IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第20話

「まぁ、禁書目録の話の前に一つ聞きたいんだが」

 

「なんだい?」

 

「どうして俺を呼んだんだ?神裂さんじゃダメだったのか?」

 

一夏は素直に思った事を言う、一夏は自分の実力をかなり下位の方であると思っている。そのような自分がこのような作戦に呼ばれることが疑問に思っていたのだ

すると

 

「君は自分の実力をしたと思っているんだろうけどそれは過小評価だ。君の場合、象徴武器がそろっていないのもそうだが、魔術師との戦いとの経験が少ないから自分の力がわかっていないだけだ。火と風の術式、そして召喚爆撃を行える魔術師を未熟者とは言わないよ」

 

そう一夏の場合、以前職員室に侵入した流れの魔術師を倒して以来魔術師との戦いは無く、戦闘専門の魔術師としてはあまりにも戦闘経験が少ない。実は一夏を今回の作戦に参加させたのは戦闘経験を積ませるためと言う上層部の判断もあったりする

 

「そうか?まぁお前の足を引っ張らないようにするよ」

 

「話は、それだけかい?それじゃぁ君に禁書目録の事を話すよ」

 

上条が学生寮の中で同居人のインデックスとやり取りしている時、ステイルは一夏にインデックスの事と7月20日に起こったことを話した

 

「成程、それで今はインデックスは上条君のもとに預けられている…と」

 

「そう言う事だ。」

 

二人がそう話している最中も部屋の中からはどうやら上条が最終的に妥協したらしく、猫を飼ってもいいというと、それを聞いたインデックスがとても喜んでいるような声が聞こえてきた

 

「とにかく、今後インデックスは二度と記憶を消さなくても済む。それだけでも随分違うと思うけどな。」

 

「まぁ…そうなんだけれどね…」

 

一夏のその言葉にステイルはどこか納得がいかないような声を出しながらも必死にルーンのカードを張り付けていく

そうしていると上条が

 

「何やってんだアンタ?」

 

「見ての通り結界を張って神殿を築いているのさ。僕たちが三沢塾に乗り込んでいる間にほかの魔術師がインデックスに危害を加えないとは限らない気休めとは言え、魔女狩りの王(イノケンティウス)を置いていけばあの子が逃げ出す時間くらいは稼げるだろう…まぁ彼女ならこれ以上の結界を張る事もできるが、いない以上は仕方がないからね」

 

「彼女…?」

 

上条はステイルの言葉を疑問に思うが、一夏には指している人物がすぐに思い浮かんだ

 

「一夏と同じ学校に通っている結界を専門としている魔術師だよ。戦闘スキルが無い分、結界とかそう言う防御系のスキルに関してはトップクラスの魔術師さ。さて、この一枚を張れば結界は完成だ。僕たちも三沢塾へ向かおう…全く世話が焼ける。魔術師を退けるための結界だというのにあまり協力過ぎると、あの子に気づかれてしまうのだから…」

 

ステイルはそう言いながらも、なんだか嬉しそうに見えるため上条は何となく気づいてしまった

 

「お前、インデックスの事が好きなの?」

 

「あっ、それ俺も気になってた」

 

ちなみにこの時一夏もそう聞いたのはインデックスの話をしている祭、どこか嫉妬しているような感じで話していたからだ。

そして二人のその言葉に

 

「ぶっ!?…なな何を言い出すんだ君たちは!?ああれは保護すべき対象であり決して恋愛対象では…ッ!?」

 

ステイルは顔を真っ赤にしながらも必死で否定している。ステイルその言葉に二人は

 

「そうかい」

 

「まぁ、ここで恋愛話をしている場合じゃないからな」

 

そう言い二人とも話題を切り上げる

上条がこの時話題を切り上げたのは下手に深入りすると自滅すると悟り、一夏が切り上げた理由としては、いいネタが仕入れられたのだから、詳しい話は今度しようと思ったからだ。

 

ステイルは追撃が来ないように話題をそらすため

 

「それじゃぁ三沢塾に向かう前に敵について話しておこうか。敵の名前はねアウレオルス=イザードと言う」

 

学生寮を出て歩きながらもそう告げる

 

「アウレオルスと言えば世界に一人しか存在しないが…うん、どうしたんだい二人とも。あまりにも有名だから驚いているのかい?だがあれはあくまでも末裔だ、力は伝説に聞くほどではないよ」

 

「…ってか、あうれおるすって誰だよ?」

 

「すまん、錬金術に関しては全く知らん…」

 

「そうか、君は魔術に疎いのだったな…そして一夏の場合はあの女が教えなかったのだろうな。だけれど二人ともパラケルススと言う言葉ぐらいは聞き覚えがあるだろう」

 

「???」

 

「その名前なら聞いたことはあるぞ」

 

「知名度なら世界でも1,2位を争う錬金術師の名前だ、覚えておくといい!」

ステイルはイライラしながら上条に告げる

そして夕暮れの街を歩きながらも上条はステイルに

 

「ってことは、そいつって滅茶苦茶強いのか?」

 

8月の夕暮れともなると燃えるような色で、学園都市にあるビルも風車もプロペラも、そこらへんにある建物すべてがオレンジ色に染め上げられている。それはまるで色あせた写真のようだと上条は思った

 

「アレ自体は大したことはない、だが吸血殺しを押さえつけるような何かを持っているんだ。考えたくもないが吸血殺しを使って吸血鬼を飼い慣らしているかもしれないね」

 

