IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

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第17話

一夏達は福音を倒した後旅館まで戻ってきたのだが、彼らは今全員が整列させられていた。その理由としては無断出撃をしたからである。

 

「さて、作戦終了と言いたいところだが、お前たちは無断出撃をした。よって夏休みの最初の二週間の間罰として特別トレーニングを貸す。いいな」

 

千冬のその言葉に全員が納得をする。そして千冬の後に麻耶が

 

「ですが今日一日は自由時間ですのでゆっくり疲れを癒してくださいね」

 

そう臨海学校は本来なら二日間の予定だったのだが、二日目に福音事件が発生し、その解決までにほぼ一日かかってしまい、すっかり日が昇ってしまったのだ。よって今日一日臨海学校を延期し、明日IS学園に帰ることとなった

 

その言葉と共に一夏達は解散しそれぞれ部屋に戻って行った。

すると千冬が

 

「それで麻耶、付近にあった無人機の回収は終わったのか?」

 

「はい、先ほど担当教員から終了したとの連絡が来ました…それにしても誰がやったのでしょうか?専用機持ちは全員が福音の討伐に向かっていましたし」

 

「そもそもうちの専用機持ちの連中にはあんな器用に機体を解体することなど出来ん。ましてや誰にも気づかれずに戦闘を行うなど不可能だ」

 

「となるといったい誰が…」

 

「さあな。くれぐれもこのことは他言しないように良いな」

 

「分かりました」

 

そう昨夜。神裂が破壊した無人機は明け方に警備していたIS学園の教員が発見をしたのだ。その破壊状況に流石の教員も言葉を失ったが、すぐさま千冬に連絡し何とか関係者以外にISを発見することは避けられたのだ。ちなみにこの際無事だったすべてのコアはIS学園が回収した。

 

一夏は部屋に戻るとさすがに回復直後に戦闘をしたせいなのかそのまま眠りについてしまう。それはほかの先頭に参加したメンバー全員がそうだった

そして夜になり全員が夕食を食べていると、シャルロットが

 

「所で一夏はどこに行ったの?」

 

「そう言えば、見かけないわね…」

 

「まさか、抜け駆け!?」

 

セシリアがそう言うが、付近には専用機持ちが全員居るため。専用機持ちが抜け駆けしたのではない事がわかる。しかし彼女たちは見逃していたのだ。その場にはティナがいないことに。

ちなみにティナと仲のいい谷本、鷹月や相川、布仏はあえてその事をセシリアたちに知らせなかった。理由としてはその方が面白そうだからだとか…

 

肝心の一夏は、夜の海で一人景色を眺めていた

すると後ろからティナが

 

「一夏、こんなところでどうしたの?生きるのがつらくなった?」

 

「おいおい、真っ先に出てくるのがそれか…」

 

ティナはそう言いながらも一夏の横に座る。ちなみに格好はギブスの上からパーカーを羽織り下は水着だ

 

「いや、ちょっと考え事をな」

 

「考え事?」

 

「あの時さ、箒に対してお前は悪人だ。なんて言ったけど、魔術師の俺がそんな事を言う資格ないんだよな。箒が悪人なら俺は外道だよなって思ってさ」

 

一夏はそう言う、魔術師として彼は必要とあればその力を振るう、とまで言い切ったのだ。犠牲を真っ先に出す箒が悪人ならば、必要とあれば他者を犠牲にする力を自らがここにいる理由のためとして力を振りかざす自分は悪人より上なのではないかと一夏は考えていたのだ

そして一夏の言葉を聞いたティナは彼に

 

「そんな事なんじゃないかしら?彼女は力の意味を理解していないし、一夏は力を理解している。それだけでも大きな違いよ。決して彼女と同類ではないって私は思うわよ」

 

「そうか…それよりもどうしてティナはここに来たんだ?」

 

「いや姿が見えなかったからね、ちょっと心配して探しに来たのよ」

 

