IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第2章 不幸少年との出会い
第18話


IS学園が夏休みに入り数週間が立った。とは言っても最初の二週間は微罰トレーニングが有ったりと何かと忙しいことが多く、一夏が自宅に帰ることができたのは8月の上旬にであった。

今の時期は外国から来ている生徒の大半は帰国している。もちろんティナもイギリスに帰国している。目的としては怪我の治療と霊装の調達であると彼女は言っていた

そして彼がポストを開けるとそこには一通の手紙が入っていた。差出人は、ステイル=マグヌスだ

 

「ステイルから手紙…一体なんだってんだ?」

 

そう言いながら封を開けるとそこには

{この手紙を見たならばすぐに学園都市に来い}と書かれていた

 

「(学園都市に…かステイルから連絡が来るってことは相当深刻な状況なんだろうな)」

 

一夏はそう思うと、霊装である短剣をしまいすぐさま学園都市に向かう事にした

 

その頃一夏を呼び出した張本人ステイル=マグヌスは学園都市にあるビルの中にいる人物、学園都市統括理事長、アレイスターと対話をしている最中である。とは言っても普通に面と向かっての対話と言うにはひどくかけ離れている。何せアレイスターは部屋の中央にある弱アルカリ性培養液で満たされた巨大なビーカーの中に逆さで浮いているのだから。そしてステイルはそのような人間のあり方に恐れすら抱いていた。そもそもどうして魔術サイドのステイルがこのような場にいるのかと言うと、それはアレイスターが言うにはこの学園都市にいる吸血殺しと言う能力を保有する少女が魔術師によって監禁されているのだという。そして科学側の人間である学園都市の能力者が魔術師を倒してしまうのは問題がある。ならば学園都市にいる魔術師を同じ魔術師で倒してしまえばいい。つまりはそう言う事だ。そしてその魔術師の代表としてやってきたのがステイルなのだが、彼は一つの疑問をぶつける

 

「例外たる私を呼んだ理由は分かりました。しかし、もう一人の人間、織斑一夏に関しては大丈夫なのでしょうか?」

 

そう一夏は魔術師でありながらIS学園に通ってる学生だ。これは下手をすれば科学側の人間が魔術師を倒したのではないか?と言われても不思議ではないが、アレイスターは

 

「その件に関して問題はない。そもそも彼は科学者(こちら)側の人間ではない魔術師(君たち)側の人間ととらえるのが妥当だろう」

 

つまりいかにISであろうがそれはしょせん学園都市の技術ではない。それに学園都市の生徒や科学者にして見れば全くと言っていいほど関心が無いものであるからだ

 

「分りました」

 

「それで問題となる戦場の縮図だが…」

 

そう言いながらアレイスターは今回の戦場の見取り図、名を”三沢塾”と言うものについての説明をしていく。そもそも”三沢塾”と言うのは学園都市外部で大きく発展している大手の進学塾であるのだがその進学塾がなぜ学園都市に支部を設置したのかと言うとそれは学園都市の学習法を盗むための企業スパイの色が強いのだという。そうしてその後もアレイスターはステイルに対し説明を続けていく。

そしてステイルは一通りの説明を受け終わったところで三沢塾の見取り図を眺める。建物の中がどのくらいの魔術的防備で固められているかわからない場所に二人で乗り込む。その状況にステイルは少し愉快になるのだが、アレイスターは

 

「それに、君たちとの天敵ともいえる一つを私は保有している」

 

その言葉にステイルは一瞬こう着する。幻想殺し(イマジンブレイカー)それは7月の下旬にステイルが殺し合いを演じたとある少年の名だ。それに触れれば魔術であろうが科学であろうが異能の力ならば何でも打ち消すという特異なる少年の名だ

 

「けれど織斑一夏と違い、超能力者である彼を魔術師を倒すのに使うのはまずいのでは」

ステイルのその質問にアレイスターはまるで返答を用意していたかの様に言葉をつづける

 

「それに関しても問題はない、アレは無能力者であり価値のある情報は何も持っていない、そしてアレは魔術師(そちら側)の技術を理解し再現するほどの技術もないのだ。ゆえに君たちと行動をしたところで大した影響はないのだよ」

 

そしてその後もステイルとアレイスターによる会談は続いていった

 

そしてかの幻想殺しを持つ少年、上条当麻にとって今日一日はとても奇妙な一日であっただろう。

ファーストフード店で巫女服姿で食い倒れていた少女と出会うわ、その少女に奢るための生贄を決めるじゃんけんで負けるわ、その食い倒れの巫女は魔法使いと名乗り、その言葉に禁書目録(インデックス)と言う名前の少女がその巫女に食いついたり、挙句の果てにはその巫女は塾の先生と共にどこかに行ってしまったのだ。

そしてそれだけでは終わらない、夕暮れになり今度はインデックスが猫を飼いたいと言い始め上条と言い争っていると、突然インデックスは動きを止め

 

「なんだろう、近くに魔力の流れがある…それもどんどん束ねられていってるみたい、属性は土…色彩は緑…この式って地を媒介にし魔力を通すことで…」

 

「インデックス…?」

 

上条はそう言い彼女に声をかけるが

 

