IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第37話

彼、上条当麻もまた身の回りで起きた不思議な現象に翻弄されていた。

彼の身の回りでも奇妙な入れ替わりの現象が発生し、彼はちょうど白いワンピース水着の悪魔を砂に埋めたと思ったら彼の友人である土御門がやって来て話しているとその途中、土御門が

 

「ねーちんはカミやんが魔術を使って入れ替わりを起こした犯人と思っているんだぜよっ!」

 

「は?」

 

彼はその言葉の意味が分からないと言う感じで首をかしげているとその時

 

「見つけました、上条当麻…!」

 

そう言いながら彼の目の前に現れたのは長身の女性。スタイルは良いのだが独特な服装と腰に差してある二メートルはあるであろう日本刀のおかげで儚さ、弱さと言ったものは微塵も感じられない。

そんな女性は憤怒の表情のまま上条に近づいていくと

 

「上条当麻!あなたがこの入れ代わりの魔術、御使い堕し(エンゼルフォール)を引き起こした事は分かっています、今から三つ数えますからその間にもとに戻しなさい!!」

 

そんな事を言いながら女性はあっという間に上条のすぐそばまでやってくるしかし上条には全くと言って良い程心当たりがない、なので彼は

 

「え?何?コノ人何言ってるの?土御門、こいつがあれかお前の言ってたねーちんって人か?ってテメェ一人だけ逃げるんじゃねぇ!!」

 

彼がそう言うと、こっそり逃げようとしていた土御門はその言葉に驚き足を止める。

そしてすぐに

 

「あっ、いたいた…って上条君また会ったね。」

 

「ふぅようやくついたわ、学園都市ほどではないけど、随分と遠かったわ。午前中に家を出たのに、もうお昼じゃない…」

 

そう言いながら上条の目の前に現れたのは三沢塾の時には協力した魔術師、織斑一夏とその横には金髪の少女が現れた

 

「織斑、久しぶりだな、横にいるのは彼女か?」

 

「ん?上条君には俺が織斑一夏として見えるのか…横にいるは俺と同じく必要悪の教会に所属する魔術師の…」

 

「ティナ・ハミルトンよ、よろしく」

 

彼女がそう自己紹介をしたところで長身の女性も一呼吸を置いたのか冷静さを取り戻すと

 

「遅かったですね。それはそうと上条当麻、あなたには私が誰に見えますか?」

 

「(誰って…)」

 

その質問のおかしさに彼は首をひねる、その言い分では”私”と”誰”が別人のように受け取れるが、記憶喪失の彼にしてみれば彼女が誰かわかるはずがないのだから、そんな奇妙な質問をぶつけられたところで首を傾げるしかない。

すると女性は彼の表情から何かを読み取ったのか、じれったそうな声で

 

「…全く、へたくそな演技をして。あなたは先ほど私の事をねーちんと呼んだではないですか。神裂です、神裂火織。イギリス清教必要悪の教会の魔術師。一度まみえただけとはいえ、こんな短期間で忘れたとは言わせませんよ」

 

呆れたように告げる神裂の声に上条は二重の意味で驚愕する

一つはこの女性は自分の知り合いであったと言う事、もう一つは彼女が自分の身分を何気なく、イギリス清教の魔術師であると名乗ったこと。

イギリス清教必要悪の教会と言うのはインデックスやステイル、それに一夏も所属している対魔術師用の特殊部隊のようなものだ。そうなると彼女には失礼だが現代社会に溶け込めない格好もインデックスやステイルに通じるものがあるのかもしれない。が一夏やティナと名乗った少女の服装に違和感を感じないので彼女たちが異常なのかと錯覚している。

しかし、そうなると疑問がある。そのような本物の魔術師といかにも仲の良い友達のような顔をしている土御門は何なのであろう

すると土御門はため息をつきながら

 

「一夏と、ティナに関してはあの事件以来かにゃー。それにしてもねーちんいささか好戦的すぎるにゃー」

 

