IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第38話

一夏達がそれぞれの事情を明かしたところで土御門が

 

「まっ、俺たちの事情は置いておくとして、今は入れ替わりをどうにかしようぜい。カミやんもなんか気づいてるんだろ」

 

そうあっけなく言い捨てると

 

「ちょっと待てよ、カミかん”も”?お前”は”詳しいのか?」

 

「いやぁそこそこですたい。分かってんのは入れ替わりが本題じゃなくて単なる副作用に過ぎないって事位かにゃー」

 

その言葉に上条は眉をひそめる。入れ替わりと言う言葉にはピンとくるが、それが副作用と言う事は本題は別にあり、そもそもこの事件は誰かによって行われたかのように聞こえてくる

するとその表情を見た神裂はため息をつき

 

「土御門、カバラの樹を知らないものに理を解しているのかと問うのは酷です」

 

「分ってるぜい。けどそれだと神裂の仮説は間違ってるって事になるにゃーん。中身と外見の入れ替わり、御使い堕しの大魔術、そんな大した事魔術シロウトの上条当麻に引き起こせるか?」

 

土御門は笑いながらそう告げるが、今度は上条が土御門の顔を見る

 

「なんだって俺がかかわってるって言うのはどういうことだよ?」

 

彼はそう質問するがそれに答えたのは不服そうな顔をした神裂だった。要はよく騒ぎの中心にいる少年の周りで今回も事件が発生し、なんを逃れたのはその少年、疑って何が悪い?と言う事である。さすがに上条もこれには抗議するがこの事件は自然現象に見えるか?との問いには彼も黙ってしまう。そしてそのやり取りを見ていた一夏とティナは

 

「何と言うか上条君には同情するよ…いきなり身の回りで事件が起きたと思ったら犯人扱いだもんなぁ」

 

「でも私から見ても上条だっけ?あの人怪しいと思うわよ、土御門たちが話している間に彼の右手の事も教えてもらったから一応納得はしてるけど…」

 

そう土御門たちが話している間に一夏はティナに上条の右手の力、幻想殺しの事を話していたのだ。

流石にそれを聞いたティナは驚いていたが、すぐに対策法を思いついたため、そこまで重要視はしなかったが。ちなみにこの時一夏は三沢塾の件もついでに話したがそれを聞いた彼女は若干不機嫌になったとかそうでないとか…

 

彼らがやり取りをしていると丁度神裂が上条に

 

「話を進めましょう、御使い堕しにはカバラの概念に有るセフィロトの樹と言うものがかかわってきますが聞き覚えはありますか?」

 

「…あぁ、あの身分階級表ってやつか?」

 

彼は三沢塾の件の時に一夏から一応の説明を受けていた、かつ彼の説明がだいぶわかりやすかったこともあり、何となくだが思い出すことが出来たのだ。すると神裂は感心したような表情をし、土御門が一応の補足をする

 

「そっ、ぶっちゃけて言えば。ここまでが人間の領域こっから先はカミサマの領域だから勝手に上がってくんなよってな。神様絶対主義を図で表したもんぜよ」

 

そしてその言葉に神神裂が補足を入れていく。

 

「さらに、人や天使の数はあらかじめ決められているため通常人間が天使のくらいまで上がることはできませんし、天使が人間のくらいまで落ちることもありません」

 

「どのくらいも満席状態って事だぜい」

 

「ところが御使い堕しと言うものは文字の通り天の位に天使を強制的に人の位へと落とすもの…とどうかしたのですか?」

 

彼女がそう問いかけると上条は申し訳なさそうな顔をして

 

「えーっと、てんし?」

 

「はい、厳密には天の使いではなく主の使いですが、それが何か?」

 

神裂は彼の疑問に真顔で答えるが、上条の思考が止まってしまう。彼にだって魔術世界にいる彼女たちに科学の常識が通じないことなど理解しているし、吸血鬼が絡んだ事件では死にかけた事もある。が、今度の相手は天使だ。

世界中で問題が発生し”その原因が天使だ!”と言われ、”マジで!?それは大変だ!”と真面目に返す人間が居たらそれこそ大変なのでが無いかと上条は本気で思ってしまう。

 

「いきなり天使って言われてもなぁ、大体スペースシャトルで空の上を突破したって天国なんて見えるもんじゃねーし」

 

「天国、地獄の上、下は問題じゃないぜよ」

 

そう居ながら土御門は上条に対し、科学の言葉を用いながら説明を加えていくがそれでも上条はよく理解できず神裂は不服そうな顔をする。すると土御門は唐突に

 

「それになカミやん。仏教や十字教なんかの宗教じゃな、神や天使の力ってのは身近なもんだぜい」

 

「えー」

 

上条は信じられずにそんな顔をしていると不意に土御門は

 

「ここから先は天使専門家の一夏に説明してもらうにゃー」

 

「はっ!?…まぁいいか。それじゃぁ説明を続けるよ」

 

一夏はいきなり話題を振られたことで驚いたがすぐに切り替え説明を始めていく

 

「天使の力が身近って言うのは嘘じゃないんだよ。例えるなら教会のてっぺんには必ずと言って良い程十字架が有るしその十字架には特別な力がある。だけどあの十字架が聖人の処刑に使ったゴルゴタ十字かと言われればそれは嘘になる、教会にある十字架は間違いなく偽物なんだけれどその偽物にだって力が宿る。形と役割さえ似ていれば本物の力の数%だけれど宿るんだよ。これが偶像崇拝の基本」

 

「簡単に言えば”てつのけん”+”ひかりのまほう”で”光の魔法剣”だにゃー」

 

一夏の説明に土御門が簡単に補足を入れる

 

「それで、その偶像崇拝の法則ってのは天使の力にも当てはまる。ちょっとした裏技さえ使えば天使の力はいろんなものに宿すことが出来る。剣の柄、なんなら杖の下の方でもいい。そこに天使の名前や天使の彫刻を刻みこめば刃や杖に天使の力が宿るし、守護の魔法陣に天使の名を刻めば天使の力を借りることもできるよ。とは言っても借りれる力はほんの数%、純度100%の天使が落ちてくるなんてまずありえないんだけどね。ちなみに俺の使う武器にも天使の名前を刻みこんでるよ。」

 

彼の場合、天使の力を重点的に使う事もありすべての象徴武器に天使の名前を刻みこんでいる。

そして彼の説明の後にティナが

 

「まぁ、とりあえず天使はいる。と思ってくれればいいわ。そうでなければ話が進まないし…」

 

「そう言われてもなぁ…」

 

上条はいまだに理解できないが突っぱねるのも気が引ける。何せ彼らはプロだ。そのプロが冗談ではなく真面目に語っているさらには錬金術師と戦う時に説明を話半分で聞いていたおかげでひどい目にあった彼にしてみればそれはなおさらである

 

そんな事もあり上条は彼らの説明を信じようとする。

こうして彼らの説明は続いていく。


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