

 

「この周辺には対暗部の名家があるらしい、俺たちは別にばれても構わんが・・・」

 

「一夏君の事はばれるわけにはいかないわね、だからレイブが張った結界の制限時間である30分以内に壊滅させ、脱出をするって訳ね」

 

「そう言う事、それじゃ、リーダー、それにルーキ、行ってきな俺たちもすぐに行くからよ」

 

そうレイブが言い終わるのと同時に一夏とエイダはアジトに向かっていった

 

そうして移動しながらもエイダは一夏に

 

「さて、一夏君、先制攻撃は譲るわ、派手にかましてやりなさい」

 

「はい!!」

 

そうして一夏は持ってきた短剣に魔力を込め、正面に向かって振り下ろす、するとそこからかなりの数の小柄な炎の粒が現れそれが正面に向かい入口に当たった直後にそれらが一斉に大爆発を引き起こした

 

さすがにその爆発によって敵魔術師が迎撃にでる、そこには

 

「なっ、いつの間にこの場所が!?」

 

「怯むな!たった二人だすぐに片を付ける!!」

 

あわてながらも確実に殺気を振りまき、彼らを始末しようとかなりの人数の魔術師が出てきた

 

だが一夏とエイダも負けてはいなく、その魔術師の集団に向かっていく

そして戦闘が激化していくが、彼らの戦い方はあまりにも違っていた

 

エイダのばあい、術式により大きな炎の壁を作り出し、一撃で沈めていくのに対し

一夏の場合は、一つでも多くの炎の粒をぶつけて行き沈めていく

 

もちろん二人は戦闘狂ではないので炎を当てながらも死なない程度に加減をしている

 

がここで一夏はエイダですら予想もしていなかった事が起こる、それは彼が短剣を振るった次の瞬間、炎ではなく風によって魔術師たちを吹き飛ばしていた

そしてエイダは

 

「(この短期間でミカエルだけじゃなく、風を司る大天使、神の火(ウリエル)の力も制御できるようになるなんてね、まぁ本来短剣って言うのは風の象徴武器、使えてもおかしくは無いわ。それでも表情を見る感じではこれが今の所の限界みたいね)・・さて可愛い教え子が頑張っているんだもの、先生である私も負けてはいられないわ!!」

 

そして彼女も今以上の炎を生み出し、魔術師を倒していく

そうして彼らが敵を引き付けている内に、後から突入してきたレイブとアレックスが別働隊の魔術師を倒していき、魔術集団は壊滅した

 

ちなみにかかった時間は25分で終わった後は急いでその場を立ち去った

彼らが立ち去ってから数分後に、そのアジトがあった場所に一人の少女が現れた

 

「もうすでに事は終わっている・・か、本当になんなのかしらね私たちの獲物を横取りしていくなんておねーさん悲しいわ」

 

<お嬢様、この後はどうしますか?>

 

「だからお嬢様はやめてって言っているじゃない・・まぁいいわとりあえず私は中に入って状況を確認するわ、もしかしたらヒントがあるかもしれないし、何か分ったら連絡するわ」

 

<わかりました、お気をつけて>

 

そうしてどこかと連絡をしていた少女は、連絡が切れるのを確認すると

 

「私は父からしか聞いた事がなくて父も詳しい事がわからず調べても何も手がかりがなかったって言ってたし、私も実際に見たことは無いけど、これは本当にいるのかもしれないわね、超能力ではない何かを使う人が」

 

彼女と彼女の妹は幼いころ父からこんな話を聞いていた

 

{私が昔外国に行っていた時の事だ、そこでは運が悪い・・としか言いようがないな私は向こうの暗部組織のような連中にとらえられたんだ、かなり大がかりな集団だろう。そして私が殺されそうになったとたんに人間が担ぐような大きさではない、巨大な棍棒を担いだ一人の大男が私の前に現れ、その連中をあっと言う間に壊滅させたんだ。その後、彼はすぐに立ち去って行った。だがあの時に彼が振るっていた力、あれは超能力なんかではないそれだけは言える。もし会えるのならまた会ってちゃんとお礼を言いたいものだ}

 

もちろん彼女達は父の作り話であると思っていたのだがここ最近になってこの町で頻繁に多発している怪奇現象に実際に立ち会ってみてあれは父の作り話ではないと思い始めていた

 

 

 

そしてこの数年後、彼女は父の恩人と再会することになるのだが、それは別の話

 

 

 

 

 

 


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