IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第40話

そしてその日の夜八時、彼らは全員が上条の居る海の家に泊まる事になった。

上条が騒ぎの中心にいる以上、神裂、ティナの二人は上条の身辺警護のため彼と同じ部屋におり、一夏と土御門は別の部屋にいる。彼らが別の部屋にいる理由としては土御門は人目を避けるため、一夏は本人の近くにいるわけには行かないと言う判断のためである。

 

彼らは現在二階におり、下からの会話が聞こえてきているが一夏と土御門は黙っていると不意に土御門が

 

「さて、一夏お前に耳寄りな情報があるぜよ」

 

「なんだ、いきなり。妹の話題なら聞き流すぞ」

 

「いやいや、お前の学園の生徒会長の情報だ」

 

その言葉に一夏は表情を硬くする、一応一夏は前情報としてIS学園生徒会長は忍びの家系に生まれた人間と言う事は聞いているがそれ以外の情報は全くと言って良い程知らなかったのだ

 

「さて、更識の家系の前に、天草式と言うのを知っているか?」

 

「確か神裂さんが元トップだった組織の事か」

 

「あぁそうだ、日本に有る隠れキリシタンの組織だ。そして忍びの家系の更識って言うのはその昔、領主に仕えていたかなり大きな家だそうだ。そして今でもその血は途絶えていない。」

 

そして土御門は淡々と言葉をつなげていく

 

「江戸時代の更識の一族って言うのは隠れキリシタンを見つけ領主に報告するって言う仕事もやっていたそうだ、そして天草式はそれらの弾圧から逃れ発展した組織。後は”かくれんぼ”だ更識は見つけようとしキリシタンは隠れるために発展していくそして出来上がったのが天草式なんて話もあるんだ」

 

「それじゃぁその天草式って言うのは今でも更識家を憎んでいたりするのか?」

 

「いいや、それは無いな。むしろ昔のトップには感謝した人間もいたって話だぜい。お前たちが居なければ天草式はここまで発達しなかった、ってな」

 

その言葉に一夏は一応の安心をする。一夏としても神裂の同僚と戦うという事態は避けようと思っていたし、もし戦う事になったのなら最悪の場合、彼女自身が立ちふさがる可能性もあるのだ。さすがに聖人と戦うのは勘弁してほしいと思っている

そして一夏はここで一つの疑問を彼にぶつける

 

「それじゃぁ、うちの学園の生徒会長は魔術を知ってるって事になるのか?」

 

だがその言葉を彼は笑いながら否定する

 

「いいや、それは無いな。もし魔術を正しく認識していたのならお前たちが学園にいる時点で何らかのアクションを起こしていたはずだ、それが無いって事は更識の家系にすればせいぜい学園都市以外の力って認識だろうな。」

 

すると土御門は一息つくと

 

「さて、それじゃぁ俺もそろそろ行きますかね」

 

「行く、儀式場をしらみつぶしにするのか?」

 

「いいや、違うぜい」

 

この時の土御門の口調はいつものふざけた口調だったので一夏は嫌な予感を感じると彼は

 

「今の時間帯、きっとねーちんは風呂に行ったはずだ。となるとやる事はひとつしかないにゃー」

 

「(あっ、大体わかった)」

 

「その名もずばり覗きだにゃー!!」

 

その言葉に一夏はため息を吐くと、彼に対し

 

「覗くってな…お前は外見はアイドルに見えるんだぞ?」

 

「それは問題ないにゃー、っと言う事で俺は行くぜい、じゃあな!」

 

そう彼は一夏に告げるとものすごい勢いで部屋から立ち去っていく、その光景に一夏は呆れそもそも覗く気自体が無いため、一夏は下の階の部屋に向かうと丁度二人の女性に声をかけられる

 

「あっ、おねーさん!おねーさんもこれからお風呂?」

 

「(おねーさん…そうだった俺は今神裂さんに見えているんだったな。この子はともかく、横にいる人って確か禁書目録じゃなかったか?)いいえ、私はお風呂ではありませんが…」

 

一夏は違和感のないように返答するとその隣にいた禁書目録らしき女性がおり、彼女は一夏に

 

「そうなんですか、実ですねお料理を出すのに時間がかかるらしくてその間にお風呂をいただこうかと思っていたんですけど…」

 

「そうなんですか…そう言えば先ほど男性の方が二名ほどお風呂場に向かうのを見かけました。今は彼らが入っているのでは…っていないし…ってヤバイ!!」

 

そう一夏は今お風呂には男性二名、つまりステイルに見えている神裂と上条の二人が居ると言う事を告げようとしたのだが話している途中に彼女たちはすでにいなくなっていたと言う事はすなわち風呂場に向かったと言う事。そして周りからは上条は男の風呂場の見張りをしていると言う事になるのだから…結果は容易に想像できたため、一夏は急いで彼女たちを追うが

 

「あぁ…間に合わなかったか」

 

時すでに遅し、風呂場の廊下には切られたような痕があったため何が起こったのか彼はすぐに理解できた。現場には血が無い事から上条は無傷である事も同時に確認できる

 

そんな騒ぎなどもあったりしたがその後は特に何も異変は起きなく午後10時の現在一夏、上条の二人は下の階でテレビを見ていた。

 

そしてそこでは相変わらず脱獄した死刑囚火野のニュースをやっていたが、上条は一夏に許可を貰いチャンネルを変えつつ、今日一日の出来事を整理する

”御使堕し”と言う大魔術が発動したそれは莫大な力を持つ天使を手に入れるための術式であると言う事、その他にも色々あるのだが上条はいまいち緊張感に欠けていた

 

「(今回に関しては魔術のプロが4人も居るんだしな)」

 

土御門に関しては未だに隣人との認識が強いが一夏に関しては三沢塾の時もともに行動していることもあり実力は信用できると言う事もあり、それらの事実は上条を無性に安心させる。

 

そしてその光景を見ている人物がいるのに彼らはまだ気づいていない


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