IS~科学と魔術と・・・   作:ラッファ

21 / 126
第15話

一夏が福音に撃墜され、回収された後、箒は一人で一夏が寝かされている部屋にいた

 

「あの時一夏が言った言葉…私のせいで一夏が…私は、もう…」

 

彼女は一人、あの時に一夏に言われた言葉を思い浮かべながら、自問自答をしている時、旅館の庭では鈴、セシリア、ラウラ、シャルロットの4人がひそかに話し合っていた。

 

「さて、どうするべきかしらね」

 

「どうすると言われましても、まずは福音はあの後どこに行ったかですわ。もう日本の領域から出られていては私達にはどうすることもできませんわ…」

 

鈴とセシリアがそう話している。そうしているとラウラが

 

「福音の居場所ならばわかるぞ」

 

「えっ、どういう事?」

 

「我がドイツ軍の衛星が、福音がここから少し離れた小島の陰に潜んで居る所をとらえたんだ」

 

「そう言う事でしたか」

 

「それに、一夏やお前たちには私が来たとき随分と迷惑をかけてしまったのでな、そのお詫びの意味も込めている。それに今度ドイツに帰った時には部隊のメンバーにも謝罪しようと思っている。許されるかどうかは分からないがな…」

 

ラウラはその事実を彼女たちに告げていく。実際ラウラが軍の衛星の使用を自分が所属する部隊に許可を求めた際、ラウラ自身そう簡単に許可は出ないと思っていたのだが、あっさりと使用の許可を出したのだ。彼女が部隊にいたときの行いを考えるとこれは奇跡に近いのだが、そこは副官がうまくやっていたのをラウラは知らない。

 

そうして福音の場所がわかったので、いよいよ本格的な作戦会議に入ろうとしていた

 

「それで作戦はどうする?確かこの中で高機動戦闘ができるのはセシリアだけだったか?」

 

「そうですわ、」

 

「となると、セシリアが攻撃の要になると言う事だよね、それで後はどうしようか…」

 

そうラウラ、セシリア、シャルロットが話していると今まで黙っていた鈴が口を開ける

 

「いや、もう一人いるじゃない。高機動戦闘可能な機体を持った人が」

 

「えっ、どういう事…って鈴まさかその人って!?」

 

「鈴さん、まさかあなた篠ノ之さんも加えるつもりですの!?」

 

「確かにあの機体の性能には目を見張るものがあるが、肝心の搭乗者の戦闘経験と精神状態がな…」

 

そう鈴が最後に上げたのは今現在、戦意喪失中の箒であることをすぐに理解し、セシリアとシャルロットはさっきの出来事を見ていた立場として、ラウラは軍人としての立場から彼女を作戦に参加させるのを反対する

 

「私だって本当なら誘うべきじゃないと思っているわよ…でも都合のいい時だけIS使って失敗したから落ち込んで何もしないでそれで結局許されるなんて私は思っていないわよ」

 

「まぁ、私もそう思ってはいますが…誰が説得しますの?」

 

「もちろん私が行くわよ。ついでに言いたいことが山ほどあるしね」

 

「そうですか」

 

「まぁその間にあんたたちは準備をしてるといいわ。私はその間に説得してくるから」

 

鈴はそう言い残すとセシリア達といったん別れ、一夏が寝かされている部屋に向かうが、その途中、相川、谷本、鷹月に会う

 

「アンタたちも一夏の奴が心配って訳ね」

 

「うん…とはいっても私たちは部外者だから部屋に近づくこともできないし、こうして廊下の隅で無事を祈っているくらいしかできないけれどね」

 

「はぁ、私達何も力になれなくてごめんね」

 

「しょうがないわよ、私達には専用機もそれに匹敵する操縦技術も医療の知識もないんだから…」

 

彼女たちは申し訳なさそうに鈴を見るが、鈴は

 

「別にあんたたちが気に病む必要なんてどこにもないわよ。ところで箒ってまだ一夏の部屋にいるわけ?」

 

鈴がそう聞くと谷本が

 

「たっ、多分。それよりもそんな事を急に聞いてどうしたの」

 

「ちょっとあいつに用があるのよ」

 

鈴がそう言いながら一夏の部屋に入るとそこには寝かされている一夏とうなだれている箒がいた

その状態を見た鈴は箒に

 

「箒、あんたちょっとこっちに来なさいよ」

 

「凰何のようだいきなり、私は…」

 

彼女の死んだような瞳を見た鈴はすぐにでもこの場で怒鳴りつけてやりたかったが、そこは怒りを抑えながらも確実に怒気を含んだ口調で

 

「いいからちょっとついてきなさいって言ってるの。」

 

「…」

 

「あぁもう!!」

 

そう言いながらも箒はその場を立とうとしなかったため、鈴はその小柄な体系に似合わないような力で箒を強引に立ち上がらせるとそのまま部屋からつまみだし、旅館の外まで引っ張っていく

すると鈴は

 

「さて、アンタにちょっと聞きたいことがあるんだけど。あんた、一体何のために専用機を手に入れた訳、クラスメイト達を見下したかったから?一夏と同じように専用機が欲しくなったから?自分より一夏と多く話している私たち専用機持ち達が羨ましくなって自分も専用機を持てば一夏と昔みたいに話せると思ったから?」

