一夏と千冬が第二回モンド・グロッソが終わりドイツから帰ってきた後すぐに、千冬は突然の現役引退を告げ、一夏の居場所を教えてくれたドイツに借りを返すため、ドイツ軍に一年間の出張に行ってしまった。
なので今、家には一夏だけしかいない。
そして一夏は今、あの時自分を助けてくれたグループの中の女性からもらったメモを読もうとしていたのだが、あいにく英語で書かれていたため、すぐに内容を理解することはできず、近くの書店までいき、英語の辞書を購入しての解読作業をしている
と言うのも一夏は中学二年生、手紙に書いてある英語は中学で習うような単語ばかりではなく、そして筆記体で書かれているため、読み取り作業はなかなかはかどらない
「えっと・・ここに有る単語の意味は・・これか・・って事は・・この文章はこうなるのか・・、それにしてもあの時は日本語だから、日本人だと思ってたんだがな・・」
そうして一夏はいったん作業をやめ、テレビをつけると
「紐系の水着の開発に補助金を出したら支持率が上がった・・か・すごいな・・」
そこでは某国の大統領が紐系の水着の開発のために補助金を出したところ支持率が上昇、と言うニュースが取り上げられていた、ちなみに支持をした大半の割合が男性だったとか・・
それでもこの女尊男卑の時代に、男性の大統領として居られるのだから、この男性のカリスマ性などは大したものである
そんなニュースを見ながらも一夏はメモの読み取りを進め、その作業は深夜にまで及んだ
そして・・
「おっ、終わった・・えーと内容は、”もし、深い悩みや苦悩を抱え、それを乗り越えるために力が欲しいのならば、ここに連絡せよ。”か、大体の内容はこんな感じであってるのかな・・?深い悩み・・か」
彼の悩み、それは常に周りから織斑千冬の弟としてしか見てもらうことが出来ず、特に千冬がモンド・グロッソを連破してから、一夏はますます、自分個人の意味がよく分らなくなっていた、そして今は学校は夏休みだが、彼が外に出ず、メモの読み取り作業を続けていた理由も外に出れば有名人の弟としてしか周りが見てもらえないからだ。酷い時には千冬に会うためのバイパスみたいな仕事もやらされかけた事もある
なので一夏はメモに書いてある番号に連絡するのにためらいはなかった
しばらくすると
「やっぱり連絡してきたのね、織斑一夏君」
聞こえてきた声は、あの時一夏にメモを渡した女性の声だった
「どうして、俺の名前を・・?」
「ちょっと、ね、それにしても凄いわね、あの文章をこんな短期間で解読するなんて」
「いえ、軽く読み取っただけですよ・・」
「それでも凄いわよ、あの文章少なくとも中学生にとってはそんな簡単にでも読み取れないのに・・」
「そうなんですか・・」
「そうなのよ、まっ詳しい事は後日教えるわ、今日はもう休みなさい」
「分りました」
そう言うと彼は眠りについた
某国某所にて
「ふぅ、まさかこんなにも早く連絡が来るなんて思いもしなかったわ」
そう言い電話を切るのは一夏を救出した際に、戦闘を繰り広げ、最後にメモを渡した女性、エイダ・ウィニー、彼女は一夏を救出したグループのリーダー的存在である
残り二人の青年と男性、レイブ・ヴォーゲンとアレックス・エイブラムの二人は別任務でこの場にはいない
彼女たちはイギリス清教に所属する魔術師である
「私の目が間違いで無ければ、彼は魔術師として必ず成功するタイプ、あの場で殺されるには惜しい人材だったもの、まっ、メモの文章を英語にしたのは私のミスなんだけど・読み取ってくれてよかったわ」
そう彼女は電話ではいかにも英語を読み取らせるために渡したかの様な口調であったが、実際は英語の手紙を渡したことに気付いた際、そうとう落ち込んでいた
「さて、ひとまず日本に向かうとしましょうか」
そう言いエイダは日本に向かう準備をした
そして彼女が部屋を去った後に一人の青年が部屋に入って机に置いてあった資料に目を通す
「織斑一夏か、なかなかに面白そうな奴だにゃー、あの女の目にかかる奴だ、それ相応の資質があるんだろう」
そして後日
「お久しぶりね、織斑一夏君」
そう言いエイダは、彼、織斑一夏の自宅へとやって来ていた