「何を言っているのですか土御門。私はただ目の前の問題の解決に尽力しているだけです。それに私から見ればあなたの方こそ魔術師としての自覚が足りないのではないでしょうか?」

 

彼女のその言葉は聞き捨てならなかった。

 

「おい、何て言った?魔術師だって?」

 

上条が信じられないといった表情をすると、土御門はニヤリと笑い

 

「そーゆー事、オレも必要悪の教会の一員って事だぜい」

 

あっさりと、何事もないかのように土御門元春は言い放つ、だからこそ上条は理解するのに時間がかかった。

 

「ちょ、待てよ。お前が魔術師?」

 

「おうよ、超能力開発機関に魔術師がいないなんて思ってたのか?むしろ逆だろ、サイエンスってのはマジカルの敵だぜい、敵地に潜り込む工作員の一人二人いたっておかしくはないだろう?」

 

土御門の告げることは確かに一理あると彼は思う。

しかし、何もない日常にいた土御門が一理ある事を言ったことがすでに上条にとっては違和感となっていた。そしてその後も土御門は淡々と事実を上条に対して告げていく。すると土御門は不意に

 

「ちなみに、そこにいる一夏とティナも一種のスパイだぜい。まぁ一夏に関しては少々複雑な事情だでどな」

 

その言葉に上条はますます驚く、三沢塾の時にはともに協力した一夏すらもがスパイだという言葉に上条はますます信じられないというような表情をしたが、一夏は苦笑いしつつも

 

「スパイって言っても土御門程じゃぁないんだけど…その前に上条君。君はインフィニット・ストラトス通称ISって言葉を聞いたことがある?」

 

一夏はそう上条に問うが上条は

 

「IS?なんだそりゃ、ゲームか何かか?」

 

彼は記憶喪失であるが知識だけならば浮かんでくるはずなのにその知識すら浮かんでこないため上条は初めて聞いたかの表情をすると一夏は

 

「やっぱりそうなるか…簡単に言うとね女性にしか使えない空飛ぶ鎧って所かな。外部ではそれが世界最強の兵器って言う認識だね」

 

世界最強の兵器、そう言われても上条はいまいちピンと来ない。それもそのはずだろう学園都市には最新鋭の科学兵器がありふれているため世界最強などと言われてもうまくイメージできないのだ。

更に一夏は

 

「まぁISの詳しい詳細は省くけど、その女性にしか使えない鎧を男の俺が動かしちゃったことで俺はその操縦者を育成するための教育機関、IS学園って所に強制入学させられたって訳」

 

「話を聞く限りじゃぁそこって女子校だろ?そんな所にお前は有無を言わさず放り込まれたって事か?」

 

「そう言う事、だからまぁスパイって事には…いや各国の重要人物の情報を持ってるんだから俺も立派なスパイなのかな」

 

「ちなみに私はIS学園の状況を報告、かつ一夏のパートナーとしてIS学園に所属しているわ。」

 

彼らのその言葉に上条は驚く、それもそうだろう、知り合いがいきなりスパイだったと告げられれば驚くなと言う方が無理がある。

すると一夏は付け足すように

 

「そうそう、言い忘れてたけど、ISが世界最強って言うおかげで外部じゃ女尊男卑になってるから上条君も街を歩くときは気を付けた方が良いよ」

 

「どういう事だよ?」

 

「ISは女性にしか使えない=女性はえらいなんて言い出す馬鹿な連中が居てね、本当に些細な事でも男だからって言う理由で警察に捕まるから気を付けてね、一例を言うと女性に肩がぶつかっただけで傷害容疑で捕まった男性がいるんだよ」

 

「なっ、なんだよそれ!?」

 

上条はスパイよりもそっちの方が驚く、それもそうだろう肩がぶつかって傷害容疑ならやすやすと街を歩く事なんてできない。もしかして自分はとんでもない時期に外部に出てしまったのでは?そんな事すら思っていた


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