 

「私は…ただ、一夏と共に戦える力が欲しかっただけなのだ…」

 

「ともに戦う力、ねぇ…アンタの場合欲しかったのは誰かを犠牲にしてでも自分を知らしめるための力の間違いじゃないの?」

 

「そんな事…」

 

「ないとは言わせないわよ、クラス対抗戦の時と言い今回と言いあんた自分の力でどれだけの人を傷つければ気が済む訳!?」

 

「だから、私はもうISには…」

 

「あぁ、もうふざけんじゃないわよアンタ!!」

 

鈴はそう言うと箒の顔面を思いっきり殴りつける、箒はその衝撃で地面に倒れるが鈴は気にせず言葉をつづける

 

「そうやって失敗して逃げ続ける訳!?力を手に入れたは良いけどいざ失敗したら現実逃避、そんな事が許されると思ってるの!!それとも福音に恐れをなした訳」

 

「私だって福音を倒したい!だが、肝心の居場所がわからないではないか」

 

「居場所なら、ラウラがドイツ軍の衛星使って見つけたわよ、私以外のメンバーはもう準備してる」

 

彼女のその言葉に箒もようやくやる気が出てくるが、鈴はさらに言葉をつづける

 

「まぁやる気を出したんならそれでいいけど、でもあんた次に戦闘中に変なことやったら私は一夏みたいに言葉じゃなくて直接打ち落とすからね。」

 

「わかった。(私はもう力の使い方を誤ったりはしない絶対に…!!)」

 

そうして鈴は箒をつれほかの専用機持ちがいる場所に向かっていく。

 

 

その頃一夏は不思議な場所にいた。周りには自分が腰かけている大木以外はすべて水に囲まれている不思議な空間だ。そしてそこで一人の少女が不思議な踊りを踊っていたが、一夏を見ると、突然踊りをやめ、一夏の方に向かってくる

 

「ん、どうしたんだ?もしかして邪魔だったかな?」

 

「いや、そんなことないよ、ここに人が来るなんて初めてだったからこうしてお話しようと思ったの」

 

「そうか、それで話すって言っても特に話題なんてないぞ…」

 

「別に話題なんてなくてもいいんだよ。ただお話をしたいだけ。何気ない話でいいんだよ」

 

「まぁ、時間の許す限りでなら」

 

「ありがとー。そうだなぁまずは…」

 

少女がそう言うと一夏と少女はその後他愛のない話をしばらくの間続けることにした。

 

その頃、外では一つの黒い影。ゴーレムⅡが旅館をずっと見張っていたのだが、不意に視界が妙な影をとらえる。そして機体は何事かと思い影の通り過ぎた方を追うとそこには2m以上の長さの日本刀を持った女性、世界に20人しかいない聖人の一人、神裂火織が木の上に立ちゴーレムを見下ろす

普通ならばゴーレムは上空から監視できるのだがこのゴーレムⅡはテスト型であり空を飛ぶことは出来ず武器も刀一本と腰に装着した小型のミサイルだけであるがこれでも生身の人間には十分に脅威ではある

だが、何の力も持たない生身の人間には脅威だが魔術師、特に聖人の彼女にとっては脅威では無い

 

「では、参ります」

 

彼女はそう言うと木から飛び降りゴーレムに切りかかろうとする。もちろんゴーレムは神裂を排除すべき敵と認識するとすぐさま腰に装着したミサイルを使い彼女を仕留めようとするが彼女は刀、七天七刀を抜き、飛んできたミサイルをすべて切り払う、そしてこの時彼女は聖人の力を一切使ってはいない。ただ純粋な剣術のみですべてのミサイルを切り払ったのだ。そうして彼女は七天七刀を鞘に納め地面に降りるとゴーレムは刀を使い彼女に切りかかってくるが彼女にその攻撃が届くことはない。彼女はただ動きを見切り回避しているだけなのだ。とはいえ相手はISしかも無人機、決して手加減をしているわけではない、単純に神裂はゴーレムよりも高い戦闘能力を有しているのだ

しばらく同じような光景が続けられると思ったのだが、そのようなことはなかった。彼女が七天七刀を抜いたその瞬間、ゴーレムはバラバラに引き裂かれていたのだ。

わずか3分の出来事であった

 

「8体目…これで最後でしょうか」

 

「いやーさすがねーちんお見事だにゃー」

 

土御門はどこからともなくそう言いながら現れるとバラバラになったゴーレムの部品をあさり、コアに特殊な機械を当てさっきの戦闘のデータを削除していく

彼が今、使っているのは、機械に特殊なウイルスを流し込むことにより5分以内ならばすべてのデータを自由に操作できる機械だ。このような技術でさえ学園都市ではすでに旧型なのだが決して束には再現すらできないシステムなのだ

そうして土御門は作業が終わったことを確認すると

 

「さて、これで後はティナの愛しの王子様が目覚めるのを待つだけだにゃー。」

 

こうして表、そして裏の両方で反撃の狼煙が上がっていく


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。