どうやら彼はアウレオルスよりも、そっちの方を気にしているような言葉に上条はどこか納得がいかない、何せ彼は肝心の敵を二の次に考えているのだ。さすがに上条もそれはおかしいと思いステイルに聞くとステイルはつまらなそうに

 

「あぁ、その事についてなら心配はいらないよ。あれの名は一流だが力は衰えている。なんだって魔術師の業界において錬金術なんて職業は存在していないんだ」

 

ステイルが言うには魔術と言うのは様々な分野に分かれていてそれを一通りかじった中で自分に会った専門を見つけるのが専門でありアウレオルスが錬金術師を名乗っているのはそれ以外に能が無いからだという。ちなみに一夏が錬金術の事をあまり知らないのは、師であるエイダが一夏に「あんな使いにくいものを知る時間があるのなら自分の知っている分野を覚えた方が良い」と言ったからだ

 

その後もステイルは上条に説明を続けていく、そして話の終わりにはステイルはアウレオルスと顔見知りであると言う事を明かす

そして話が終盤にかかったところで一夏が二人に

 

「さて、目的地に到着だぞ」

 

燃えるような夕焼けに照らされそのビルは彼らを待ち構えていた

 

「しかし、まぁ外見はこれと言っておかしいところはないな」

 

上条がそう言いながらつぶやく、こうしている今もビルからは生徒が出ていくが何もおかしなところは無い

 

「とりあえず、最初の目的地は南棟の五階、食堂脇だな。隠し部屋があるらしいぞ」

 

一夏はそう言うと上条は

 

「隠し部屋…」

 

「うん、まぁ中の人間には気づかせないつくりにはなっていると思うけどね。あのビル結構隙間が多いんだよ」

 

ステイルはビルを眺め

 

「その中でも一番近いのが一夏が言った食堂脇なのさ」

 

「見た感じ怪しい忍者屋敷には見えないけどな」

 

上条の言葉にステイルは釈然としない表情でビルを眺める、彼が言うにはどうも納得ができないそうだ。それほど危険な施設にうかつに足を踏み入れても大丈夫なのだろうかと思っていると

 

ステイルはあっさりと

 

「大丈夫なはずがない、けれど入るしかないじゃないか僕たちの目的は殺しじゃなくて救助だ。まぁビルごと破壊していいのなら僕じゃなくても一夏のお得意の爆撃ですぐにビルを落とせるし。そうなら僕としては余計な力を使わなくていいし大助かりなんだけれどね」

 

「ばっ、爆撃!?」

 

ステイルのその言葉に上条は一夏の方を向くが一夏は苦笑いしつつも

 

「まぁ、ちょっとした攻撃方法だよ。そのうち見せてあげるよ」

 

そう告げるが上条としてはなるべく見たくはないと思う

そして話題を切り替えるためにステイルに

 

「入るしかない、ってまさか正面からお邪魔するのか?策とかねーのか、気づかれないように侵入する方法とか!」

 

「何だ。君には何か得策があるのかい?」

 

「ッ…!テメェ本当にこのまま突っ込む気か!?簡単に言えばテロリストが立てこもっている建物に正面から突撃するようなもんだぞ!安物の映画でさえ1つ2つ敵の裏をかく作戦をねるもんだろうが!?」

 

その言葉にステイルではなく一夏が

 

「まぁ、透明になる魔術や気配をけす魔術がないわけじゃないんだ…だけれどちょっと問題があるんだ」

 

「問題?」

 

「そう言う魔術を使ってしまうと、その魔術師が魔術を使った魔力だけはどうしてもごまかしようがないんだよね」

 

「…は?」

 

「まぁ簡単に言うとね。青色で塗りつぶされた紙があったとする。でこの青はアウレオルスの魔力とする。それでその中に僕たちの魔力の色の緑を塗り付けたら誰でも気づくよね」

 

「つまり一夏やアイツは歩く発信機って事デスか?」

 

「そう言う事になるんだよね…」

 

二人のそんなやり取りの中、ステイルは上条に

 

「だが君よりはましだろう」

 

「何でだよ?」

 

ステイルが言うには上条の幻想殺しは簡単に行ってしまえば魔法の消しゴムだ。魔術師は魔力さえ使わなければ気づかれないが、上条はそうはいかない異常が常にタダ洩れ。要はテロリストの拠点に発信機を付けた状態で正面突破をするようなものだその事を上条はステイルに抗議するがステイルは軽くあしらい、しまいには

 

「錬金術師の相手など聖ジョージの竜の一撃すら防いだ君の右手があれば大丈夫だ。それに僕たちに頼られたって困る。魔女狩りの王もあの子を守るためにおいてきて僕の手持ちは炎剣一本。一夏だって魔術は火力中心の攻撃だ下手に使えばビルが崩壊する。現に彼は以前侵入者を撃破した時には加減したとはいえ、職員室を吹き飛ばしたんだからね」

 

「うわーっ、こいつ本当に何も考えてない!」

 

「それとも君、ここで留守番でもしているかい?」

 

上条は本音としてはあのようなところには入りたくはなかったが、男が立ち入りを拒むような所に女の子を監禁しておくのはもっとダメだと思い、覚悟を決める

 

「行くよ」

 

ステイルがそう小さく言うと上条と一夏は黙ってドアの前に立つ

 

こうして吸血殺しの少女を救出するための行動がはじまる


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