IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第39話

その後も彼らは上条に今起こっていることの説明をしていく。そしてしばらくすると土御門が

 

「しかし、どうして敵さんはこんな大げさな真似をしたのかにゃー」

 

彼のその疑問に一夏と神裂は

 

「やっぱり有力なのは天使をとらえて使い魔的なものにするのが目的って所だろうな。純度100%の天使の力なんて魔術師にしてみれば喉から手が出るほど欲しいだろうしな」

 

「それと天の位を横取りするためでしょうね」

 

「どっちにしろ成功すればカバラ業界は騒然だぜい。黄金夜明なんざ大慌てだ」

 

「天使の力…使い方一つじゃぁ国一つ吹き飛ばすほどの力よ。そんな簡単に手を伸ばすとも考えられないし、何か大がかりな目的でもあるのかしらね」

 

そして話の締めくくりにティナがそう発言するが、肝心の上条は置いてきぼりと化してしまったため彼は土御門に対し

 

「それで、俺はこの後どうなるんだ?結局お前たちはこんなトコまで来て俺に何しようってんだ!?」

 

その質問に対し彼は

 

「あぁ、それにゃー、さっきも言ったが異変を調べたところどうも歪みはカミやんを中心に世界中に広まっているんだにゃー、それでいて中心にいるカミやんは無傷ときたもんだ」

 

「…はい?」

 

その言葉に彼は目が点になる。要は上条の周りから異変が広まって行くし、自分には異変が無いんだから疑われるのも無理はないだろと言う事だ。もちろん彼らは土御門や神裂も入れ替わっていないことを告げるが、彼らはウィンザー城にいてかつ神裂は城の奥にいた為無事、土御門も城の結界が食い止めている内に自分で結界を張ったため難を逃れたのを付けるど彼は

 

「それじゃぁ何で織斑とハミルトンは無事なんだ?」

 

その問いに最初はティナが

 

「私の場合は…学園の外側と自分の部屋と二重に結界を張っているし私自身、防御用の霊装を普段から身に着けているわ。それでようやく入れ替わりを防げたの…要は三重に強力な結界を張ったものと考えてもらって良いわ。逆に言えばそれぐらいしなきゃ私も飲まれてたの。」

 

「俺の場合は…なんだろう、よく分らん朝起きたら入れ替わってることに気づいて簡単な結界を張ったって事しかわからないからなぁ…」

 

彼のその言葉に全員が視線を向ける、すると神裂は

 

「なんと…こんな身近に犯人と疑われる人間がいたとは…確かにあなたは天使の力を重点的に使う魔術師、起こしても不思議ではありませんが」

 

彼女はそう言いながら刀の鞘に手を伸ばす、そして一夏はあわてて

 

「ちょっ…!?いや確かに天使には興味がありますが…そもそも”御使い堕し”で落ちてくる天使をこっちからは指定できない訳ですし…そもそも俺が犯人ならこうしてみんなの前には出てきませんよ!!」

 

そう言いながら必死に弁明していると土御門は助け船を出すように

 

「そうそう、本当に一夏が犯人なら今頃は天使を探すのに躍起でこうして俺らの前には現れていないにゃー、それよりも話を戻すぜよ」

 

彼はそう言いながら一呼吸置くと

 

「ここまでやっても完璧に”御使い堕し”から完璧に逃れた訳じゃないんだにゃー。ウチらやカミやんは例外として周りから見るとやっぱり俺は入れ替わったように見えるらしいぜい。ちなみに俺{中身アイドル・一一一(ひとつい はじめ)}人気女優に手を出したっぽくて熱狂的アイドルファンの乙女に金属バット片手に追いかけられるという愉快な人生を体験中ぜよ」

 

彼は笑いながらそう告げるが、上条は彼の顔を見つつ

 

「つまり、お前は入れ替わった人たちから見ると超美形アイドルに見えるって訳か…ってちょっと待てさっき結界張ったって言ってたけど、お前魔法は使えないんじゃぁ…」

 

