IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第19話

ステイルのその言葉に上条は一瞬理解できなかった

すると一夏は

 

「資料を見る限りじゃぁ明らかに部屋の数と食糧、それに電気料金なんかが見合ってないんだよね。この数値は明らかに誰かが中に監禁されてるって事になるね」

 

一夏のその言葉に上条も自分の資料を見るが、確かに部屋の数と電気製品を合わせても電気料金の数値が異常であることが一目でわかる

 

するとステイルは

 

「それにその三沢塾は今では科学崇拝を軸にした新興宗教と化しているんだそうだ」

 

その言葉に上条は

 

「科学崇拝って、あれか?神様の正体はUFOに乗ってやってきた宇宙人とかそう言う話の奴か?」

 

ちなみに学園都市言うのはそう言う科学崇拝に対して非常に強い警戒感を持っていたりする。なぜなら学園都市の教育そのものが”モノを教える”と言う環境であるため下手をすると教育現場が一変、洗脳工場へとなってしまうからだ。

 

するとステイルはさらに

 

「教えについては分からないけれどね。それに僕にとってみれば三沢塾がどんなカルト宗教になっていようが関係ないんだ。今ではもうつぶれていることだしね」

 

その言葉に上条は理解できず、一夏は事の真相が大体わかって来ている

 

「簡単に言えば、三沢塾は乗っ取られたのさ科学に感化されたインチキ宗教が正真正銘、本物の魔術師…と言うよりはチューリッヒ学派の錬金術師にね」

 

「本物…?」

 

「あぁ、胡散臭い響きだと僕は思っている。それは君も同じだろう?」

 

ステイルはそう一夏に言うと一夏も軽くうなずく。そしてステイルは上条に

 

「それはそうと、君いつからそんなに物分りがよくなった?まさか説明を全部聞き流してたんじゃないだろうな?」

 

その言葉に上条は驚く、今の言葉を上条は自分なりに言葉をかみ砕いて理解していたのだが、そこに違和感を覚えられた

上条はここで自分が記憶喪失だと言う事を悟られないためにも、言葉を出す

 

「なんだよ、ちょっと真面目に聞いてやったらそれかよ。お前はアレか、会話を片っ端からおられなきゃ気が済まないタイプなのか?」

 

「さすがに、まじめに話を聞いた人間に対して疑ってかかるのはどうかと思うぞ。」

 

上条の言葉に一夏も援護する。一夏としては真面目に話を聞いている人間にそんな疑問をぶつけるステイルに違和感を覚えたのだ。

 

ステイルは

 

「まぁ、話を理解しているならそれでいいんだが…」

そしてステイルは気を取り直すように

 

「それでその錬金術師が三沢塾を乗っ取った理由なんだが。一つはもともとある三沢塾を要塞としたかったから。生徒のほとんどは首が変わっていることにすら気づいていない。けれど錬金術師の目的はそこじゃない。本来の目的は三沢塾にとらえられていた吸血殺しなんだ」

 

吸血殺し、上条はそんな言葉を知らず知識にもそんな言葉は存在しない。だが言葉だけならかなり物騒な物だった

そしてステイルは説明を続けていく、三沢塾では巫女としての役割を持たせるために監禁していたようだが、かねてから吸血殺しを狙っていた錬金術師としてはかなりやっかいであろう。本当ならばこっそり吸血殺しを盗み出す予定だったのが、三沢塾が派手に動いてしまったのだから

簡単に言えば、その錬金術師は強引に奪い返したと言う事になる

 

そしてステイルは

 

「それに吸血殺しの獲得は錬金術師、いやすべての魔術師、もしくは全人類の悲願と言ってもいいのかな」

 

「どういうことだ?」

 

上条はその言葉を理解できなかったで、すぐにステイルに疑問をぶつける

 

「吸血殺しって言うのは”ある生き物”を殺すための能力であると同時に、”ある生き物”を生け捕りにできる唯一の手段でもある」

 

その言葉に一夏は心当たりがあるのかステイルに

 

「おい、それってまさか…」

 

そう問い上条は一夏に

 

「知っているのか?」

 

「あぁ、それに上条君も聞いたこと位はあると思うよ」

 

一夏がそう言うとステイルは

 

「そう、一部ではカインの末裔なんて呼ばれている生き物、簡単に行ってしまえば吸血鬼の事さ」

 

「おい、それ本気で言っているのか?」

 

上条にとっても吸血鬼と言うのは聞いたことのある言葉だった。とは言っても吸血鬼は太陽の光に弱い、死ぬと灰になる、心臓に杭を打たれると死ぬ、吸血鬼に噛まれたら同じように吸血鬼になってしまう。彼の知識にあるゲームや漫画と言ったものは十字架クソ喰らえのパンクなアクションだったりする

するとステイルは

 

「冗談で言っていられる内は幸せだよ…」

 

それに続くように一夏も

 

「まぁ、吸血殺しがいるってことは吸血鬼もいるって話になるんだけどな。そうでなければ話にすらならないんだから」

 

つまりはある害虫を駆除するための薬があるのはその害虫がいるからこそ作られるのであって、害虫がいなければ薬は作る必要が無いと言う事である。

 

「つまりはそんな吸血鬼が本当にいるってことになるのか?」

 

上条の心は否定しているだが、目の前の二人はあまりにも深刻そうな雰囲気である

 

「だけど、それを見たものはいない、なぜならそれを見たものは全員死ぬからだ。」

 