「誰かが近くに魔法陣を仕掛けているっぽい、だからとうまは先に帰ってて!!」

 

インデックスはそう言いながら路地裏へと姿を消していく

 

「先に帰っててと言われてもなぁ…」

 

上条はこのまま放って帰るわけにもいかない。また不幸な事になったと思いため息をつきながらインデックスの向かっていった方向に足を進めるのだが

 

「久しぶりだね、上条当麻」

 

そう言いながら彼の背後に現れたのは…

 

 

時を同じくして織斑一夏もまた学園都市にやって来て、ステイルを探していた

一夏の住んでいる所から学園都市は遠く、午前中に出発したのに、着いた頃にはもう夕方になってしまっていた。この時間になると学生数も少なくなってくる。そのせいか一夏としては実際に目で見たかった超能力者に会う事が出来なかったのだ

 

「しかし、ここが学園都市か…想像以上にすごいところだな」

 

周りには大きなビルが立ち、そしてあたりをドラム缶サイズのロボットが動き回っている。これだけでも学園都市の外から来た一夏にとっては驚きであった

 

「さて、ステイルを探さなきゃな…これは魔力…か」

 

一夏がしばらく歩き回っていると、魔力の流れを感じることができたため、一夏はすぐにその流れを辿っていくことにする。

「(これは…人払いのルーンか…まさかもう戦闘が始まってるって言うのか!?)」

 

一夏はそう思うとさらに急いで付近を捜索することにする

 

その頃上条は突然現れた神父と何故か戦闘になっていた。と言うのも彼、上条当麻はとある事情で記憶喪失になっており目の前の神父と出会っていたという記憶がない、そして彼は何とかうまくごまかそうとしたのだが、それが神父の感に触ったらしく、神父は右手に炎を呼びそれで炎剣を作り出すと上条に向かい勢いよく振り下ろしてきたのだ。

彼はすぐさま右手をかざしそれを防ぐ、すると炎剣はすぐさま砕け散る

 

「はぁ、…ハァ…ッ!!」

 

彼は右手の構えを解かず、じっと神父を睨みつける。すると神父は納得したかの用に笑みを浮かべ

 

「そうだ、上条当麻その顔だ、ステイル=マグヌスと君との関係はそう言うものだろう。」

 

その言葉に上条は今いる敵をどうにかするべきだと思い、喧嘩とは離れながらも構えを取りながら神父に

 

「何を…するつもりだてめぇ!!」

 

そう怒鳴りつけると、神父はすがすがしい顔で

 

「うん、内緒話だよ…それともう一人の人間が来るまでの間の時間つぶしだよ、もうそろそろ来るはずだけどね、この状況を察知して現れる人間が」

 

その言葉に上条は一瞬騒ぎを聞きつけた人間がやってくるものだと思っていたが一向にその気配がない。するとステイルは

 

「人払いのルーンを刻んだんだ、これに気づくことができるのは僕と同業者だけだからね」

 

ステイルがそう言うと、ステイルの後ろから現れたのは

 

「えっと…これどういう状況?戦闘って訳じゃなさそうだが…」

 

ステイルが言っていたもう一人の人間。織斑一夏だった

 

「ようやく来たか、待ちくたびれたよ」

 

「悪い、思いのほか遠くてな、それに付近をしらみつぶしに探してたんだ」

 

二人がそうやり取りをしているが、上条にとって一夏は初対面の人物であり、記憶を失う前の自分の知り合いかどうかも分からない、が上条は話しかけようとすると、一夏から

 

「こんな状況だけど、とりあえずは自己紹介と行くか。俺は、織斑一夏、よろしく」

 

「えっ、あぁ、上条当麻だよろしくな」

 

実はこの状況は上条にとってみればとてもありがたかった。何せ今のやり取りで自分と一夏は初対面と言う事がわかり、記憶を失う前の自分を知らないと行くことになるんだから

 

二人が自己紹介が終わるとステイルはすぐに分厚い封筒を二人にわたし、さらにステイルが小さくつぶやくと封が切り開かれる。そしてそれは二人の目の前でふわふわ浮かんでいる

 

「み…さわ…?」

 

「三沢塾、俺の住んでいる町にもある大手の進学塾だな…一応日本ではシェアナンバーワンなんだけど…こういう部分でも学園都市の内外じゃぁ大きな差があるのか」

 

二人の反応は全く異なっていたがステイルはそれを気にせず、さらに数枚の資料を二人に飛ばす

資料の一枚には三沢塾の簡単な説明が書かれており、三沢塾には現役予備校としての機能と進学予備校としての機能と言う二つの機能があるらしい

 

そして上条は不信感をあらわにしながら

 

「それで、この”みさわじゅく”に何の用があるんだ?お友達を紹介すればいくらか値段が安くなるとかそう言うものか?」

 

上条はそう言うがその数枚を見終わった一夏は

 

「成る程、そう言う事か。随分と物騒な塾だなここ」

 

「どういうことだよ?」

 

上条の疑問にステイルは

 

 

「その塾に女の子が監禁されているんだ。どうにかしてその子を助け出すのが僕たちの役目さ」

 

 

そう告げた

 

 


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