IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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プロローグ2

彼がドイツに来た三日後、第二回モンド・グロッソが開幕し、二週間の戦いが幕を開けた。ISは世界に467機しかなく、出場する国も限られてくるので短期間での開催となっている。

そして彼、織斑一夏も姉である織斑千冬の応援のためにドイツに来ている

彼の姉千冬はモンド・グロッソの格闘部門で圧倒的な強さを見せ、二連覇がかかった決勝戦を明日に控え、一夏も千冬にあまりプレッシャーをかけさせないようにと思うあまり、二人の間には会話が少なくなっていた

そうして一夏は今ホテルの部屋で勉強をしていると千冬が

 

「なぁ、一夏、明日決勝戦の事なんだが・・」

 

千冬から決勝戦の話題が出てきたので一夏は驚きながらもどうにか平常を装りつつ答える

 

「明日がどうかしたのか、千冬姉?」

 

「明日私は早くに会場に向かわなくてはいけないんだ、悪いが明日は一人で会場に来てくれないか?席は取ってある」

 

「分ったよ、会場もここから近いし迷うこともないからな」

 

恐らくは押しかけてくるであろう報道陣への対応のためであると一夏は予想した

実際ここから格闘技部門の会場はそう遠くもなく、歩いて約20分くらいのところにある。

 

 

その後はこれと言った話題もなかったため二人は早くに寝てしまった

 

 

そうして次の日の朝、一夏は準備をして会場に向かっていたのだが、会場の手前で突然現れた集団に拉致され、監禁されてしまった

 

(くそ・・寄りによって会場の手前でやられるなんてな・・だが変だ、会場の近くなんてもっとも警備が頑丈なはずなのに・・どうして・・?)

 

そのため彼がそう思うのも無理はない

そうしていると犯人グループが

 

「さて、こいつを拉致すれば、織斑千冬は試合を棄権するだろう」

 

「それにしたってこんなガキ誘拐しろなんて上も何考えてるんだかな?」

 

「さぁな、どっちにしろこれで目的達成・・・なっなんだと!?」

 

犯人グループの男の一人が突然あわてたような声を上げる

 

「どうしたんだ!?」

 

「織斑千冬が・・決勝戦に出場してるんだよ!!」

 

(なっ!?)

 

これには一夏も驚いたがそれ以上に犯人たちの方が驚いていた

 

「おい・・どうするんだよ!?」

 

「仕方ねぇ・・このガキにはここで消えてもらうとするか・・」

 

「そうだな、まっ万が一、織斑千冬が出場した場合はそうしろって言う指示だしな」

 

そう男たちが言うと各々武器を取り出した

 

「さて、ガキ、救出部隊はこねぇまっ、俺たちにさらわれた事と織斑千冬の弟として生まれたことを恨むんだな」

 

そうして犯人たちは各々の武器を一夏に向ける

 

(ちくしょう・・こんなところで死ぬのかよ俺・・・)

 

そして一夏の心には様々な感情がわき出てきた、情けない自分に対する悲しみや、犯人に対する憎悪

すると、外が騒がしくなり、その後突然壁が爆発し、3人のグループが中に突入してくる

 

突入してきたグループの中の二人が

 

「しかしまぁ、一人の人間棄権させるためにここまでやるかね普通?」

 

「安心して少年、私たちは貴方の味方よ」

 

そう二人言い終わると一夏の後ろから突然一人の男性が現れ

 

「さて、ここは危ない、外に出よう」

 

そう言うと、拘束を解き、一夏を連れて外へと飛び出した

その途中で一夏が目にしたのは、最初に現れた二人が炎や水を使って戦っている姿だった

 

(なんだあれは、学園都市の能力者って奴か?でも学園都市はこの大会には無関心で人員も送らないって情報だったよな・・?しかも恰好的にみても学生と言うよりは宗教家って言う感じだし・・)

 

本来なら誘拐から助けられたとはいえ、こんなことは普通なら思いつかないのだが、一夏はグループが入ってきたときに、自分は絶対に助かった、と言う妙な安心感のためか、こんな事を考えていた

これはこれで彼のいい所なのかもしれない

 

その後彼は男性に連れられるような感じで、監禁された現場から少し離れた公園に来ていた

広場には一夏と男性、そして後から、先ほど一夏を監禁した犯人たちと戦闘を繰り広げていた青年と女性も遅れてやってきた

 

「あの、助けてもらってどうもありがとうございました」

 

一夏が三人に向かい深々と頭を下げると

 

すると青年が

 

「いやいや、そんな感謝されるようなことは何もしてないよ、それにしてもあんたの国も酷いよな、誘拐されたことをわかってても国の名誉のために教えないなんてな、これで死んだら誰が責任取るんだって話になるぞ」

 

そう、実は一夏が誘拐されたという事を関係者は知っていたにも関わらず、優勝のために千冬に教えなかったのだ。

そうして今頃になってドイツ軍が一夏を探していた

 

「さて、俺たちはここで退散しますか」

 

「そうだな」

そう男性と青年が言い、引き上げようとするがその前に女性が一夏の前にやって来て紙を渡しながら

 

「このことは誰にも言ったらだめよ。あとコレ、もし今の自分に納得できなかったり、力が欲しいと思ったらここに連絡をして、あっもちろんこれもみんなには内緒よ、それじゃあね・・・また会いましょ」

 

そう言うと三人は音もなく去ってしまった

 

「あっ・・行っちゃった・・あの人たちは一体・・それに・・これって」

 

そこには英語で文字が書かれており、下には番号が書かれていた

 

 

 

こうして一夏のドイツでの不思議な出来事は幕を下ろした

ちなみに、今回の誘拐事件は、表向きは織斑千冬の優勝を阻止しようとした何者かによる犯行であり、優勝が決まった直後に織斑一夏が誘拐された事と、すでにドイツ側が一夏を保護したという出来事があったと言う事が新聞のすみに掲載された

なを犯人の身柄については現場に到着された時には既にだれ一人としていないなど多くの謎を残した事件となった


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