「お久しぶりです・・えっと」
「エイダ・ウィニーよ、エイダでいいわ」
そう言うと彼女は持っていた鞄から一枚の紙を一夏に見せる
そこには
{織斑一夏、貴方をイギリス清教のメンバーとして認める}
日本語でそう書かれていた
最初、一夏はその意味が分からず茫然としていたが
「織斑一夏君、あなたをイギリス清教のメンバーとして認め、私たちはこれから、あなたに魔術を教えます」
「えっ、いや、話が唐突過ぎてよく分らないんですが・・力って・・魔術の事ですか?でもあれって実在・・していたんですね」
彼はあわてながらもなんとか状況を理解しようとする、それはそうだろう突然イギリス清教だ、魔術だと言われてもすぐに理解できるはずがない
「まぁ、最初はそんな反応よね、とりあえず私は短い間だけどあなたにつきっきりで魔術を教えるわ、お姉さんがいなくて家には一人、そんなさびしい生活ともしばらくの間おさらばよ」
「えっと・・よろしくお願いします」
そうして一夏は突然現れた命の恩人とも呼べるエイダとの奇妙な生活が始まった
昼間は、家事をしたりと言った日常生活、夜になると魔術講座と言う感じの生活だ
最初は魔術と言うものに関して戸惑ってはいたものの、彼が読んでいた本なのが功をなし、エイダも驚くほどの速さで魔術を理解した
そして数日がたち
「魔法名はiaceo231、私はここにいることを証明する・・いい魔法名ねそれが貴方の願いであり、魂に刻んだのね」
「えぇ、でも魔法名ってこんな単純でいいんでしょうかね、使う魔術だって、あまりにもポピュラーなんですが・・」
確かに、彼は自分と言うものがここに有るという理由での魔法名で、使う魔術の分類も近代西洋魔術と言うあまりにも有名な部類であるため、本当に大丈夫なのかと言う感じだ、彼の想像の中では魔術師は全員が特殊な魔術を使うというイメージがあるためこう思うのも無理はない・・・が
「そんなに気にしなくていいわよ。それに魔術だって、今あるのをそのまま使うだけじゃ、一人前とは言えないわ。既存の術式を自分なりにアレンジして新しい術式を作ることが出来なきゃ意味がないもの」
「既存の術式を自分なりにアレンジ・・ですか」
「そっ、術式に関しては、貴方に教えた、あまりにもポピュラーな術式以外、私は教えることはできないわ、あなた自身が考えて作らなきゃ意味がないもの」
一夏はまるでレシピも何もなく材料だけを与えられて新しい料理を作るものだと思っている。
そして一夏は自分だけの術式を考えるために日数を費やした、もちろん何もヒントがないという訳ではなく、エイダは一夏に簡単なアドバイスを送ったりしたがあくまでもアドバイスであり、術式自体は教えなかった。
そうしてしばらく日にちがたち
「これで・・どうだ・・」
そう言い一夏は魔力を生成し、すると突然耳をつんざくような爆音があり家の庭には大きな穴が開いていた。
「でっ・・できた・・のか?」
するとそれを後ろで見ていたエイダは
「成程・・天使の力を使いそれをエネルギーとしての爆撃・・ね、粗さがあるけどこれは努力次第でどうにかなるわ(まさか天使の力を直接利用しての爆撃を考えるなんてね・・今は炎をつかさどる大天使、神の如き者(ミカエル)の力の一部しか使えないけど、順当に成長すれば四大天使すべての力をそれなりに使えるようになるんじゃないかしら・・流石にミカエルの力もイギリスの切り札のアレが放つ力に比べれば劣るけど、聖人でもない普通の人間が使う力としては上出来ね)」
一夏の放った爆撃をみてエイダはそう評価した、
その後、一夏は関心していたが、庭に穴をあけたのを見た瞬間、膝をつきながら
「これ・・・どうやって直そうか・・?」
と言っていた、さすがにこのままにしておくのはまずいので、その日のうちにエイダと協力して庭の修復作業に取り掛かった。
後2、3話ぐらいでプロローグを終わらせ、本編に入りたいなぁと思っています
あと魔術の話を端折りましたが、これはいずれ一夏が魔術を暴露たときのためネタを使わないようにと思い端折りました(と言うかその時までこの小説が続いたらいいなぁ)
某国の大統領ネタやイギリスのアレと言った原作ネタも交えつつの話でした