IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第34話

昼食を食べ終えた彼らは現在、居間でくつろいでいる。すると一夏が

 

「それで、何する?ゲームをしようにもコントローラーが一つしかないいんだが…」

 

そう一夏の家にもゲームはあるしそれなりのゲームソフトもあるのだが、あいにくコントローラーが一つしかない。大体家に集まるときはコントローラーを持参していたため大して苦労は相なかったのだが、こういう時にコントローラーが無いと言うのは死活問題である。

すると鈴が

 

「私だって何の考えもなしにあんたの家に来たわけじゃないわよ」

 

そう言いながら彼女は持っていた紙袋から中身を取り出すとボードゲームなど大人数で出来そうなゲームがたくさん出てきた。

そしてその中からいくつかのゲームを選び彼らが楽しんでいると玄関の開く音が聞こえる。

そして

 

「なんだ、随分と賑やかだと思ったらお前たちが来ていたのか」

 

そう言いながら現れたのは彼の姉、織斑千冬であった。

すると一夏は

 

「お帰り、千冬姉…って随分久しぶりに言った気がするな。」

 

「そうか?まぁほとんど家に帰って来てなかったしな」

 

「まぁいいや、何か飲みもの用意する?」

 

「いや…いいこの直ぐに後外に出なければいけないんだ。帰りも遅くなるからお前たちも今日はゆっくりして行け。とは言っても泊まりはダメだからな」

 

彼女はそう一夏に告げるとすぐに二階に上がり着替えると、そのまま家を出て行ってしまう

すると一夏はため息をつきながらも

 

「それじゃぁどうする?もう夕方だけれど、晩御飯もうちで食べていくか?」

 

そう聞くと全員がうなずく。そしてその後、食材を買うために近くのスーパーまで買い物に向かうが、一夏は

 

「そう言えばみんな食べたい物の希望とかあるのか?有るなら手分けして買った方が効率が良いと思うんだが…」

 

そう全員に尋ねると

 

「昼間のお礼も兼ねて僕たちが夕食を作るよ」

 

「そうそう、流石にいきなり押しかけて2食もご馳走になるのは悪いからね、今度は私たちが作るわよ」

 

「軍人仕込みの料理を見せてやろう」

 

そうシャルロット、鈴、ラウラが告げその流れに沿うように

 

「では、私もご自慢の…」

 

「「「アンタはしなくていい!!」」」

 

「なぜですの!?」

 

セシリアも言おうとしたが、それは他のメンバーによって妨げられる。そしてその光景を見ていたティナも

 

「私も参加させてもらうわ。イギリス料理なら自信があるわ」

 

その言葉にこの場にいる全員が息をのむ。それもそうだろう。彼女の料理など今まで誰も見たことが無いのだから。それはルームメイトの鈴も同じである。

そして買い物を終え、一夏の自宅に帰ったところで一夏以外の面々が料理を開始する。

ちなみにセシリアに関してはやはり譲らなかったため、仕方なく譲歩したが。全員がどうしても危なくなったらやめさせる、と言う考えになったのは言うまでもない。

 

そしてそれぞれの面々は台所で

 

「よい…しょ…っと、あぁもうこのジャガイモ切りにくい!!」

 

「ちょっとジャガイモもらってもいいかしら?」

 

「えっ、あぁうん。良いわよ…ってティナもジャガイモ料理にする訳?」

 

「まぁそれは完成してからのお楽しみ」

 

そんなやり取りを鈴とティナが交わし、ラウラとシャルロットは

 

「さて、本物のナイフ裁きを見せてやろう。」

 

「あの、ラウラ?料理をするんだよね?」

 

「当然だ、まぁ見ていろ」

 

彼女のその発言にシャルロットは冷や汗を流しつつ見つめるが、以外にもラウラは大根をナイフを使い綺麗に剥いていきその光景に彼女は思わず感心する

 

「あれ、予想していたよりもきれいに剥けてる」

 

「当たり前だ、私とて軍隊では一応、料理当番をこなしていたのだ。これくらいは出来るぞ、それよりもシャルロット、お前は何を作るんだ?」

 

「僕は唐揚げを作ろうと思ってるんだ。食材はもう切り終わったから後はコンロが開くのを待っているんだよ」

 

「ふむ、コンロの空きを待っているのならば、アイツをココから排除すればいいんではないのか?あれは少なくとも料理には見えんぞ」

 

彼女がそう言いながら視線を向け、その先にはタバスコやらいろいろな物を入れ怪しい料理を作っているセシリアがいた、そしてその光景を見ていたセシリア以外の全員が一つの考えに至る

 

「「「「(よし、やめさせよう)」」」」

 

すると話は簡単、まずはシャルロットとラウラが

 

「セシリア、君は料理よりも一夏の手伝いをしてほしいな」

 

「そうだぞ、そんな毒…いや料理をするより一夏の手伝いをしてくれ」

 

続いて鈴とティナが

 