「そっか、って言うか心配してくれたのか、ありがとな」

 

「当たり前でしょ…大切な同僚ですもの。それにあんな怪我の後に出撃したんじゃ心配もするわよ」

 

「そう言えば、あの時強引に点滴抜いてきたんだったな。」

 

「全くもう…ほらじっとしてなさい」

 

ティナはそう言うと一夏の肩に触れ小さく詠唱をするそうすると一夏の周りを小さな光が包み込み、まだふさがっていない傷がふさがって行く

 

「回復魔術よ。しばらくすれば体のだるさも取れるわ」

 

「ありがとな」

 

「まぁ支援要員の専売特許って奴よ。本当ならあなたが落ちた後にすぐにでもかけてあげたかったんだけれど…ちょっと訳があってね」

 

一夏とティナが話している頃、島のはずれで束がモニターを見ながら座っているそして

 

 

「うーん、紅椿の稼働率が予想よりも上がらないなぁ…まぁこれからゆっくりと時間をかけて育てていけばいいか♪それよりも問題は…」

 

束はそう言うとまた別のモニターを表示する、そこには旅館に潜ませていたはずのゴーレムⅡが突然破壊され、なおかつその戦闘の映像が何一つ残っていないことに不満を感じる

 

「誰だよーまったくこの束さんのお手製のISを破壊してくれちゃった人はー?」

 

束がそう一人で言っていると後ろから千冬がやってくる

 

「やぁ、ちーちゃん。奇遇だね」

 

「そうだな。それよりも今回の事件だがお前はどう思う?」

 

「ちーちゃんはどう思うの?」

 

「ある一人の科学者がお手製のISの性能を世界に知らしめるために行ったことだ。かつての白騎士事件のようにな。あいにく今回は失敗したようだがな」

 

「失敗?ううん成功しているよ、何せ紅椿の性能もそうだけれどいっくんの白式の性能も世界に知らしめることができたんだから」

 

「ふっ、そうだったな。」

 

二人がそう話していると突然束が

 

「ねぇ、ちーちゃん」

 

「どうした」

 

「この世界は楽しい?」

 

「そこそこにな」

 

千冬がそう言うと突然突風が吹き、気が付くと束はいなくなっていた。すると背後から

 

「成程、真相を知っていながらそれを隠すとは。世界最強の女性が実は大嘘つきだったとはな。ファンが聞いたら悲しむぜぃ」

 

そう言いながら土御門が現れる。千冬はすぐさま彼に殺気を向けつつ話しかける

 

「貴様、何者だ?」

 

「さぁ、何者なんだろうな、一つだけお前とあのウサギに忠告だ。これ以上好き勝手やるなら俺達はそれ相応の対応をさせてもらう、現に俺たちの力はすでに示している」

 

「成る程な、今朝の無人機はお前達の仕業だと言う事か」

 

「あの無人機がしでかそうとしたことを考えれば俺たちを咎める資格はないぜ」

 

「まぁいい、今回はそう言う事にしてやる」

 

「そういう訳だからあのウサギにも伝えておけ。」

 

土御門はそう言うと千冬の前から姿を消した。もちろん千冬は土御門を追う事はなかった。その理由としては下手に追えば逆に殺されるのではないかと思うほどの殺気を彼から感じたからだ

 

 

一夏とティナはその後も何気ない会話を楽しんでいたが不意に一夏が

 

「そう言えばさ、土御門と神裂さんはどうしたんだ?今朝は姿が見えなかったけど…」

 

「あなたが寝ている時に学園都市とイギリスに帰ったわ。二人とも多忙だからね」

 

「そうか、一回で良いから学園都市にも行ってみたいな。科学の総本山がどうなっているのか知りたいし」

 

「でも入るのはなかなかに困難よ、堂々と入りたいなら9月にある大覇星祭まで待つことね。まぁそれ以外で入るとなれば…いや結構簡単に入れるのかもね」

 