「ん、あぁだから見えないところはボロボロまた魔術使ったら確実に死ぬわな」

 

彼はそう言いながら来ていたアロハシャツをめくるとそこには左わき腹全体を覆うように青白いあざのようなものが有るのを確認する

 

「成程なってかなんだよお前が超美形アイドルって…こっちはいろいろ大変なのにお前はモテモテって事ですか!」

 

「これがいろいろ厳しい人生だにゃー、こっちは一刻も早くこの事件にケリを付けたいのに人の山に足止めされちゃ適わないにゃー」

 

その言葉を聞くと上条は神裂達の方を見つつ

 

「えっと、つまり織斑たちも入れ替わった人たちから見ると別人に見えるのか?」

 

彼がそう問うと一夏と神裂は表情をわずかに硬くし、その様子を見たティナは苦笑いしつつも上条に対し

 

「私は同じ学校の人間と入れ替わったわ、その子ちょっとした問題児で学校から出るとき普通に目線を避けられたわ、いろいろ噂話もされてたしね」

 

彼女は笑いながらそう告げると一夏と神裂は小声で

 

「それで、どっちから先に暴露します?…」

 

「そうですね…そう言えばあなたは誰と入れ替わったのですか?」

 

「…です」

 

「なっ!?…わかりました私が先に行きましょう」

 

すると神裂は覚悟を決めたように上条たちの方を向くと

 

「{中身・魔術師ステイル=マグヌスです}世間から見ると私は身長二メートル強の大男に見えるらしいですはい。おかげで私は街を歩いていると女性から理不尽な言いがかりをつけられ、警察も呼ばれたりしました。女尊男卑がここまで酷いものだとは思いもしませんでした…世界中の人間が私に悪意を持っているようにも見えしたね」

 

彼女のその言葉には怒りが感じられた、そして一夏は

 

「ちなみに俺は{中身・聖人神裂火織}だぞ」

 

彼のその言葉に土御門は笑いを堪え、上条は目が点になっているが彼は気にせず

 

「まぁそう言う事。俺はそこにいる神裂さんに見えるって訳だ。いやはや街中じゃ俺に対し変な目線を…っとごめんなさい黙りまーす」

 

彼が言葉を出そうとしたとき神裂の眉が地味に揺れた為一夏はすぐに言葉を出すのをやめる

その光景を見た上条はすぐに神裂は怒っていることをすぐに理解する

 

その後も神裂と上条、そして土御門も加わり何やら見る限りではとてもうらやましい展開とも見えるが真実はかなり物騒な物なので一夏とティナはそっと目を逸らすと上条は

 

「おい、織斑助け…ってちょ…アーッ!」

 

「怪しい声を出すのはやめなさい!!」

 

何やら怪しい叫びが聞こえたが彼らはスルーする

するとティナは一夏に

 

「それよりも一夏、あなた本当にどうやって身を守ったわけ?私が来たときには明らかに異常な量の天使の力が身を包んでたけど…」

 

「異常な量って…前にティナから教わった簡単な結界を張っただけだぞ」

 

「簡単ってあんな量の天使の力をそう簡単に出せるわけがないでしょ…まぁいいわ、さっさとこの奇妙な事件に型を付けましょうか、そうそう一夏、わかってるとは思うけど、これ以外にももう一つ厄介なことが起きてるのも忘れたらだめよ」

 

「あぁ、連続殺人犯、火野神作が脱獄したってやつな…俺としてはそっちをどうにかしたいんだけどな…」

 

そう今は御使い堕しと同時に連続殺人犯、火野神作の脱獄と言う大事件も起きているのだ、彼のその猟奇殺人はあまりにも度が過ぎていたため現場を見た警察官でさえ体調不良を訴えるほどの現場を作り出した男だ、その人間がもし入れ替わっているのだとしたらと考えるとものすごい悪寒が走るのだった。


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