「そうよ、セシリア。台所ただでさえ人が多いんだから、あんたは一夏の手伝いに回ってほしいんだけど」

 

「そうそう、それに一夏もあなたの事を呼んでいるわよ」

 

その声と同時に一夏が居間から

 

「セシリアー、ちょっとこっちの方手伝ってほしいんだけど」

 

するとセシリアはしぶしぶ料理をあきらめ、一夏の方に向かう。そして彼女たちは自らの命の危機を避けることに成功する

 

その後全員が何とか料理を完成させる。ちなみにできた料理はと言うと

鈴は肉じゃが、シャルロットは唐揚げ、ラウラはおでん、ティナはアレンジを加えたシェパーズパイだ

すると一夏は

 

「さて、セシリアのおかげで食器も出せたし(ついでに全員の命も助かったし)食べるとするか」

 

そう言うと全員が席に着き食べようとするが、その時鈴が

 

「ここは最初にティナの料理を食べた方が良い気がするんだけど」

 

「えっ、どうして?」

 

「だって私たちはティナの料理の腕を知らないわけじゃない?」

 

「それはそうだけど」

 

シャルロットの言うとおり、ここにいる鈴とシャルロットの場合、見た目もそうだが、ある程度予想道理と言った面が強い。つまり彼女たち二人に関しては料理に関しては全くの未知数。ならば先に食べた方が良いと彼女は思っているのだ。これは二人の料理より、最初にありきたりな物を食べるよりも未知数を食べた方が面白いと鈴が思ったからだ

 

するとそれを聞いていたラウラとセシリアも

 

「確かに、こいつの料理だけは初めて見るからな。私も早く食べたいと思っていたのだ」

 

「これはイギリスでは有名なシェパーズパイですが、若干私の知っているものと違いますね。アレンジしたんでしょうか…?」

 

その言葉も重なったことで全員が最初にティナの料理を食べることで決定する。なのでティナが全員分均等に切り分け渡すと

 

「それじゃぁどうぞ。味には多少の自信があるわ」

 

そう告げ全員がまずは一口ずつ口に入れると、しばらくして

 

「「「美味い!!」」」

 

そう一斉に言いそれぞれ

 

「えっ、ちょっとコレ美味しすぎじゃない!何入れたの!?」

 

「シェパーズパイは僕もフランスにいたときに食べたことがあるけれど、これは普通に美味しいよ!!」

 

「うむ、これは店を開けるレベルだぞ。」

 

「これは、うちのチェルシーが作る料理に引けを取らない美味しさですわね…」

 

「イギリス料理がマズイなんて嘘だったんだな…普通にうまい」

 

鈴、シャルロット、ラウラ、セシリア、一夏がそれぞれ感想を告げていく。

そしてそれを聞いた彼女は

 

「いやいや、大げさよ…これだって母さんに教えてもらったのをそのまま作っただけだし…ちなみに中に入っているのは玉ねぎと牛肉、それとチーズが主ね。後は基本通りの作り方って所かしらね」

 

そして彼女たちはティナの料理の腕の高さを身を以て味わったのであった。その後もそれ以外の面々の作ったものも食べたが全員の料理はどれもおいしく、皆が納得していた。

 

 

 

その頃千冬はと言うと副担任の真耶と二人で近くのバーに飲みに来ていた

すると真耶は千冬に

 

「良いんですか、織斑先生。せっかくご自宅に帰れたのに私とこうして飲んでても」

 

「あぁ、今は家にあいつらも来ているしな。私が居ては邪魔になってしまうだろう」

 

そう言いながらも千冬は手元にある酒に一口つけるとさらに

 

「それに、アイツももう子供じゃないんだ。いつまでも私にべったりではいけないだろう…とはいうのは表向きだがな、実際はあいつとどう接していいか分からないと言うのが事実だ。前にも言ったとは思うが…」

 

「織斑君の誘拐ですね…ですがあれは織斑先生の責任では有りませんよ。隠ぺいした政府の責任です」

 

真耶は当時代表候補生と言う事もあり、一夏の誘拐事件の真相を知っている数少ない人間の一人である。しかし千冬は

 

「その事もあるんだが、アイツはそれ以降。どうにもおかしくてな…」

 

「おかしい?何がですか?」

 

「いろいろあるが、やっぱり思ったのが篠ノ之束に対して因縁を付けたり、後日紅椿の戦闘記録の音声を聞いた時の言葉だ。私としても一夏があんな事を言うなんて思ってもみなかったからな」

 

そう千冬と麻耶は福音戦終了後正確なレポート作成のため、ISのデータから戦闘記録を解析した際に一夏が箒に対して言った言葉などがそのまま彼女たちの耳に入っていたのだ。

 

「織斑君にしてみれば篠ノ之さんの件はそれほど許せなかったと言う事ですよね…まぁ飲みに来てまでこんな話をするのもアレですよ。」

 

「ふっ、そうだな…」

 

彼女たちはそんなやり取りをしている

 

 

 

こうしてそれぞれの一日は終わりを告げるのだった


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