そして続けるようにステイルは言う

 

「だから僕も鵜呑みにしているわけじゃないん。だが見たことが無いにせよ吸血殺しがいる以上、吸血鬼の存在を証明してしまったんだ。それが問題なのさ相手の力も、規模も居場所も何もわからないんだ。そしてわからないものには手が出せないであろう」

 

「簡単に言ってしまえば、世界中にいる何も情報のない武装集団の相手をするもの。と考えてくれればいいよ」

 

しているの言葉に一夏は上条にもわかるように解説を入れる。上条にとってみれば一夏の解説はとてもわかりやすかった。

 

そして一夏はさらに上条に

 

「けれどそれだけ分からないものには同時に未知の可能性も秘めている。それでね、”セフィロトの樹”って言うものがあるんだ」

 

「なんだそれ?」

 

「簡単に言ってしまえば神、人間、天使と言った魂の位を現した身分階級表の事なんだ。人間は修行すればここまで昇れるけれど、ここからは踏み込んではいけませんよ…みたいな感じだよ」

 

「…つまりどういう事だ?」

 

「要は人間て言うのは限界を知っていたとしても高みに昇ろうとするんだ。それで人間自身じゃいける所は限られてくる、そしてその限られた場所に昇ろうと思うのが人間。そしてたどり着こうと思うからこその魔術師。じゃぁどうすればいいと思う?人間じゃ限られてくる、でも高みに昇りたい。そんな時に人はどうすると思う?」

 

「つまり、人間以外の手を借りようって事か」

 

「正解」

 

一夏は昔、師であるエイダから受けた説明と同じように上条に説明していく。そして上条はようやく一夏の言いたいことを理解することができた。

 

するとステイルは

 

「全く、君は甘い。もう少し厳しくしてもいいと思うが?」

 

「そうか?」

 

「まぁ良い。ここからは僕が説明するよ。君も吸血鬼については情報が全くないだろうからね。だから君は一度イギリスに来るべきなのだが…」

 

そう言うとステイルは

 

「吸血鬼って言うのは不死身だからね。たとえ心臓を抉り出して剣に組み込もうが生き続ける。要は生きる魔道具って所かな。そして事の真偽に関係なく可能性があるのなら試そうと思うのが学者だ」

 

つまりは吸血鬼がいる居ないにかかわらず。それを信じ事件を起こしてしまった人間がいて、事件が起きたのならば誰かが解決する必要がある。重要なのはそこである

すると上条は

 

「それじゃぁ吸血鬼って言うのはいるかどうかわからないって事になるのか?」

 

「そう言う事になるね、それに僕ら魔術師はそう言う”あるかどうかわからないモノ”を扱って仕事をしているわけだしね、けれど彼らは本気みたいだよ?本気で吸血鬼を見つけ出そうとしているからこそ切り札の吸血殺しも必要としているんだ」

 

そしてステイルは彼に吸血殺しを持つ少女の過去を話していく。それはあまりにも悲惨な過去であった。そしてステイルは話を続けていくが話の途中で話題を切るためにてっとり早く質問をした

 

「それでさっきから”内緒話”をやってるけど結局何が言いたいんだお前?」

 

「あぁそうだね、話はてっとり早く済ませよう。簡単に言ってしまえば僕たちはこれからその三沢塾に特攻を仕掛けて吸血殺しを連れ出さないといけない状況にあるんだ」

 

上条はつまりステイルと一夏の二人でこれから三沢塾に行くのだと思っていると一夏は彼に

 

「いや、話の流れ的に多分だけど君も来ることになってるんじゃぁ…」

 

「えっ?」

 

上条がそう言うとステイルは

 

「一夏の言うとおりだ、君も一緒に来るんだからね」

 

「はあっ!?どういう事だよ!?」

 

「単純な事実だよ。それと今までの話はブリーフィングだ会話の中身は覚えているだろう?あの資料は見たら燃えるようにルーンを刻んであるから暗記をサボると痛い目を見るぞ」

 

一瞬理解が出来なかったステイルの実力はさっき味わったし、恐らくは一夏も実力のある魔術師であることは簡単に予想できる。ここに錬金術師などと言う訳のわからないモノが待つ本拠地に乗り込めば殺人事件に巻き込まれることは明確だ

 

そしてステイルはさらに

 

「君に拒否権はないと思うよ、もし拒否をすれば君と一緒にいる禁書目録は回収をするそうだ」

 

「禁書目録…?」

 

「君には後で説明する」

 

一夏はステイルの言っていることがわからなかった。そもそも一夏はイギリス清教のメンバーでありながら一度もイギリスを訪れていないこともあり、メンバーの顔を知らないのだ

 

その後もステイルと上条は何やら不穏なやり取りをしているが一夏には何を言っているのか理解できなかったが、話の流れ的にとても複雑な状況であると言う事だけは理解した

 

その後ステイルは二人に吸血殺しを持つ少女の名前が姫神 秋沙(ひめがみ あいさ)である事を告げその顔写真を見せる。そしてそこに映っていたのは上条が昼間ファーストフード店でであった少女であった。そして上条はその写真を見ると、すぐに少女を救い出す決意を固めた




吸血殺し編が後何話で終わるかわかりませんが、その後に自宅訪問→御使堕し→IS学園の学園祭と続いていきます
マジでISヒロインが空気化しそうな予感、そうならないように頑張りますが夏休み明けは禁書側の事件が続くからなぁ…

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