「簡単に入れるのか?」

 

「学園都市はあくまでも科学の街。私達みたいな魔術師に対する防御は薄いから頑張れば入れるわ」

 

「そうか、それじゃぁそろそろ戻るか、あまり長くいると怪しまれるだろうし

 

「そうね」

 

ティナは一夏にそう言うとどういう訳か自分の右腕を一夏の左腕に絡めてくる

 

「おっ、おいどうしたんだよティナいきなり?」

 

「いいじゃない、私を心配させた罰よ。それにしてもリアクション薄いわね普通なら金髪美女と腕を組めるんだから大喜びじゃない」

 

「(金髪…美女?)そうですか…まぁ別にいいけど、旅館に着くまでだぞ、さすがに見られると俺が後々面倒くさいことになるからな」

 

「分ってるわよ、そんな事」

 

そうして二人は旅館に戻っていく。ちなみにこの時ティナはどこか満足げな表情だったが一夏にはその理由が理解できなかった。

そして旅館に着くと一夏はセシリアたちに問い詰められると思っていたが彼女たちはテレビに夢中になっていた。そこには福音事件に関しての会見が流れていた

 

 

会見をするのはアメリカ合衆国大統領、ロベルト=カッツェである

 

「時間は貴重だ、よって挨拶は手短に済ませようカメラの向こうの民衆は常に新鮮さを求めているのだからな。そしてこのまま質問タイムに入ろう、記者の諸君はかぶった質問はしないように。笑いものになるぞ」

 

年齢は40代、その顔にはそこいらのチンピラにはない凄味が含まれているのだが、そこから知性を感じることはできないがそのような人間を選んだ責任は国民にある。しかし女尊男卑の今の時代にこうして男性である彼が大統領になれるのだからこれはこれですごい事である。

 

「それでは大統領、今回の事件の際になぜ自国の国家代表を出さす日本に対処を任せたのでしょうか?」

 

「凡な質問だな。答えはこうだ暴走の際にすぐに追撃をした場合入国手続きやら戦闘許可やらを申請しなければならない、そうしている間にも福音は刻々と日本に近づき下手をすれば日本に多大な被害が出る。だから日本の政府に対して救出を依頼をしたのだ」

 

「つまり大統領自ら学生を戦場に出したと。そう言う事ですか?」

 

「それなんだがな、俺は日本政府に学園都市に対処を依頼したいと頼んだのだが…どういう訳がIS学園の生徒が対処をしたんだよ、番号を間違えたのか疑問に思ってしまうな」

 

「ミスターつまりそれはISの力を信用していないと言う事でしょうか?」

 

「確率の問題だ自国の人間をより安全に救出するためにどっちが最適なのかを判断しての行動だ、君たちだって、うちの国家代表を口説くのなら、よく分らない占いよりも、確実なデートコースでデートをして口説くだろう、そう言う事だ」

 

大統領がそう言うと別の新聞記者が

 

「ミスター今の発言は何時もの国家代表に対してのセクハラと捉えてもよろしいでしょうか?」

 

「今の発言でセクハラになるなら世界中の男がセクハラを言っていることになるぞ、それに今までも俺の発言で彼女は不快になったと抗議が来たことはないぞ」

 

ちなみに今までの彼の発言を聞いた国家代表は

「あぁ、そう。あの人も相変わらず愉快だなー」みたいな反応であり不快感をしめしてはいない。と言うか聞き流している感じだ

 

「大統領、福音と操縦者は今後どうなるのでしょうか?」

 

「明日にでも帰国する。そして検査をし今後の対応を考えて行こうと思う。まぁ今回はあくまでも暴走、搭乗者の彼女を罪に問う事は無いだろうな、福音に関しては未定だ」

 

その後も大統領と記者のやり取りは続いていくが話が途中から完全に脱線し、大統領はやってきた大統領補佐官に殴られていたとか…


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